りゅうしょうえん

『メガオムライス』
(埼玉県八潮市中央)

りゅうしょうえん外観

旅行から帰宅する際、今から家で夕食を摂るには時間が遅いし面倒臭い。そんなとき、漠然と「本日の夕食会場」を探していて発見したお店。

埼玉県八潮市にある「りゅうしょうえん」。八潮市役所の近くにあるお店で、最寄駅からはかなり遠い。現実的には車での訪問となる。

「洋中食堂」という聞き慣れないジャンルを標榜している。中華だけでなく洋食もやっているらしい。

ここでは大きなオムライスが名物だという。オムライス。私にとっては、全く食べない料理のジャンルだ。もともと酒飲みだった私は、外食するということは限りなく「酒のつまみになる料理を食べる」に等しかった。もしくは、「飲酒と宴席のせいで乱れた食生活を正すために、野菜や魚を中心とした料理」だった。そのため、炭水化物の化け物であるオムライスはおろか、国民食とも言われるカレーでさえも私はほとんど外食経験がない。コメでビールが飲めるか!と思っていたからだ。

しかし時は流れて今や私もコメとは平和条約が締結されている。一応は仲良くやっているつもりだ。だからオムライスを食べても良い、という雪解けムードになっていた。今日はオムライスをたくさん食べようと思う。

店内のメニュー

店内にはいろいろメニューが張り出されていて、目移りする。

メニュー4

メニュー3

看板に書かれているとおり、洋食と中華が混在している。あっちのホワイトボードには「イタリアンチーズカツレツ」という文字が書かれていると思ったら、こっちのホワイトボードには「麻婆麺セット」という文字が躍る。

さすがに「オムライス・ミニラーメンセット」といった洋中折衷のメニューはないようだった。

メガオムライスのメニュー

そのようなメニューの中で、やはり目立つのは「メガオムライス」だ。これが本日のお目当てとなる。

1,080円という手ごろな値段が嬉しいし、複数名でのとりわけOKというのも親切だ。チャレンジメニューっぽくしていないところが好印象を与えてくれる。やはり中華料理を提供するお店なので、「大皿料理を各自が取り分ける」という発想は当たり前なのだろう。

「量が多いオムライス」で思いつくのは、チェーン展開している「ポムの樹」だ。オムライスのサイズはSSからLまで4段階あり、最大となるLサイズはかなりの量だという。以前から気になってはいたが、未だに訪問したことがないお店だ。その代わり今日はここ、「りゅうしょうえん」で大きなオムライスを食べようと思う。

「メガ」という言葉は既に時代遅れになりつつある。パソコンの世界では「ギガ」が当たり前となっている。しかし、食べ物というジャンルにおいては、まだまだ「メガ」が持つキラキラ感、ワクワク感は健在だ。むしろ、「ギガ」という言葉をメニュー名に付けたら、「あざとい」「受け狙い」という印象を抱く。

メガオムライス

メガオムライス1,080円。

オムライスという食べ物を普段食べつけていないので、果たしてこれが大きいのか、そうでもないのか実物を見てもよくわからない。

しかし、この玉子をめくると、中にびっしりご飯が詰まっていることを考えると、「これが丸々胃袋に納まるのか・・・」と息を呑んでしまう。

思わず、名物駅弁である「森のいかめし」を想像してしまった。いかの腹の中にパンパンにご飯が詰まっている、あれ。それがまさに自分の体で再現されると思うと胸が熱くなる。

いや、正確に言うと、「胸が熱くなる」ではなくて「腹回りが分厚くなる」が正解か。

メガオムライス

私がオムライスを敬遠していたのは、あまりおいしい食べ物とは思っていなかったからだ。ケチャップがべちゃべちゃしているイメージであり、酸っぱくてスプーンが進まない食べ物。そんな印象だ。

ケチャップライスというだけでもくどいのに、さらに玉子の上からケチャップをかけるというのはやりすぎだと思う。また、味が単調なのも食指が動かない。

しかしこうやって頼んでいるのは、「オムライスでもうまいものはある」ということを知識としては知っていたからだ。ケチャップにちゃんと火を通せば、酸味は飛び甘みが出てくる。また、バターを使えばコクが出てうまみがます。そういうオムライスなら是非食べてみたいものだ、と思ったからだ。

うま煮

こちらは同行者が頼んだ、「えびうま煮セット」。1,080円なのでメガオムライスと同じ値段。

こちらも、えびが何匹も入っている状態で、量がそれなりにある。なんの変哲もない料理に見えるが、大振りなご飯茶碗と見比べて欲しい。料理皿の大きさがわかると思う。

料理比較

そんなえびうま煮セットではあるが、メガオムライスと対比するとこの差。重量感が全く異なる。メガオムライスがまるで空母のように見える。なんという広い大陸。

当然のように店員は取り皿と取りわけ用の大振りなスプーンを持参してくれたが、もちろんオムライスは一人で食べるためのものだ。取り皿は必要ない。

食べる

メガオムライスと対峙する私。

正面から写真を撮影しても、その大きさはわかりにくい。しかし、こうやって斜めから、まさに食そうとしている人物込みで撮影すると大きさがわかりやすいことを今回知った。

顔面とほぼ同じサイズではなかろうか。パック代わりとして仰向けの顔に乗せたら、適当に蒸らされて肌がテカテカになりそうな気がする。

メガオムライス断面

メガオムライスの断面。

案の定ライスがみっちりと詰まっている。「パラパラ」が良しとされるチャーハンとは密度が違う。

具はそれほど多くなく、飽きがくるものだと思っていた。しかし、最後まで飽きることなく食べられたのは、ひとえに「オムライスが美味しかった」からに他ならない。炒めて甘みを勝ち得たケチャップライス、そしてそれに華を添える玉子焼きはとても美味しい組み合わせだ。道理で世の中にファンが多いわけだ、と今更にして悟った。

食べる

オムライスを食べるときは、つい言葉数が少なくなってしまう。

食べる動作はひたすら単調だ。スプーンですくって、口に運ぶ。それだけ。定食のように三角食べをすることはないし、丼のようにご飯部分と具の部分の食感の違いを楽しむこともない。そのため、カチャカチャとスプーンが皿に当たる音だけが響き、かなり速いペースで食べてしまった。

胃袋にズドンと米を貯蔵した感じがする。自分が米びつになった感じがする。久しぶりにコメを心行くまで食べた気になった。

りゅうしょうえんのメガオムライス。シンプルな外見のベーシックな料理だが、その素朴さゆえのよさがある。チャレンジメニューといった体(てい)ではないところが、嬉しい。そんなメガオムライスは美貌の盛りだと思う。

激麺

次回このお店を訪れる機会があるならば、「激麺」または「激飯」を食べてみようと思う。辛いラーメン(および辛いチャーハン??)のようだが、何の味つけなのかさえ不明の謎料理だ。辛さは選べるようで、飛びぬけて辛い「SUPER」は100円増の850円。相変わらず手ごろな値段設定だ。

(2016.07.02)

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