岡山県に、日本三大稲荷のひとつ「最上稲荷」がある。
・・・と書くと、一悶着が始まる。「日本三大稲荷」には諸説あり、伏見、豊川、笠間がよく知られているからだ。そして、この伏見と豊川は当確で、「笠間」が別の稲荷に置き換わることがある。岡山の最上稲荷もそうだ。
いずれにせよ、全国にお稲荷さんはとんでもない数が存在していて、その中でも指折りの規模を誇り信仰を集めているのは間違いない。
なにかと岡山県をウロチョロしている僕(出身地は広島市)だが、この最上稲荷は一度も訪れたことがない。なにしろ、この界隈は頻繁に渋滞するからだ。初詣時期ともなれば、その渋滞はいっそう酷くなるので、近づこうと思ったことさえない。
今回、暮れも押し迫った年末にこの最上稲荷を訪れてみたのは、一度はお参りしてみたいという気持ちがずっとくすぶっていたからだ。そしてなによりも、駐車場から本殿までの間に長ーい参道が伸びており、その道中はアーケード付きの商店街になっているのが気になったからだ。
こういうの、大好き。ワクワクしながら現地を訪れてみた。
たどり着いてみると、たしかに参道が屋根で覆われていた!そして参道の両側には、お土産物屋さんなどが軒を連ねている。
この参道沿いのお店は、常時オープンしているというわけではなく、年末年始やお祭りのときだけ開くようだ。僕らが訪れた12月29日は、大半のお店がシャッターを閉じていた。
そして、初詣客を見込んだ飲食屋台が、荷物を搬入してテント設営をはじめていた。
参道沿いのお店の中で、ひときわ目立っていたのがまんじゅうを売るお店だった。2軒あって、それぞれ店頭にまんじゅう製造マシンを設置し、まんじゅうを次々に焼いている。
常盤堂の「ご縁まんじゅう」、おかもと屋の「最上稲荷まんじゅう」。あんこが入った焼きまんじゅうという点では両方一緒なのだが、味に違いがあるので食べ比べてみると良いと思う。1個からでもバラ売りをしてくれる。
それにしても、せり出してくる看板の迫力には感心した。なかなか日本で、こういう看板を見る機会がないからだ。
以前、香港旅行をした際、「道路まで看板がせり出して宣伝しまくる我の強さは、香港人気質なのだろうか?」と思ったものだ。そして、日本だと台風や地震が多いので、道路にせり出す香港形式の看板は無理なのは仕方がない、と納得したものだ。
しかしどうだ、ここはデカい看板が頭上にせり出しているぞ。
道路交通法も建築基準法も関係なく、ここは「私道」だからできることなのだろう。
この参道は600メートルほどあるそうだ。なので、子連れで歩くと10分程度かかる。それでも、我が息子はこのトンネルのような、そうでないような道をとても面白がり、走って前へ前へと進んでいった。
関東地方でこれに似た光景といえば、神奈川県の大山(おおやま)を思い出す。バスの終着地点からケーブルカー乗り場までがこんなアーケード式の参道だ。
こんな構造物、一度取り壊してしまうと二度と復活することはないだろう。維持コストがかなりかかるからだ。なので、沿道のお店が潤い、アーケードが維持されるようにこれからも参拝客で賑わってほしい。
(2023.12.28)
コメント