アルパインポールを修理する【ブラックダイヤモンド ディスタンスカーボンFLZ】

ポールの石突きは自分で修理ができた。しかし、まだ直っていない部分が残っていた。

それは、折りたたみ式のポールの結合部分に、黄色い紐がだらしなく出てきてしまったことだ。

正常な状態だと、この黄色い紐は一切見えない。漏斗のような形をした、青くて弾力性のある樹脂パーツが見えているだけだ。つまり、黄色い紐はポールの中に収まっていないとおかしい。

ポール同士がギリギリの長さで結合されているから、ポールを組み立てたりバラしたりするときに素早い動作ができる。しかし、この黄色い紐が出てきているため、ポール同士を結合しようとすると、いちいち紐を指でポールの中に押し込む動作が必要になる。それは全然スマートじゃない。

スマートかどうかはともかく、どう考えてもおかしい。ほら、折りたたまれた状態のポールの写真を見て欲しい。どうしてこんなに黄色い紐が余った?と不思議になるほど、長く紐がはみ出ている。

今は、ポールを連結するときに不自由する程度でどうにかなる。でも、今後もそのまま使い続けることができるとは思えない。いずれ、本格的な問題が起きそうだ。

黄色い紐の対処法についてネットで調べ回ったが、どうにも解決策が見つからない。紐のテンションを微調整するネジはあるのだけど、それはごく僅かなたるみを補正するためのものであり、こんな何センチも余っているものをどうにかできるものではなかった。

ギブアップして、ブラックダイヤモンドの国内総代理店をやっているっぽい「ロストアロー」に写真をメールに添付して相談してみた。

https://www.lostarrow.co.jp/

ここのオンラインショップで購入したポールではないので、相談することさえ憚られたのだけど、ロストアローは快く相談に応じてくれた。しかも素早く。

写真を拝見いたしましたところ下段下部インナーコード末端を止めているピンからコードがはずれていると推測します。

ロストアローオンラインストアからの回答

端的に、的確に、問題となっている部分を指摘してくれた。えっ、ポールの下段に問題があったのか。

てっきり、この「インナーコード」と呼ばれている黄色い紐は、グリップ部分で固定されているものだと思っていた。なので、あともう少しでグリップ部分を自分で分解して、中を確認してみようとしていた。危なかった。全然的はずれな修理をするところだった。

そしてロストアローのご担当者からは、「石突きを改造しているようだけど、下段のポールをまるごと交換するので正規品の石突きに戻るよ。その点は了解してね」との指摘だった。留意事項まで的確で、感動した。

それでは、下段ポールの交換修理+ディスタンスカーボンFLZの純正石突き1個をバラで購入、ということはお願いできるか?と聞いたら、快く応じてくれた。おう、パーツのバラ売りをやってくれるのか。ロストアローのオンラインストアにはパーツが載っていないので、てっきりバラ売りはやっていないのだと思っていた。

じゃあ早速お願いします、ということでロストアローに修理をお願いし、ポールを発送した。

ロストアローとのメールのやりとりが迅速・的確なのに相当驚いたが、ポールが戻ってくるまでの速さにもびっくりした。家から送り出して、3日で帰ってきたからだ。てっきり、宛先不在で返送されてきたのかと思ったくらいだ。

ちなみに、修理とパーツの代金は手数料とあわせて代引きで支払う。

ディスタンスカーボンFLZの下段パーツ交換が4,500円、石突きパーツである「22S ディスタンステックティップ」が1,900円、これに代引き手数料が加わって税込み価格が7,370円だった。

返送されてきたポールは、下段パーツが新品になったのでピカピカだ。とても気分がいい。

そして、インナーケーブルが垂れ下がっていた結合部は、すっかり黄色い紐が見えなくなっていた。ギリギリ折りたたみができる程度の余裕しか与えられていない。そうだそうだ、これが正解だ。

結局、新しい石突きを買って、バスケットを買って、さらに修理に出したので今回のゴタゴタに伴って1万円以上の出費になった。ポール1本分くらいの値段を費やしてしまったことになる。

高い商品を買うと、こういうことが起きる。「せっかく高いものを買ったのだから、大事に使おう」として修理にも高いお金を払ってしまう。

でも、今回はしょうがない。修理する価値のある、使うと快適なポールだからだ。

さて、壊れたポールが直ったら、もともと壊れていないほうのポールに装着していた長い石突きを正規品の石突きに戻す作業をしなければならない。

また鍋にお湯を沸かし、2分ほど石突きを鍋に浸し、温めたところでポールから石突きを抜く。

石突きの先は、あっけないほど単なる棒だ。

しかし、よく見ると、ポールの中に黄色いインナーケーブルが見えた。そして、それがピン止めされているのも目視で確認することができた。

なるほど、今回の僕のトラブルは、石突きパーツが登山中に折れ、このポールの先がむき出しのまま使い続けたため、インナーケーブルとポール部分がさらに壊れてケーブルが緩んでしまったのだろう。

純正品の石突きである「22S ディスタンステックティップ」をポールに固定するにあたって、100円ショップのダイソーで「グルーガン」と「グルースティック」を買ってきた。

グルースティック、という名前のチョーク型の固形接着剤をグルーガンにセットし、グルーガンをコンセントに接続するとグルースティックが加熱されて溶ける。その溶けたものをガンの先端を使って塗り、接着したいものを取り付けるというものだ。

僕にとっては初めてのグルーガン。こんなもの、使ったことがない。というか、今回使ったら次回またこれを使う機会ってあるのだろうか?

グルーガンが220円、グルースティックが110円だったので買った。これ以上高いと、お金がもったいないので買わなかったと思う。

瞬間接着剤で石突きを固定するやり方もあるのだけど、今回のようなトラブルが発生した際に石突きの交換ができなくなる。グルーガンだったら、またお湯を使って接着剤を溶かせば石突きを外すことができるだろうから、将来性を考えてグルーガンを採用した。

溶けたグルースティックをグルーガンでポール先端に塗る。

ポール先端にグルーを塗ったところを写真撮影したが、このわずか数秒間でもグルーはどんどん固まっていく。慌てて石突きパーツをねじ込む。

完成。ラバーキャップが左右でサイズが違うので、後で同じものにそろえておく必要があるものの、ようやくこれで直った。ほっと一安心した。

今回、ロストアローがエクセレントな対応をしてくれたので本当に助かった。こういうしっかりしたサポートセンターを持つメーカーは頼りになる。商品を買う時、これまでは「壊れたら使い捨て」感覚だった。でも、修理するということも考えて物を選んで買うことを今後は意識していきたい。

(2023.09.11)

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