中国山地蕎麦工房 ふなつ

2009年11月06日
【店舗数:247】【そば食:435】
島根県松江市中原町

割子そば

松江城のお堀端

松江城のお堀端で記念撮影。

いや、記念撮影のふりをした、休憩が正解。さすがにおなかいっぱいだ。先日、そば祭りを2箇所訪れ、相当な数の蕎麦を食べ歩いたので「蕎麦ってのはなんだかんだ言ってもたくさん食べられるモンだ」と勘違いしてしまっていた。なので、今回の松江滞在でも、5軒ないし6軒は余裕、くらいに思っていた。しかし、そば祭りで供される蕎麦は量が少なめという肝心な事を忘れちゃいませんか旦那?はい、完璧に失念しとりました。うへぇ。

まだ若かった頃、長野の蕎麦をアワレみ隊メンバーと食べ歩いていた頃でさえ、一日4軒くらいが相場だった。アンタ30の半ばにもなって、一体どれだけ食べられるというのよ。

(以下、延々と自責が続くので略)

そんなわけで、行けるとしてもラスト1軒。蕎麦は諦めて、玉造温泉にでも行っちゃおうか、なんて事も考え始める。ただ、温泉だったら、松江しんじ湖温泉に足湯があるし、そもそもあそこのコインロッカーに仕事道具やスーツなどの貴重品一式が「人質」として預けられている。むう、玉造温泉はダメだな。

結局、松江しんじ湖温泉駅に向かう途中にある、「ふなつ」を最終訪問店ということにした。

ディープな後藤そば店、王道の一色庵などに行けず残念だが、それはハナから無理だったって事で素直に諦めたまえ。

ふなつ

ふなつに再び到着。12時44分。今日は、スタンプラリーでもやっているかのように非常に慌ただしく松江市内を縦横無尽に歩き回ってるな。

ここで「営業は夜だけです」なんてなっていたら、テンションのやり場に困って、足湯に全裸で仰向けになって全身浴をする、なんて暴挙に出ていたかもしれん。しかし、幸いちゃんと営業中。

このお店、中休み無しの11時~20時の営業らしい。素晴らしい。昼下がりの客足が途絶えたところで、存分に昼酒が飲れるではないか。

この辺りは小学生や中学生がたくさん往来しているので、下校時は、それらを肴に一献・・・。やめとけ。そんなので酒が飲めるなら、スーパーで「その他雑酒(リキュール類)」でも買って、ガードレールに座って飲んでろ。

本日の製粉

おや。店の壁には「本日の製粉」なんていうボードがある。

見ると、契約農家の方のお見合い写真が。いやいやいや、夫婦で農業をやられているというので、今更お見合いではないが。でも、テンガロンハット被ったナイスなおとっつぁんがカメラ目線をくれていた。

本日の蕎麦粉は奥出雲町大馬木産の蕎麦粉なんだそうで。やっぱり、奥出雲のあたりって蕎麦の産地なんだな。全然知らなかった。マキ在来種、という品種。

蕎麦の粒の大きさや、含水率まで記載されているのがすごい。

出雲蕎麦って、てっきり高度に深化していった東京界隈の蕎麦のアンチテーゼとして、「蕎麦なんて昔はどこの家でもカミさんが打ってたモンで、珍しくもなんともねぇ」という普段着な世界だと思っていた。しかし、蕎麦の品質管理って、今やどこでも重視しているんだな。ちょっと意外。

お品書き

和紙+手書き文字で暖かみのあるお品書き。こねくり回した達筆ではなく、読みやすくて親しみを感じるデザインに仕上がっている。なんだか、これを読むだけでうれしくなる。

お店は、「中国産地蕎麦工房」を標榜しているようで、奥出雲の契約農家の蕎麦を使うことに拘っている。お品書きによると、10月下旬に蕎麦は収穫されるというので、ちょうど今回は時期的に正解だった。これより遅い時期だと寒いし雪が降るし、「蕎麦もいいけど松葉ガニもいいなあ」と目移りするし。

驚いたのは、割子そばとざるそばでは製粉を変えていた。割子は挽きぐるみで、ざるそばは殻を取り除いたもの。喉越し重視の蕎麦と、蕎麦を食べるぜ、というのを使い分けているのだった。先ほど訪れた「きがる」もそうだし、さりげなく、凄い事やってるな。

他にも、作り方の説明があったのだが、「水」は「わき水を4度の冷水で」なんて、水の温度管理までやっているありさまで。店の外観と、中で提供している蕎麦のギャップがすごい。

割子そば

さすがに釜揚げを食べるほどの余裕はないので、割子そばだけにした。「だけ」といっても、普通の人ならそれで十分なのだが。

到着しました割子そば(720円)。

もちろんこちらも三段重ね。

みるからにうまそうな蕎麦

あっ。

見ただけで「これは美味いぞ蕎麦」であることが分かる。色合いとか、つやで一目瞭然だ。もしこれでまずかったら、そりゃ逆に「美味く見える見せ方」が卓越しているということなので、それはそれでぜひコンビニ業界などに技術を売り込んでも良いくらいだ。

ただ断言しよう、これでおいしくないということは、絶対にない。わーい。4軒目も当たりクジ引いたぜ。

薬味

届けられたお盆の上には、何やらいろいろなものが乗っていて騒がしい。満員電車並だ。このままだと、痴漢冤罪とか本当の痴漢とか、いろいろトラブルが発生しかねないのでいったん整理整頓してみることにした。待て待て、一体何があるんだ。者ども、分かれよ。御前であるぞ。

まずは、薬味。三つに仕切られた器に、刻み海苔、かつをぶし、葱、大根おろし。これは定番ですね。蕎麦の量に対してちょっと多すぎではないか、というボリュームも恐らく定番なのだろう。

そばがきを揚げたもの

おや、これは?

そばがきを揚げたものだ。こんなちょっとしたサービスがうれしい。

デザート

デザートもあった。割子頼んだだけなのに、「ランチタイムサービス:いろいろついてお値段そのまま」みたいな感じ。

ええと、これはあんこですね。で、液体っぽいのは・・・濃厚な蕎麦湯?「蕎麦ぜんざい」というのがあるが、あれは蕎麦がきが中に入ったお汁粉だ。これは・・・ええと、蕎麦ぜんざいの派生形だけど、なんて呼べばよいのだろう。

蕎麦湯とつゆ

そして、蕎麦湯とつゆ。

蕎麦湯が濃くてうれしいです。冬は冷え込む日本海側の土地。濃厚な蕎麦湯が好まれる、といった地政学的背景があるかもしれない。

いずれは、「バターを溶かした蕎麦湯」とか、「背脂ちゃっちゃ系蕎麦湯」なんてのが出てくるかもしれん。

蕎麦のうまさは目を見張るものがある

そばは、やっぱり美味かった。これ、他店と比較するのは申し訳ないのだが、今日食べた中では最高。香りが爆風並。しかも、めっぽうざらざらした麺で、口にした際のインパクトは相当なものだ。もうね、「ざらざら」ではなく、「でこぼこ」と形容した方がよろしい。相当に粗挽きなため、三毛猫の毛並みのように、麺の表面にいろいろな色が見え隠れする。白いところ、黒いところ、緑っぽいところ、灰色っぽいところ。それらがそれぞれ、小さな粒状になっていて、くっついている。

他店の名誉のために言っておくが、どこも美味かったし、どこも出雲蕎麦らしい、男らしい麺だった。しかし、それを上回るインパクトがあるのが、ここの蕎麦だった。とはいえ、昔この手の蕎麦はどっかで食べた事あるなあ、と思ったが、どこだったっけ。圧倒的オリジナリティ、というほどのものではないのだろうが、なかなかお目にかからない蕎麦であることは間違いない。んで、美味い。最後に訪問したお店でこれはラッキー。

揚げたそばがき断面

揚げたそばがきは、ざるそばに使っている蕎麦粉を使っているのだろう。ざらざら感のないものだった。そのせいで、割子の存在感に負けてしまった感あり。とはいえ、これはこれでおいしかった。

食後、「もうここで終わり。今日は打ち止め」と自らに宣言。この後、もうちょっとイケるだろう、ともう一軒訪問して、それが普通な味だったらすっごく損をした気になる。この「ふなつ」で大勝したので、このまま勝ち逃げしちゃうのが一番よさそうだ。

やーい、勝ち逃げするぜー、松江の出雲蕎麦は美味かったぜー、とガッツポーズしながら松江の地を後にした。

翌日、体重計に乗ったら血の気が引いたが、とはいえ松江の蕎麦は大変に満喫できた。

こうなると、次は蕎麦の産地でもある奥出雲に乗り込むべし、とも思うが・・・あまりに交通の便が悪すぎて、一体どうやって行けばいいんだ。行きたい、と思いながら一生行けない場所かもしれない。




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