2004年05月17日
【店舗数:164】【そば食:294】
群馬県吾妻郡中之条町
せいろそば、まいたけ天ぷら
長野で所用を済ませた翌日、中之条を経由して都心に戻ることになった。前日夜の宿泊場所は渋温泉だったのだが、宿敵・○○にて蕎麦を食べる機会を逸してしまった。残念。
あの店は相変わらず健在なのかどうか、蕎麦の味はどうなのかを確認したかったのだが。ま、敢えて火中の栗を拾わなくて済んだので、良かったのかも知れない。
お昼御飯どうするかねえ、と車中で話をしながら、中之条を走る。この道筋は草津温泉に向かうメインルートであり、道ばたにはそこそこ飲食店が並んでいた。しかし、 幹線道沿いのお店ということで、いまいちどのお店もピンとこない。
こういう時、優柔不断なおかでんがハンドルを握っていれば、「このお店も決定打に欠けるねぇ」とかいいながらどんどんスルーしてしまうに決まってる。結局、気がついたら何も食べないまま高速に乗ってしまい、「サービスエリアで食事ってのもね ぇ」とかなんとか、結局家に帰り着いてしまう。
しかし、今回はずばずば物事を決める人が運転席に座っていた。街道筋に蕎麦屋を発見するや、ぐいっとハンドルを切り、駐車場に車を停めてしまった。
お店の名前を、「きこり」という。道路沿いに、大きな看板がでていた。なるほど、切り株の絵が描かれている。
基本的におかでんは、「そば・うどん」と銘打っている蕎麦屋はあまり期待していないのだが、まさにこのお店はそうだった。郊外型店舗であるし、さてどうかな、と。
「うーん、このお店どうですかね?」
早くもネガティブになっているおかでん。
店の外観。
駐車場だけで結構な広さを持っている。入り口にところには、大きなのれんで「石臼挽きそば処 きこり」と染め抜かれてあった。最初からそう名乗ればいいのに、何で「そば・うどん」なんて看板で名乗るの だろう。うどんが売れないと商売にならんのだろうか。「そば処」と潔く記したほうが、よっぽど美味そうに感じる し、ましてや「石臼挽き」と名乗れば一つのPRポイントになるだろうに。・・・これはおかでんだけの感性だろうか?
ほら、あるじゃないですか、「中華料理屋のメニューの中にあるラーメン」と、「ラーメン専門店のラーメン」。どっちがうまそうか、っていったらラーメン専門店の方がうまそうだ、ってのと。実際美味いかまずいかはともかく、専門性に対する信頼ってのはあるわな。蕎麦屋でもそれって言えると思う。
ただ、そんなのは「思いこみ」の世界であって、実際に中華料理屋でも美味いラーメンを出す店はあるわけだ。「そば・うどん」と書いてあっても、美味いそばは当然存在するはずだ。
・・・ただし、「うどん・そば」という表現になっているお店は、うどんを優先順位で高位に据えているだろうから、蕎麦にはあまり期待できないだろうが。
「そういえばきこりって言葉、最近聞かないなあ」と言いながら、店に入る。せいぜい、ファミリーレストランできのこがたくさん入ったサラダのことを「きこり風サラダ」と呼称するくらいじゃないだろうか。そもそも、この世の中において「きこり」という職業は絶滅に瀕していて、「林業」に成り代わっている。北島三郎の「与作」、いずれ「何を歌ってるのか全然わからん」という時代がくるのかもしれない。
そんなどーでもいい感傷に浸っていると、入り口に「MENU」と書かれたボードが待ちかまえていた。
本日のおすすめ品。
A定食(ライス付)
・・・ほら。いきなりこれだもんな。蕎麦を前面的に売ろうというガッツが欠けてる。ますます蕎麦に期待を失ってしまうのであった。
それにしてもすごいな、おかず6品+そば+ライスで800円か。めっぽう安いぞ。もちろん、少量ずつの盛りつけなのだろうが、お酒を飲みながらのつまみには最高かもしれない。確かに、これはおすすめだ。
入り口入ったところに、石臼が置いてあった。
あ、自家製粉やってるのか。
ちょっとした驚きだった。このお店、蕎麦に拘りたいのかそうでないのか、どっちなんだ。
席に通されて、メニューを見る。
まず最初のページは、「御得なセット」ということで、まずはお得感からお客をくすぐろうという算段だ。
とりあえずそば・うどん付きということなので、蕎麦屋の面目躍如・・・なのかなあ。
次のページが、定食。
おい、蕎麦のお品書きはまだか。
次くらいには・・・と思ったら、その次は寿司になってしまった。
その次になって、ようやく蕎麦の項を発見。メニューは至ってシンプル。
自家製粉している割には、えらく控えめなポジションだ。この辺りの住民は、「蕎麦だけ食べても腹が満たされないから定食でないとイヤだ」という考えの人が多いのだろうか?
いや、そんなはずはない。近くに水沢うどんが有名な水沢観音があるが、あそこはうどんだけ食って帰ってる人が多いぞ。謎だ。
せいろそば650円。
値段は安い。その割には量がそこそこある。面白いのは、薬味に一味唐辛子が添えられていたことだ。初めて見た。暖かい蕎麦で唐辛子をかけることがあるんだから、冷たい蕎麦でもいいじゃないか、という事だろうか。
結局、この唐辛子は蕎麦を食べる際には使わなかった。しかし、そば湯を頂く際には有り難く頂戴した。
全く期待などせず、蕎麦を頂く。期待していないんだったら定食にでもしおておけば良かったのだが、ついついいつもの癖でせいろそばを注文してしまっていた。
ずずずっ。
あ、あれ?・・・おいしい。素直に、おいしい。鼻息を荒くして、「微妙に感じられる蕎麦の香り」を無理に感じ取る必要がなく、普通に食べてしっかりと蕎麦の香りがする。食感はまあまあだが、トータル的にいい感じだ。
「いやすいません、前言撤回です。蕎麦けっこうおいしいです。蕎麦屋って見かけによらんもんですね」
と、一口すすった時点で同行していた人たちに頭を下げた。うーん、まさか国道353号線沿いで、こういうお店があったとは。
同行の人たちが注文していた、天せいろ。
昨日訪問した「志な乃」にしろ、今日にしろ、二日連続で蕎麦と天ぷらを食べていたことになる。
「よっぽど天ぷらが好きなんですね?」
と聞いてみたら、
「いやあ、蕎麦だけじゃ物足りないじゃない」
との回答。腹ぺこざかりのワカモノではなく、50代の人がそう言っているのだから、一般的に「蕎麦だけじゃ物足りない」のだろう。その結果、天ぷらに走る。
おかしいなあ、結構大食らいの僕ぁ「天せいろ」なんて食べたいと思わないけどなあ、蕎麦だけで十分だけどなあ、と不思議に思い、自分の過去を振り返ってみたら・・・
ああ、なるほど。蕎麦屋に行く時って、大抵お酒飲んで、最後のシメに蕎麦を食べているんだっけ。もしくは、一日で2軒ハシゴとか。そりゃ、天ぷらはいらんわな。
ちなみにこちらは単品のまいたけ天ぷら。
群馬県はまいたけの産地だそうで、結構あちこちでお目にかかる。
店の隣には、農産物直売所があった。こちらで、野菜やら果物やら、いろいろ買って帰るのも楽しい。
ちなみにおかでんは、300g入りの一味唐辛子を大喜びで購入した。
「何につかうの、こんなに唐辛子買って」
「いやぁ、すぐに使い切りますって。辛いもの大好きなんで」
実際、2カ月足らずで使い切ってしまった。
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