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クワを借りた軽トラの近くは、もう既に人々がさんざんたけのこを掘っただろう。
何も残っていないに決まってるので、できるだけ遠くに行こう・・・と思ったが、案外近くにたけのこが見つかった。
これがたけのこ狩りの面白いところで、なにせ生育が早いから昨日は生えていなかったところに今日生えているのはザラだろう。だから、僕らのように朝早くやってきた人ならば、山の奥深くに分け入らなくてもたけのこがあっけなく見つかる。
どうも小さそうだが、まずはお試しということで掘ってみることにした。
小さいたけのこなら、タケでも掘るのを手伝えるだろう。「たけのこを掘ったよ!」という実績と、彼の自信を与えたい。なにせ、飽きっぽい子どものことだ。あと数十分後には、たけのこ掘りに飽きてそこら中走り回っているかもしれない。子どもが興味を持っているものは、今すぐその興味を現実として与えないと。

母子ふたりでたけのこを掘る。
昨年は、「クワに手を添えるだけ」だったタケだけど、今年は自ら力を込めてクワを持てるようになってきた。まだ振り上げて振り下ろす、ということは危ないのでやらせられないけれど。
クワは、たけのこ狩り専用の独特な形状をしたものが存在するのだが、僕らが使っているのは普通の農作業用のクワだ。

1本目のたけのこ、収穫。
思った通りに小さかった。しかも、まだ慣れていないのでたけのこの皮もクワで削ってしまった。
タケ!たけのこの向きが逆!逆!

もう一度たけのこを持たせて写真撮影。
タケ!そんなにたけのこを握りしめていたら、たけのこが写っていないよ!

3度目の撮影でようやくサマになる写真になった。
4歳1ヶ月の子どもの状況把握能力って、まだまだこのレベルだ。だから面白い。

さあここから本番だ。
あちこち歩いてたけのこを探す。
ほんの僅かに頭だけ出ているたけのこが良い、というのはわかるのだが、素人が見るとそのたけのこが大きいのか小さいのか検討がつかない。
掘り起こしてみたら小さかったらどうしよう、と不安になる。

ある程度お膳立てをしてから、タケに任せる。
プロのたけのこ掘り師の動画を見ると、いちいち周囲を掘り起こしたりせずにズバッと地下茎とたけのこの境をクワで切り取り、手で引っこ抜いている。
しかし僕ら素人は、一帯どこまでこのたけのこが地中深く生えているのか全然わからないし、どこにクワを突き立ててたけのこを切断すればよいのかもわからない。結局、狙ったたけのこの周囲360度を一生懸命掘り返すことになり、やたらと時間がかかる上に疲労するのだった。

でも、頑張った甲斐があった!デカいのが取れた!

手前に、随分大きくなったたけのこが生えているのが見える。
こういうのを刈り取ったら超巨大な戦利品になるだろう。1本で2キロ超えも夢じゃない。ただし、これだけ地中から顔を出していると、味は悪いはずだ。というか、半分竹になりかかっている部分もあるんじゃなかろうか。
たけのこは、夜の間に親の竹から養分を受け取り、それを溜め込んでから朝にググッと成長する植物だ。だから、本当は親竹から栄養を受け取って、それをエネルギーにして成長する前に刈り取るのが一番美味しいたけのこになる。理想は、夜明け前の収穫。
そういう知識はあるのだが、現実的には「手頃なサイズのたけのこを、傷つけずに収穫する」という基本動作を身につけなくちゃ。

竹林を走り回るタケ。楽しそうでなにより。
(つづく)
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