転向宣言

・・・第一次アワレみ隊活動の終わり、そして第二次アワレみ隊活動のはじまり、なのか?

転向宣言します。僕ぁオートキャンパーになります。そもそも、アワレみ隊のスタートはおかでんが椎名誠の「怪しい探検隊」を読んだ事に端を発している。

その影響もあって、極力便利さ・快適さを拒絶しキャンプ場以外のところで天幕を張る事を信条としてきた。また、どちらかと言えばマゾ的とも言える条件の悪さをむしろ愛した。重い荷物を抱えて歩くとか、水くみに延々と時間をかけるとか。

しかし、時間の流れとともに、そういう初期の目的から離れた合宿が増えてしまったのも事実だ。

移動手段の多くが車になってしまったため、利便性の高い道具が導入されるようになった。

余計なものは一切持参しないように、とあらかじめ指定していても、いろいろ便利なツール群が持参されるようになった。

おかでんは、こうして転向宣言を出している今でも、マゾ的不自由さは好きだ。しかし、参加するメンバー全員にその趣旨を強制することはできなくなっているし、また理解もしてもらえないだろう。

アワレみ隊設立当初の趣旨は、死んだ。死んでもなお、それに固執することは緩やかな腐敗を意味する。なのに、いまだに「キャンプ場でのキャンプはしない」等の一部イデオロギーだけが残って、さも自分たちはワイルドなキャンプをやっている気になっているのは間違いだ。車じゃないと運べないような荷物にたくさん囲まれてキャンプやってるのに。

だったらもう、怪しい探検隊の呪縛から、開放した方がいいんじゃないか、と思うわけだ。

もう一つ大きな転向理由がある。

最近、おかでんは夏から秋にかけてよく登山をするようになった。百名山踏破が一つの人生の目標ともなった。このため、昔のように「暇だからキャンプ」という余暇の組み立てが成立しづらくなった。

特に、従来型アワレみ隊キャンプは、

(1)行き当たりばったりで、テントを張れる場所を当日になって探す
(2)事前に周到な下調べをする

のどっちかが要求される。

(1)の場合、旅のプランが事前に明確にならないので、決して暇ではないおかでんからすると「優先順位が下げられる」状態にある。不透明なプランに余暇を割くよりも、「山の頂を踏む」方がその楽しみは確実だ。

(2)の場合、時には水場の有無を調べるために現地調査に赴かなければならない事もある。こういう大がかりな準備は暇人か、よっぽど強烈なモチベーションがないとできない。故に、今のおかでんには無理。

しかも、個人的に趣味としている登山でテント泊をした場合、そこには極限まで軽量化・小型化を要求される「不自由さ」が残っていた。道具類は、全て自分の脚力で持っていかなければならない。そこには妥協がない。つまり、マゾっ気たっぷりな、しかし満足感の高いキャンプは山にあったのだった。あまりに妥協がないため、たき火を囲んで酒を酌み交わし、といった楽しみまでそぎ落とされてしまっているのは大いに痛いが。

こういう魅力を突きつけられると、何もアワレみ隊としてどこか場所を探し、出かける必然性がおかでん自身に無くなってしまう。その結果、アワレみ隊ツアーのほとんどの企画を立てているおかでん自身が天幕合宿のプランを出さなくなり、自然自然とアワレみ隊天幕合宿の回数が減ってしまった。さらに追い打ちをかけるように、蕎麦喰い人種というコーナー設立とともに、「信州新蕎麦包囲網」なんて企画が立ち上がり、宿泊まりツアーがほとんどになってしまった。うぐぅ。

そんなおかでんに、一つの転機が訪れた。

本屋で見つけた、「ほんとうに気持ちいいキャンプ場100 新装版 (小学館SJ・MOOK)」。

BE-PAL編集部がまとめた、写真を豊富に使ったカラーのキャンプ場紹介本。そこには、過去敵視してきたオートキャンプ場がいろいろ紹介されていた。

この本、読んでいて意外だったのが、「オートキャンプ場=便利さをひたすら追求するあまり、『そんなに便利が好きなら家に籠もってろ』と言いたくなるような我が儘なシチュエーション」という認識が、偏見だと気づかされた事だった。特に、この本は「必要以上に整備・開発されていないキャンプ場の紹介」という編集方針であったため、カラーの写真がとてもきれいだった。がぜん、行ってみたくなった。

「○○キャンプ場に行く」という、目的がはっきりすればプランは立てやすい。

また、オートキャンプ場を使うからには、「車による移動の途中、日没となったために天幕を張る」というスタイルではなく一カ所定住型になる。即ち、キャンプを行う前後のプラン(どこに行くのか等)は考えなくてよく、ただ単に「そのキャンプ場で何をするのか」という狭い範囲での企画があれば良い。

プランナーとしては非常にやりやすく、かつ目標キャンプ地が決まればそのツアーに対するモチベーションも上げやすい。今の自分にとって、ちょうど良いのではないかと思った。

また、便利さを中途半端に否定していた過去を清算し、開き直って「だったら便利さを丸ごと享受しちまえ」というスタンスになれば精神上よろしいのではないか、とも思った。

もちろん、だからといって「電気炊飯器を持ち込む」とか「カラオケ」といった過度な便利さ(というか場違いな道具類)を持ち込むことはしないのだが、理想と現実のギャップに苦しむのではない、新たなアウトドアの楽しみ方として方向転換しても良いのかもしれない。

これによって、登山という個人的趣味とバッティングしないで済む。独立した趣味として、余暇を過ごすことができるだろう。

それが、おかでんができること。ある意味、妥協であり、ある意味、進展。

アワレみ隊におけるツアーコンダクターを自認するおかでんがオートキャンプに偏向していくことで、自動的にアワレみ隊のイベントはオートキャンプ企画が中心になっていくだろう。末期には形骸化したとはいえ、「キャンプ場」や「便利なツール類」を否定してきた今までを「第一期アワレみ隊」とすれば、これからは「第二期」と呼ばれる形になるのではないか。

この「第二期」は表面的にはオートキャンプ場に宿泊するというだけの事かもしれない。でも、それはアワレみ隊イデオロギーを考えると地殻変動的事項なのかもしれない。少なくとも、僕は後者だと思っているので(単なる設立者の小さなコダワリなだけなのかもしれないが)、こうして「転向宣言」という大げさなタイトルまでつけて、心境の変化を述べているわけだ。

くしくも、10年前の今頃、大学生のおかでんが語るアワレみ隊設立の趣旨説明がこのサイトで読むことができる。[アワレみ隊設立趣旨説明の手紙]

「私に言わせればキャンプ場でキャンプをするなど軟弱な女子供のする事にすぎねぇんだよ、けっ」

「これは演歌だ。ワイルドでなければ俺自身納得いかないのだ」

「最近オートキャンプがはやりで誰もがキャンプの時代になりつつある。しかし、車で行けるということを良いことにキャンプ地にいろいろな文明の利器を持ち込んでしまっている。わざわざ薫製機を持ち込む人もいればカーバッテリーを利用した炊飯器で米を炊く人もいる。極めつけはカラオケ。別にそのようなキャンプを非難したり否定しようとは思わないが、もっと本質的なキャンプがあってもいいのではないか。もっと自然に依存したキャンプがあってもいいのではないか。そういった気持ちが離れ孤島のキャンプ地でもない砂浜にテントを張るという行為に結びついたのであります。」

10年ひとむかし。時代は、流れる。

これからは、「雑誌で見た、あの温泉旅館に泊まりたい!」という感覚で「○○キャンプ場に行ってみたい!」という企画が立てられる事になる。

無印良品津南、小梨平、休暇村妙高、廻り目平・・・。

目指す場所はいくらでもある。

さあて、どこから手をつけようか。忙しくなりそうだ。

平成14年7月7日 おかでん
(7月9日加筆修正)

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