かき揚げ蕎麦

2009年03月01日
【店舗数:—】【そば食:411】
東京都某所

かき揚げ蕎麦

かき揚げ蕎麦

コンビニエンスストアの弁当・総菜コーナーでは、うどん・蕎麦が一定のスペース必ずおいでなさる。関東在住であるせいか、うどんはあまり見かけないが、蕎麦はとろろそばを中心に、定番商品化している。焼きそば(焼きうどん)やパスタ類が壮絶な陣取り合戦を繰り広げ、スペースの陣取り合戦を繰り広げているのに対して、安定した存在感をもつ。

実際、おかでんも時々コンビニの蕎麦を買っている。本来、食べた蕎麦は全てこの「蕎麦喰い人種」に掲載すべきなのだが、お酒を飲んで帰ってきた際に買うことが多いため、ろくに記録を残さずに食べてしまい、記録化されていない。「酒の締めにラーメン」よりも、「とろろ蕎麦」なんぞをつるっと頂くと大層塩梅が良い。まあ、歳を取ったからなのかもしれないが。

そんな人が一定数いるからか、蕎麦は安定しているのだろう。値段は決して安くないし、蕎麦だけで一食済ますには物足りない。単品では完結しづらいメニューだが、それでも売れているということだ。
とはいえ、その蕎麦も頻繁にモデルチェンジを繰り返しているから目が離せない。いや、離しまくっているけど。ふと気がつくと微妙にマイナーチェンジしているのが面白い。栄枯盛衰が激しいコンビニ飯の世界、「ロングランの定番商品」というのはなかなか難しいようだ。

さて、今回セブンイレブンで偶然発見したのが「かき揚げ蕎麦」だった。ふーん、という感じで見ていたのだが、よく考えるとありそうで無い商品だという事に気がついた。というのは、これ、レンジ調理で加熱する蕎麦だったからだ。今まで、弁当コーナーの蕎麦といえば冷たいもの、という相場があった。でも、加熱調理もあり得るのか。ううむ。これは全くの盲点だったぜ。

なぜ盲点だったのか、考えてみた。・・・分かった。「どん兵衛」や「緑のたぬき」のようなカップうどんと市場がバッティングするからだ。売るからには、カップうどんよりも低価格か、高付加価値が無いと勝てない。低価格、というのはどう考えても無理なので、高付加価値で対抗するしかあるまい。で、この商品はどう高付加価値なのだろう。「お湯を沸かさなくても済む」という点は確かにあるが、それが決定的差になるとは思えない。後は、カップ麺と違い、保存性がそれほどシビアではないので、具に良いものが使えておいしゅうございます、という味覚での差別化か。

パッケージから覗き込んでみると、つゆはゼラチン状に固まっていた。具はかき揚げ、ネギ、わかめ。確かにカップ麺のものと比べると良いできだと思うが、398円というのは思い切った価格設定だ。カップ麺の2倍近い値段。もちろん厳しいマーケティングに基づいて商品化が決まったはずであり、実際成功するかどうかはともかく、何らかの勝算があって世に送り出したに違いない。これは興味をそそられる。

せっかくなので買ってみることにした。

コンビニで加熱してもらう。結構待たされるので驚いた。普通の弁当よりも長時間だ。何事かと思って、後で値札を確認してみたら、「1500W:1分40秒」の記述が。業務用のハイカロリー電子レンジでもこんなにかかるとは、まるで冷凍品のようだ。一体この器の中で何が起きていたんだ。あのゼラチン状に化けているつゆ、そう簡単には溶解しないらしい。

ちなみに、家庭にあるような500W電子レンジだと、所用時間5分。冷凍グラタンを温めるのに近い時間が必要だということだ。5分じゃ、カップ麺にお湯を注いで待機する時間と一緒じゃないか。

ビニールを引っ張る

帰宅して気がついた。

わざわざコンビニで暖めてもらう必要無かったな、と。ビールを買いに行ったついでに購入したものであり、即ち「家でビールを飲んだ際の締め」要員だ。出番までしばらくお待ちいただく事になる。麺が伸びる伸びる。作戦大失敗。

相当お待ちいただいた上で、ようやく登場願った。まず、外のラップを剥がして、フタをとろうとすると「ベロ」が外に出ている事に気がついた。「引く↓」と書いてある。ええと?「フタをはずしてから、シートをお取りください。」とも書いてあるぞ。どういうことだろう。

そのベロ付きシートをよく見ると、なるほどと納得。麺とつゆが入っているゾーンと、具のゾーンをこの薄いシート一枚で仕切ってあるのだった。よく考えたな。従来のぶっかけ蕎麦系のコンビニ蕎麦は、「中二階」が設けられていて、とろろパックだとか刻みネギやキュウリの千切りなどが二階に控えている。しかしこれは、シート一枚。電子レンジ調理があることを考えて、薄いシートにしたのだろう。

まるでコンビニおむすびを開封するときのような感覚。えいっと引っ張ってみると、見事具がそのままつゆの上に着地した。

かき揚げ蕎麦完成

完成。

アイディア賞ものだな。コンビニ蕎麦の革命・・・とは言い過ぎだが、まあ、「よくやったで賞」くらいはあげたい。かき揚げ蕎麦、という性質上、「後のせトッピング」にしないと加熱中に汁を吸ってぐずぐずになる。それは商品として成立しない。このシートというアイディアにより、商品化できたというわけだ。素晴らしい。

ただ、素晴らしいのはそこまでで、アイディアに比例して美味かというと・・・当然ながら、「普通」なのであった。そりゃそうだ、「普通に食べられる」事がすごいのであって、それに味を求める方が無理ってもんだ。

ネギのシャキシャキ感が残っているところは、さすがだ。カップ麺ではできない芸当だ。また、かき揚げがスナック的ではないし具だくさんなのも、コンビニ弁当ならではだ。差別化は一応できている。

とはいえ、これに398円を払う価値があるかというと、微妙なのですよ。かき揚げがサクサクだったら素晴らしいが、そんなのは当然無理な話。加熱された結果、シートでつゆとは分離していたとはいえふにゃふにゃな食感。これだったら、まだスナック風のカップ麺の方が食感が楽しい。

あと、正直言って駅そば(及び立ち食い蕎麦)の方がおいしい。「駅そばの味を自宅でも」というコンセプトなら納得だが、カップ麺とも駅そばともつかない、中途半端なポジションに旗を立てちゃった感ありまくり。

・・・これ、誰がターゲットになっているんだろう。ぜひセブンイレブンの商品開発担当者のコンセプトを聞きたいところだ。

あまりに微妙すぎて、おかでんにとっては「二度目は無いな」という商品だった。でも、この商品を開発したセブンイレブンには賛辞の声を送ってやまない。

もうね、いっそのこと、かけそばだけで売ればいいと思うんだけど、どうだろう。で、トッピングの天ぷら類は店頭販売する。今、どこのコンビニも揚げ物系の店頭販売に力を入れているわけで、その流れとして天ぷらを売るというのは有りだと思うけどな。スーパーのお総菜コーナーにあるでしょ、天ぷらがずらりと並んでいるところ。ああいった感じで、自分の好きなように選べればよろしい。その方が、よっぽどかりっとしているし、バリエーション豊富にできるので消費者にとってはうれしい。

ただし、現実的には厳しいだろうな。天ぷらを揚げるためには、従来のフライ系の調理油と別のものを用意しないといけない。狭いカウンター内、これ以上のフライヤー設置は難しいだろう。また、衣が付けられた状態で冷凍されて店内に持ち込める唐揚げやカツに対して、天ぷらはそれができない。ハードルは相当高いので、結局無理ってことか。うーん。

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