2003年04月18日(金)
前から、運任せの旅をしてみたいという気持ちが強かった。
雑誌やテレビで知った観光地をトレースするのも楽しいが、自ずと行く場所が限定されてくる。
ディスカバージャパン。
まだまだ、自分が知らない場所・知り得ない場所ってのがあっちこっちに有るはずだ。そういう場所にたどり着こうとすると、「旅の計画」が全く存在する余地のない企画にしなければならない。「風任せ」でハンドルを握って旅にでても良いが、それでも自分自身のアンテナにひっかかる情報をもとに移動するわけであり、結局ありきたりな旅になってしまうおそれが大きい。
だったら、「風まかせ」ではなくて、「運まかせ」の旅をしてみてはどうだろうか。
そういう結論になったのだった。そもそも、おかでん自身はマゾ的な企画モノは大好きだ。頼まれもしないのに山手線立ち食い蕎麦耐久企画をやってみたりする。今回も、本人の意思とは無関係な耐久レース的旅をやってみたくなったのだ。
運といえば、サイコロ。こればっかりは、サイコロの神様が出目を決めてくれる。本人の意思が介在する余地はない。・・・インチキをしない限りは。では、車とサイコロを結びつけてはどうか、ということで「出た目で行き先を決めていくドライブ旅行」にしようという流れになった。ただ、むやみにサイコロを振ってもきりがないので、「進むルートは全て国道」であり、「国道の分岐点に到着するたびにサイコロを振って、出た目で進路を決める」事にした。
最初は、お江戸日本橋からスタートし、サイコロ100投目までの間に東京に戻ってこれるか?という企画にするつもりだった。しかし、どこに行くか分からないという非常に不安な企画であることからなかなか踏ん切りがつかず、気が付いたら季節は冬。「ノーマルタイヤの車なんで、遠出はできんなあ」ということで企画そのものが塩漬けされてしまった。
しかし、そんなこんなで季節はもう春。
そろそろ、動き出してもいいんじゃないのかサイコロの旅。
そんな事を路傍に咲くタンポポの花をケトバしながら考えていたら、ちょうど越後湯沢に会議のため出張との報あり。しかも、金曜の午前中いっぱいで現地解散というだという。午後はフリー。ならば、金曜午後から越後湯沢を出発して、日曜日の夜までに東京に戻ってくるという企画ができるではないか。
塩漬け企画、ようやくこれで日の目を見ることができる。
当日は、会議参加者のほとんどが電車で越後湯沢入りしているというのに、自分だけは関越自動車道を一路北上し、越後湯沢入りとなった。こんなところで事故っても労災でねぇなあ、なんて思いながら。
そして、予定通り金曜日お昼、会議はつつがなく終了して身柄は釈放された。会議に出席していた人々から、「頑張ってこいよ」「事故だけは気を付けろよ」と餞別のコトバを頂戴し、越後湯沢駅で今生の別れ。
さて。サイコロまかせの旅、行ってみましょうかね。
国道走破サイコロの旅-レギュレーション
1.ただ単に車で国道をひた走る企画である。
2.国道が分岐する/交差する地点に到着したら、その道筋一つ一つにサイコロの目を割り当て、サイコロをふる。出た目の国道が次の進路となる。これを、ひたすら繰り返す。
3.金曜日午後越後湯沢駅を出発し、日曜日午後までに東京都内に入ることができればこの企画はクリア。見事サイコロ運に勝利したこととなる。
4.敗北条件としては、(1)行き止まりの国道に突っ込んでしまった場合 (2)日曜日正午時点で、とてもじゃないが運任せでは東京に戻ることができそうもない場所にいる場合 のいずれか。この場合は、速やかに企画を打ち切り、東京に護送。
5.「今来た道を逆戻り」という選択肢は今回は設定しない。
6.通過中の国道の近くに観光名所がある、食事どころがあるという理由で国道から離脱することは禁止。ひたすら国道を進むべし。ただし、宿泊(野宿)をするためにやむを得ず脇道に入ることだけは許可。
一体どこに向かう事になるのかがさっぱりわからないので、車の荷台には野宿ができるようひととおりの装備を積み込んでおいた。温泉地とか観光名所で無事一泊、なんて甘っちょろいことは考えない方がいい。
さて、これから始まるレポートは、実際に車を運転しながらしゃべっていたコトバをICレコーダーに録音したものをそのまま掲載します。後から装飾したわけではない、生の声でその時の緊迫感をお楽しみください。
読者に重大な注意:ここから先は、ドライブ地図を片手に読み進めてください。地理感が無いと全く面白くありませんし、話中に国道の号数がたくさん出てきます。地図を見ながらでないと、これから先を読む意味がないと断言しても良いです。
はーい、越後湯沢駅前です。今回の旅の起点は、ここ越後湯沢って事になります。愛車アワレみカー2号も、ここにこうしてスタンバイOK。ガソリンも問題なしとなっております。
今こうして、サイコロの旅が始まろうとしているわけですが・・・楽しさ半分、恐怖半分ですね。一体どこに連れて行かれるのだろうという恐怖。まさか、東京に一直線に帰る事ができるなんて甘い事は考えていないわけで、一体どこまで連れて行かれるのかわからないのが何よりも怖い。
あと、ほとんど一日中車を運転しっぱなしになるので、疲労のあまり居眠り運転をして事故、ってのも怖い。一人でのドライブなので、疲れたら即休憩、疲れ果てたら即宿泊という形で対応したいと思います。なぜか東京に帰る車は救急車だった、なんていったらしゃれにならないもんな。
えーと、さっそく開始したいところなんだけど。実は、サイコロがまだ用意できていないんですよ。近くのコンビニにでも行けば、サイコロくらいは売ってるでしょう。まずはサイコロ確保に走ります。では、後ほど。
えー。
サイコロって案外売っていないもんですねぇ・・・。コンビニに行けば、「サイコロ100円」とかで売っているのかと思ったのですが、全然無いですね。コンビニのゲームコーナーは安い電子ゲームとかトランプとか食玩ばっか。唯一、ハンディタイプの麻雀セットにサイコロがついていたんですが、さすがにサイコロだけが欲しいために1900円を払う気にはなれなかったので、諦めました。
二軒目に訪れたショッピングセンターも、オモチャ売り場のようなところはなくここもサイコロ無しか、とがっくりきていたんですが・・・。そうだ、サイコロといえばオモチャだけではないぞという事を思い出したんです。
じゃーん。サイコロキャラメル。懐かしいですねえ、まだ売っていたんですね、これ。「おいしさ再発見!」なんて袋に書いてありますが、再発見されてしまうくらい埋没していたって事なんでしょうか。
なにはともあれ、これでサイコロの準備は完了。いよいよ、旅の開始ができるようになりました。
では、あらためて。
えー。注目の第一投目と言うことになります。このサイコロキャラメルを手に入れるのに非常に時間がかかったということで、のっけから大誤算をやらかしてしまったわけですけれども。12時42分、ですねー。旅を開始したいと思います。
さて、今皮を・・・剥きました。へへへ、苦笑いしちゃいますね。こいつに運命を託さなければならないなんて。頼むぜ、お前。
今回は、越後湯沢を・・・国道17号。南へ行くか北に行くかの選択肢、ということになります。北に行けば、国道353号、即ち津南方面に向かう分岐がすぐ近くにありますね。その先には日本三大薬湯の松之山温泉があります。浸かっていきたいじゃあないですか、人情として。・・・あれ?松之山温泉って、国道沿いじゃないのか。なんだ、つまらん。
いやいやいや、今回、僕はネタとしておいしい方向に行く気はさらさらないですよ。何の面白みもなく、まっすぐ東京に帰りたい。そりゃあ、ここでいきなり北の目を出して東京から遠ざかれば、愉快ですよ。もう、北に向かってしまった時点で今日中に東京に帰り着くのは無理ですもん。ネタとしてツカミは最高!でも俺最低!それだけは絶対にイヤだ。
じゃあ、第一投目はこうします。偶数は・・・南下。奇数は、北上。国道17号、どっちに向かう?の選択肢。では、いっていみます。
♪何がでるかな、何がでるかな、それはサイコロまかせよ~♪ おらっ。
いよっ。
(だだだだっと駆け寄る音)。
奇数!北!
わははははははははっははははあはぁはぁはぁ。
きっ、きききき、北。北あはははは。
北がでちまったよはぁはぁはぁ。
んぁ?あれ?ちょっとまて、「偶数は南」って言ったよな、俺。
あっ、あっ!?失礼いたしました、4ということで偶数、すなわち三国街道を南下ですよ。あっ・・・わっかりました、それでは三国街道を南下いたします。あー、あああ、そうか、南下か。良かったような良くなかったような。
でもまあ、着実に帰りましょう、着実に。それではまた後ほど。
12時47分、出発しました。
目的地点は、一気に三国峠を越えて、群馬県月夜野まで向かいます。ここで、国道との分岐となります。国道291号。分岐地点まで33kmほどの行程となります。大体1時間半くらいかかるって感じかな、カーナビの情報だと。
さようなら、新潟県。短い時間のおつきあいでした。二度と戻ってこねぇよバーカバーカ。
いや、別に馬鹿ってののしる理由はないんですけど、つい勢いで。ごめんなさい新潟県さん。
・・・えー、前言撤回。目的地まで49キロ、ありました。あはは。到着予定時刻、14時半ですねー。頑張っていきたいと思いますー。
苗場スキー場ですよぉ。
まだ雪、残っていますねぇ。滑っている人はいるのかな?ちょっと確認できないです。
人工降雪だとは思いますが、いまだに山にはこれだけ雪が残っているんですね。やばいですね、うかつに峠道に入ると、道が凍結していてスリップなんて事があったらもうどうしようもないですよ、この車ノーマルタイヤなんですから。
でも、サイコロの目が絶対ですからね、たとえ雪があろうが、洪水があろうが、そこに道が有る限りは突き進みますぞ。がははは。
えー、緊急事態発生、緊急事態発生。びっくりしました。
国道353号線、苗場のところで分岐があったんですねぇ。あれ、国道17号と353号が併走していたオカシいな、とは思っていたんですが。こんなところで正体を表しやがってました。道路地図のちょうどページの境に位置していたため、うっかり見落としてしまってました。
で、この353号線・・・盲腸国道なんですね。苗場から分岐したかと思ったら、そのもう少し奥にある三国スキー場まで進んで、そこで行き止まり。三国スキー場だけのために国道を造ったんか?という道筋になっとりますです。
まあ、見つけてしまったのが運の尽きですわなあ。
目の前にもう分岐の交差点が見えているわけで。後もう少し気付くのが遅ければ、素通りして結果オーライだったのかもしれないです。惜しい(笑)。
大体、あの分岐交差点だって、右曲がれば国道353号線だっていう青看板が全然ないんですもん。いかに扱い悪いかってことじゃないですかね。
ということで、今回急きょサイコロを振るわけですが、選択肢としては「353号線にまんまと突っ込んでしまい、あっけなくゲームオーバー」になってしまうのか、「国道17号線を何事もなかったかのようにひた走る」のか、の二者択一ってことで行きましょう。急に降ってわいた分岐で、ハナからまっすぐ進むつもりだったので、この二者択一ってどっちが選ばれてもワクワクしないねぇ。張り合いないねぇ。
でも、ここでゲームオーバーっていうのは悲しすぎるので、やっぱり何としても17号を維持しないと。
えー、じゃあ、偶数がでれば・・・(しばらく沈黙)、偶数が出れば、国道353号。奇数が出れば、17号を進む、ということで行きまーす。外に出ないで、助手席にサイコロを転がす事にします。もう面倒なんで。
さぁ、サイコロ行けっ!
♪何がでるかな、何がでるかな、それはサイコロまかせよ~♪
1!奇数!
奇数といえば・・・えー、17号!!えへへ。
ということで、予定通り17号線をひた走ります。うえっへっげほげほ。(咳き込む)
13時17分。まだまだ行きますよぉ~。
猿ヶ京温泉通過中です。
そういえば、猿ヶ京を目的地としてここにやってきたことは無いなあ・・・大抵、通過してしまっている。せっかくの温泉なんだから、浸かっていってもいいんだけどなあ・・・
とかぼんやり考えているうちに、街を通過してしまうという罠。あああ。
はーい、今車を降りて、外にいます。月夜野の国道17号・291号との分岐手前にやってきました。
いや、ほとんどノンストップでここまでこれたので、案外早く着きましたねぇ。でも、もう疲れましたこの時点で。早く帰りたいです。
さて、今回の分岐なんですが。291号に迷い込んでしまうと、またもや北上となります。そのまま進むと、水上を通って土合。谷川岳の麓ですね。ここまで行って、行き止まりになります。またもや出たな!盲腸国道め。成敗してくれるわ。
とはいっても、絶対にイヤです、この選択肢は。こうなったら、何が何でも17号から外れずに、わき目もふらず南下していかなくちゃいけない状況ですね。
ということで。偶数が出れば、まっすぐ17号。奇数が出れば、水上。291に行きます。ゲームオーバーですね。
それでは。
♪何がでるかな、何がでるかな、それっ。
偶数いけ!偶数!偶数!
はぁーっ。
2!偶数ですぅ~。
偶数といえば。
17号、渋川方面~。まっすぐ行きます!
えー、ちなみに、まだ出発していないんですけど。ここまでくれば、17号をまっすぐ突っ走りたいよね。ひたすら一直線。「中山道を走り抜ける男」、いいじゃないの。僕の家なんて、17号の沿線にあるわけだし。この道をひたすらまっすぐ走れば、そこは自宅。このカタルシスたるや、凄いモノがありますぜきっと。途中の分岐点でも、ひたすら17号を突き抜ける、強運の男。「彼は涼やかな顔をして、サイコロのことなど何も無かったかのように走っていった」・・・いいね、これでいこう、今日のテーマは。
でも、でも。
次が、まっすぐ帰ろうとするこの車を阻む、最大の難所とも言える沼田の分岐なんですよねぇ。国道120号/国道145号の通称名「日本ロマンチック街道」。さて、ロマンチックな気分にさせてくれるのか、それとも地獄を見るのか!こうご期待!
左に曲がるとぉ、月夜野インターチェンジ。
ここで、「あっ、ついつい手が滑った!」ってくいっと左に曲がってしまうと、あと2時間後には東京の自宅に帰り着いているって算段とくらぁ。
曲がっちゃおうかな、曲がっちゃおうかな。
あー。通過しちゃった。
あー。
通過した後になって、ふつふつと沸いてくるこの後悔、自責の念。常にココロのどこかでくすぶっている、「意味のないことやってるんじゃないか、俺は」という疑問。
でも、まあしゃーない、下道を使って高速道路代を浮かせました、って解釈にしようじゃないか。その分、今晩の晩酌はちょっとリッチに・・・って、今晩、どこでその晩酌をするんだ、僕ぁ。
あっ・・・?
あわわわわ。い、いかん。こんなところに分岐があるじゃないか、おい。291号?地図には載っていなかったぞ、大体291との決闘は先ほど終わらせたばかりじゃないか。
(カーナビを覗き込んで)・・・あー。新道と旧道があるのか。291と17号が併走していて、この区間だけ分離しているみたいだな。こっちの道はバイパスなのか。
おいおい、もう分岐にさしかかるぞ!?考えている暇なんかないや、えっと、偶数直進、奇数291に左折。急げ、急げ。ハンドルを握りながら、そのまま助手席にサイコロをふりまーす。
何がでるかな何がでるかな、それっ。
2!
偶数!
・・・偶数、ってことで、、、まっすぐ!
凄いぞ、17号をひた走るぞ、それ、何事も無かったかのように直進!
さらば291号!お前なんかにゃ、もう用は無い!
えー。もうすぐですね、ロマンチック街道との分岐にさしかかってこようというところです。あと1.5キロくらい。何となく、無駄に緊張してまいりました。
ここを乗り越えられれば、これから先若干楽になるかな、という気はします。逆に、ロマンチック街道に迷い込んでしまったら、とんでもないことになるぞ、と。今日中にゴールするのはまず無理じゃないか、いや、無理だろう、って事になります。・・・怖いですねぇ。
注目のサイコロの目ですが、1が出たら草津方面、2がでたらまっすぐ17号、3が出たら沼田、日光方面。・・・日光方面!?(苦笑) 4、5、6、の目も同じ順番で草津、17号、日光。・・・日光!日光って栃木だぜ、おいおいおい、そっち行ったらみちのく紀行の可能性が出てくるじゃないか。
出目を決めたら、ますます緊張感が高まってきました。今晩は草津で名湯満喫か、日光でいろは坂をドリフトするか、それとも自宅でまったりか。
注目の一投は、このあとすぐ!
・・・はぁー。
運命の場所にやってきました。見てください、行き先案内板を。右にいけば「長野原」「中之条」。左に行けば、「日光」「尾瀬」。・・・うわぁ、日光の目は出したくないなあ。右行っても左行っても、どっちにせよ今日は絶対に帰り着けないルートになるわけだけど、日光だけは、ちょっと。草津温泉で湯けむり満喫、だったらまだ我慢できる。
っとっとっと、ここは車を停車する場所が無いのか。ああ、もうすぐ分岐なので、しょーがないので車の中でサイコロを振りまーす。
時間もないので、すぐに振ります。・・・あああ、こんなので自分の行き先が決まるのか。本当にこんなのでいいのか。
2、4、2、4。どっちかが出てくれぇ。
おりゃっ。
・・・3!
ははははははははははは。3!・・・はははっははは、3、3が出ましたぁ。はははははは。
日光!日光行き、決定!
・・・おい、ちょっと待て、ちょっと待て!そっちは違う!よりによって、そっちは違う方向だぞ!
えー?最悪のパターンじゃないか、それ。まだ草津の方がマシだったよー。
・・・(しばらく絶句)・・・えー?
なんだよー、おかしいんじゃないの?このサイコロ。重心ズレてるんじゃないの?
・・・ちっくしょう、日光にこれから向かいます。くそーっ。
えー、とんでもないことに気付きました。
ここ、120号をずっと日光方面に進んでいくと思っていたのですが、17号からそれてすぐのところにもう一つ分岐があったんですね。
これ、さっきでっくわした、「新道」と「旧道」のうち「旧道」のほうみたいです、291号の分岐があります。
当然ここでサイコロの神様に行き先はゆだねる事になりますが。万が一、291号に進め、との指示が出た場合はさらに最悪なパターンになってしまいますね。何しろ、またもや越後湯沢方面に向かってしまうからなんです。
・・・あ、でも待てよ。291号を進めば、また17号と合流するわけだから、そこでもう一度進路を南に向けることもできるわけだな。そして、さっきの「運命の瞬間」分岐をまっすぐ進んで、東京方面に一直線・・・いかんいかん、ちょっと待て。そんなに都合よくサイコロが転がってくれればいいけど、きっとサイコロの神様はそんなに律儀じゃないぞぉ?絶対、越後湯沢まで逆戻りさせるに決まってる。これだと、ますます東京に帰れなくなっちまうではないか。却下だ、却下!
うわぁ。どっちもいやだなあ。Uターンしてしまう291号、東北の手前までようこそ、の日光尾瀬。どっちもいやだけど・・・どっちもイヤだけどォ・・・とりあえず日光に向かった方が面白いか?
日光狙います。
偶数が出たら、まっすぐ日光。・・・まっすぐ日光?トホホホホ。奇数が出れば、291で行きまーす。
それっ。
偶数!2!えーと、日光に・・・あはははは。日光!?に行きます。・・・
えー?日光?
はぁー。14時10分、日光に向かいます。
いやぁ・・・アテが外れた、というか、なんというか。これからどうなるんだろう、という。人さらいにさらわれた感じですよ、まったく。自分でハンドル操作しているというのに、どこに連れて行かれるか分からないという相反した感覚。すっごく奇妙ですし、怖いっすね。
はい、今沼田駅前を通過しました。おいおいおいおい、一体どこを走っているんだ?何で僕ぁこんなところを走ってるんだ?今頃は17号線を気持ちよく東京方面に向かって走ってるんじゃないのか?カーステレオから流れる軽快な曲に乗せて、快適ドライブじゃないのか?
いかん、疑問型でばかりしゃべってる。だんだん自分のやってることに疑問を感じだした。
しかし、たった1回のサイコロミスでここまで、精神的にメロメロになってしまうとはねぇ。打たれ弱いのかね。
えっと、ちなみに現在、燃費はリッター18.7キロで進んでいます。非常に省エネですね。
えーっとねぇ、これから先の進路で一つ考えられる事といったら、片品村に入ったところで、国道401号線で尾瀬戸倉に向かうっていう可能性がありますね。これ、行き止まりになっているので、401号の選択をしてしまったら、そこでゲームオーバー。当然ここでは1/2の確率なわけだけど、それを過ぎて日光に向かったら・・・今、「日光60km」っていう表示があったぞ!?おい、あはは。
・・・どうするんだよ、日光行ったって、そこから東京帰ることができるか?って言われてもねぇ。東京まで、茨城・千葉と挟まってくるだけに、いろんな国道がひしめき合っているだろうし。房総半島に迷い込んだら目もあてられないし。
大体、今南方面に向かう事ばっかり考えていたけど、間違って東北方面に向かっちゃったらどーすんの。ははははは。東北かぁ~。ははははは。いや、いっぺん方向を決められてしまうと、なかなか180度展開が難しいから。そのまま北へ、北へと向かっていく事になっても何ら不思議じゃぁない。うへぇ、北か!恐れていた、北か!
まさに、これぞ「サイコロの旅」!!一体この車をどこに連れて行こうとしているんだ、サイコロの神様は!?ようやく、サイコロの怖さが分かってきたって感じがする。
えー。
前の車、よく見ると福島ナンバーなんですよね。
ははははははは。
・・・しっみじみと、イヤな光景なんですけど。
目の前を福島ナンバーの車 が走っているっていうシチュエーション、さっきまで誰が想像できた?一体この車、どこまで連れて行かれるんだよ・・・
14時21分、現在沼田インター入り口前を通過中なんですが。先ほどの福島ナンバーの車、沼田インターに入っていきましたねえ。ひょっとしたら、福島方面に向かうのは、高速道路に乗った方が早いのでしょうか?
でもね、でもね、これからこの車は福島方面に向かって行くんですよぉ。
はぁ、軽く鬱です。
まあ、いいです、目の前を福島ナンバーの車が走っているのを眺めながらの運転だったら、ますます憂鬱になっちゃうかもしれないんで。これはこれで良かったんじゃないかと。理由はともあれ。
では、気を取り直して先へ進みまーす。
大問題勃発です!
えー、あれ?うう、えと。今、路上の電光掲示板にですね、「120号金精峠冬季閉鎖」って書いてあったような気がするんですけど!
・・・あっれぇ?ってぇことは、ここでもうゲームオーバー確定っすか?120号進んでも、尾瀬戸倉に向かっても。それとも何?その・・・・・・はははは。もう帰ろうや、それだったら。え、何?行き止まりまで行けってか。はははははは。・・・まあ、行き止まりまで行って証拠写真、撮ってこないといけないもんなあ。
えー、でも、金精峠まで遠いんすけどー。ここから1時間、最低でも。行けない事が分かっているんだったら、最初から行きたくねぇやそんな距離。ほらー、尾瀬45キロ、日光77キロって書いてあるんですけどー。もぉー。
行くの?これから?どっち選択したって、行き止まりよ?ここ。えー。
まあいいや、まあ、まあ・・・ははははは。・・・んー、ねぇ。二日、三日かかってこの企画をやる事を思えば、これくらいはマシって事かぁ?
うーわぁ。
えー14時47分。リッター17.8キロ。あと、次の分岐まで7.8キロのところなんですけど、やっぱり電光掲示ありました。
で。・・・えへへ、やっぱり全面通行止めだそうです、金精峠。
しょうがないので、ゲームオーバーこの時点で確定です。あははははは。一体何しに来たんだろうね、ここまで。
ということなので、えーと、残念ではありますが、ここでゲーム終了となります。ただし、行き止まりにまで行かないとゲーム終了とみなされないので、とりあえず行けるところまで行きます。非常に不毛ですねぇ、これからの道のりは。何ら生産性のない、ガソリンの無駄遣いをこれからしに行くわけです。
もうすぐ3時。中途半端なんだよなあ、この時間も。これから何をしろ、と。しかも、このゲームオーバーによって、土日のスケジュールがすっかり空いちゃいました。あははははは。
いや、せっかく盛り上がったんだからゲーム再開!ってやってもいいんだけどなぁ。まあ、行き止まりに到着するまでもう少し考えますわ。
15時2分。ラスト、となりますね、この分岐が。尾瀬大橋のたもとに到着しております。鎌田という交差点ですね。
国道120号線と、国道401号線との分岐があります。120号を進めば、日光方面。401号を進めば尾瀬。しかし、120号金精峠が通行止めという事で先に進めないらしいので、どっちを選んでしまってもゲームオーバーになることが確定しています。とほほ・・・。
でも、気分的には・・・えーと、どっちもどっちだなあ・・・120号線を進む方を選びたいかなあ?ひょっとしたら、金精峠を通り抜けられるんじゃないか、という淡い期待があったりするもんで。
いや、やっぱり無理か。立て看板で「冬季通行止め」って書いてあったら「あ、撤去し忘れただけかもしれない」と都合の良い解釈ができるわけだけど、電光掲示でハッキリ・くっきりと「冬季通行止め」って表示されていちゃあ、手も足も出ないんだろう実際。
尾瀬方面の401号線は、一番最奥までは行った事がない。だから、見物しに行くということで401号に向かうというのも有りだなあと考えたりもする。ま、どっちでもいいや。どーせ行き止まりなんだし。距離が短い方が精神的ダメージが少ないので、どっちか近い方にしてくれ。
じゃ、最後の一投です。これほどまでやる気のないサイコロは過去に無かったなあ。さっきまでは緊迫感みなぎるサイコロだったのに。あー、振るよ、振るよ。
はい、何が出るかなー何が出るかなー。
偶数だったら、まっすぐ金精峠、奇数だったら、尾瀬。
それはサイコロまかせよーそれーっと。
4!
はい、偶数って事で、金精峠でございます。
金精峠行ってまいりまーす。
いやぁ。
一体何やってるんでしょうね、僕ぁ。
この道、あと数十分後には引き返して来ることがわかっているだけに、不毛でかなわん。
でも、万が一峠の閉鎖ゲートが開けられそうだったら、強行突破してみるのも手かもしれないと思う29歳男性会社員。
しかし、ノーマルタイヤしか履いていないので、冬季通行止めに突入するとスリップして谷底に転落、死亡!なんて事になったら馬鹿馬鹿しくてかなわぬ。目的地が明確ならば、まだしも、だ。目的地がはっきりとしていないのになんで命をかけて強行突破せにゃならんのだ。却下、却下。
えー、最終目的地点、丸沼高原スキー場・・・金精峠じゃないですよ、金精峠は中に入れないですから・・・が迫ってまいりました。
あー、やっぱりカーナビに出ていますな、通行止めの表示が。で、道中あちこちにあった警告看板によると、4月のあるタイミングで通行止めが解除されるらしい。いやー、ってぇ事は、ゴールデンウィークには通行できるようになっているはずだから、1週間くらいここに来るのが早かったって訳か。
まぁ、しょうがないでしょう。確かに、この道を運転しながら周りを見渡してみると、おおぅ、雪がまだあちこちにへばりついているぞぅ、って感じですから。ただ、道はもうオールクリアになっているので、通してくれてもいいじゃねーかよ、なんて思うんですけどね。
でも、駄目、らしい。ま、無理はしません。このまま帰ります。
こうなると、非常に未練を感じるようになるんだよな、この企画に。あー、今晩あたり宇都宮のビジネスホテルにでも一泊して、餃子とビールでウィーッってやってみたいなあ、って考えていたのに。無い物ねだり、ですね。
15時20分。丸沼高原スキー場到着で、フィニッシュです。やあ、スキー場はまだ余裕で滑れますねえ。でも、こんな状況なので、先に進めないのはしょうがないかな、って思っています。
燃費は、16.4km/l。山道に入ったので落ち込んでしまいましたね。総走行距離が・・・106km。106キロ!はははは、ははははは。たったそれだけかよ!あれだけわぁわぁ大げさにやっておきながら。
で、所用時間なんですが、えーと、2時間30分ってところかな。えええ、えらくこじんまりとした旅行だったんだなあ、この企画。単なる「小旅行」じゃないか、これだと。
次回の課題としては、やっぱ二人以上だねぇ。
二人もしくは三人と、複数の人数で行ったほうが良いかなと思ったです。そうすれば、温泉地に泊まるぞ!なんていううれしいシチュエーションになった場合でも、旅館に泊まることができる。
一人だけだと、どうしても受け入れて貰えない宿が多いから・・・。だから、今日万が一草津に行っていたとしても、宿泊場所を確保できたかどうかちょっと疑問。ま、今日みたいに平日だったら、受け入れてくれる宿はあっただろうけど。
あと、季節はもう少し考えましょ。先に進めない・・・って道が、今んところ多すぎる。
金精峠、標高でいったら2000m弱程度の峠道で、通行ができないっていう事になれば、長野県に行ったら一体どれだけの道が通行できないんだ、って事になってしまう。行く道、行く道そのどれもが通行止めでゲームオーバーじゃあ、企画にならない。
そうですね、次は1カ月後、2カ月後あたりに気心知れたメンツと一緒に1泊・・・いや、1泊2日じゃ面白くないので、2泊3日が最低ライン、ってところだろうな・・・次は東京出発かな?・・・って事で再戦したいと思います。
すいません、結局ゲームオーバーになってしまいました。これにて、サイコロ1は終了。
このまま、東京に戻ります。どうもお疲れさまでした。
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