2024年のGW、久し振りに広島の地に足を踏み入れ、ますゐ詣でをしてきた。
アワレみ隊のメンバー内でちょっとした出来事があり、それを肴にした会食をやるからだ。
この歳になると、特に男同士の場合、冠婚葬祭的なイベントでもない限りなかなか集まる機会がない。それぞれに家庭や個人の生活リズム、仕事があるからだ。みんなバラバラな場所に住んでいるので、「たまにはメシでも」という理由程度では集まりにくい。
これだけ同じ釜のメシを食ってきた仲間同士だというのに、なかなか集まれないというのは悔しい。でも、じゃあ僕自身、妻子がいる立場でアワレみ隊メンバーを集めてメシ食べよう旅行に行こう、と企画を立てづらい。家族への遠慮というよりも、目の前の日常に気を取られすぎて、遠くの友を集めようということに配慮ができないからだ。やれ子どもが熱を出しただの、法事だの、独り身のときと比べて行事がものすごく増えた。
今回、久し振りのますゐ詣でが開催できたのは、それなりの理由ができたからだ。幸い、仲間の不幸というネガティブな理由ではなかったので良かったが、メンバーの大半が50歳オーバーとなった今では、今後人の不幸がきっかけて集まる機会の方が増えるのだろう。これはやむを得ない。
だから、昔のように「誰でも参加OK!ますゐ詣でオフ会だよ!」と広く門戸を開いて参加者を募ることがなかなかできない。アワレみ隊とその周囲の仲間たちで、込み入った話をする場になっているからだ。
アワレみ隊は高校時代の同級生たちが中心メンバーとなっている。このため、話題の多くは同級生の動向や先生・学校の最近の話題、昔話となる。あまりに内輪な話題なので、外部の人を呼べる状態ではない。また、仮に外部の人もオッケーとしたら、今度は内輪話をしたいアワレみ隊メンバーが楽しくないと感じてしまう。それはそれで良くない。
もっと普段遣いで、気軽に「ますゐ詣で」ができると良いのだけどね。そうすれば込み入った話なんてなしで、「今日はパーッとメシを食べまくる日!それだけ!」と気持ちよくいろんな人を呼べるんだけど。
でも、その実現はなかなかむつかしい。何しろ、僕の実家は既に広島にはなく、宿泊の拠点がない。そして僕自身は東京在住だ。肝心の僕が、広島に行くことのハードルが高い。
いつか、暇になったら数日間広島に滞在し、町を歩き回り、ますゐを普段遣いで使ってメシを食い、のんびりしてみたいものだ。
「ますゐ詣でオフ会」が開催できないことには一抹の残念さがあるけれど、どうにもならないもどかしさがある。
とはいえ、今回は嬉しいますゐ凱旋でもある。
僕が前回ますゐの暖簾をくぐったのは2019年12月。結婚報告のためだ。
このときはアワレみ隊メンバーが全国から勢揃いした(準メンバー的な仲間までは揃っていないが)し、僕といしの結婚を祝ってくれた。
そして今回は、二人の間に生まれた「弊息子タケ」のお披露目となる。既にタケは3歳となり、一人前のガキに育ちつつある。
男だらけのアワレみ隊なので、女性のように「あらーーー!かわいい!」と子どもに対して愛想を振りまくことはなく、そこまで子どもに興味・関心を持つようなことはない。でも、それでいい。あくまでもアワレみ隊はそういうボーイズ・クラブ的な場所だ。
今回も2階のお座敷をあらかじめ予約しておく。
おっと、予約の電話で言われたのだが、「お座敷の予約は席料として料理の値段の10%をいただく」というのにびっくりした。ああ、そういえばある時からそんなルールが追加になったっけ。10年前だか20年前だか、それくらい昔のことに思いを馳せる。
全員で数万円の飲み食いになるので、席料だけで数千円の出費になる。馬鹿にならない値段だけど、これは必要経費だ。気心知れた仲間とワイワイ時間を過ごすなら、ふすまで仕切られて個室になっている二階のお座敷は必須。
メニューは僕が覚えているものと比べて、微妙に内容が変わっている。値段が上がっているのは当然として、「おっ、そこが変わった!?」というのが間違い探しのクイズみたいに散りばめられていて、面白い。
たとえばすき焼きの追加メニューとして「そば玉」がある、というのが地味に面白い。すき焼きのシメとしてうどんを入れるのは珍しくないが、そばというのはいいね。今回試しそびれたけど、次回は頼んでみたい。
ますゐの超定番看板メニュー、「サービストンカツ」。長らく350円だったものが、数年前に値上がりし390円になった。それがニュースで報じられるくらい、広島ではすごい話題だったのだが、2024年バージョンのメニューを見ると430円になっていた。時代を踏まえると、これでも安いくらいだ。
なお、「トンカツ・赤だしセット」というメニューが500円で新設されていた。サービストンカツはトンカツ皿とライスの組み合わせであり、定食形態にはなっていない。なので、「トンカツ・赤だしセット」の登場なのだろう。これで「サービストンカツ定食」ということになる。500円で食べられるのだから、キリが良い値段だし好評だろう。
ただ、僕らアワレみ隊からすると、このお店は(酒を飲まなかったとしても)大宴会をする場だ。あれこれ頼んで食べまくる。なので、定食形態の料理というのはむしろ邪魔だ。
このメニューを細かく見ていけば、「全メニュー制覇プロジェクト」をやっていた頃との違いを数多く見つけることができるだろう。そしてそれだけで話のツマミになって、楽しいだろう。しかし、僕にとって「ますゐ」は久し振りすぎた。メニューの変化がもはや判別つかなくなってきている。
しかしそんな僕でもこれはわかるぞ。
・・・おい、ずいぶんお酒のメニューが充実したな。昔はこんなメニュー、なかった。しかも居酒屋メニューっぽいデザインだし。
これ、お店が自前で作ったんじゃなくて、サントリーかどこか、メーカーの営業か卸の担当者が作ったんだろ。ますゐっぽさが全然ない。
ちなみにお酒のメーカーは群雄割拠で、サントリー、アサヒ、キリンが呉越同舟している。サッポロだけは仲間はずれだ。
ノンアルコールビールが用意されているあたり、時代だなぁと思う。だって、昔のますゐのお酒のメニューって、
特級酒 350円
御酒1級 300円
御酒2級 250円
しかなかったんだぞ?
それが今では、お酒のメニューは表裏2面にわたって展開されている。清酒だけでも8種類あるし、ワインや梅酒もある。
ソフトドリンクに至っては、これを一体誰が頼むんだ?というトマトジュースまで用意されている。ビールに注いでカクテル「レッドアイ」を作る用なのだろうか?
おかでん家族3人+しうめえ、蛋白質、ばばろあ、ジーニアスで乾杯。この後、アワレみ隊メンバーではないものの「ますゐ詣で」によく参加していたはくちゃんも合流。
アワレみ隊メンバーとしては、名古屋組3名(しぶちょお、ひびさん、ちぇるのぶ)が参加できなかった。GW期間中に広島入りするかどうかは、それぞれの状況次第だ。僕自身、子どもが生まれるまではGWに帰省することは殆どなかった。今では、老いた父母に少しでも孫の顔を見せるのが親孝行だと思って、GWに帰省するようにしている。
だからこそ実現したのが今回のますゐ詣でだ。
サービストンカツ。相変わらずうまいなぁ。
東京でも、これに似たカツとソースを提供するお店がある。でも、このソースのまったりした味と、カツのザクザクした感じの融合にかなうものはない。
我が息子、3歳にして父親である僕が愛してやまないサービストンカツを食べる。
さすがに一皿を彼に与えるのは持て余すだろうから、と取り皿にご飯やポテサラ、トンカツなどを乗せた「ワンプレートディッシュ」をこしらえ、それを食べてもらった。
彼はこの場にまだ馴染んでおらず、言葉数少なくもぐもぐとサービストンカツを食べていた。「美味しいねえ、幸せだねぇ」みたいなことは言ってくれなかったのが残念だ。
アワレみ隊の人々は、さんざんますゐでメシを食べてきた強者だ。一方でいしはますゐで食事をしたことが殆どない。
彼女が「せっかくだからこのお店ならではの料理を」と言うので、「じゃあ」ということで頼んだのが「白肉ソテー 1,000円」。
白肉というのは広島独特の用語で、内臓肉の一部だ。
僕自身、「内臓肉」くらいの認識しかなかったのだが、改めて調べてみたら「ミノ」のことだった。ああ、ミノだったら焼肉でよく見かける。要するに牛の一番目の胃袋のことだ。ミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ。
てっきり、「白肉」という、広島の人しか食べない特殊な内蔵なのかと思っていた。
いずれにせよ、ソテーにしてお気軽に提供する洋食屋、というのはあまり多くないはずだ。ますゐだからこそ食べられる。
方や、寿き焼きの調理が始まった。相変わらずいい音を立てて肉が焼けていくぜ。毎回毎回、惚れ惚れする。
このあたりから食卓も会話も混沌としてきて、だんだん収集がつかなくなってきた。それまでは全員で一つの話題をはなしていたのだけど、隣の人と個別の会話へ。
食べ物は、みんなでシェアするのが僕らの原則だ。あれこれ頼んでちょっとずつシェア。このため、誰が何を頼んで、目の前の料理がなんなのか、わけがわからなくなってきた。
これはなんだっけ。肉ソテーだったか。昔からこのメニュー、あったっけどうだっけ。
今更全メニュー制覇をやり直すつもりはない。だから食べたい料理を好きに頼めばいい。でも、ついつい昔の癖で、「これって食べたことあったっけ?」と身構えてしまう。
最後、遅れて参加したはくちゃんも交えて、全員でお店の前で記念撮影。楽しい会だった。
昔は僕がお店に入ると、店員さんが「あっ、またこの人が来た!」と薄笑いを浮かべながら身構えていたものだ。しかし今や僕の知名度はすっかりなくなり、完全に赤の他人という状況だった。見渡す限り、僕らが全メニュー制覇をやっていた頃の店員さんは既に見当たらず、世代交代が行われていたようだ。
時代の移ろいとともに変わっていくますゐ。でも変わらないますゐ。
そんなますゐとともに、僕らも生きていく。
(2024.05.03)
コメント
コメント一覧 (2件)
お酒メニューの「ますゐ純米大吟醸」がとても気になりました!慌てて前回の記事の写真見ましたが今回新たに追加されたようですね。
GUYさん>
すき焼きを食べながらのますゐ純米大吟醸はさぞや美味いでしょうね。昔、ますゐのお酒は竹鶴酒造が作っていたと記憶していますが、今はどうなっているのだろう?