クレジットカードの沼にはまっていく

三井住友カードから、仰々しい箱が届いた。

新しいクレジットカードをお願いしたら、審査に時間を要した挙げ句に届いたのがこれだった。

クレジットカードなんて過去に10枚以上作ってきた。カードはいつも封筒に入って簡易書留で届けられたけれど、今回は箱入り。初めての体験だ。そして、こういう体験はこれ以上したくないものだな、とも思った。

プラチナプリファード。

年会費がかなりお高いカードに、ついに手を出してしまった。毎年33,000円だぞおい。「なんちゃってプラチナ」とネット上では皮肉られるカードだけれど、年会費無料のクレジットカードがあふれている昨今では物好きでない限り手を出さないカードとなる。

このカードを持っているとステータスが、なんてことはこれっぽっちも考えていないし、この文章だって自慢のために書いているんじゃない。ため息交じりに、「まんまと高額の年会費がかかるカードまで手を出してしまった・・・」という残念な気持ちだ。

そもそも、カードにステータスって未だにあるのか?僕の日常生活では、どんなカードを使っても全然平気だ。

もちろん、流通系のカードはダサい、銀行系のカードは手堅い、ブラックカードとか持ってると素敵!なんて思っている人はまだいると思うが、今更そういう人たちに対して見栄を張ってもしょうがあるまい。見栄よりも実利を取りたい。

で、この「実利」がくせ者だ。クレジットカードの場合、すなわち「ポイント還元率」ということになる。これを意識しはじめると、どんどんカードの深みにはまっていくことになる。

「あっちのお店で買い物するときはこのカード、こっちのお店なら別のカード」と使い分けるのはすごく面倒だし、ポイントが分散してしまう。だからできるだけ1枚のカードに集約しようとして、最大公約数的にあらゆるサービスにおいて使い勝手がよいカードを探し続けている。

ただ、住んでいる場所が変わったり、ライフスタイルが変わったり、時代の流れとともにカードの最適解が変わる。その都度右往左往することになる。

たとえば、JRの駅が最寄りの場所に住んでいた時は「ビックカメラSuica-ViEWカード」がメインカードだったけれど、私鉄沿線に移住したら「東京メトロTo Meカード」にごっそり引っ越しとなった。他にも、ANAカードをメインに据えていたときもあれば、リクルートカードやAmazonゴールドカードをメインにしていたときもあった。だいたい2~3年ごとにメインカードを変えていて、電気ガス水道をはじめとするあらゆる支払いが変更となっている。

それぞれのカードには、他社カードとの差別化のために特徴がある。「◯◯するとポイント還元率アップ」とか、「獲得ポイントは▲▲と有利なレートで交換可能」とか。その「特徴」をみんなが器用に、時にはカード会社の意図せぬ使いこなし方をすると、じきにカード会社が制度を改定してお得さが減ってしまう。いわゆる「改悪」だ。基本的にクレジットカードは「改悪」方面にどんどんルールが変更となり、「改善」されることは少ない。

この「改悪」が行われると、僕みたいに「お得であること」に目がくらんでいる人はそのカードから脱出する。そして次のお得なカードを目指す。

最近はカード会社もそういう人種が一定数いることを十分わきまえているようだ。1種類のカードを末永く使ってもらいたい、とは考えていないように見受けられる。「これ、絶対長続きしないだろう」と思える好条件のカードを新規発行し、その数年後には改悪したり発行停止したりする。

ちなみに僕は一般名詞のつもりで「改悪」という言葉を使っていたが、パートナーのいしから「改悪って言葉、生まれて初めて聞いた。カード業界だけの言葉じゃない?」と言われた。なるほど、言われてみればそうかもしれない。


今回、高い年会費が必要なカードに手を染めてしまうまで、転落の人生はあっという間だった。わずか1年。

それまでは、「AmazonゴールドMaster」で安泰だった。

年会費11,000円。ただし、請求明細書を紙の郵送ではなくwebのみにすると年会費半額、リボ払いの設定にすればさらに1,000円引きという変則的なルールになっていた。で、このカードを持っているだけで無料でAmazonプライム会員の資格が得られた。その結果、カード年会費はかかるものの、Amazonプライムの本来の年会費よりも安いので実はお得、というカードだった。

しかし、このカードが昨年、「カード年会費は今後無料にします。Amazonでのお買い物の割引率はこれまで通り高く設定しておきますが、Amazonプライムの会費は他の人と同じように割引なしで発生するのでよろしく」という制度変更をした。まさに「改悪」だ。

そこで変更したのが、「三井住友カード ゴールドVISA(NL)」だった。

年会費5,500円。高い。でも、「年間100万円以上使えば次年度から年会費無料」というエサがぶら下げられている。そして、通常還元率は0.5%だけど、年間100万円以上使ったら次年度更新の際にご褒美として1万ポイントが付与される、という変なルールになっていた。つまり、100万円に到達するまでは、楽天カードをはじめとする無料のカードに還元率で見劣りするが、100万円をクリアするとその瞬間1.5%還元カードとなり光り輝く。

しかし、この「1万ポイントご褒美」は年に1回限りだ。200万円使ったから、さらにもう1万ポイントもらえるという制度ではない。つまり、100万円ジャスト使ったら1.5%還元だけど、101万円、102万円・・・と利用額が増えていくと、計算上の還元率が落ちていく。これは大変に残念なことだ。

「残念なことだ。」なんて思っている時点で、すでに沼に足を突っ込んでしまっている。

そして、「三井住友カード ゴールドVISA(NL)」で100万円到達の目処がついたところで、今度は「三井住友カード ゴールドMaster(NL)」を追加で作成した。VISAかMasterかの違いなだけで、同じカードの二枚持ちだ。

このMasterでも、100万円で1万ポイントのご褒美が貰える。つまり、二枚それぞれで100万円使えば、合計2万ポイントが貰えることになる。200万円使ってもポイント還元率は1.5%!

この文章を書いていて、我ながら感覚が麻痺しているな、と思う。最初、「大丈夫かなあ、そもそも年間利用額が100万円に到達しなかったら年会費が無駄になるなぁ」なんて不安だったのに、もはや「200万円利用したときの還元率がお得かどうか」なんて大言をほざくようになっている。これがカード会社の思惑なのだろうか。

今や、「リボ払いはやばい」という教えは結構市民権を得ている。カード会社がいろいろマイルドかつカジュアルな表現を使ってリボ払いをおすすめしても、警戒して利用しない人は大勢いるだろう。カード会社の利益を稼ぐリボ払いがなかなか利用されないならば、じゃあそもそものカード利用額を増やさせればいいじゃないか、という発想に至ってもおかしくない。

そんなわけで、100万円という地点にエサがぶら下がっているカードを複数枚運用する羽目になった。

これが予想以上にめんどい。

素直にカードを使えば良いものを、「よりお得にするために」と複雑なルートでお金を動かすようになった。

たとえば、カードから一旦auペイプリペイドカードにチャージ(0.5%)→Revolutにチャージ(0.5%)で1%還元にしてみたり、カードからKyashにチャージ(0.5%)⇒TOYOTA Walletにチャージ(0.2%)⇒iDを使って店頭決済(1%)で1.7%にしたり。

VISAカードでできるお金の動かし方と、Masterカードでできるお金の動かし方は違う。そして、お店ごとで決済手段が異なる。QRコード決済のみなのか、SuicaはOKなのか、iDはどうか、はたまたクレジットカードのみしかだめなのか。

「お会計」となったときに、素早くレジ周りを確認して何の決済ができるのか確認し、手段を決めるのは結構な負担だった。僕にとってベストな決済方法が選べない場合、第二候補として何がベターなのか、第二候補がだめなら第三候補はなにか、というのを瞬時に判断しないといけないからだ。しかも、VISAの100万円修行のときとMasterの100万円修行のときでは、最適解が違う。

「どんなときにどんなルートで資金を流し、どういう決済をさせるのが良いのか」という資金ルート図を絵入りで資料を作成したくらいだ。これをいつもスマホに保存しておいて、外出先でチラチラと見て確認していた。本当にパズルみたいにややこしい。

イリーガルなことではないけれど、やっていることはお行儀の良いことではない。なので、「資金ルート図」を小さな画像で掲載しておく。雰囲気だけ見せる、といった趣旨で。

なお、今はこのルートの一部が「改悪」により塞がれているため、この図のとおりお金を流すことはできない。あと、イリーガルが疑われるルートもこの世には存在していたけれど、そういったものには僕は一切手を出していない。

このお金のバケツリレーは手間がかかる上に、あちこちで「改悪」が行わるたびに右往左往することになる。ほとほと疲れた。

そんなわけで、気がついたらカード2枚持ちで200万円の決済は1年を待たずに到達したが、疲労感が強かった。早くしないと!200万円ジャストで還元率1.5%だけど、これ以上決済すると還元率が下がっちゃう!・・・いやいや、もう勘弁してくれ、3枚目のカードを作る気にはさすがになれなかった。

その気になれば僕一人で4枚の三井住友ゴールドカードを持つことができる。「ビジネスオーナーズカード」のVISAとMasterを作る余地があるからだ。4枚持ちになれば、100万円ごとに1万ポイント付与で、400万円使ったら合計4万ポイントだ!

・・・いや、さすがに僕は400万円もカードを使わないだろう。仮に使うんだとしても、100万円利用するたびにメインカードを切り替える作業が面倒すぎる。100万円に到達したかどうか、毎月事細かに累計額のチェックも欠かせない。集計対象外となる決済も随所にあるので、カード会社からの請求金額すべてが100万円修行に組み込まれるわけではない、というのがややこしい。

そんなわけで、ほとほと疲れたわけだ。ああ、カードは1枚のほうがいいなあ、と。


そんなわけで、同じ三井住友カードのプラチナプリファードを作ったわけだ。もうこれでカード1枚の決定打にしよう、あれこれごちゃごちゃした話はこれで終わりにしよう、と思って。

気がついたら、「400万円使う」とかいう僕の財力にとっては無茶なはずの数値が独り歩きしていて、「どれだけ使えばお得なのか」という基準が相当引き上げられてしまっていた。

このプラチナプリファードは、年会費33,000円と高額なかわりにポイント還元率が常時1%になる。そして、100万円で1万ポイントのご褒美は1回限りではなく、400万円まで繰り返すことができる。つまりこのカード1枚で400万円使えば4万ポイント付与。「4枚持ち」なんて馬鹿なことをしなくて済む。

他にも、SBI証券で投資信託の積立を行えば2%還元とかメリットがあるが、なにせ年会費の負担が相当重たい。カードを作った後になって損益分岐点を計算してみたら、300万円以上使わないとゴールド(NL)カード2枚持ちよりも損をすることがわかった。どうするんだよオイ。いつの間にか「年間300万円利用」だなんて、ハードルがさらに上がってしまったぞ。

計算してみたら、このプラチナプリファードは年間300万円以上400万円以下の利用に最適なカードだった。400万円以上使うんなら、別のカードのほうが良かったりする。また、300万円未満なら、わざわざこんな馬鹿高い年会費を払うだけ無駄だ。

こりゃぁ参った。「どうしようかなあ、プラチナプリファードに切り替えるという選択肢もあるなぁ」とぼんやり考えていたときにちょうど冷蔵庫が故障し、20万円を超える出費が確定したのだけど、その決済に間に合わせようと急にこのカードを作ることに決めたので、損得勘定が甘かった。

ただ、予想外だったのは、2022年のご時世、カード決済で100万円なんてあっという間だという事実だ。気がついたら、ネットで買い物をする機会が増えてカード決済ばかりだ。お店では電子マネーやQRコード決済で、カードからチャージをしている。現金を使う機会が相当減ってしまった。気がつくと、ATMでお金を下ろす頻度なんて2ヶ月~3ヶ月に1度程度しかなくなった。

肌感覚としては、生活費の2/3以上が現金以外の決済だと思う。「当店は現金のみの取り扱いなんです」とお店の人に言われると、「えっ、そうなの?」と残念に思うくらいだ。いや、ポイントを稼ぎたいからというわけじゃなくて、現金を扱うのが嫌だからだ。

すでに僕は財布を使うのをやめ、お札はマネークリップ、小銭はコインホルダーを使っている。それで十分だ。

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でも、普段それで十分なために、ときどきイレギュラーにお釣りをたくさんもらってしまうとお札や小銭の行き場がなくなって困る。割り勘立て替え分を精算してお金がどっと一度に集まった時も、小銭が溢れて困る。で、小銭が行方不明になって家計簿の計算が合わなくなる。ああ、カード決済や電子マネー間の送金なら明細がちゃんと残るからいいのに、とつくづく思う。

とりあえず、「ゴールドカード2枚持ちよりもお得になろう」なんてことを考えるのはやめて、粛々と今あるカードを使っていくつもりだ。「お得になりたい」と願った結果、無駄な出費が増えるというのは本末転倒だ。それこそ沼なので、できるだけ近づかないようにしなくては。

なお、一応「プラチナ」の名前がついている分、コンシェルジュサービスを使うことができる。せっかくなので「今度の週末静岡に行くんだけど、静岡市界隈で1歳の子どもが親子で遊べる屋内施設を紹介してほしい」なんてLINE経由で依頼してみたら、こんなしょうもない依頼でもちゃんと数件、提案してくれた。僕がググったほうが早いとは思ったが、自分では思いつかない観点で施設探しをしてくれ、面白い提案が含まれていて「なるほど、これはまあまあ使えるな」と思った。

とはいえ、コンシェルジュというのはネットで自己解決したがる僕のような人にはあまり向いていない。ホテルやレストラン、観劇の手配などを得意としているようだけど、そういうのは自分であれこれ検討して自分で手配しちゃう。カード会社のコンシェルジュならではのツテとかコネがあるとは聞いているけれど、そういう「コネ枠」が裏設定で存在するようなサービスをそもそも僕が使う機会なんてない。あまりそのあたりは縁がなさそうだ。

いしは家族カードとしてプラチナプリファードを持っている。彼女はコンシェルジュに「腕っききの司法書士を紹介してほしい」なんてオーダーを出していた。彼女なりにこのカードの有効活用法を試行錯誤しているようだ。しかしコンシェルジュも困っただろうな、司法書士の良し悪しなんてノウハウとして持っていないだろうから。単に電話帳レベルでずらっと司法書士事務所の連絡先を羅列することはできても、「おすすめを紹介」というのは難しい。

一応いしも気を遣って、「できれば御社のカードで決済できる司法書士がいいです」と要望を伝えていたのだけど、さすがにカード決済可能な司法書士というのは見つからなかった。そりゃそうか。

(2022.08.05)

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • ええええーー すごい年会費っっ
    私は年会費が必要なのは二枚で、地元エディオンのヤツとANAカードだけです。

    エディオンのは正直旨味もあまり感じないからどうしようかなー、と思うことはあるものの、なんたって広島はどんな巨大家電の店が来ても、いつか閉店するかも、という恐れがあるので。
    実際、広島駅近くのベストはなくなっちゃいましたしね。

    ANAはコロナ前はよく飛行機に乗っていたので、それはもう可能な限りANAカードで払ってました。
    しかし今は上京頻度も年に二回か三回になったのでほとんどを楽天カードに絞ってます。

    ほんと、楽天好きでかなり楽天で買い物、同じものをアマゾンと見比べて購入したり、マラソン中は本当に宅配の人に恥ずかしくなるくらい買っちゃいます。
    ETCも楽天のに切り替えて(以前はANA)コストコの買い物も楽天銀行のデビットカードに。

  • ネーマさん>
    使っているカード次第で自分の行動様式が変わってしまいますよね。人間というのはなかなか習慣を変えられない生き物ですが、カードとかQRコード決済をこちょこちょとコントロールすれば人間を誘導することができると思う。

    たとえば僕だと、エクスプレス予約の会員になってしまったが最後、ANAカードは解約になりました。飛行機、非日常的なので好きだったんですが・・・。

    楽天経済圏にいる人は、本当に楽天をうまく使いこなしていますね。僕はAmazon派閥に属しているので、あの複雑な仕組み(買い周りとか)が理解できず、ついていけていないです。

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