最近、どこもB級グルメだらけだ。
「B-1グランプリ」というイベントが大ヒットし、またそこから「富士宮焼きそば」が全国区の知名度になったこともあり、全国各地の商工会やら観光課やらの目の色が変わっている。ただ、この狭い日本、ご当地独特のグルメなんて自ずと限られており、その結果「そんなグルメ、地元民でも聞いたことないんでスけど」という怪しい「ご当地グルメ」が乱立している状態。
ひねくれ者のおかでんはそういう状況を冷笑している立場なのだが、でもこの「多分一過性のブーム」が10年後20年後、本当にご当地グルメとして定着するかもしれない。そういう「種を蒔く」という意味では、B級グルメイベントやB級グルメで町おこし、というのは悪くないアイディアだと思う。
「ご当地」を考え、外部に発信していくことが、地域愛になり、治安だとかマナーの向上に繋がり、それが最終的には県や国をよくしていこう、という意識になると思う。
しかし、2010年春時点では「カネの臭いがするぜ!」という山師が集っている雰囲気がぷんぷんしており、落ち着いてこの手のイベントが楽しめるようになるまではしばらく時間がかかると思う。ある程度ふるいにかけられ、厳選され、定着した頃が一番楽しいと思う。
もともと「グルメイベント」自体が人気が高いのに加えて、物珍しいご当地グルメ、しかも廉価なB級グルメと3連続のジェットストリームアタックだ。人気が高すぎて、もうどこでこの手のイベントをやっても人混みと混乱の話しか聞かない。
今このご時世で、ご当地B級グルメのイベントをやって失敗したとしたら、主催者の能力不足を確信してよろしい。それくらいの「勝ち馬」だ。
ただその結果、需要と供給のバランスがどのイベントでも最悪で、「楽しみにして行ったけど酷い目にあった」という意見は枚挙にいとまがない。とにかく交通からして大混乱だし、会場内も酷い行列で、食べ歩きなんてとんでもないありさま。
今年3月の連休時に、岡山県は津山市でご当地B級グルメのイベントがあった。津山市は瀬戸内海から離れている「山間の一地方都市」。県外の人にはあまり知名度がない場所だ。でも、このイベントに15万人が集まっちゃった。そのせいで会場大混乱。
主催者側もある程度混雑を想定し、JR西日本に臨時列車を走らせたり、現地で使う金券をコンビニ端末で事前販売したり、ブログ等で随時各ブースの混雑状況を速報してはいた。しかしそれでさえ焼け石に水。とにかく、津波のような来場者数の前になすすべ無しなのだった。
開場たった3分で「完売」のブースが出てしまうなど、一体どこのオタク向け限定商法だよ、というありさま。転売屋がいたのだろうか?でも、まじでそういうダフ屋行為、場所取り行為は成立するレベル。
ちなみに最近この世界で知名度をあげている厚木のシロコロホルモン(でも地元でも食べたことが無い人が多い)は、やっぱり開場直後に4時間待ち。「ちょっと早いお昼ご飯」のつもりが、「おやつ」の時間になっちまう。
こんなの、「千客万来!」と主催者が浮かれているうちはまだいい。いずれ「ふざけんなバーカ」と人々は見切りをつけると思う。遠路はるばるやってきて、それで各ブースで1時間以上待って(中には開場と共にダッシュしないとありつけない!)、出てくるのはB級グルメ。なんの罰ゲームですかこれは。
ただ、そもそもこの手のイベントは「ご当地のグルメを世間に売り出したい!」という地域・組織が集まったものだ。だから、「一人でも多くの人に食べさせたいので大量生産・効率重視」という考えもあるし、逆に「少人数運営なので、数は提供できないです」という考えもありだろう。「製法に妥協はしたくないので、でき上がるまで時間がかかるけど許して」というブースだってあるはずだ。そのあたりの考えはブース毎の裁量に任されて当然であり、来場者が「列が長すぎ。ざけんな」とか「売り切れって、見込み甘過ぎ。ちゃんと仕込んでこいや」と怒るのはお門違いではある。
さすがに、主催者が「一日あたり最低1万食提供できるだけの、食材仕込みと調理手順の確立をしておいてください」と出展条件として提示するわけにはいくまい。
「数が出ない」=「認知度が上がらない」=「まあそういうところがあってもいいんじゃね?ハングリーなところだけが勝ち残ればいいし」というわけだ。何しろ、B-1グランプリなどは人気投票で勝ち負けを決めるイベント。物量作戦に出られないならそれはしょうがないよね、ウチは事前PR含めて仕込みに余念がないぜ、市長も当日ははっぴ着て客引きするぜ、みたいなやる気満々なところは頑張る。
ただ、来場者の期待値にまったくそぐわない規模でしか料理を提供できないような団体は、事前審査でハネないとダメだわ。どういう基準で「事前審査」をするのかというのはこれまた悩ましい事だが。そうしないと、イベント全体の印象を大きく損なう。
結局、来場者はモヤモヤとした不満を抱いている状態。行列が罰ゲーム状態なら食べなけりゃいいじゃん、というのに尽きる。食べないならつべこべ言わず並べ、と。これはもうしょうがない。
今回、偶然「埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」というのがGWの真っ最中に開かれる事を知ったので、行ってみることにした。
ちょうどGW中のおかでん、もろもろの所用が飛び石で入っていて、旅行やらなんやら大がかりな事ができなかったのでこのイベントは渡りに船。まさに「安・近・短」だ。
それにしても、B級グルメは細分化されてきたなあ。全国のご当地グルメを集めました、というのではなく、「埼玉県内の」と随分絞り込みをしてきている。でも、言っちゃなんだが、埼玉ってそんなに食文化が豊富だったっけ?埼玉県民には悪いんだが、「埼玉都民」と言われるように、「住居:埼玉。職場:東京。遊びや買物:東京」という人が大勢いる。埼玉南部と中西部は特にそうで、さて「ご当地グルメ」と言われてもいまいちピンとこない。まあこの際どうでもいいけど。
場所は大宮ソニックシティ。その名前を聞いた途端、あ、やばいなとニュータイプならではの察知。ソニックシティって、大宮駅から徒歩3分程度の駅前立地じゃん。あまりにも便利が良すぎるのだ。ただでさえ人気のB級グルメイベントで、公共交通機関が完璧な大宮、しかも駅前。「お前ら混雑して将棋倒しにでもなっちまえ」と主催者が魔の手を伸ばしているとしか思えない。特に、ソニックシティの広場は狭く、段差もあり、とてもじゃないが24ブースの出展それぞれに行列ができる状態が想像できない。
今回が「第六回」ということなので、過去の実績を調べてみた。あー、やっぱり5万人規模で集客されているのか。こりゃダメだ、「腹が満ちる」前に「はらわたが煮えくりかえる」方が先だ。
過去、各種そば祭りに遠征したり、「彩の国鍋合戦」「高麗鍋コンテスト」「オクトーバーフェスト」などの屋外飲食イベントに参加した経験がモノをいう時だ。ここは落ち着いて、ローリスクローリターンの方針で行こう。
この手のイベントには法則性がある。
(1)12時前後に一番混むのは当然だが、抜け駆けしようと開場時間に到着してもやっぱり混んでいる。みんな考える事は一緒。
(2)飲食イベントでは、腹がいっぱいになるととっとと退却する人が多い。13時を過ぎると客足が落ちる。
これらを踏まえると、敢えて昼下がりに現地入りをするのが正しいと考えた。しかし、これには二つの考慮すべき点がある。
(a)午後になると売り切れ店が続出するので、アレだけはどうしても食べたい、といった欲は出さないこと。まだ売られているものを粛々と頂く。売り切れても泣かない。
(b)今回は人気投票方式なので、投票締め切り時間(15:30)になると販売ストップは確実。その時間から逆算して現地入りすること。
というわけで、おかでんは14時頃に開場着という段取りにした。
どうせその時間にはあらかた売り切れているだろうから、どんなブースが出展しているかなんてのはほとんど見なかった。見るだけ無駄。優柔不断なおかでんにとっては、むしろ売り切れ店続出してくれた方がありがたい。胃袋と、財布の中身と、行列と、グルメの魅力を天秤にかける手間暇が省略されるから。
大宮ソニックシティ。
開場を遠目で見た時点では、なにやらのぼりがいっぱい立っていてメーデー会場のようだ。各ご当地グルメのPRのため、どこものぼりを用意しているようだ。確かに、場所をとらない一番手軽な宣伝方法だろう。
それにしても・・・14時を狙ったのに、人がうじゃうじゃいるぞ。嫌な予感。
もともとこのようなイベントをすることを前提とした場所ではないので、狭い広場内にブースがひしめきあっている。
会場は屋外2、屋内1の3箇所に分かれていて、そのうち飲食24ブースは屋外2箇所を利用している。屋内だと火気が使えないし、行列の凄さで呼吸困難になる人が出てくるかもしれないので妥当。
入口でパンフレットを貰い、あらためてざっと出展されている料理を眺めてみる。うわあ、知らねぇのばっかり。大学は埼玉にあったし、埼玉とは縁が深いおかでんなのだが、正直しらん。行田の「ゼリーフライ」はその名前の珍妙さとB-1グランプリ出場の甲斐あって知名度が高い。これは知ってる。
なんだかやたらとうどんが多いのが特徴で、「うどん・ほうとう・餃子」等の小麦粉料理は全24ブース中14ブースもあった。「ネタに困ったら粉モン」なのかね、と最初は呆れたが、でもむしろ「県」レベルのご当地グルメなんだから類似性があって当然のこと。変に奇をてらっていないのにはむしろ好感した。
後で調べてみたら、実は埼玉県って小麦生産では日本第三位(1位:北海道、2位:群馬)なんだって。へぇー、だから粉モングルメが多いのか。非常に納得したし、これでまた一つ勉強になった。そういえば「武蔵野うどん」が一時関東地区ではプチブレイクしていたっけ。
「彩の国鍋合戦」に出てきた「高麗鍋」はここでも登場。そういえば新座のにんじんうどんも今回、鍋ではなく純粋にうどんとして登場してきているな。一方、越谷の「鴨ネギ鍋」は出展しておらず。さすがにぽかぽか陽気のGW期間に鴨ネギ鍋はウケないと思ったか。
うわ・・・人だらけだ。14時でこのありさまとは、ピーク時は一体どうなっていたのだろう。入口付近であぜんとして立ち止まる人多数。そのため、誘導員が「立ち止まらないで右奥にまわってくださーい」としきりにアナウンスしていた。
ちょうど入口入ったところが熊谷の「雪くま」ブースの行列横っ腹にぶち当たる状態なので、避けてくれ、というわけだ。無理くりブースを配置した結果、なんだかいびつ。
ちなみに「雪くま」だが、要するにかき氷のことだ。不当に暑い場所として名高く、過去に40度を超える街ごとサウナ状態すら体験したことがある地。それを逆手にとって、最近熊谷は「あついぞ!熊谷」と宣伝している。ナイス切り返し。その結果、かき氷がご当地グルメとしてエントリーなのだった。非常に分かりやすい、説得力のある出展でござんす。ただし行列が非常に長かったので食べる機会は無かったけど。かき氷で「売り切れ仕舞い」するの、初めて見た。
なんだかもう、訳がわからない。
売り切れ店舗が続出しているのはブースの様子を見ればわかるのだが、それでも生き残っているブースの行列が長く、しかも蛇行しているので会場内がわちゃわちゃ。
「最後尾」のプラカードが出ているのはありがたい配慮なのだが、ブースがある場所から大きく外れたところに「最後尾」があるので、さっぱり全体の状況把握ができないのだった。
本当なら、ざっと各ブースを見て、料理の様子を見て、それから食べたいもの選び・・・となるのだが、ここだととてもじゃないがそんなのは無理。実際の料理をチラ見すらできない状態で行列にさあ並べ、と言われても困る。「現在60分待ち」なんていう声も聞こえるし。
だいたい、どのブースがどれだけ混んでいるのかさえ、ぱっと見ではわからない。
なお、行列は蛇行してわちゃわちゃだったが、ちゃんと地面に赤いテープを貼って整列させていた事は申し添えておく。主催者側も、混むことは想定の上でやるべきことはやっている。ただ、いかんせん人が多いのと、これだけの人をさばける広さが会場にはないということが問題だ。
第二会場は、ソニックシティの中庭、というかピロティ、というかそんな感じのところにある。階段を下りた地下一階スペースにブースが並ぶ。
これがまた分かりにくい。おかでんのようなノンポリ野郎は「全体を俯瞰し、空いているところから並ぶ」事をやりたい。でも、こうやって会場の場所が若干分かれていると、どこが今一番空いているのかが分からない。
この写真を見ると、「なんだ、空いているじゃないか」と思うだろう。しかしこれは「あらかた食い散らかされた」宴の後の状態。それでもまだこの状態なのだから、昼時は多分地面が見えないくらいの混雑だったに違いない。ようやく食事を購入できたは良いが、いざ食べようにも落ち着いて食べる場所なんてどこにもなかっただろう。
こういうイベントは、複数名で出かけて、手分けしてあれこれ買ってくる・・・というのが定石。しかし、こうも人が多いと「待ち合わせ場所」の指定が難しいし、各ブースの待ち時間がバラバラすぎて、帰着が遅い人を待っている間の時間が非常に無駄になる。そして、いざ食べるとなると、食べ回しをするためのテーブルなどどこにもないので、さあどうしましょう、となるのだった。
第二会場は、第一会場のように植樹が行列の邪魔をして行列が蛇行することはない。しかし、ブース同士が花いちもんめ状態で向かい合っているため、対面のブースの列の邪魔にならないよう、途中で90度に折れ曲がるのだった。結局ここでも、一体どこのブースの列が短いのか、さっぱりわからない。
会場、別のところにしようや。過去6回のうち、3回をここ大宮ソニックシティで開催しているようだが、24ブース+5万人が収まる場所じゃないって。もっとだだっ広い、学校の校庭みたいなところでやって欲しい。そして、行列はあくまでもブースから一直線に伸ばす。そうすれば、オーディオのイコライザーのように行列がデコボコするので、今どこが混んでいるのかが一目瞭然だ。理想を言えば、行列最後尾には食品サンプルを展示してくれれば最高。
でも、主催者側からすると「そんな会場を借りるお金はない。コストは極力かけない方針」と一蹴するんだろう。この際、来場者の不快感というのはあまり考慮されない。それだったら、料理1品100円とか200円といった原価割れな価格設定にしないで、300円や400円にすればいいと思うんだが。そのお金で会場費用と警備員費用に充てる。ここに集まっている来場者は決して「安く食事ができてラッキー」とイベントを「炊き出し」程度に思っているわけではない。純粋にあれこれ食べてみたいだけだ。値段が一品300円でも誰も文句は言わない。
じゃあそういう会場はどこにあるの、というとこれは難しい。手っ取り早いのは学校の校庭を借りることだが、土の校庭だったら砂埃で大変なことになりそうだ。ちゃんと舗装された、広いスペースってありそうで案外無い。警察の協力を扇いで、どこか広い道を封鎖するくらいしか無いかもしれん。郊外型スーパーの駐車場を貸してくれ、といってもお店が貸すわけないしなぁ。
第二会場のブースを見ると、日高市の高麗鍋が売り切れていた。2年前の「彩の国鍋合戦」では売れ行きが悪くて非常に微妙感を醸し出していたブースだったが、今回はきっちり売り切れ。ただ、売り切れ=大変よく売れました、というわけではないのがこの手のイベントの難しいところだ。客さばきが異様に遅いブースだと、大して客数は稼げていないのに時間ばっかり過ぎていく事になる。だから、14時過ぎでも売れ残っているブースは決して「不人気店」とは限らない。
高麗鍋に関して言うと、「鍋」であることから提供スピードが他店より早かったのかもしれない。鍋からお椀によそって、トッピングをちょっとして完成だから楽といえば楽だ。とはいえ、それは想定済みな訳であり、経験値を積んでいるはずなんだからちゃんと15時半まで売れるだけの量を仕込んでおいて欲しい、というのが来場者の気持ち。
おっとここで会場内にアナウンスが。14時20分現在の、まだ販売を続けています情報が周知された。「売り切れブース」の案内ではなく、「売れ残りブース」の案内であるところが、いかに早じまいが多いかということだ。
このアナウンスによると、まだ販売続行中の気合いが入っているブースは
熊谷市「雪くま」、所沢市「所沢焼きだんご」、川口市「キューポラ定食」、行田市「ゼリーフライ」、鳩ヶ谷市「ソース焼きうどん」、鴻巣市「こうのす川幅うどん」、川島町「すったて」、新座市「にんじんうどん」、さいたま市「スイーツ仰天餃子」
以上9ブース。
いまいる第二会場では「スイーツ仰天餃子」しか生き残りがないありさま。なんだ、じゃあもう第二会場はいいや。第一会場を主戦場にしよう。Uターン。
第一会場脇には、テーブルと椅子が並んだ「休憩コーナー」が設置してあった。食べにくい料理はここで食べると良い。・・・のだが、早い者勝ちな人達がすっかりベースキャンプとして陣取っており、そこから各ブースに食料調達に出陣しては戻ってきていた。これではいつまで経っても椅子一つ確保できない。
幼児または高齢者連れのグループ以外は利用をご遠慮ください、としておくべきだったな。もしくはこの休憩コーナー、撤去。これが無いだけで、随分行列スペースが確保されて楽になる。
食べるところにあぶれた人たちは、みんな立ち食いしたり、生け垣の段差を机替わりにして食べていた。売っているものがB級なら、食べている来場者の様もB級すぎる。もう少しどうにかならんのか。いや、来場者の質が悪い、っていってるんじゃなくて、ちゃんと食事できる場所を提供しようやと。
行列の様子を眺めているだけではここへ来た意味がない。とっととどこかに並ばないと。でも、残された料理の多くがうどんであり、ドキドキワクワクしないというのが実情ではある。
近くにいたお兄ちゃんも「なんだ、うどんばっかじゃねーか」とぼやいていた。
特に、第一会場の一角にはうどん系のブースが密集しており、うどんグルメ決定戦でもやっているのかという様相を呈していた。
それにしても油断していたなあ。
蕎麦まつりは、経験豊富な人たちによる大規模スクラムでブースを運営していたので、手際はやたら良い。しかも蕎麦が足りなくなってきたら、追い打ちをその場で始めるので、売り切れが少ない。そもそも、どのブースも「蕎麦」という点ではほぼ同じ物を提供しており、来場者の満腹感と飽きが早い。だから大量の集客があってもちゃんとさばけるのだった。
彩の国鍋合戦は、「鍋」という客への提供が容易な料理形態。列の流れがとても速い。しかも、汁物なので普通の人なら2-3杯食べたらおなかいっぱいだ。長居はしない。
その点今回のB級グルメは、一品当たりの量はそれほど多くないし、種類は(小麦粉料理に偏ってはいるが)豊富だし、長居して食べ歩く人が多いようだ。
しかも、「お持ち帰りにする」という手練れの強者も結構おり、焼きうどんを数パック、まとめて袋詰めしてうれしそうにご帰還する人を見かけた。今晩のおかずですかそれは。
第一会場の入口側は植樹があちこちにあり、それを避けるために行列が入り組んでいて何だかカオスの様相。何だかあのあたりに行くと面倒臭そうなので足を踏み入れなかった。写真を見て貰えばわかるとおり、何が何だかよくわからない状態。
とにかく、行列が短いところに並ばないと。
14時25分、川口市の「キューポラ定食」が完売したとのアナウンス。どんどん「まだまだ絶賛発売中」の店が減ってきている。これ、15時半のイベント終了時間までに全店舗売り切れたら、ちょっと問題だぞ?
この時点で一番空いていたのが川島町の「すったて」だったので、そこに並ぶ。もうね、うどんだらけじゃん、という状態なので正直言ってどこでも良かった。おかでんの前に居たお兄さんも、「うどんしかないじゃん」とぼやいていた。実際は、まだこの時点でもかき氷とか焼き団子といったうどん以外のものはあることにはあったのだが。
川島町。えーと、どこ?「かわしま」ではなく「かわじま」と読むらしい、という読み方からして知らん場所。説明するのが面倒くさいので、興味を持った人は適当にググってくれ。ちなみにこの町のキャッチフレーズは「都会に一番近い農村」だって。まず「村」なのか「町」なのかをはっきりして欲しい。
で、だ。ご当地グルメは「すったて」。名前を聞いたことくらいはある。おっ、町の名前よりも若干おかでん様に脈有りじゃないか。こう考えると、「ご当地グルメ」ってのは真面目に町おこしに役に立つのかもしれん。「川島町?知らない。・・・え?すったて、の町?ああそれだったら知ってるよ!」って。
ここは、行列の段階で引換券を売りに係の人がやってくる。この日食べたブースの中では唯一の手順だったが、こうやった方が客の回転が良くなってありがたい。
引換券売り担当者の配備と、引換券の作成という手間が運営側には増えるが、その分の効果は十分あると思う。ブースによっては、商品引き渡しテーブルで万札出してでお会計しようとするお客さんがいてドタバタ、とか「えーと、1人前・・・いや、やっぱり2人前にして」とかお客さんがやらかしていて、結構そこで客の流れが滞っていたし。
引換券はご丁寧にラミネート加工されたカラーのもの。この辺りからも川島町のやる気が感じられる。ちなみにお値段200円。今回のイベントは、全ブース値段を「200円ないし100円」の二択で統一してある。人気投票だから、ということで赤字覚悟でダンピングするブースが出ても困るので、値段には制約をつけたのだろう。安すぎたらダメよ、あと「B級グルメ」なんだから高すぎてもダメよ、と。
ごりごり。
カウンターですりこぎの音がする。面白い光景だ。料金精算用のスペースが空いた分、ブース手前ですりこぎ調理の実演をやっているのだった。これぞ、「すったて」、つまり「すりたて」の言葉の由来だ。・・・とエラそうに言うが、この光景を見るまで知らんかった。
大抵のブースでは、厨房奥で調理が行われていて、でき上がってパック詰めされた商品が手前のカウンターに運ばれてくる。そこでお客さんがどどどっと何人かはける。そして、また厨房奥の調理待ちでしばらく動きが止まる。
一方このブースの場合、「すり鉢待ち」なのだった。青いはっぴ着た旦那が神妙な面持ちで巨大すり鉢にいろいろな具を入れ、慎重にまんべんなく擦る。それを行列の人がこれまた神妙に眺めるという構図。
味噌をベースに、キュウリ他薬味類を順番に入れていく。でき上がったら、裏でスタンバイしていたうどんとドッキングして完成。
ようやくいっぱい目だわいな。まあ、それほど並んでいないから感無量というまではいかないけど。川島町「すったて」、どうもどうもお初です。
冷たいみそ汁うどん、と思っていただければあながち間違っていない。宮崎名物の「冷や汁」に通じるものがある。
なんでわざわざすり鉢を使ってなにやらあたっていたのかと思ったら、白ごまが入っているのですな。それをごりごりやって、風味を出していたというわけだ。その他の具は、キュウリの輪切り、青じそ、ミョウガ、玉ねぎ。
汁は適度に冷やされており、蒸し暑いGWまっただ中の都会・大宮では大変に心地よい。そういえば具のほぼ全てが、体を冷やしそうな野菜だな。温かい汁で食べることは最初から想定していないのだろう。
子供は嫌いだろうな、これ。青じそ、ミョウガあたりはお子様には分かりづらい味。でもな子供の諸君。ミョウガは旨いぞ。今は「うそだろ?」と思っているかもしれんが、あと数年すれば分かる。ミョウガ嫌いな君でもきっとわかる。こういう野菜こそが滋味である、ということを。その時、ぜひ君と杯を交わしたいものだなハハハ。
そんな薬味たっぷりの「すったて」。ある意味卑怯な組合せ、とも言える涼しげな一品であることよ。そんなわけで大絶賛したかったのだが、うどんが残念すぎるできだったので残念賞。薬味のインパクトが相当あるので、テーブルマーク(加ト吉)の冷凍麺のようにモチモチしていた方が良かった。惜しい。
あ、待てよ・・・。これは巧妙なワナかもしれん。「もっと美味いすったては川島町に来ればあるよ。おいでおいで」という誘い水かも。そういえば、さっきカウンターで川島町のすったて取扱い店舗全17店舗の紹介パンフレット貰ったっけ。そういう事か!
しかも、「すったて弁当お届けします」なんて宅配弁当店もあったりして、気になるじゃねぇかこの野郎。
まだ売れ残りがあるのは、第一会場の両端に偏っているような気がする。「すったて」の周囲はまだ販売を続けており、行列が絶えない。ただし、全部うどん系だけど。
また、ポリシーも何も考えずに「一番列が短い」ブースに並ぶ。今度は、鴻巣市の「川幅うどん」だ。
鴻巣は、最近「荒川の川幅は日本一ィィィ」ということを売りに頑張っているようだ。時々そういう話をマスコミで見かけるようになった。
川幅日本一って、利根川とか信濃川ではないのだな。「土手から土手の間」が川となるわけで、水でヒタヒタな部分が「川幅」ではない、というのがミソ。
それにしても「川幅」で売りにしようというのは面白いものだ。何でも商売や町おこしになるんだ、ということの証明。おかでんが子供の頃は、「○○国」といった疑似独立国家が各地にできたり(井上ひさし著「吉里吉里人」の影響?)、「日本のヘソはオラが町だ!」「いやウチが!」とやっていたモンだが、今じゃもっと目の付けどころのメッシュが細かくなっている。
ところで荒川を挟んだ対岸が吉見町なわけだが、吉見町からしたら「やられた!鴻巣に獲られた!」と思っていることだろう。まあ待て、でも吉見には吉見百穴という歴史的遺構がある。今度は吉見が百穴で逆襲する番だ。
ちなみに、埼玉県人が「鴻巣」と聞くと真っ先に思い浮かぶのが、「免許センター」だ。人口が多い埼玉県だが、免許センターは鴻巣1箇所にしかない。しかも駅から結構遠い。このため、地元の警察署で更新ができない非ゴールド免許な人は、罰ゲーム感覚で鴻巣まで行かなければならんのだった。
たとえば所沢の人だと、いったん西武線で池袋(東京都)まで行って、そこから再度埼玉県への侵入を試みる事になる。他県をまたいでようやく免許センターって。そうやって、埼玉の人は「次こそはゴールド免許を」と安全運転の思いを新たにするのだった。
あまり待つことなく、「こうのす川幅うどん」を入手。
こちらも冷たいつゆでいただくタイプのうどん。冷たいつゆのうどんって、さぬきうどん店では過去からあったが関東圏ではまだ本格的に普及していない。今後は「暑い夏にするっと食べよう」と若干人気がでるかもしれない。関東っぽい醤油色したつゆではなく、ほぼ透明な色なのがこれまた涼しげ。
で、「川幅うどん」を名乗るのはなぜかと問うならば。うどんの幅が広いんですね。幅広麺なのですね。以上お終い。
いやいやいや、これって・・・桐生名物の「ひもかわ」ではございませんか?と言いたくなるが、まあいいや。インスパイアでも亜流でも。美味ければ。
具は、わかめ、かつお節、干しえびといったところ。
いずれにせよ、ひもかわすらも食べたことがないので、この手のうどんは初体験。楽しませてもらいますよ。機会を与えてくれてありがとうございまする。
ずるる。・・・いや、擬音が違うな。ずる、とはいかない。びろーんと長いし、ご覧の幅広だ。わさわさっと口に押し込むしかない。こいつ、なかなかに食べにくい。
その食べにくさも一興よ、ホレ、こやつに賞をやらんかい、とお殿様気分で褒めてつかわしたかったが、いやー、人混みの中でこれを立ち食いするのはちょっと落ち着かない。口の中にうどんがいっぱい詰まってしまうので、モグモグやって、やって、やって、ごくり。これ、「うどん」というカテゴリで食べちゃダメね。うどんとはまったく違う食感になっているため、なんだかあまりおいしく感じなかった。「うどんではない!新感覚小麦粉料理!」くらいに名乗った方が、先入観が無くてよろしいかと。
14時35分時点、生き残りの中でやたらと列が長かったのが所沢市の「所沢焼き団子」。単なる団子っちゃあそれまでなんだが、一串に4個団子が連なっているのが特徴。所沢だけは「団子四兄弟」なのだった。
えーと、おかでんは以前所沢に住んでいて、徒歩1分くらいのところに団子屋があったんだけど、どうだったかなあ。覚えていない。団子なんてほとんど食べなかったからな。お赤飯とかおにぎりばっかり買ってた。当時は見る目が無かったって事か。
そんな団子だが、行列数はなんと135名なんだそうで。一体何が起きたんだ。サクラでも並ばせているのか?というくらいすごい。植木を縫うように、ダントツの行列。多分行列最後尾は1時間以上待ちになるとのこと。うどんはもういいから、ということで最後お口直しにダンゴを食べようという人が多かったのかもしれないが、それにしても人多すぎ。
何事かと思って偵察しにいったら、ああなるほど、店頭で炭火を使って団子をきっちり炙っているのだった。そりゃそうだ、「焼き団子」だもの。既に焼き置きしてあるものを、電子レンジでチンして出すわけにもいくまい。これは手間暇かかるな。
頑張れ、スタッフの方。頑張れ、並んでいる人。
新座市の「にんじんうどん」も、「14時半になっても生き残り組」が密集している一角で頑張っていた。
「彩の国鍋合戦」で新座のにんじんうどん入り鍋を食べた。その時は、「にんじんを練り込んでいる意味がよくわからない」とコメントし、「鍋ではなく単品で食べてみたいものだ」と締めくくっている。
「ならば今回ぜひ!」と言わんがばかりのタイミングで登場ですな。お久しぶりです。単品で食べにきましたよ。
にんじんうどん。にんじんが練り込まれ、オレンジ色に発色したうどんが特徴的。
これ、ひやむぎに応用して、あの少しだけ入っている色つき麺に「にんじんひやむぎ」というのはどうだ。
いや、どうだ、と言われましても・・・。
うどんができるってことは、にんじん団子とかにんじん肉まんとかにんじんそばとか何でもできそうだ。新座市はにんじんで町おこしだな。
つゆは豚コマが入っている。豚の旨みがよく出ており、もり系の麺を食べるにしては薄味だけどそれがまたちょうど美味い。ちなみに温かい。トッピングとしてなると、ねぎ、ほうれん草も添えられており、このパック一つがまるでコンビニ弁当のように奇麗だ。ちょっと感動した。これだったらぜひお持ち帰りしたいくらいだ。カイワレが色を添えてこれも美しい。
食べてみる。うん、やっぱりそのまま食べても「にんじん」の味はしない。ただ、にんじんの栄養を丸ごとゲットでにんじん嫌いな子供にも安心安全、という事は言えるんだろう。実際、学校給食コンクールで上位入賞を果たしたそうだし。
にんじんが入っているのはいいけど味がねえ、となったら相当に悲しいが、いやいやどうして、うどんとして見ても十分イケる食感ですよ。太さもちょうど心地よい。これ、期待値以上に美味かった。やあどうもありがとうございました。つーか、つゆに豚肉が入ってりゃ美味くなるよなー。豚肉最強伝説の幕開けだ。つゆの味でこの料理は相当得点を稼いだぞ。
人気投票の雌雄を決するのは、各店舗で一食につき1個配られる「こはだ」・・・じゃなかった、ええと、なんだっけ。「こはぜ」。そうそう、「こはぜ」だ。これを投票所で、気に入ったお店のポストに投函し、その数で競う事になる。
こはぜって何?というと、おかでんも知らん。行田市の特産品で、足袋に使う金具なんだそうだ。あー、アキレス腱部分についている、ホックみたいな奴の事かな?
で、投票所に行けば、トイレの片隅にあるような小さなごみ箱がずらりと並び、ごみ箱(今日は投票箱)の横に各店舗の名前が書かれている。お気に入りのお店に一票どうぞ、と。
しかし、肝心の「こはぜ」なのだが、食事を買っても貰えないというのは一体どういうことだ。この日回ったお店のうちで、こはぜを配ったのは新座のにんじんうどんだけだった。他の店では、事前に主催者から配布されていたこはぜの量を上回る販売量だった、ということなのだろうか?そんな馬鹿な。
人気投票を標榜していてこれはひどい。人気投票にすらなっていない。しかも、売り切れてもいないのに「こはぜ」が無いってどういうことだ?うがった見方をすれば、自分たちでこはぜを懐に忍ばせておいて、後でこそこそと投票所に行き、自分のブースに票をジャラジャラと投じる事をやってるんじゃネーノ、となる。そういう疑念を抱かれたくなければ、すぐ改善すべきだ。
というわけで、気持ちよく食べられた上にこはぜをくれたにんじんうどんにおかでんは一票。その他の店?知るか。勝手にやっててくれ。
なお、この手の投票のラフさは最大手「B-1グランプリ」においても同じ。あちらは、食べた割り箸を各店舗の投票箱に入れる仕組みを採用している。つまり、一食に付きお箸一膳が与えられるので、2票。で、勝ち負けは「投票箱に入れられた箸の重さ」で決まるのだった。はいここ要注意。「箸の本数」ではない。「箸の重さ」だ。いちいち数えるのは大変だから、「重さ」でやっているという事情は分かる。しかし、割り箸なんていくらでも外部から持ち込めるやんけ、とか、わざと水に浸しておいて箸を重くすれば不正できるよね、とかいろいろ怪しいルールなのだった。
どこまでガチ勝負でやっているのか、よくわからんイベントだわ。結局、話題になって認知度が上がればいいや、という互助会なのかしらん?
あついぞ!熊谷の雪くま完売。あまりの暑さに氷が溶けてしまったか。
よく考えたら、この時間まで売りまくっていたわけだから、一体どれだけの氷を運び込んだんだよ。食材搬入の際、「腰をいわせてしまった人」の数は恐らくこのブースが一番多いと思う。氷、むちゃ苦茶重いもんな。また、それを溶けないようにするために冷蔵庫やらクーラーボックスやら用意してると、かさばるし。
ただ、厨房機器はほとんどいらなかったはずなので、撤収は楽々ご機嫌だったはず。もし氷が余ったとしても、そこら辺にうち捨てておけば勝手に溶けるしー。
売り切れ宣言を既に出していたブースの行列が徐々にはけてきて、会場は少しずつ落ち着きを取り戻してきた。
14時40分時点で、先ほどおかでんが食べた川島町「すったて」の行列がゼロになった。そろそろ本格的にお客さんが退却を開始したらしい。しかしここは慎重に。三國志を読んでいれば諸葛孔明の権謀術策を知っているはずだ。敵兵が敗走したと思って深追いしたら、狭い谷間に引き込まれ、気がついたら四方を取り囲まれて皆殺しにされるという様を。それと一緒で、「行列ゼロですよー」と川島町が大きな声でPRすると、ささーっとあちこちから人が流れ込んでくるのだった。ほら、伏兵があちこちにいる。
行列の長さは生もの。「今空いているから、後も空いている」なんて保証はない。空いている時に、並べ。てめぇのおなかが空いているかどうかは二の次だ。
第二会場は随分と空いてきた第二会場にも行ってみたが、すっかり空いていた。
あらためて空いている第二会場を見下ろしてみると、やっぱりここ、会場としては不向きだわ。ここにある全ブースが既に完売となっており、あとは行列をさばくだけという状態。これでも列が斜めに並んでしまったりして、根本的に場所が足りていない。
売り切れてはいるが、まだ行列の人を処理中のブースは川越市「太麺焼きそば」、三郷市「小松菜餃子」、さいたま市「スイーツ仰天餃子」の3箇所。餃子ブースが2つ残っているのは、餃子という料理の性質上焼き上げるまで時間がかかるからだろう。他のブースと同数の行列であっても、自分の番が回ってくるまで相当待つことになりそうだ。来場と同時にスタートダッシュをかけたい人は、鍋料理など「すぐ出てくるであろう」ブースを狙うのが正解だと思う。
このイベントには、A3版見開きの全ブース一覧表示型パンフレットと別に、小冊子も用意されていた。こちらも前面カラー版で、結構お金がかかったシロモノ。
スポンサーのアサヒビールから出資してもらったんだろうが、アサヒビールも頑張ってるなー。一応会場の片隅でスーパードライを売ってる屋台がひっそりとあったが、案外売れていなくて笑った。ここは大宮駅前。ちょっと歩けばすぐにコンビニがある。そっちの方が安い。あと、みんな胃袋に食事をため込む事に注力していて、ビール片手にまったりという事をやっていないのだった。
それ以前に、「ビール片手に持って、料理をもう片手」だとあれれ、食事ができないんですけど僕どうすれば、という立食パーティーでありがちな状態になるのだった。テーブル席がないと、ビール飲むのは辛いわな。
「ほう!」
中身を見て感心する。各ブースの紹介写真と記事はA3版とまったく一緒なのだが、こちらの冊子だと「このB級グルメが食べられるお店」の一覧と連絡先、MAPが完備されているのだった。しかも、現地の観光情報まで。
これは良くできているなあ。「食べられなかった人、ごめんなさい。でも、もし良かったら現地まで来てね」という誘導が上手。または、「今回食べてハマった人は現地で、もっともっと食べてね」とも解釈できる。いずれにせよ、これは楽しいし、便利だ。主催者、やるじゃん。いままでさんざん運営方針に苦言を呈してきたが、これはイイぞ。
ただ、「食いたけりゃ現地に行けや。ここで食えるなんて考えが甘いんだよ」という解釈も成り立つので、理想は「ここでも食べられるし、現地でももちろん食べられる」事なんだがね。
笑っちゃうのが、ずらりと「ご当地B級グルメが食べられる店」を列記しているところもあれば、ほんの僅かなところもあるということ。ずらっと並んでいるということは、それだけ地元に定着しているんだなーとほのぼのとしてくるが2軒しか掲載されていないとなると「おいそれは本当にご当地グルメか?」と心配になってくる。これから頑張れ。
鳩ヶ谷市のソース焼きうどんがまだ頑張っている。行列の整理役兼売り子さんのお兄さんが、大きな声で客引きをやっていた。しかし15時を前にして、そろそろ厨房の残り在庫数と、行列の数を比較して「残り○○くらいかな?」なんてカウントダウンを始めたので、慌ててこの列に並ぶ。さっきからうどんしか食べていないので、他のものも食べたかったのだが仕方がない。なにせうどんしか生き残りが無いんだから。
焼きうどんねえ・・・と、最初はあまり気乗りしなかった。しかし、よく考えると案外「ソース味」の焼きうどんって食べていないモンだ。大抵が、というかほぼ全てが醤油味だ。なぜだろう。おかでんの生まれと育ちの地域がそういう文化だからだろうか?
味の想像はだいたいつくものの、いざ行列に並んでみるとちょっとモチベーションあがってきた。楽しみ。
結構ここは行列が長く、しかも流れが悪い。見ると、「最後のワルあがき」といったら失礼だが、満腹になった奥様方が退却前に「自宅へのお土産」としてたくさんお持ち帰りにしているのだった。なるほど。いや、でもそれはある意味賢い。家で落ち着いてゆっくりビールでも飲みながら食べた方が、できたてを食べるよりも美味いかもしれん。
行列整理のお兄さんは、子供を見つけて細長い風船で風船細工を作ったりしていた。飽きて子供がぐずらないようにという配慮は芸が細かい。ただ、お兄さんの専らの興味は、その子供たちの後ろにちょうど並んでいた若い女の子2名(生足が美しい20台前半の人)にあったようで、子供をあやす都度「どや?」という顔で女の子達に目線をくれていた。そしてその女性の背後に並んでいたおかでん。いやというほどその「どや顔」を見るハメに。惚れてまうやろー。
これが鳩ヶ谷ソース焼きそば。あ、違った、焼きうどん。ついつい「ソース焼き・・・」ときたら、自動的に「そば」ってタイピングしてしまう。それくらい「ソース焼きそば」は当たり前過ぎる存在。今日から認識を変えないと。
青のりくらいかけた方が色気があるのではないかと思うが、いやいや、屋台料理だからこんなシンプルさもまたイイ。自宅でこの手の料理を作ると、ついつい野菜が多くなりすぎてべちゃべちゃになったり、青のりかけすぎて怪しい料理になったりする。余計なものはそぎ落とすくらいの気迫が、焼きうどんにはあった方がよろしい。これくらいの具の量が一番おいしいと思う。
食べてみる。あれっ、カレー?と最初思ってしまったくらい、口に入れた瞬間のぱっとくる華やかなスパイスの香りと味が特徴。スパイス=カレー、という認識しかできない自分の味覚がつくづくイヤになるが、多分日本人の多くがこんなレベルだと思う。
酸味が強めのソースで、そのためにもっさりしがちな焼きうどんが爽やか。これは正直、美味いと思う。やられた。
いやー、広島人ってお好みソースで焼きそばや焼きうどんを作ることが多いんですわ。もちろんオタフクは焼きそばソースも出しているけど、大抵は家に常備してあるお好みソースで。その結果、非常に甘ったるくてべったりしたうどん(そば)に仕上がるのだった。正直それよりもこっちの方が美味い。お見それいたしました。
何だこのソースは?と思ったら、鳩ヶ谷にはブルドックソースがあって、その関係で「鳩ヶ谷焼きうどん」専用ソースを調達しているのだそうだ。ほう、また一つ勉強になった。
恐らく、ウスターソースをベースとしたソースなのだと思うが、独特の強い風味、これは売れる。自宅に一つ欲しくなった。
なお、このブースは今回はスペシャルバージョンでの参戦ということらしく、隠し味にうなぎ、鰹、牡蛎のエキスなんぞを入れているらしい。あんまりイベント向けにチューンしすぎると、ご当地グルメの域を超えてしまうので気をつけた方がいいと思う。でも美味かったからいいけど。
欲を言えば、天かすが入ってれば最高。普通の天かすじゃなくて、広島でよく売られているイカ天入り天かす。オタフクの「天華」なんていいです。・・・と、ここでオタフクについてもフォローしておく。でもホントに、「天華」は台所に常備しておくと便利ですよ。汁物に入れてもよし、炒め物に入れても良し。味が格段にアップする。カロリーも格段にアップするので要注意だけど。
15時、蕨市の「和楽備茶漬け」が完売。
ああー、うどん以外で食べられると候補に挙げていたのに。
だったらなぜさっさと並ばなかった?というと、ここの「茶漬け」はカレー汁の茶漬けだからという事。確かにB級ではあるが、ワクワクしなさっぷりが凄く、並ぶのに躊躇したのだった。そうしたら売り切れた。
そもそも、なんで蕨でカレーの茶漬けを?と思ったら、解説にはこう書いてあった。
「藁(わら)の火で客人をもてなしたという市名の由来にちなみ、蕨市は出汁ベースのお茶漬けで真心を伝えます!」
えええええ。「○○にちなみ」という言葉の前と後ろにどういう繋がりがあるのか、まったく読み取れなかったんスけど。なんか、無理してご当地グルメ作りました感ありあり。せっかく、中山道蕨宿があったんだから、団子とか大福とか、そういう伝統的和食を軽くアレンジしたものの方がいいと思うんだが。
それか、蕨宿跡の旧中山道には、もうもうと煙を一日中吐き出している鰻屋がある。あれは相当インパクトがあり、周囲50mは「臭いだけで飯が食える」状態。名物なのか老舗なのかはしらんが、あのインパクトを拝借して「蕨は鰻の町」ってことにしちまえばいいのに。
まだ食べていないところで残っているのは、行田市の「ゼリーフライ」くらい。先ほど、所沢焼きだんごも売り切れ。さすがゼリーフライ、B-1グランプリなどのB級グルメブームがくる前から「ひそかな人気」を誇っていただけある。大量の客をさばく術には長けているようだ。安定して速いスピードで客をさばき続けているのに、まだまだ在庫があるというのは見事。
あと、名前の勝利ってのはあるよな。ゼリーフライは、「おからコロッケ」という時点で奇抜な料理ではあるが、何よりも知名度を高めたのは「え?あのぷるんとしたゼリーがフライになったの?」と勘違いしちゃうネーミングにある。今でこそ有名になっちゃったが、有名になる前は「ゼリーフライなるものを食べてみた」的なノリで行田を訪れた人はいっぱいいただろう。
こちらが行田名物「ゼリーフライ」。
おからを揚げる、というのがいかにもB級。町おこしのために無理くりこしらえた感がなく、その素朴さがたまらん。場合によっては捨てるしかないおからを、再利用したあたりが実用性抜群。コストも安いし、栄養あるし。まあ、揚げた時点でカロリーもあるけど。でもその分、お子様のおやつに最適。
揚げた後はソースにどぶんとつけてあるので、表面にはすでに味がついている。
名前は以前から知っていたのだが、いざ食べるのは初めて。
食べてみると、「これ、ポテトコロッケじゃないの?」と思ってしまうほどホクホク感のあるコロッケだったのでびっくり。おからって、バサバサのイメージがあったからだ。これ、美味いぞ。
ただし、一口また一口と食べると、ずしんと胃袋にくる。なかなか重たい食べ物だ。そりゃそうだ、大豆の絞りかすが原料だもんな。
食べる場所を求めてテントの裏側に回ってみたら、そこはまだまだ戦場。15時を回っても我らがゼリーフライはたくましく、ひたすら揚げ続けられているのだった。すごい熱気で、テントの外まで熱気が溢れていた。
クーラーボックスがたくさんあるので、恐らく冷凍ゼリーフライを現地から持参し、ここでフライヤーを使って揚げているのだろう。
よく考えると、各店舗全部違った商品を作っているわけで、厨房機器はバラバラだ。これ、自前調達しなくちゃいけないから出店者は大変。「そば祭り」とか「鍋合戦」の場合は、主催者がアレとコレはこちらで用意します、なんて至れり尽くせりだ。ほぼ同じフォーマットで料理を作るので、厨房機器を主催者で一括調達できる。しかしこのB級グルメイベントはそうはいかない。こりゃ大変だ。
揚げ物なんて特に大変で、廃油処理しなくちゃいけないし、フライヤーを掃除して返却して、って相当手間だ。
こっちは鳩ヶ谷ソース焼きうどんのブース。
なるほど、こっちは鉄板調理だな。非常に大きなコテでうどんと格闘中。
ここのガス機材の下からは、煙突がにょっきり出ていて、テントの上まで伸びていた。非常に三次元な世界。テントの中で調理するとなると、不完全燃焼がうっかり起きたらテント内全員ばたばたと倒れる事になりかねない。排気は大切。これまた大がかりだ。
面白かったのが、こちら。蕨市の茶漬けブースだが、電子レンジが三台並んでいた。野外屋台で電子レンジとな。
恐らく、茶漬けに入れるおにぎりをここで暖めているのだろう。そのあと、鍋からカレー汁を注げばでき上がり、と。
電子レンジ便利だなー。でも、3台も同時稼働させて、ブレーカー落ちたりしないんだろうか。配線には少々気を遣ったはず。
さあこれで、食べられるものは全部食べた。うどんだらけの食事となったので、もう少しあれこれ食べたかったがもう十分。翌日も引き続き開催されるが、いやいや、一日で十分でござんした。
面白かったが、二度目はないなー。行列に並んでまで食べたいとは思わないので。一度このイベントを体験できたので、これでおなかいっぱい。行列も厭わない方は、仲間連れで来年以降ぜひどうぞ。
ただ、埼玉県内に散らばる24のB級グルメというのは興味深い。イベントとしてではなく、この24箇所を行脚して、「埼玉Bグル遍路」ってのをやってみたいな、と思った。いずれそういうのをやるかもしれない。
そう思わせた分、イベント主催者と出店者の勝ち。いや、恐れ入りました。
(2010.05.06)
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