ラーメン家二郎への道

ラーメン家二郎を作ってみよう(その1)

面倒臭いので前振り省略

じゃ、ダメか?「ラーメン二郎」というお店をご存知か。その名の通りラーメン屋なのだが、今回の企画はここのラーメンをある程度知っていないと「ただの大盛りラーメンを自分で作ったぞの巻」で終わってしまうので、事前学習しておくと楽しいです。

2004年12月現在、東京、千葉、神奈川の3県に「ラーメン二郎」は25軒ある。そして、「もともとは二郎だったお店」「二郎に触発されて、二郎っぽいラーメンを出す店」をあわせると、その数は50軒を越える。

しかし、その割には、全国的な知名度が無いではないか、という声が挙がりそうだ。確かに、カップ麺化されているわけでもなく、ラーメンガイドにもあまり載っていないようだ。これは、三田本店の山田氏が取材拒否をしているからだという説があるが、実際のところは不明。しかし、「あまりにクセが強すぎるラーメン故に、好き嫌いがはっきりと分かれてしまう」というのが一因であることは間違いない。

ラーメン二郎を語る上で欠かせないのが、そのボリュームだ。店によってばらつきがあるものの、通常の1.5人前はあろうかという極太麺、非常に脂っぽいスープ、ドカ盛りされたヤサイ(キャベツ、もやし)、分厚く切られたブタ(この店では、チャーシューとは言わない。ブタと言う)は常にわれわれを圧倒する。食が細い人や、女性には受け入れにくいジャンルのラーメンだ。あと、グルエースと呼ばれる化学調味料がこれでもか、というくらい入る。もう、ジャンクの極み。

それだけではない。このお店の場合、ラーメンが出てくる直前に「トッピングコール」と呼ばれる行為がある。二郎においては、「ヤサイ、ニンニク、脂、カラメ(要するにカエシのこと)」は無料で増量が可能だ。だから店主に「ニンニク入れますか?」と問われたら、「ヤサイニンニクアブラカラメでお願いします」といった返事を返す事になる。知らない人が見たら、質問と回答がかみ合っていないようだが、そういう文化なのです、ラーメン二郎というのは。これを、俗称で「呪文」と言う。

野菜増しでこうなる

写真:めじろ台法政大学前店/豚入りダブル大ラーメン・ヤサイニンニク増し

大ダブル野菜にんにくマシマシ

写真:京急川崎店/大ダブル・ヤサイマシマシニンニクマシマシ。

上のめじろ台と比べて、ヤサイにおけるキャベツ比率が全然違う事が分かる。この辺りも、各店舗毎の自由裁量となっていて、食べ比べてみると面白い。

で、このトッピングコールが各店舗ごとに微妙に異なっているのが、社会学的考察の余地がありそうで面白い。たとえば、「マシ(増し)」というコールを認めているお店がある。要するに、より一層量を多くしてくれ、という二段階目の増量を要求する時に使われる。たとえば、「ヤサイマシマシニンニク」といった使われ方をする。店によっては、「マシマシ」が通用せず、店主に無視された挙げ句に逆にヤサイを減らされるような店もある。マシマシの変わりに「W」という表現を使う店もある。とにかく、ややこしい。

京急川崎店では、究極のトッピング方法として「男盛り」というオーダーが存在する(常連限定)。もう、こうなるとまんがの世界だ。冗談としかいいようがない。他にも、「ヤサイクリスマスツリー」とか、「アブラブラ」とか「カラカラカラメ」といったふざけたオーダーが確認されているが、まあ普通そんな呪文を言ったら、無視されるのがオチだ。よっぽどそのお店に通い詰めない限りは、ヘンな呪文は使うべきではない。

こんなラーメン二郎のマニアックさ、そしてボリュームの多さも相まって、「ジロリアン」と呼ばれる中毒患者は後を絶たず出現する。彼らジロリアンは、ラーメンが好き、というよりもラーメン二郎が好きだから食べる。だから、たまたま行こうと思っていた二郎が臨時休業でもしていようものなら、代替食になるものが無いため悶絶するしかない。ラーメン二郎を語る上で必ず登場する格言がある。「二郎はラーメンにあらず、二郎という食べ物なり」。これは、ジロリアンなら誰しもが納得する言葉だ。

ジロリアンも、最初はただの人だった。初めて食べたときは、大抵の人は「なんだこのギトギトベタベタしたラーメンは!」とオドロキ、あまりの満腹感に圧倒され、「いや、もういいですこのラーメンは」と思うという。そこで「性に合わない」と二郎を去っていく人の数のほうが多いはずだが、何割かは数日後になって「・・・また食べてみてもいいかな?」という気にさせられる。で、再訪問してみて、ハマる、というわけだ。全員がほぼ同じルートを辿って、ジャンキーになる。

二郎は、20軒以上もののれん分けをしたお店が存在するわけだが、セントラルキッチンでスープを作って配送するようなチェーン店ではないため、店ごとに味が異なる。麺だって、自家製麺なので店によってバラバラだ。中には「これが二郎?」というような店もあるようだが、その「ブレの大きさ」がまたジロリアンにとっては魅力となる。お遍路さんみたいに、あちこちの二郎を食べ歩く、という事を彼らはよくやる。で、あっちの店は盛りが甘い、だとかいろいろ議論をするわけだ。「ラーメン二郎野菜増し掲示板」というBBSが存在するが、そこでは各店舗毎にスレッドがたち、活発な情報交換がなされていて相当愉快だ。

かくいうおかでんも、ジロリアンの一人である。「ダイエット!?日記」連載以来、少しは栄養バランスを考えるようになった自分としては、ラーメンのように脂肪と炭水化物と塩分の固まりな食べ物は食べたくない料理だ。しかし、幸か不幸か、あるきっかけで二郎にはまってしまったんですねえ。今じゃ、酷いときは、週に2-3回くらいは食べてしまっている。体調崩しそうだ。でも、ムラムラと食べたくなってしまい、ついつい食べにいってしまうのだ。麻薬でも入っているんじゃないか、と真剣に勘ぐりたくなるような中毒性だ。以前、「へべれけ紀行」の中で、二郎における恐怖の麺増しとの格闘について触れた回があるが、あのような事を相も変わらず、今でも繰り返しているわけだ。

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はい、ここまでが前振り。大体概要はご理解頂けましたか?ここまでで相当な情報量なので、全てを把握するのは難しいと思う。でもな、いいかー、ここ試験に出るからなー。

で、こういうバックボーンがあるおかでんが、今回挑もうとしているのは「おうちで二郎を再現してみよう(通称:家二郎)」という事だ。神田神保町店みたいに長い行列を作って待ちたくはない、とか亀戸店のように臨時休業が多くて遠征してみてがっかりとか、鶴見店のようにヤサイの盛りが甘い、とかそういう不満を全て解消するのが、「なら自分で作ればいいじゃん」の一言だ。

いや、別に今の店に不満があるわけじゃないんだけど、何となく暇な週末を過ごしていて、一日に2回もフィットネスクラブで体を鍛えてしまうくらい暇で、「ならば家二郎やってみるか」って急に思いついただけなんスけどね。イトーヨーカドーの食品売場で、ふと思いついた。だから、この企画の表題が「緊急企画」になってるわけ。急に思いついたから、緊急企画。ただそれだけ。

(2004.12.12)

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