垂涎の鶏と猫

本当はこの話題を記事にする予定はなかったのだが、この後控えている「信州・松本そば祭り2009」の記事が長丁場になりそうなので、現実逃避として。

陳建一麻婆豆腐

いきなりだが、麻婆豆腐が好きだ。日本風にアレンジされた麻婆も悪くはないが、麻辣爆弾と化したどす黒い本場四川風の麻婆豆腐が好きだ。ただ、日本人はもともと辛いものが苦手で、ましてや四川料理独特の花椒のシビレはもっと苦手だ。そのせいで、中国料理店に行ってもなかなか麻辣爆弾にお目にかかる機会がない。

陳麻婆豆腐

美味い麻婆豆腐が食べたい。夏になればこそ、そういう気持ちが強くなる。

そんな中、グルメ雑誌「dancyu」で麻婆豆腐特集が組まれたのはちょっとしたサプライズだった。麻婆豆腐って、有名料理ではあるが決してメインを張る料理ではない。しかし、雑誌で数十ページにわたる特集記事が組まれるくらいだから、おかでん同様麻婆豆腐を渇望している人はこの世の中に案外いるのだろう。

この手のグルメ雑誌で「八宝菜特集」とか「天津飯特集」というのは見たことがないので、それらの料理よりはファンがいると思って間違いなかろう。

dancyuの麻婆豆腐特集は、全ページカラーで、ひたすら赤黒く、油でテカり、豆腐がなまめかしくぶるんぶるんと揺れ、見ているだけで唾液が分泌されるやらおなかが痛くなるやら肛門が痛くなるやら、といったできだった。麻辣が苦手な人にとっては、グロ画像といってもよろしかろう。ただ、麻婆豆腐好きなら額縁に入れて飾りたいくらいのナイスショット。料理でもエロスを語れる、と真剣に思ったくらいだ。

龍門

その中で、大崎広小路の名店「龍門」が紹介されていたのが目にとまった。「本場四川料理」と店名にも掲げるお店で、その名に偽りはないといううわさはかねてから聞いてはいたお店。麻婆豆腐も当然名物らしい。そうか、このお店の事をすっかり忘れていたぜ。

というわけで、行ってみた。

2008年までは東五反田にあって、まだこの地に移転してから日が浅いせいか、客足はほどほど。有名店なので超満員かと思っていたので、ありがたい。

10名弱くらいの宴会が何組か、紹興酒デキャンタ飲んで楽しく飲み食いしている。こういうとき、中華の円卓は便利だ。

なんで団体が何組もいるのかと思ったら、ちょうどぐるなびクーポンで「忘・新年会下見コース」とかいって、飲み放題のコース料理が格安なプランを提供しているからだった。飲み放題コース、いいなあ。

この手の中華料理店って、料理うまいうまいと調子にのってビールを頼んでいたらすごい金額になってしまうので要注意。案外アルコール類が高い値付けになっている。わざわざ、「青島ビール」みたいな輸入ものビールを頼むとなおさらだ。町中の中華料理屋で餃子とザーサイつまみにビール大瓶飲む、という感覚でいてはいかん。TPOはわきまえないと。

よだれ鶏

さて、菜単を見て検討するが、お値段がどれも結構よろしい。これは、「お高くとまりやがってこの野郎」ということではなく、「大皿で出すぜ、覚悟しときな」という合図だ。値段結構するなあ、と言いつつあれこれ注文すると確実に食い地獄になるので、注文は控えめに。

まず、名物らしい「よだれ鶏」を注文してみる。1,380円。もの凄い名前だが、鶏がだらだらとよだれを垂らしているのではないので一安心。あまりの美味さに、食べる人がよだれダラダラ、ということらしい。とはいえ、誰だこんなネーミングをつけた人は。中国語では「口水鶏」になるらしい。よだれ、って「口水」なのか。

注文して一息つく間もなく、早速垂涎の的がテーブルに届けられた。早い。まだ唾液腺の準備ができていないくらいだ。どんなものか食べたことがないので知らなかったのだが、どうやら「冷菜」に属するものらしい。

ブツを見ると、ええと、棒々鶏のラー油がけ、といえばなんとなくイメージにあっているかな。なるほど、これがよだれダラダラな料理か。でも、多分辛いものが苦手な人にとっては冷や汗ダラダラだと思うが、どうか。

ではそのよだれ鶏を食べて、俺の唾液腺よだれスプレー噴射、と勢い込んで食べてみた。しかし、噛んだ瞬間に鶏肉の骨にあたり、差し歯崩壊寸前。危ない、これ、骨付き鶏だぞ。

そうだよなあ、中国の人たちって、骨の回りの肉をこよなく愛するもんな。「よだれ鶏」の名前を冠する以上、骨ごとぶつ切りの肉を入れて当然だわな。油断していた。

ラー油どっっぷりのたれなので、骨を手にして食べたりした日にゃ、手がべとべと。あと、気をつけないとラー油が刎ねて服に染みができる。いやあ、インド料理よろしく、五感に訴えかける料理だわこれ。

味は大層よろしゅうございます。具入りラー油、ということで唐辛子やにんにくなどを細かく刻んだものが鶏肉の上にたくさんかかっている。潮州辨椒醤、という名前になるのかな?よくはわからん。それに、白ごまがたっぷり。さらに、実物は確認できなかったが花椒の風味がたくさん。結構辛口に仕上がっていて、おかでん大満足。よだれも出ました腹も出た。ただ、辛いものが苦手な人が、料理の一品目でこれを出されたら結構凹むと思う。特に花椒が効いた料理というのは何となく気分を凹ませる効果があるので、なおさらだ。

連れは、「たれがもう少し少なくても良かった」と言っていたが、別におかでんは気にならなかった。それよりも、このたれをパック詰めにしてお持ち帰りにしたかったくらいだ。

酸菜魚

次にやってきたのは「酸菜魚」(1,260円)。「今月のおすすめ」なんだそうだ。webサイトによると、「湯通しした鯉と、塩漬けして発酵させた唐辛子などの漬物とのスープ煮」なんだと。ただ、お店の菜単によると、鯉ではなくてスズキなんだそうだ。確かに、鯉を入手するよりスズキの方が楽だろう。

これも食べたことがない料理なのだが、実物を見てびっくり。ああ、スープだと。「スープ煮」であることは当然知っていたが、スープ料理とは思っていなかった。でもちょうど良かった。

湯通しした魚、というのは豚肉の薄切りのような反り返り方になるのだな、と感心。そのお魚が丼にいっぱい入っている。あとは、ねぎや唐辛子など細かいものがいろいろ。スープは・・・タイのグリーンカレーですか、という色合いになっている。一体何からこんな色がにじみ出たのだろう。

食べてみると、その名の通りなのだが酸味があるスープ。酸っぱくて、若干辛い。この酸味は、「すんき(すぐき)」に似た味わいなので、乳酸菌発酵させたものなのだろう。この手の味わいは個人的に大好き。スズキの白身には特に強い味がついていないので、酸っぱいスープを飲む際の箸休めにちょうど良い。ほっとする味わい。

袁麻婆豆腐

そしてご本尊登場、「袁総料理長の袁麻婆豆腐」(1,180円)。思っていたより若干明るめの色なので、そんなに辛くないかと思ったらいやいや、本場を謳うだけあってそれなりに辛い。そして、何よりも花椒が結構強めに効いている。ううむ、これは大変によろしいです。ただ、こうなるともうビールなんて話じゃなくなる。ご飯だ、ご飯をくれ。なぜかこのお店の菜単には白米の記述が無かったのだが、頼んだら出てきた。小振りのお椀だったが、こればっかりは丼で食べたかったくらいだ。やっぱり麻婆豆腐はご飯だなあ。この日、おかでんは結局ビールをグラスいっぱいしか飲まなかった。

本場の麻婆豆腐、と銘打ってはいるが、葉にんにくのかわりにねぎが使われている。「本場の牛丼にはしらたきと豆腐が入っているべきだ」「アホ言え、そんなもの入っていなくて良い」という議論をするのと同じで、何が本場で本物かなんて誰にもわからん。これはこれで美味いから良い哉、良い哉。

ただし、これまでの3品、大皿料理故に全て量が多い。2名で食べていたら、もうここでおなかいっぱいだ。当初計画では、「隙あらば担々麺をも」と考えていたのだが、断念。このお店は、4名以上で訪れて、わーっと頼んでわーっと取り分けるのがよろしいかと。せっかく「町中の普通の中華料理屋さんとはひと味違う料理」が出てくるんだし。

なお、このお店、ランチ営業中は850円。麻婆豆腐もあり、ご飯はおかわり自由だ。一人で食べるならランチに行くのがヨロシイかと思う。

猫のまほう西五反田店

外観食後、大崎広小路駅すぐそばの猫カフェに行ってみる。チェーン展開しているお店。

15分単位で課金され、250円。最低30分から。あと、ワンドリンク制。

面白いのは、早朝まで営業しているということと、アルコールメニューや宴会コースもあること。猫がうろうろしているところでお酒を飲むのって、どういうことだろう。過去何度か猫カフェには行ってきたが、どこもカーペット敷きの店内に猫がいて、お客はそこにあぐらをかいたり、ソファに座ってソフトドリンクを飲みつつ猫を愛でる、というスタイルだった。アルコールなんてもってのほかだ。酔っ払った客が猫をふんづけたり、いろいろ問題が起こりそうだ。しかも、料理や酒を出すとなると、どうしてもテーブルが必要になる。テーブルの上に料理。そりゃもう、猫まっしぐらですわ。グラスひっくり返されたりつまみを盗まれたり、猫カフェ故のトラブルがありそうだが大丈夫か。

そもそも、猫カフェの猫というのは、常日頃お客さんにちょっかいを出されまくっていて、すっかり人に対して興味を失っている場合が多い。目の前で猫じゃらしを振っても、全然反応しない。構って欲しくないから、カーテンの裏や猫タワーの上に避難している輩がいるくらいだ。そりゃそうだわな、猫からすれば息つく暇がない。

半信半疑で店に入ってみたら、カーペット敷きの喫茶スペースに通された。猫はいない。いや、いた。壁にガラス戸があり、その中の段差のところに猫が3匹、居眠りしている。ええと、われわれがドリンクやら料理をオーダーしたら、そこの扉が開放されて、この猫たちが飛び出してくるということなのかな?

店員さんの説明によると、ここはあくまでもお茶を飲んだり食事をする場所なんだそうだ。で、猫がいっぱいいるのは上のフロアだ、と。なんとこのお店は2フロアにまたがっていたのだった。で、戸棚の中で寝ている猫たちは?というと、店員さんは「上のフロアで遊びつかれたのが降りてくるんです」と戸棚の上を指し示した。そこには、上のフロアと貫通している猫専用穴が。フロアぶち抜きとは相当手の込んだ事をやったもんだ。

ドリンクをオーダーしたら、早速上のフロアに上がってみる。つまり、ドリンクや料理を頼んでも、猫と遊んでいる限りはほったらかしになる。何だか面白いシステムだ。なお、ドリンクだが、飲み放題もできるからすごい。ただ、「飲み放題で飲む」のと、「猫を愛でる」というのは基本的に両立しないので、このオーダーを敢えてする人というのは相当な手練れということになる。おかでんでは無理だ。多分、猫と遊びすぎてろくにドリンク飲まないか、飲み過ぎて猫ほったらかしかのどっちかだ。

猫じゃらしに反応する猫カフェの猫、初めて見た

上のフロアに上がると、ドアを開けるやいなや猫どもが「あっ、人がきた!」とこちらに興味津々で近寄ってきたのには驚いた。なんだなんだ、ここの猫は遊んでほしくてうずうずしているぞ。

中には10匹以上の猫がいたのだが、その多くがわれわれに構ってほしくてうずうずしている。直接遊びを要求する猫はいなかったが、微妙な距離感でこっちを微妙に見ている。

うおおお。

今まで、「猫のおやつ」を買い与えた時だけすり寄ってくるような猫どもしか相手にしていなかったので、この「構って光線」を発している猫たちがなんと愛しいことよ。しかも、ナデナデするとおなかを見せてごろんとひっくり返る無防備ぶり。

(以下略)

猫のかくれんぼ

このあと延々と猫話をかきそうなので、やめとく。書いている途中でだんだん自分自身にうんざりしてきた。猫っていわゆるツンデレキャラなので、時に甘えられると一気に陥落してしまうな。猫好きが多いのも頷けるわ。

というわけで、場つなぎにしては長話になったが今日はこんなところで。以上、解散!

(2009.10.20)