太ももを狙う極太幕板の罠。ホワイトオーク160cm計画

10年間使ったIKEAのダイニングテーブル

ダイニングテーブルなんて、そうそう人生で何度も買い替えるものではない。

その重い腰を上げるきっかけなんて、果たして日常のどこに転がっているのか。これまではそう思っていたのだが、いよいよ我が家のダイニングテーブルが本格的な年貢の納め時を迎えることとなった。

今のテーブルは2015年に購入したものなので、丸10年間という激動の時代を戦い抜いてのバトンタッチとなる。

当時、IKEAで調達してきた机と椅子の格安セットだった。

お値段は、椅子4脚をすべて合わせても5万円でお釣りがくるレベルだった記憶がある。

わざわざ椅子を4脚も揃えたのは、購入時に「千客万来!たくさん友達が家に集まってワイワイやってくれると嬉しいなあ」などという願いを込めたからだ。

実際のところ、4脚同時にフル稼働した日なんて大してなかったが、いざという臨戦態勢時に活躍してくれたので、その選択に後悔はしていない。

ただ、この北欧生まれの机と椅子、そろそろ我が家においては「物理的な雲行き」が怪しくなってきた。

というのも、IKEA製品の宿命として自らの手で組み立てたものなのだが、長年の酷使によってネジが各所でじわじわと緩み、ときどき前触れもなく床にポロリと落下。それを、我が家を回遊するロボット掃除機が「新たな獲物」と言わんばかりに爆速で吸い込んでしまう、という怪事件が何度も発生したからだ。

お陰で、重要なネジが1つ2つ紛失した状態の椅子や机は、かなり危なっかしい代物へと変貌していた。毎日の食事がヒヤヒヤものだ。

だが、そんなパーツの自滅以上に、最大の問題として浮上したのが「弊息子タケにとって、この机の仕様が致命的に合わなかった」という事実である。

そもそもこのIKEAの机は、平均身長の高い人々が暮らす北欧基準で作られているせいか、日本の標準的な盤面高さ(約70センチ)よりも明らかに高く、74センチもあった。子どもにとっては、ちょっと高い。

もっとも、我が家には子ども用の椅子として「ストッケ(トリップトラップ)」という、子育て世帯にとっては大定番のギアが配備されている。座面の高さも、足置きの高さも調整は自由自在だ。

これさえあれば、ダイニングテーブル側の高さが何センチであろうと関係ない、と踏んでいたのだが、現実の人間工学はそう甘くはなかった。

このIKEAの机、天板の補強と全体のたわみを防ぐために、天板の下にやたらと太い「幕板(まくいた)」と呼ばれる構造体が張り巡らされている。これがあるせいで、タケの体と激しく干渉するのだった。

最近、タケの勉強机として機能し始めたダイニングテーブルなのだが、彼に姿勢良く座らせようとすると、当然ながらストッケの座面をグッと上げなければならない。

すると、上がった結果、タケの太ももが例の極太幕板にガツンと直撃する。じゃあ、太ももと幕板が干渉しないようにと座面を下げると、今度は食事のときも工作のときも、ずっと「机に肘をついた悪い姿勢」になってしまう。彼がもっと成長して胴長な体型になってくれない限り、この問題は解消されそうにない。

折しも、タケが習い事を教わっている先生から、毎回のように姿勢の悪さについて指摘を受けるようになっていた。

僕は心のどこかで、「まあ、保育園というのは幼稚園とは違って、お椅子に座って先生の話を姿勢良く聞く、という文化がないからな。地べたに座って暮らしているからだ」と保育園の環境のせいにしていたのだが、なんのことはない。我が家の環境、すなわちこの机の仕様に主要因があることがわかった。だったら、改善しなくちゃ。

ショールームで天板を検討する様子

そこからの天板選びは、なかなかに混迷を極めた。

ちょうどいしが育休中だったこともあり、ショールームに夫婦が別々の日に入れ代わり立ち代わり訪れては、それぞれがサンプル木材の前で「うーん・・・」と唸る日が続いた。

ショールームのスタッフさんから、「奥様からお話は聞いていますよ」などと言われる有様である。連携が取れているのか怪しい夫婦の執念がそこにあった。

いろいろな材質の木があるものの、「子どもの勉強机として使うこともある」という条件をつけると、かなり選択肢は狭まってくる。

たとえば現在使っているIKEAの机はたぶんパイン材だけど、机の上に直接置いた紙にボールペンで字を書くと、筆圧で盤面がくぼんでしまう。このように、「筆圧に負けないような材質のもの」が欲しい。だって、買ったら今後最低10年から20年は使いたいのだから。

ウォールナット、ホワイトアッシュ、ホワイトオーク、ラバーウッド。そしてイロモノ枠として「ブビンガ」という選択肢の中から、あーでもないこーでもないと夫婦で語り合った。

「正直、家に来てしまえばもうそれで風景に馴染んでしまうんだろうけどね」と何度も言いながら、そのあとにまた議論が振りだしに戻る。

ブビンガは僕ら夫婦が出会ったきっかけとなった、渋谷の「カフエマメヒコ(現:MAMEHICO)」の巨大テーブルに使われていた材質だ。自分たちの思い出と絡めたチョイス、というのは面白いね、という考えで選択肢に入れていたのだが、とにかくこいつは赤い。赤茶色なんだけど、相当赤みが強い。これがLDKにやってくると、家の雰囲気を完全に呑んでしまう。果たしてそれでもいいのか、それとももうちょっとマイルドにしたほうがいいのか、なんどもショールームに行って実物を見て悩んだ末にブビンガは諦めた。

「このテーブルにはね、由来があるんだよ」と我が子や来客に言えると良かったんだけどね、夫婦ともにちょっと勇気が持てなかった。それくらい、クセが強いのがブビンガという木だ。

届いたホワイトオークの天板

結局、ホワイトオークを天板として採用した。

ウイスキーの樽として使われることでも知られる、オーク。要するに「楢(ナラ)の木」だ。

独特の模様が美しく、ところどころ「虎斑(とらふ)」と呼ばれる独特の模様が入っているのも面白い。天然木ならではの均一感のなさが楽しい。

今回、我が家が4人家族になったこともあり、テーブルの拡張は必須課題だった。いずれデカい兄ちゃん二人が家でガツガツと飯を食う光景を考えると、机が大きいに越したことはない。ずいぶんリビング空間を侵略することになったが、160cm x 80cm というサイズにした。

そんなサイズでも、のっぺり感がなく楽しいのは、買って良かった。ラバーウッドやパイン材だとこうはいかなかっただろう。あと、材質が柔らかいのでもともと採用する気はなかったけど、杉材だと「まあ、よくあるよね」ということで飽きるのが早かっただろう。

完成した新しいダイニングテーブル

ということで、ようやくこれで我が家に幕板無しのテーブルが導入された。おかげでタケの姿勢について、ビシビシと指導を入れることができる。もう環境のせいにはさせない。

幕板がない、3cmの天板でできたダイニングテーブルはすっきりとしているので空間を圧迫する印象がない。テーブルの脚はいくつもの選択肢があったが、四角い形のものにして良かった。ハの字型とか台形とか、斜めの要素が入ってくると、くどい仕上がりになっていたと思う。ビシッとタテヨコがまっすぐだからこそのクリアさだと思った。

家が狭くなってきたな。家具が増えて家が狭くなるのは仕方がない。でもこれからは、人間がデカくなって狭くなっていくのだから大変そうだ。

(2026.04.25)

コメント

コメント一覧 (1件)

  • テーブルは大事!
    私は斜めの机の足で足の小指ぶつけてぶち壊したくなることもあるので垂直一択です。

    我が家もストッケ使ってます。
    子供が小学校低学年の時はリビングで宿題などさせていたので、長時間座っても疲れにくいようにクッション付けるのがお勧めです!ネットでハンドメイドの製品も色々ありますよ!

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