日本一辛い担々麺

蒼龍唐玉堂外観

台湾客家料理の店「新竹」に行ったが、休業ということで途方にくれたおかでん。

御徒町の駅に向けて歩いていたら、ちょっと目を引くお店を目にした。

名前を「蒼龍唐玉堂」というらしい。中華料理店だ。

名前や店の雰囲気からして、「万豚記」や「紅虎餃子房」に似ていると思ったが、帰宅後調べてみたらその通りで系列店だった。そもそも「万豚記」と「紅虎餃子房」が同系列だということも初めて知った。

当初は素通りするつもりだったが、店頭にあるメニューを見て気が変わった。今晩の食事はここにお世話になろう。

店頭には椅子がたくさん並んでいる。ピーク時には待ち行列が長くできるのだろうか。それとも飾りだろうか。その点は不明。

お品書き1

お品書き2

夜なので、当然飲む。ああ飲むとも。そのために、いきなりメインの料理には進まず、おつまみを注文することにする。

おつまみのメニューを見て、しばし戸惑う。何を選べばよいのか。

初めての店だから勝手が分からないということもあるのだが、とはいえ、掲載されている料理名はおかでんの想像力の範疇だ。料理のイメージは容易につく。しかし、困惑させられたのは価格だった。

一番安いメニューが「煮たまご」で100円。そこからずずずーっと値段が少しずつ上がっていき、水/焼き餃子20個の1,000円が一番高くなる。高級料理は扱っていないので、庶民の懐にはありがたいところだが、それにしては価格レンジが広すぎるのだ。安い方に値段の裾野が妙に広い。

一般的な中華料理屋だって、安い料理はある。200円とか300円程度でおつまみ類が用意されている。しかしそれは大抵前菜、冷菜の類。その200円台の前菜があった後、400円、500円台はすっ飛ばされて、メイン価格帯である600円から900円程度の一品料理が並ぶ。だから、注文する側も、「まずは前菜でいっぱい飲んで、その後メインを頼もう。2品だな。あ、あと餃子つけて3品」などと想定ができる。

しかし、このお店はずるずるーっと値段がリニアに並んでいるため、注文を組み立てるのが難しいのだった。180円で「スタミナもやし」なんて一品もあるし。この名前、「とりあえず、手軽に。」というメニューではなさそうだ。ガッツリ食えこの野郎といった風情。そういうのがあるので、700円800円クラスの料理を頼んでしまうと、3名,4名分の量がくるのではないか?などといろいろ考えてしまう。故に、メニューを前に躊躇してしまうのだった。

スタミナもやし

ジョッキとのサイズ比較

とりあえず様子見、ということでスタミナもやしを注文してみた。

やってきた料理は、ちょっとびっくり。量、おおいぞ。丼のような器に、もやしがたっぷりと入ったものが出てきた。

値段が値段ということもあって、居酒屋の突き出しのような、小鉢に入ったもやしを想像していたのだが全然違った。そうか、中華料理店だもんな、ナムル的なものや酢の物が出てくるわけがない。炎を制してこそ中華ぞ。

「スタミナもやし」とは、もやしを約1袋分にニラ少々を炒め、盛りつけ後に上にガーリックチップを載せた物だった。これで180円は相当安い。いや、原価率考えればこれでも十分に利益は出ているんだろうが、普通飲食店でこの価格帯は嫌がるだろ。こんなのでお客に満足されたら商売あがったりだからだ。でも敢えてメニューに載せているこのお店はナイスガッツだと思った。ちょっとうれしい誤算。

右の写真は麦酒ジョッキと比較したものだが、もやしがどれだけもっさり入っているかがよく分かるだろう。ビバもやし。

鶏皮

ゆでキャベツ

遅れてやってきたのが、同時に頼んでおいた「鶏皮・揚げピリ辛ポン酢」380円。

あー、そうか、もともと油ギッシュな鶏皮を揚げると、サクサクだけどジクジク、油天国になるのだったな。うっかり忘れていた。相当ハイカロリーの予感。「揚げ」ではなく「焼き」の方にしておけば良かったかもしれない。

鶏皮自体安いものだとはいえ、380円で提供するのは安いと思う。コッテコテということもあって、胃袋にたまる。安く満腹感(場合によっては胸焼け)を覚えるにはこの一品はお奨め。しかし、あれこれ食べてみようと思っていたおかでんにとっては、痛恨の選択ミスとなった。

その後追加注文したのは、「ゆでキャベツ」280円。これも安い。原価が安い物をうまく活用し、提供価格も安く抑えているというのがうれしい。本当はもう少し別のもの・・・四川麻婆豆腐などを狙っていたのだが、胃袋のキャパシティを考えてやめておいた。

お品書き3

お品書き4

遠慮がちにつまみ類を選んでいるのは、この後締めの一品を注文する気があるからだった。締めこそ本日のメインイベントで、このお店の敷居を跨いだ理由だ。

それは、「日本一辛い担々麺」。

担々麺がこのお店の名物らしく、メニューの先頭を飾っている。そしてそのメニューの上には、唐辛子マークがついていて辛さのレベルを明示している。いいねえ、唐辛子マークだらけだ。申し訳程度に「辛いメニューもあります」というのではなく、「どれも辛いですが、より辛いものもあります。」というスタンスが素晴らしい。

そんな中、ひょっこりメニューにあるのが、「日本一辛い担々麺」という物騒な名前。「日本一辛い」とは、大上段に振りかぶったものだ。しかも、唐辛子マークは、小さな唐辛子をずらずら並べるスペースが無いということで、規格外のデカさの大唐辛子マーク一個。次元が違う、ということらしい。やる気満々だ。

値段は980円と、ちょっと麺類を食べるにしては高い価格設定だ。このお店の他のメニューと比べても、高い。でも「日本一」に敬意を表して、頼んでみることにする。

お店の人にオーダーを告げると、「すごく辛いですけど大丈夫ですか」と言われてちょっとひるんだ。あれ、本気でやる気なの?と。こんなの、てっきり名前ばっかりの口だけ番長だと思っていたので、店から安否確認が入ったのは予定外だった。でもまあ、一般人レベルで辛いのであって、おかでんであれば多分大丈夫でしょう。そんなわけでよせばいいのに「大盛」(+100円)をオーダー。特盛(+200円)を頼まなかったのはせめてもの良心だ。ハイカロリーな鶏皮食べたから自制心が働いたんだな。

日本一辛い担々麺

届けられた「日本一辛い担々麺(大盛)」。980円と値段がよろしいだけあって、量が十分すぎるほどある。一人でガッツリ食べてもよいし、これだったら取り皿を貰って複数人でシェアするのもよろしかろう。

生玉子がサービスということでついてきた。辛さ対策ということだろうか。はっはっは、そんなものは不要ですよ。

しかし、丼の中身を見て「おおう」と思わず畏敬の声を上げてしまった。ええと、何ですかこれは。カレーですか、シチューですか。おおよそ、担々麺には見えないスープの色。何か赤茶色しているんですが。危険な色だな。そして、そのスープの中に唐辛子が丸ごと一本ニーハオ、ニーハオとあちこちに見受けられる。

具は、もやしと葱、挽き肉といったところか。そしてその具の上に茶色い粉末が・・・。花椒粉のようだが、ハバネロ粉にも見える。そうか!この茶色なスープはハバネロのせいか。急に形勢逆転。ハバネロさんには勝てるわけがない。こりゃ本物もん(ホンマもん)の激辛っぽい。いやまあ、注文した品は「日本一辛い」と標榜している以上、当然といえば当然なのだが。

スープがどろどろ

まずはスープをすくってみて、ご機嫌をお伺いする。

どろりとする。

粘性があるねえ。煮込まれてこうなったのか、粉末の香辛料を大量に入れたために粘度が高まったのか、どっちだろう。でも、そのいずれにせよ「辛さなら自信があります」宣言に他ならない。おおう、食べる前から危険信号ですよ。

スープを啜ってみる。

うん、辛い。辛いけどおいしいねえ、これ。何て形容すりゃいいんだ。単純に辛いだけじゃなくて、甘みを感じさせる味。世の中には、唐辛子ばかりをバサバサ入れて激辛でございというお店があるが、それとは一線を画した味だと思う。ええと、この味は何でできているのだろう。

イタ、イタタタ。

こちらがスープの材料を探ろうとするのを妨害するかのように、痛みがガーンとやってきた。やられた。痛いぞ、これ。「大沢食堂」で「カレーライス極辛」を食べた時と一緒だ、最初の3口くらいまでは平気なのだが、その後一気に豹変する。後戻りできないように追い込んでから、仕留めにかかる狩人だ。お前もそうだったのか、担々麺。

もうこうなると、痛みばっかりだ。なんとか痛み緩和剤として、スープに浸っていないもやしを温存する作戦に出たが、途中でもやしタワーが崩壊してスープの海に沈んだ。ああ。

麺は若干ぼそぼそした食感で若干ちぢれが加わっていて、担々麺用途として良くできていると思う・・・んだが、これが辛さをますます助長する。スープはどろっとしているので、保温効果ばつぐん。なかなか冷めないので、口腔内の痛覚を最大限働かせて痛いことこの上ない。

この担々麺を頼んだ時、水が入っている卓上ポットを持ってきてもらったのだが、みるみるうちに減り、結局退店時にはポットが空になっていた。多分2リットルくらい入っていたと思うのだが。それくらい中和しないとアカンかったというわけだ。ただ、それだけ飲んだのでおなかがだぼだぼになってしまい、途中おしっこに行く事になった。辛い物食べておしっこって何だか変だが、水をしこたま飲むと人間誰しもそうなる。

生玉子がサービスになっている

残り1/3になったところで、たまらず生玉子エスケープ。

しかし、既に口の中は荒野と化しており、今更援軍が加わっても後の祭り。あまり効果を感じられないまま、「ひゃー」などと言いつつなんとか全部を頂いた。

すごい奴に出逢ったもんだ。ホント、びっくりだ。全身、五感全てでびっくりした。これ、「蒙古タンメン中本」の北極ラーメンなんて目じゃないくらい辛いぞ。本当に日本一かどうかは分からないけど、とにかくすごい奴であることは間違いない。

そして、この担々麺は、辛さだけでなく味がいいというのもすごい。味、といっても辛さのあまりにほとんど分からなくなってしまったが、多分美味い、きっと。残ったスープを持って帰って、ご飯の上にかけて食べたいくらいだ。ただ、辛さのせいでご飯が相当進んでしまい、結構太りそうではあるが。どうですか奥さん、食が細いお子さんにこのスープとご飯を与えると、もりもり食べると思うんですが、試してみませんか。胃炎になるかもしれないけど。

また機会があれば訪れてみたい。このお店、結構気に入りました。

(2009.06.01)