珈琲屋OB-001

『あいすおうれ』 ほか
(東京都足立区西保木間)

珈琲屋OB外観

埼玉県を中心に何店舗か店を構えている「珈琲屋OB」。

飲み物数品だけを提供する簡易なスタイルの「セルフサービス店」を含めると、19店舗もある隠れた一大勢力だ。いずれ愛知県のコメダ珈琲のように全国規模に拡大する日が来るのかもしれない。来ないのかもしれない。

この店名が一部の好事家の間で高い認知度を誇っているのは、提供されるドリンクの量が過剰だからだ。大きな器、そしてその器のサイズになみなみと注がれた飲み物。それは「渇き」に対する挑戦として、人類の前にそそり立っている。

このお店のことは以前から知ってはいたが、どのお店も都心からは遠いために他人事としか考えていなかった。しかし今回、東京都内に唯一ある足立区の店舗を訪れる機会を得た。足立区、といっても埼玉県との県境に近く、鉄道駅からはかなり離れた場所だ。近所に住んでいるのでなければ、車による訪問が前提となるだろう。

珈琲屋OB店内

木材とレンガによって作られた店内はよく言えば暖かみがあり、悪く言えば雑然とした印象を受ける。決して散らかっているわけではないのだが。

この感じ、どこかで知っている・・・と記憶をたどってみたら、「びっくりドンキー」だった。

店内はボックスシートがあったりして、いわゆる「喫茶店」というよりも「ファミレス的」な作りになっている。一人で訪れることも可能なように席はあるが、どちらかというと数名規模で訪れる場所のようだ。

珈琲屋OBメニュー

メニューは木の板に書かれいてる。木のメニューという点ではまさにびっくりドンキーと一緒だが、このお店の場合板に直接マジックで書き込んであるのが特徴的だ。おかげで、後でメニュー構成が変わったら、修正ができないために板の上に紙を貼ってしのぐ切なさだ。他の店でも同じように手書きの紙貼りなのだろうか?

あいすおうれ

アイスティーが量が多い、というのは把握していた。写真もネットで既に見ている。なので、おとなしくそれを頼むのが良いのだが、敢えて避けた。あまのじゃくな性格な私にとって、そのままアイスティーを頼むのが悔しいからだ。

そこで、適当に「あいすおうれ」を頼んでみた。

「あいすおうれ」の量が多いのかどうかは、知らない。もしこれでごく普通のサイズのドリンクが出てきたなら、何をしにこのお店までやってきたのか意味がわからない。しかし、かといって「ネタとして定番」とされるメニュー(アイスティー)を頼むのは嫌だった。わかって頂けるだろうか、この二律背反した心情を。

頼んだあいすおうれは、そんな葛藤を雲散霧消してくれる大きな器に入ってやってきた。

とても大きい。しかし、堂々としているので、「受けを狙って大きくしてみました」という下品さが感じられない。店内の風景に溶け込んでいる気がする。すっと、さりげなく、あいすおうれ。

ただし、器の大きさはビールのピッチャーとまではいかないものの、かなりのサイズだ。

人物対比

あいすおうれを手に取ると、こうなる。大ジョッキよりはるかに大きいことがわかる。

氷がたくさん入っている、という指摘はその通りだ。しかし、それを差し引いても1リットルは入っているのではあるまいか。豪快過ぎる演出だし、実際これを550円で提供して商売になるのか、心配になってくる。なるほど、これでは店舗数を増やして全国展開するのは難しいだろう。出店先のご近所さんからは愛されるお店になるはずだが、儲かるかどうかは別の話だ。

とまとじゅうす

こちらは、連れが注文した「とまとじゅうす」(450円)。あいすおうれと比べて小ぶりなグラス(ジョッキ?)に入っている。また、ご多分に漏れず、氷が多い。さすがに450円ともなれば、大きな器で出すのは無理があったか・・・

とまとじゅうすとお冷やグラス

・・・というのは誤解で、お冷やが入っているグラス(ジョッキ??)を横に並べると、このようなサイズの差があることを思い知らされる。

そもそも、喫茶店においてお冷やをマグカップ的形状のグラスにて提供すること自体が珍しいと思う。お冷やだけで喉の渇きが癒やされてしまうので、商売あがったりだ。容量は350mlは入ってるだろうか。そんなお冷やグラスでさえ小さく見えるのが、「とまとじゅうす」のグラスだ。見比べると、親子ほどの差がある。

ちなみに、先ほどから写真に写り込んでいる、「冷蔵庫で麦茶を入れて冷やすようなポット」。これはあいすおうれ用のシロップが入っている。何においても容赦のないサイズ。うっかり手を滑らせ、どぼっとシロップがあいすおうれに入ってしまった場合、どれほど甘くなってしまうのだろうか?想像すらつかない。

ストローが長い

このような大きな器で飲み物を提供するため、添えられているストローはよく見ると特殊だ。

口元から折れ曲がるところまでの長さは標準的なのだが、そこから先が非常に長い。これで器の底まで余すところなく飲み干せよ、というお店からの指令と思って差し支えあるまい。

ミックスサンド

14時までなら、サンドイッチ類が500円で提供されるという。「みっくすさんど」の場合、通常価格は680円なので随分割り引いていることになる。550円のあいすおうれであの量なのだから、食べ物もそれなりに多いのだろうか?好奇心から、頼んでみることにした。

出てきたみっくすさんどがこれ。ありえない量、というほどではないが、これで500円なら文句はない量だった。・・・いや、違う。周囲の巨大なグラスのサイズ感に見慣れてしまい感覚が麻痺していたが、実際はこのサンドイッチもかなり大きい。なにしろ、数えてみるとパンが4枚使われていた。2/3斤くらいだろうか?食べやすいサイズに分割されているので、すっかり油断してしいた。

ここまでさりげなく、でも非日常感を提供してくれるお店はなかなかない。「美貌の盛り」美貌と呼ぶにはやや大げさかもしれないが、とても感心させられたお店ということで記憶に留めておきたい。

(2016.03.06)

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