今年もたけのこ狩りのために、千葉県の房総半島にある大多喜町にやってきた。
東京湾アクアライン、圏央道があるので便利になったとはいえ、それでも都心から車で2時間近くかかる場所だ。
僕は通算3度目、家族としては昨年に続いて2度目の訪問になる。


4歳になる弊息子タケに向けて、格好の勉強兼レジャーという位置づけだ。
山の中を歩き、地面のたけのこを必死に探し、そしてクワでガシガシと掘る。「春の風物詩」を楽しむには最高の娯楽だと思う。
たけのこ狩りができる山は、農家さんがとても丁寧に地面を整備している。そのため、下草がボーボーで歩きづらい、とか虫が多くて気持ち悪い、といったことがない。安心して子どもを放牧できるし、ときには労働力として使うこともできる。
ただ、たけのこ狩りはシーズンがとても短い。なにせ、あっという間に成長して竹になってしまう植物なので、一週間ずれただけでまったくの不作だったり大量だったりする。しかも、数年に一度大規模な不作の年があり、2024年がまさにそういった年だった。今年は豊作だといいな、と期待しながら、現地を目指す。
2025年04月20日(日)
たけのこ狩りは朝早く現地に向かうのが必須とも言える。
これはあらゆる「◯◯狩り」と呼ばれるレジャーに言えることだと思うが、前日から今朝までにちょうどよい具合に育ったものを収穫することができるのは、朝イチに現地を訪れた人の特権だからだ。
昼ころに現地入りしても、まだたけのこはあるだろう。しかしそれは、朝早くやってきた人が敢えてスルーしたものだったり、見落とされたものだ。つまり、「素人でも簡単にたけのこを見つけられ、収穫できる」という都合のよいものはもう残っていない。
ということで、僕ら家族は朝9時に大多喜にやってきた。早朝起床で大変だ。僕に至っては、前日夜のうちにレンタカーを借りておき、家の近くのコインパーキングに一晩車を停めておくという念の入れようだ。(最近、東京でも24時間営業のレンタカー屋は激減した。昔は多かったのに)

今年も、「平沢たけのこ村」にやってきた。
ここは予約不要で利用できる数少ないたけのこ狩り施設であり、お手軽だ。
他の施設は事前の電話予約が必須だし、電話しても「その日は予約が埋まっている」と言われることが多い。もう、面倒なのでそういう施設は使わないことにした。
なので、「平沢たけのこ村」が大多喜町で最高のたけのこ狩り施設かどうかはわからないが、少なくとも僕らにとってはありがたく利用させてもらえる、最高の施設だと思っている。
朝9時はこの施設がオープンしたばかりだ。さすがにまだ人の数は少ない。

入園料、大人2kgにつき1,500円。
この入園料は、たけのこ山への送迎と、クワのレンタル、そして2kgのたけのこ収穫とお持ち帰りの費用が含まれている。
昨年はこれが無料だった。あまりに不作の年だったため、入園料を取るのがしのびなかったのだろう。そのかわり、たけのこを取った分だけ費用を支払う、という方式だった。どれだけ不作だったかがうかがえるエピソードだ。
今年は無事、入園料がかかる。ようするに、山に入ればたけのこは素人でも取れるよ!安心してね!という自信の現れだ。

ちなみに未就学児は無料。
とはいえ、家族3人で山に分け入り、みんなでクワを使ってたけのこを掘る体験を楽しんでいると「ついつい、3人で6kgを掘っちゃった」ということになりかねない。あくまでも大人2名、4キロまでで抑えるようにしたい。
6kgのたけのこは、持って帰るのも大変だし、その後の下処理も大変だ。

受付脇に、2kgのたけのこのサンプルが置いてあった。さすがにデカい。
まずは家族全員で、この重さを確認する。
「2kg以上にならないようにしよう」と言いながら。
たけのこという食材の難しいところは、「掘ったその日に皮むき・下茹でしておかないといけない」ことにある。時間の経過とともにアクがでてきて、しわい味になってしまうので、下処理は早いに越したことがない。なので、たけのこ掘りに行って、ヘトヘトになるまで遊んで夜に帰宅する、なんてのはもってのほかだ。早く帰宅して、たけのこを処理して、そしてようやく枕を高くして眠ることができる。
そんなわけで、むやみに大量に掘るのは自分たちの首を締めることになる。とりすぎ注意。

今朝、地元のプロたけのこ農家さんたちが掘ってきたと思われるたけのこがカゴに入って置いてあった。
さすが手練れの仕業だ、デカさがとんでもない。
僕ら素人は、これだけ大きなたけのこは狙っちゃ駄目だ。小さくても満足しなくては。だって、大きいたけのこを狙った結果、地面からニョッキリ顔を出した、いわば旬を過ぎたたけのこを取ってきてしまう。それは育ちすぎなので、狙うべきものではない。
本来なら、「地面からでているかでていないかわからない程度」のたけのこを探り当てなくてはいけない。だから、小さくてもドンマイ、ってことにしよう。

平沢たけのこ村のたけのこ料理。
毎年大人気。
お手頃な値段の割にあれこれたけのこ料理を楽しめるので、人気が出るのは当然だ。しかし、大人数の来場者をさばくだけの人員と運営手順が整っておらず、僕らは昨年この料理のために2時間待つ羽目になった。しかも、あとどれくらいで自分が呼ばれるか、さっぱりわからないのでずっと料理引き渡し口付近で見張ることになり、えらく疲弊した。
もうこりごりなので、今年はここで食事は食べないことにしている。
案の定、たけのこ狩りから戻ってきた11時頃には困惑する客がウロウロしはじめていた。
ツアーバスでやってくる団体客の受け入れもやっていて、その人達の食事があるせいで一般客は想像以上に待つ羽目になる。フードコートみたいに順番が来たらポケベルで呼び出し、とかマイクとスピーカーで整理券番号を読み上げてくれる、ということをやってくれればよいのだけど、そういう設備が一切ないのは2025年も一緒。
毎年同じことをやっているんだからオペレーションを改善してくれよ、と思うが、従業員の方々は地元のおっちゃんおばちゃん達で構成されているし、營業しているのは春先の1ヶ月ちょっとの期間だけだ。設備投資?人員教育?そんなのはいらないよ、という判断は妥当っちゃあ妥当だ。

09:09
たけのこ山に客を送迎してくれる車がやってきた。
今日は2台の車がピストン輸送しているそうだ。
一度に乗れる人の数は少ないので、ひっきりなしに車が行き来していた。

09:18
悪路を走りながらたけのこ山に到着。
昨年と同じ場所だった。
実際にたけのこ狩りをする場所からは随分手前だ。車が余裕をもってUターンできる場所がここしかないのだろう。
4歳児の弊息子タケは、もうこの時点でウキウキだ。3歳のときは、まだ受動的に楽しんでいる状態だったが、4歳にもなるとこのシチュエーションを能動的に楽しむようになってきた。
また、親としても、「せっかくお金と時間をかけてここまで連れてきたのだから・・・!」という気持ちが働き、子どもにやたらと「ほら見てごらん、あれはね・・・」とあれこれ説明したり、「わあすごい!これはすごいよ!」と子どもを挑発するようにオーバーに驚いたり興奮してみせたりした。
子育てって、4歳くらいになると少しは楽になると思っていた。でも逆だ、むしろ今のほうが疲れる。子どもにどういう「学」を授けようか?ということをあれこれ考えるようになったから。うんちしっこおっぱい、でドタバタしていたほうがまだ単純で楽だった。

林の中の登山道のようなところを登っていくと、クワを山積みした軽トラが停まっていた。ここから先がたけのこ畑になる。
僕らは人一人しか歩けない道を歩いてきたのに、その先に軽トラが停まっていることに驚くが、ちゃんとここまで竹林の整備のための道がうっすらと作ってあるのだった。僕らはそれを若干ショートカットして歩いてきたにすぎない。

竹林。
見渡す限り、このどこでたけのこを掘り返しても良い。
「隣の敷地との境界線を越えないでくださいね」などという注意は一切ない。僕ら客が、うっかり遠くに行き過ぎるなんてことはない、というわけだ。それくらい、この界隈一帯全部が平沢たけのこ村の土地なのだろう。すごいな。
そしてなにより毎年驚かされるのが、この土地の良さだ。フカフカした土、そして竹しか生えておらず余計な草木がない状態。
こんな山、自然にできるわけがない。思い出して欲しい、山で見かける竹林を。倒れた竹、ぼうぼうに生えた下草。自然の竹林というのは、かなり汚いものだ。それがご覧の整然とした空間になっているのだから、普段から農家の方々が丹念にこの地を整備していることがうかがえる。
なお、地下茎で伸びていく竹だが、生後3年以上が経過した竹からはあまり地下茎が伸びなくなるそうだ。つまり、たけのこを産む力が落ちる。なので、3年経った竹はどんどん伐採し、新しい竹が生えていくる余地を土地に作っておく手間がかかる。そういうことを丹念にやってこそ、この森があると思うと恐れ入る。
(つづく)
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