登場人物(3名)
おかでん:スキーに行ってもお酒の事が頭から離れない人。
ヲガタ先生:濃い世界大好きな人。
ミズカミ:プジョーを乗り回すクールな人。しかし現在整備点検中。今回はレンタカーにて突撃なんである。
2001年02月04日(日)
[行程]
02時頃東京出発→05時岩原着→05:30到着記念祝杯→07時頃滑降開始→10:30昼食→11:30滑降再開→14:00滑降終了→14:30温泉→20時頃東京着、夕食後解散
スキー場に向かう車中。
おかでん「なぜ岩原なのか。それは、岩原ゲレンデにはおいしいと評判のピザ屋があるからなのだ。食うぞぉ、ピザを!」
ヲガタ「滑りに行くんだか、食べに行くんだかさっぱりわからんなあ」
ミズカミ「えっ、食べに行くんじゃないの?」
朝5時過ぎ、ゲレンデ駐車場着。
ミズカミ「着いちゃいました」
ヲガタ「リフト動き始めるの5時半でしょ?よし、ちょうどいい、じゃあ準備しますか」
おかでん「まあ待て、物事には順序ってぇものがあるわけで。ちょっとトランク開けてくれる?」
ヲガタ「あっ、まさか本当に酒持ってきたのか!」
おかでん「本当もうそも、とりあえず到着記念って事で」
ミズカミ「何が『とりあえず』なんだよ」

全員にビールが行き渡ったところで乾杯して、狭い車内で酒盛りが始まってしまった。
ミズカミ「しっかし、こんな朝っぱらから酒飲むとは思わなかった」
おかでん「雪見酒ってヤツだな、これは。見たまえ、目の前のゲレンデを走る圧雪車をつまみに飲む酒の美味さよ」
ミズカミ「しかも、寒いところに来てる、ってのにビールだもんな」

ヲガタ「それにしても、久しぶりに魚肉ソーセージなんてものを食べたよ」
おかでん「コンビニのおつまみコーナーでたくさん売られてた。僕もえらく久しぶりに食べるな」
ヲガタ「このチープな味がまたたまりませんな、何か懐かしいというか貧相というか」
おかでん「単に過去に貧相な生活を送って来ただけなんじゃないの?」
ヲガタ「ぬお。そうかもしれん」

おかでん「さて、ビールだけでは物足りないという方の為に今日はとっておきです」
ミズカミ「あっ、ワイン持ってきてる!」
おかでん「じゃーん。ワインもあるんです、今日は。コップまで用意してあるぞ。ビールじゃ寒いという方は、ぜひどうぞ」
ヲガタ「いや、それは・・・酔っぱらってしまうぞ。後にした方がいいんじゃないか」
おかでん「後ったって、いつ飲むのよこれを」
ミズカミ「そうだなあ、滑り終わってから飲む?」
おかでん「帰りの運転ができなくなっちゃうよ、やっぱり今開けなくちゃ。待ってろぉ、今開栓してやっからなぁ。って、あれれ。」
ミズカミ「おっ、コルク抜き忘れたか」
おかでん「うぐぅ、その通り」
ヲガタ「お約束だよなあ」
ミズカミ「良かったじゃん、これでワインは諦められるでしょ」
おかでん「うん・・・まあいっか。未練はあるけど」

ヲガタ「いやぁ、朝からこれだけ滑れるんだからいいよな」
ミズカミ「まだ8時過ぎたばかりだけど、結構滑ったもんな」
おかでん「適度なアルコールが固い体をほぐしてくれて滑りやすくていいや」
ミズカミ「気を付けろよ、さっき変なコケ方してたぞ。ケガするよ」
おかでん「足腰が怪しくなるほど飲んではいないってば。本当にそうだと危なくて滑れないから」

ミズカミ「眠い」
ヲガタ「そりゃそうだ、徹夜で運転した後、ビール飲んで朝っぱらから滑ってるんだからな」
ミズカミ「ゴンドラが遅いんだもん」
おかでん「そうだよな、このゴンドラえらくちんたらと登るよな」
ヲガタ「ゴンドラだけじゃないでしょ、このスキー場全部のリフトが遅い気がする」
おかでん「越後の山の雄大な景色をお楽しみください、って事か?」
ヲガタ「ゲレンデが混雑しないようにするためなんだろうか?」

午前10時半。早めの昼食。
おかでん「本日のメインイベントですな。岩原に忽然と現れたピザのお店、その名も"La locanda del Pittore"だっ」
ミズカミ「しかし、何でこんなところにイタメシ屋があるんだろう?」
ヲガタ「回りにはランチバイキング980円とか貧乏臭い店がたくさんあるのにな」
おかでん「でも、ゲレンデ内にバイキングがあるって凄くない?普通、カレーいっぱい1000円近くするぼったくり食堂があるくらいでしょ?」
ヲガタ「料理に力を入れているスキー場なのかもしれんよ?」
おかでん「むむ。とりあえず入店だ」

ミズカミ「おい、こりゃ結構なメニューだぞ」
ヲガタ「あれっ、ゲレンデとはとても思えないラインナップじゃない」
おかでん「こりゃ本格的だぞ、ちょっと油断してたなこりゃ」

ヲガタ「裏面もあったりする」
おかでん「おや。さあこれは困った、目移りするぞぉこんなにメニューがあると」
みんな真剣に考え込んでしまった。
おかでん「一つ一つの値段が結構するからな、居酒屋みたいにあれもこれもと注文できないんだよなあ」
ミズカミ「でも、ここで食べておかないと今度いつくるか分からない訳だし」
おかでん「へへへ、そうなんだよなあ。今食べないと、っていう事を考えると容赦なく注文しないといけなくなるんだよな」

おかでん「ということで、僕だけビールを頂戴します」
ミズカミ「どーぞどーぞ好きなだけやっちゃってください」
おかでん「じゃ、失礼して。・・・うひゃーッ、寒い中スキーして、体は冷えているんだけど芯は火照っていて、という時に飲むビールは最高だっ!幸せとはこういう事を言うのだな」
ヲガタ「あくまでもおいしくビールを飲むためのスキーなワケね」
ミズカミ「言ってることはよく分かるけどさ、えらく単純な幸せだなあ」

ヲガタ「うむ。なかなか結構なお味で」
ミズカミ「スキー場で白ワインか。なかなかこれはこれで風情があるもんだな」
ヲガタ「ゲレンデを見ながらのワイン。こんなの初めてだ」
おかでん「ゲレンデの食堂って言ったら、うどんやカレーとビールってのが相場だもんな。で、食べ終わったら次の人が待っているので早く出ていけ、だもんな」
ミズカミ「その点今回は優雅なもんだ」
ヲガタ「やっぱ早く来たのは正解だよ、さすがに有名店でも10時半に行列はできないでしょ」
おかでん「そのかわり、われわれは10時半から本格的にお酒を飲み始めているんだけどね。がはは」

第一段としてPasto alla Genovese(バジリコタリアテッレ。1,500円)が登場。みんな「おおー」とか言いながら素早く自分の皿にとりわけ、食べてしまった。
ミズカミ「あれ・・・写真、撮るんじゃなかったの?」
おかでん「あっ、忘れてた!食べるのに夢中だった。不覚」
そうこう言っているうちに、第二段到着。今度はAglio(アーリオ。1,500円)、Penne Salmone(ペンネサーモン。1,500円)だ。やあ美味そうだ、こりゃたまらんななどとわいわい取り分けているうちに、また写真を忘れてしまった。
ヲガタ「おかでん、写真写真!」
おかでん「あっ、しまった」
あわてて、食べかけの大皿を撮影するが、どうも食い散らかされた後のようで印象がよろしくない。申し訳ない。実物はもっと美味そうだし、実際においしいということをあらかじめお断りしておく。

ミズカミ「いやぁ、おいしいねえ」
おかでん「どうなんだろう、僕はあんまりイタメシは食べないから、一般的基準ってのがよくわからんのだけど、このお店は他と比べてもおいしいだろうか?」
ミズカミ「うん、いいと思うよ、とても」
おかでん「だよなあ、見ろこの写真。すごく満足そうな顔してるもんな君は」
ミズカミ「ああ、滑るのどうでもよくなっちゃった」

第三段到着。Tonno(トンノ。1,900円)。ツナとシメジとマッシュルームが入っているピザ。
おかでん「やあこれもおいしいな」
ヲガタ「今のところ外れが一つもないもんねえ。いやいいですな、このお店は」
3/4食べたところで、
おかでん「あっ、また写真を忘れてた!」
あわてて、残りのピザを撮影。やっぱり食べ散らかした後のようで美しくはない。

注文した最後の品、Verdura Cruda(ベジタリアン。1,800円)が到着。
ミズカミ「今度は写真忘れるなよ」
おかでん「もちろんだ。あ、横にワインを添えて写真を撮影しておこう」
今度は撮影成功。
いつの間にか、空になった白ワインのボトルの代わりに赤ワインのハーフボトルになっていた。
おかでん「いやせっかくだから、白の次は赤でバランスを取らないと」
ヲガタ「だから、その『せっかくだから』って何なんだよ」

ヲガタ「じゃ、切りまーす」
おかでん「おお、何かジャングルをかき分けてるって感じだな。まるで森林伐採」
ヲガタ「それにしてもこういうのもいいもんだね、前ここに来た時は、近くの貧相なレストランで飯食ったけど」
ミズカミ「スキーに来たんだか食べに来たんだかわからなくなっちゃうのが問題だけど」
おかでん「いやー、これだけおいしいと、スキーそっちのけでも遠路食べに行きたいくらいだよ」
ミズカミ「そうだね、そんな感じはするよな」
・・・なんて会話をしていると、追加注文したくてしょうがねぇこんなんじゃ俺の欲求は抑えられねぇんだという気になってしまった。
おかでん「よっしゃ追加注文するぞ」
ヲガタ「あ、僕デザートでケーキ食べる」
おかでん「ケーキだぁ?軟弱な、僕はさらに奥地に突き進むのだ」
ミズカミ「おお、行っちゃえ行っちゃえ」
頭の中に、先日あるサイトで読んだ文章が頭をよぎった。
なぜスキー場内に?と思うほど本格的な窯焼きピザ。旨い!ゲレ食のつもりで行くと大散財の場合もあるので注意。
おかでん「まあいいか、ここの支払はデビットカードが使えるらしいし」

全員「おいおいおい・・・」
出てきた料理は、Calzone(カルツォーネ。2,100円)とSchiacciatine(スキアッチャティーネ。800円)の二品。スキアッチャティーネとは、ピザ生地のパンのクミン風味のことだ。
ヲガタ「でーかいなぁ」
おかでん「これ、後からオマケみたいにして注文する物じゃなかったかもしれないなあ」
ミズカミ「かもしれない、じゃなくてそうなんだってば。だって、俺ら注文するとき横のおばちゃん『この人達まだ食べるの?』って顔してこっち見てたぞ」
おかでん「ああ食べるとも。この胃袋が続く限りは」
ヲガタ「でもこの2品、同じ系統のような気がするんだけど」
おかでん「言わないでくれ、頼み方失敗したんじゃないかってちょっと思ってるところなんだから」

おかでん「じゃ、写真撮るんで、二人ともポーズ決めて。テーマは『初の共同作業』だからナイフしっかり握れよ」
ミズカミ「結婚式かい」
ヲガタ「カルツォーネでケーキ入刀は無いだろ、貧乏臭すぎるぞ」
おかでん「ぬお、いい絵だよ、最高だねこの構図。二人から愛が感じられるよ。どうだお二人さん、愛してるか」
ヲガタ「そんなわけないだろう」
※相当ワインが回ってきているようです

おかでんとミズカミの最後の一品が到着。Verde(田舎風ミネストローネ。600円)
おかでん「ああ生き返る」
ミズカミ「じゃ今まで死んでたのか?おいしいね、これも」
おかでん「他の料理が2000円近くする中で、これが600円はお得としか言いようがない」
ミズカミ「ミネストローネって赤いイメージがあったんだけど、こういうのもあるのだな」
おかでん「これが田舎風、なのかな?」

片やヲガタ氏は自家製ケーキ600円也を前にこのご満悦な表情。
ヲガタ「まさかスキー場に来てデザートまで食べるとは思わなかった」
おかでん「完璧にするんだったら、食後酒を飲むかい?グラッパ、度数40度ってのがあるよ」
ヲガタ「やめとく。死ぬわそんなの飲んだら」
おかでん「残念・・・」
この時点(11時半頃)で、客席はいっぱい。繁盛しているなあと感心しながら地下のトイレに行ってみると、地下はバーみたいになっていて、そこで順番待ちのお客がとぐろを巻いて待っていた。聞くと、今この時間に入店したら2時間待ちになるらしい。
ヲガタ「スキー場に来て2時間待ち?何しにきたんだかわからんなこれじゃ。日が暮れるよ」
おかでん「でもこれだけおいしいと、並ばずにはいられんのだろうなあ。合掌」
ミズカミ「俺らみたいに腰落ち着けて酒飲んでいたら、いつまでたっても席は空かないだろうな。可哀想に」
結局、支払は約19,000円。ワインやらカルツォーネといった余計なものを注文したおかでんは、9,000円の支払いとなってしまった。
おかでん「ぐは。人生の中で一番多く支出した昼飯・・・いや、昼飯に限らず人生で最も多く自腹を切った食事だったぞ」
店員「すいませーん、デビットカードですが、不調ですので現金でお願いできますかぁ」
財布がすっからかんになってしまった。

さあそれからのスキーはワインが入ってしまい全員絶好調。
カメラを向ければ謎のガッツポーズを取る輩、

さらには記念撮影だと言ってるのに雪合戦を始める輩まで出てくる始末で、しまいには二人ともゲレンデに大の字になってひっくり返ってしまった。ワインでぼんやりした頭には、雪のひんやりとした感触はとても気持ちいい。

おかでん「わははっ、やっぱ越後の山にはワインが似合う!ちょっと飲み過ぎたけど、僕ぁ幸せだ!」
幸せ過ぎて、ゴンドラに乗っている間に寝てしまい危うく一回りしそうになったりしたことは内緒だ。

帰り道。
車の後部座席には、疲れ果てて眠りこけるヲガタ氏の姿があった。
おかでん「いや、今日は楽しかった。温泉にも浸かったし、おいしいピザも食べたしワインも飲んだし」
ミズカミ「肝心のスキーは?」
おかでん「えっと、そんなのやったっけ?」
ミズカミ「おいおい」
おかでん「3月もスキーにいくぞ!今度こそはワインのコルク抜きを忘れないようにするんで、乞うご期待だ」
ミズカミ「お酒の話ばっかりだな、相変わらず」
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