保田漁港・ばんやの魅力(その3)
この「胃袋至上主義宣言」で「ばんや」を取り上げて以来、Yahoo!やGoogleで検索をかけてやってくる人が非常に増えた。どうやら「ばんや」「保田」などのキーワードで検索をかけているようだ。面白いもので、金曜日から土曜日にかけて、急に「ばんや」で検索をかけてくる人が増える。恐らく、週末の旅行計画を立てる際に活用するのだろう。アワレみ隊OnTheWebは非常に広大な敷地面積を持つテキストサイトだが、こんな特徴的なアクセスをされるページは他に存在しない。
他の「ばんや」紹介サイトをざっと見てみると、思ったより料理の写真が少ないことに気づく。「ばんや紀行」は、アワレみ隊においては標準的なレポート記事だが、案外こういうサイトって有りそうでないものだ。
というわけで、今回は、「ばんや紀行(2)」で紹介した以降にばんやに訪れた際の写真をざっと掲載しておこう、というわけだ。写真枚数が多いので、説明は極力省略。

2003年04月06日訪問時のばんや。
お品書きはこちら。
天気が良かったこともあり、ボードいっぱいのメニューが並んでいた。

イカ塩辛。
単に辛いのではなく、非常に深い味わい。これは酒党にはたまらない。
ただ、残念ながらビールにはあわない。濃厚すぎる。

イカかき揚げ。
ものすごくでかい。というか、岩石みたいな感じ。
イカをサイコロ状に刻んだものが、みっちりと。これを噛んでみると、よくある「ゴム状」のイカではなく、柔らかく、甘みのあるむっちりした味が口の中に広がる。おいしい!
これはビールだな。あ、すいません、ビール持ってきてください。

左から、ウルメ鰯刺身、金目刺身、ダルマいか刺身、あじなめろう。
どうやらここ「ばんや」では金目鯛の刺身はいつでも提供しているようだ。金目鯛は煮付けるもんだ、という印象が強いが、お刺身もなかなかおいしい。
ただし、身がむっちりとしすぎて、かみ切るのに苦労する。だから、食べた際のトータルバランスとしてはあまり良いお刺身ではないような気がする。

ムシガレイ唐揚げ。2匹で1000円。
1匹500円でいいじゃん、と思うが、必要以上に気合いを入れて盛りつけるのがばんや流。

なんだったか忘れた。具が表面に見えてない。
恐らく、ひらめのあら汁だったと思う。
ひらめであら汁をとろうってんだから珍しい。

ハゼの化け物かとおもったら、ホウボウ。この料理は方々の煮物。1,000円。
顔がこっちを向いていると結構グロテスクなので、極力反対に向けて食べる。

太刀魚の天ぷら。これだけあって600円は相変わらず安い。
このばんやで、魚の天ぷらを食べると本当に感心する。「魚の美味さを逃がさないように衣で封じ込めた」という感じがひしひしと伝わってくる。

ばんやの定番、朝採れ850寿司。9カンで850円はお得としか言いようがない。
この日(というか、この時間)のネタは、鯛、コノシロ、穴子、スズキ、イカ、ムツだった。ムツのにぎりなんてちょっと珍しい。
この朝採れ寿司、時間と共にお品書きが変わる。ネタ切れになり次第変更、ということなのだろう。どうやら、時間が遅くなるに連れて9カンのうち重複するネタが増えてくる傾向にあるような気がする(未確認)ので、早めに注文したほうが良さそうだ。

こちらは、。普通の寿司屋でいうところの「上寿司」にでも相当するのだろう。1650円。朝採れ寿司の倍近く高い。その代わり、10カンと量は若干増えているし、ネタの重複が無い。
ネタの鮮度、ボリュームからして1,650円でもまだまだお得感が高い一品だ。しかし、850円というのを目の当たりにしてしまうと、「ちょっと高いなあ」という印象をどうしても持ってしまう、損な役回りの料理。
ちなみにこの日は、ムツ、スズキ、金目鯛、ヒラメ、鯛、サザエ、カンパチ、海老、穴子の組み合わせだった。

お刺身定食。お刺身盛り合わせ1,200円+定食セット250円=1,450円でこちら。
お刺身は、厚切りの金目鯛、スズキ、イカ、鯛、ヒラメ。ボリュームがすごい。これだけ食べても、おなかいっぱいだ。
周りを見渡すと、大抵のお客さんは「朝採れ850寿司」もしくは「天丼系の料理」を頼んで、プラス1品程度単品で頼んでいるという感じだった。どの料理も量が多いので、それくらいの注文の仕方をしないと、残してしまいそうだ。
逆に、われわれのように居酒屋的にアラカルトで注文している人は案外多くなかった。客層が、中年くらいの人が多かったという事も関係しているのだろうか?

さて、日時は変わって今度は2003年12月14日。赤穂浪士の討ち入りの日にばんやに討ち入りだ。
この日も、御膳11時・・・あ、漢字変換ミスだ、よっぽどおなかが空いていたらしい・・・御膳11時過ぎに現地入りしたのだが、既に客席はいっぱい。一体どこからこのお客さんが湧いてくるのか、さっぱりわからない。
客席は、どう見ても「団体観光客向けの食堂」の風情がある巨大さ。ほら、よくあるじゃないですか、ドライブインの2階が食堂になっているやつ。ああいう雰囲気なのに、各テーブルに座っているの全て個人客なのだからすごい。
冬の海の幸を、という事で期待してやってきたのだが、既に何品かは売り切れになっていたようだ。赤いプラスチックの札が、メニューボードにかけられて字を読めなくしている。
お勧め品でカワハギが出ているようだ。これはあとで頼んでみることにしよう。

金目鯛の刺身。1,000円。
非常にもちもちしていて、肉厚のせいもありかみ切るのに苦労する。結局、「途中で噛みちぎる」ことを断念し、一口でごっくん。
喉に詰まりそうだ。
甘みがあって、非常においしい。根気がある人は、噛み切れないのを我慢してくっちゃくっちゃと噛んでいると良い。

さんが焼き。
イワシハンバーグ、と言って間違いないな、この料理は。
イワシをたたいてみじん切りにして、葱や味噌とあえたものが「なめろう」。それに火を通したものが「さんが」。いずれも房総半島の名物だ。
しょうゆだれにつけて頂く。うん、適度な青臭さが、焼いた香ばしさと醤油のふくよかな香りに包まれてとてもおいしい。
今日は車で訪れているのでビールは無し。残念。

カワハギあら汁。300円。
わずかに骨周りに残った身をこそげおとしつつ、おみそ汁をすすると結構至福の時。
しかし、他の料理を食べるのに夢中になってしまい、気がついたら冷めているというのが非常に悲しい。
おみそ汁は温かいがいいに決まっているが、あら汁に関して言うと、温かくないとダメ。

えっと、これ何だったけ。
ヒラメ刺、1,000円だったような気がする。

イカかき揚げ(600円)がうまくてかなわんのです。
今回もまた注文してしまった。ここに来ると、ほぼ必ず注文しているような気がする。
甘くて柔らかくて美味い!と絶賛なのだが、一緒に来た連れが「あんまり天ぷらは好きじゃないんで・・・」とちょっと箸をつけただけだった。
残されたのは、おかでんの眼前に迫る圧倒的な天ぷらの量。
さすがに、美味いもんでも大量に食べると味にうんざりした。物事は何でも適量がよろしいですな。うっぷ。

本日の朝採れ850寿司。
イナダ、金目鯛、あじ、ムツ、メジマグロの組み合わせ。
せっかくばんやに来たのだから、お寿司というご飯ものを食べて満腹になるんじゃなくて、いろいろな料理を単品で注文+定食セット一つ、という組み合わせがいいと思う。
しかし、連れの人は初訪問ということもあり、「やっぱりそうはいっても、まずはお寿司を」ということで朝採れを注文していた。
このお寿司のシャリは、当然寿司マシーンで握っているわけだが、厨房をのぞいてみたら寿司マシーンフル稼働状態だった。みんな注文しているな、さては。

タコブツ600円。
以前、このメニューは食べたことがあったので、ボリュームは十分承知していた。だから、注文するのには腰が引けていた。しかし、連れが「タコブツいいですねぇ」とか言って、注文してしまった。
届けられたのが、これ。二人で食べるには多すぎる量。これだけでおなかいっぱいになるぞ、おい。
4人くらいで食べるのが丁度良い量ですねぇ。だとすれば、4人で割り勘すれば一人150円。安い。

本日のおすすめ、という張り紙がしてあったので、活カワハギの刺身を注文してみた。1,200円。「活」ではないカワハギの刺身は1,000円だ。どう違うのだろうか。
カワハギの白身は、透き通るような透明で・・・あ、本当に透き通っているぞ・・・とても清涼感がある。何だか食べることに罪悪感を感じさせる、清純さ。でも、食べるぞぉ。
「うっそ、信じられん。俺一体どうしてこういう境遇になっとるん」
と、息絶え絶えで身を震わせながら己の境遇に抗議している、骨と頭だけのカワハギ君には悪いと思いながら、刺身を頂く。うん、おいしい。
カワハギ君、悪いけど「覆水盆に返らず」って言葉があるでしょ。こうなっちゃったらもうどうしようもないのだよ。
罪悪感をちくりちくりと感じながら食事をするというのは、「食べ物を粗末にしない」ためにも結構重要なことだったりして、と自己弁護してみる。

はっきりいって、二人でこれだけの料理を注文するのは頼みすぎだ。メニューボードを見ると、ついつい頭に血が上ってしまい冷静な判断ができなくなってしまう。
ということで、かま焼き800円。
あっ、まだ頼んでたっけ、と忘れた頃になって登場だ。なんか、以前も似たようなシチュエーションがあったな。
しかも、最後の最後になってこんなデカいものが来てしまうのだから・・・ゲームにおける、「ラスボスと思って戦っていたら、そのさらに後にもう一人『真のボス』が出てきた」みたいなもんだ。

なにしろ、このでかさだ。お皿を手にしている奴の胴体よりも幅がある。
こんなごつい魚と、海の真ん中でばったりであったら、絶対勝てっこないよな、と意味のないシチュエーションで思わず妄想してしまった。
味はもう、形容するのも面倒なくらい美味い。やはり、これだけ大きいと、「箸でひとかけら切り分けて食べる」サイズもでかくなる。よいしょっと、と身をこそげ落としたら、タバコの箱くらいのサイズのやつがとれた。これでもでかいので、さらに半分の大きさにして食べる。
中まで火は十分に通っているのだけど、じわっとしみ出るジューシーさは失われていない。ああ、おいしいです。
・・・でも、半分も食べられなかった。ギブアップ。
朝採れ寿司の半分と、かま焼きの半分をそれぞれパックに詰めて、お持ち帰りにした。このお店は、有料だけどお持ち帰りパックが提供されているのがありがたい。
帰り際、連れと会話していたときに気づいたのだが、
「これって・・・最初っから持ち帰ること前提に注文するのもアリかも?」
お持ち帰りばんや。車で訪問している限り、現地でお酒が楽しめないわけだが、お持ち帰りにすれば家でビールやお酒を楽しみつつばんやの料理を、ということができる。ううむ、それは魅力だ。
さて、お次は2004年10月17日に訪問した際のばんやだ。秋真っ盛りの時期に訪れたとあって、脂が乗った秋魚に期待だ。
ひさびさにばんやのwebサイトに行ってみたら、営業時間がいつの間にか延びていた。以前は11時から16時だったと記憶しているが、今では9時から19時だ。営業時間を延長しないとお客がさばけないくらい、繁盛しているということなのだろうか。数年前、「ばんや」の横に「ばんやの湯」といいう日帰り入浴施設兼宿泊施設ができたし、何やら急拡大なんである。そういえば、お店に向かう道中、道路脇の電柱のあちこちに「↑ばんや」とかかれた看板が貼り付けられていたな。「隠れた名所」と呼ぶには、もうふさわしくない時期になってきている。
「秋の魚・・・って言ったら何があるんだろう?」
「サンマ!」
「うーん、サンマは恐らく東京湾の中では捕れないと思う」
恐らくアジ、サバといったところか。アジは、年中ばんやでお見かけする定番の魚。


しかし、予想に反して、サバはほとんどメニューに載っていなかった。保田近辺では見かけない魚なのかもしれない。(写真はクリックすると拡大します)
メニューボードは、比較的空いていた。天気が安定していることもあり、いろいろな魚が捕れるものかと思ったのだが、この時期だとこんなものだろうか。
消費税総額表示になってから初めての訪問。「朝獲れ850寿司」が朝獲れ892寿司になっていたらイヤだな、と冗談で話をしていたのだが、さすがにこの値段にはこだわりと誇りがあったらしく、価格に変動なし。

壁に張り出されている「特選 ばんや寿司」を見てびっくり。2,480円かよ。
「朝獲れ850寿司」が9カン850円、「朝獲れ特選ばんや寿司」が同じく9カンで1,660円で存在するが、こいつは2,480円とダントツに高い。
たくさんのお客さんが訪れるようになって、幅広いニーズに対応できる商品ラインナップにしようとしたのだろうか。
ちなみにこのお寿司、「朝獲れ」ではなさそうだ。名前に「朝獲れ」という文字が入っていないし、ネタが固定されている模様。他の「朝獲れ」系のお寿司は、時間が経過するたびにホワイトボードに記載されているネタ名を書き換えていっているが、このばんや寿司は変更無しなわけだ。
値段のうち、伊勢エビが占める割合が相当高そうな気がする。伊勢エビ好きで無い限り、頼む必然性は薄いと思うが、どうなんだろう。

我が道を行くわれわれは、2,480円のお寿司には目もくれず朝獲れ850寿司をオーダーだ。
今回のネタは、ワラサ、金目、アジ、穴子、皮ハギの組み合わせだった。
皮ハギは、ネタの上にちょこんとキモが載せられているのがうれしい。

メニューボードを見るたびに、毎度「どれを頼めばいいのやら」と悩む。いや、悩むというより、呆然としてしまう。あれこれ有りすぎて、候補を絞り込むだけでも一苦労で、結局ぼーっとしてしまうのだ。
しかし、この日、特に目を惹いたのが「アサリフライ(650円)」という文字。一緒に来ていた連れに
「おい、アサリフライって食べたことある?」
と聞いてみた。少なくとも、おかでんは見たことも聞いたこともない。
「いえ、ないですね。ありそうでないメニューですね」
という回答だったので、やはり一般的には見慣れないメニューなのだろう。早速注文してみる。
出てきたものは・・・うわ、相変わらずのばんやボリューム。一体どれだけのあさりの身を使ってるんだろう。二人で食べるには明らかにオーバーボリューム。でも、この豪快な盛りが、うれしい。残さず食べないと。
恐らく、今後ばんやでは「食べきれない量を注文してしまって、残す」お客さんが増えていくだろう。その結果、お店側が「盛りが豪快すぎたかな?もう少し減らすか・・・」と考え、ごくごく普通の定食屋の盛りっぷりに成り下がってしまう可能性がある。これは非常に残念な事なので、ぜひ阻止しなければならない。ばんやにこれから行こうと思っている諸君、くれぐれも食べ残しはヤメよう。
さて、あさりフライを食べてみる。カリカリとした食感と、香ばしい香りが食欲を増進させる。味は・・・ええと、なんて形容すればいいのかな。
「牡蠣フライのクセを取った、って感じの味?」
ああ、そうそう。まさにそんな感じだ。カキフライが盛っている、磯臭い感じがすっぱり抜けた感じ。これなら、「カキフライは苦手だけど、いずれ食べられるようになりたい」と思っている努力家の方にもお勧めできる。
カキフライと対比すると、物足りない料理と言えるけど、あくまでもこの料理はアサリフライ。非常においしく頂きました。なぜこのメニューが世の中一般にあまり出回っていないのか、不思議だ。

刺身盛り合わせ(1,260円)。
金目、ワラサ、太刀魚、サワラ、アジ。
当然といえば当然なのだが、850寿司とネタの大半がかぶった。やっぱり、朝獲れ寿司を食べるなら刺身盛り合わせは頼んじゃダメだ。
太刀魚の刺身を食べたのは初めて。塩焼きが一般的な食べ方なので、感慨深い。
そういえば、サワラも普通は塩焼きで食卓に上るので、お刺身ってほとんど記憶にないな。
いつもは、下に敷いてある刺身のツマもおいしく頂く性分なのだが、なにせここはばんやだ、ツマでおなかをいっぱいにするくらいなら、お魚を追加注文しておなかいっぱいになった方がいい。

つみれ汁(210円)。
ごろん、ごろんとつみれ団子が5個。あと、大根。シンプルなすまし汁だ。
大きめなつみれにかぶりつくと、青魚の甘み、苦み、渋み、うま味が口の中に広がる。そして、おつゆをずずずっと。うん、至福の時だ。
しかし、他の料理を食べるのに夢中で、しばらく放置していたら冷めてしまった。冷めたつみれ汁は、がくんと味が落ちた。やはり料理は温かいウチに食べなくては。

白目塩焼き(1,050円)。
白目、とは一体なんだ、という議論がメニュー選定時にあった。
「聞いたこと有る?」「いや、ないです」
二人とも知らなかった。恐らく、白い目をしている魚なのだろうけど
ちょっと待った。魚に白目なんてあるのかよ。魚は黒目だけだ。気持ち悪いわ、海の中で白目ひんむいている魚がいたら。
恐らく、火で調理すると目が真っ白になるから「白目」なのだろう。調理後の様を名前にしているというのは珍しい。
で?この魚は一体何?
メバルのような大きな目をしていて、確かに目が白目だ。恐らく、白目というのは房総半島あたりの通称名だと思うので、正式な名称は別にあるはずなのだけど・・・。店員さんに聞けばよかった。家に帰ってwebで調べてみたが、全く情報がなかった。

皮ハギ汁310円。
なぜか醤油に葱が浮かんだ小皿がついてきたが、これをどうしろというのだろうか。アラをしょうゆにつけてみたりしたが、どうやってもしっくりこなかった。何かの間違いだったのだろうか。
お汁の味はもう、ばっちり。
なぜ、「あら汁の素」というのがインスタント食品で売られていないのか、不思議だ。

「何か煮物が食べたいね」という話になって、金目姿煮を注文してみた。「半身」とメニューボードには書かれている。1,570円。結構なお値段だ。
伊豆稲取あたりで、金目鯛の開きを買うと1匹200円程度で小降りな奴になる。おかでんは、金目鯛といえばそういう「小降りな」イメージで見てきたので、いざ1,570円もする「金目の旦那」は一体どんな体躯をしているのか興味深かった。
出てきたのはこれ。さすがにデカい。思わず、この大皿を相方に持たせて、記念撮影をしてしまったくらいだ。何だか、ありがたい気持ちになるデカさだ。でも、金目鯛ってこういう魚なんだよな。「小さくて1匹200円そこいら」で買える方が間違い。
記念撮影の写真で、他の比較対象物との対比で大きさを分かって貰いたいところだが、相方の顔を出すのもアレなのでやめておく。
箸でつまむと、「ごっぽり」という擬音がふさわしいくらい、身がほぐれる。いいねぇ。ほっけの塩焼きも身離れがよくて食べてて楽しいが、この金目鯛だって負けてはいないぞ。調子にのって、大降りな・・・親指ほどのサイズはあろうかという・・・身をぱくぱく食べていたら、大きいはずのお魚があっという間に無くなってしまった。大変おいしゅうございました。ちょっと割高なお金を払うだけの価値はあるボリュームと味わい。拍手。

金目鯛のような、「ちょっとよそ行きのお魚」もいいんだけど、おかでんとしては「秋と言えばサバ」が食べたかった。多分、おかでんの好物10傑の中で、「サバの塩焼き」がランクインするだろうくらい、サバが好きだ。
しかし、前述の通り、なぜかばんやではサバの取り扱いがほとんど・・・1メニューを除いて存在しなかった。その1メニューが、これ。サバ漬け寿司。
1カン110円で、5カンが350円という価格設定になっている。えらいボリュームディスカウントだ。5カンだと、1カンあたりの単価が半額以下に値下がりしとるぞ。何かの書き間違えかと思ったが、実際に350円で提供していた。
ところで、サバのお寿司といえば圧倒的に「締め鯖」が一般的だ。時々、寿司屋で種子島の首折れサバだの、関サバだのを使った生の寿司が出ることがあるが、普通は酢で締めてある。アニサキス対策だ。で、今回のお寿司は「づけ」だという。ほほぅ?「づけ」という食べ方はマグロでは一般的だけど、サバでは聞いたことがないぞ。
「一体どんなものがでてくるのか?」という想像すらできないまま、待っているとやってまいりましたサバ漬け寿司。
まずは、レイアウトに笑ってしまう。シャリが、ぽつん、ぽつんとお皿の上に乗っている。5カンにしては皿がでかすぎて、なんだか殺風景だ。いや、殺風景なのは皿の大きさのせいじゃない。ネタが乗ってないぞ、これ。うわ、寒そう。
その肝心のネタは、隣の小鉢でまさに「漬け」られていた。なるほど、食べる直前に自分で乗っけて食べろというわけか。
それにしても、ずいぶんとサバが分厚いぞ?シャリとサイズがあってない気がするぞ?

乗っけてみる。何とか乗っかるが、バランスが悪い。相当な頭でっかちだ。
食べてみる。もがもが。
生のサバを食べる機会が少ないせいもあり、なんだか未体験ゾーンに突入したって感じがする。口いっぱいに広がるサバのまろやかな身。「もがもが」という表現がぴったりくる感じで、口の中で咀嚼する。
おかでんも、相方も、不思議な顔をしている。美味いんだけど、なんだかヘンな感じだ。何がヘンなのか、よくわからない。
「ええと。サバの身が結構もったりするね」
と形容するが、それだけが違和感を形成しているわけではないようだ。しばらく考えて、「あー、たれが甘いんだな。相当甘い。穴子のツメみたいに甘いぞ」ということに気がついた。甘いサバ、しかも刺身で食べたことが無かったので、相当な違和感を覚えたようだ。でも、これが結構美味いんだな。ちょっとくどい寿司だが、珍しい事もあってぜひお勧めしたいメニューの一つだ。それにしても5カン350円って安いよなあ・・1カン70円か。
最後、相方は食べ残していた朝獲れ850寿司と白目を持ち帰るため、パックを店員さんに注文した。すると、「生もののお持ち帰りはできないんですよ」と言ってきた。あれっ、以前訪れた時からルールが変わってる?
まあ、確かにそうだ。お刺身とか持ち帰られて、食中毒でも起こされた日にゃ、悪くもないばんやに火の粉が降りかかってくる。生もの持ち帰り阻止、ってのは店側としてはわからんでもない。でも、このルールが「春夏秋のみ」なのか、「春夏秋冬、いつでも生もの持ち帰りはダメ」なのかは分からない。
良かった、今回は「お持ち帰り前提で料理を注文」してなくて。もしそんなことをやっていたら、食べきれない料理を前に「ええ・・・?これを全部、持ち帰っちゃダメなのぉ?・・・食べて帰るしかないよな・・・ええぇぇ」って嘆息することになっただろう。
ばんやの楽しさは、現地でのみ味わいなさいって事か。ま、それはそれで「また行こう」という気持ちにさせられるから、いいけど。
今度は、ばんや併設の宿泊施設に一泊して、3食魚尽くしってのをやってみたい。遠くない将来、ぜひ。
(2004.10.22)
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