コストコでお買い物をする際、いつも買ってしまうものの一つが「ベーグル」だ。コストコのベーグルが飛びぬけて美味いとはおもわないが、安くて量が多いのが魅力。しかし量が多すぎるので、大半は冷凍保存しないといけないのだけど。
ちゃんとしたベーグル屋さんやパン屋でベーグルを買うと、案外高くつくものだ。だから普段使いとしてベーグルを買うということはない。美味いけど、そんな扱いの食べ物。
そんな中、ホームベーカリーでベーグルを作ることが可能である、ということを知った。ほう?それは興味深い。家で廉価にベーグルが出来るなら、それは楽しそうだ。
とはいえ、気をつけなければいけない。前回、「ホームベーカリーであんぱんを作る」ということをやって、なんだか失敗してしまった例がある。「ホームベーカリーで出来なくはないけど、敢えて作らなくてもいいよね」というものまでレシピに載っているからだ。ベーグルだって、そうかもしれない。
しばらく逡巡したけど、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と格言を大げさに唱え、作ってみることに決めた。そもそも、ベーグルってどうやってできているのかさっぱり知らないので、今回は良い勉強になる。
折角家で作るからには、普通のベーグルを作るだけじゃつまらない。「巨大なベーグルサンドを作ろう!」ということにした。こいつァ喰い応えがあるぜ!ウホォォォ!というようなサンドを作りたい。
なんだかベーグルって意識高い料理っぽいジャンルに分類されていて、ヘルシーでなくちゃいけないような印象がある。オーガニックかつロハス推奨、みたいな。でも僕が作るからにはそれは許さん。一緒に巨大なハンバーグを焼いて、肉汁ダラダラでギットギトな巨大ベーグルサンドを作ってやるぜ。ざまあ見ろ。
何に対して「ざまあ」なのかよくわからないけど、そういうグランドデザインができたらかなりテンションが上がってきたぞ。
ホームベーカリーに、レシピどおりに食材をセットしていく。
強力粉、塩、砂糖、水、そしてドライイースト。
なんだ、普通のパンじゃないか?とおもう。何でこんなシンプルなものがヘルシー面をしているんだ、とおもったが、そういえばバターやスキムミルクといった乳製品が全く入っていない。こういうところが喜ばれているのだろう。
ホームベーカリーがゴトゴトと生地をこね、勝手に焼き上げてくれてベーグルが完成!というわけにはいかない。ホームベーカリーのマニュアルに添付されているレシピの半分近くは、生地が練れたらいったん取り出し、加工して、別の容器に移して焼き上げる」といった手間がかかるものだ。ベーグルもまたそう。そりゃそうだ、ベーグルといえばあのドーナツ風の外観が特徴だ。ホームベーカリーのフタを開けたらあの形のものがこんがりキツネ色に仕上がっていたら相当びっくりだ。
生地を取り出してみると、べたべたしていて「うわあ」と情けない声が出た。本当にこれでベーグルができるのだろうか?
まずは生地を寝かせる必要があるようだ。いったん小分けにして、しばらく休ませる。このべたべたした状況では、とてもじゃないがドーナツ状には形をまとめられない。
「折角だから巨大なベーグル1個!」
と画策していたのだけど、結局「大1個と小4個」という折衷案になった。というのも、ベーグルはデカくできたとしても、中に挟むハンバーグのサイズが巨大ベーグルにつりあわなくなってしまうからだ。ハンバーグは若干サンドからはみ出ているくらいが美しい。今回もそうありたいものだ。
生地を切るには「スキッパー」と呼ばれる器具を使うのだけど、そんなものは持ち合わせていない。面倒なのでちぎっては投げちぎっては投げ。
「生地が乾燥しないように、濡れぶきんを掛けたほうが」
ということで、ふきんをかけておいた。なにせ慣れないことなので、何が正解なのかよくわからない。これからこの生地が発酵して膨らむのか、それともこのままのサイズなのかさえわからない。
しばらく生地を休ませたあと、成形に入る。
レシピによると、生地の真ん中にえいやっと指で穴をあけ、そこから穴を拡大していってドーナツ型にせよという。しかし強力粉でこしらえた生地なので、なかなか指では穴があかない。うりうりと押したり引いたりしているうちに、ようやく穴があいた。というか、だんだん手さばきが大胆というか、雑になってきて途中からグイグイと生地をいじる。
そうでもしないと、強力粉がゴムのようだ。引っ張ってもすぐに元に戻る。
本当のベーグルは、ひも状に生地を延ばし、それを輪っかにして成形するらしい。まんじゅう状態の生地に穴を貫通させるという作り方ではない。でもまあ、いいや。
成形出来上がり。
ここからさらに生地を寝かせ、発酵を促すのだという。ここから発酵でデカくなるのだろうか?それとも、焼いた際にデカくなるのだろうか?いや、全くデカくならないままこのサイズなのだろうか?
このサイズのままなら「ジャンボベーグルサンド」にはならない。もしそうなら、オニオンリングフライのようにベーグルを輪投げのようにして何段にも山積みにしてみようか。
温かいところで発酵、ということだったので、ヘルシオのウォーターオーブン機能を使ってみることにした。ちょうど発酵モードを備えているからだ。
ここでも濡れぶきんをかけておいたのだが、ヘルシオから取り出してみて仰天。あッ、生地がべとべとになってふきんにくっついている!
ウォーターオーブンなのだから乾燥は気にする必要がなく、ふきんなんてかけなくてよかったのだった。むしろふきんなんてかけたら、ご覧の有様だ。
あーあーあー、一つ勉強になったけど、どうするよこれ。べったりひっついてるぞ。トリモチ状態だぞ。
かんしゃくを起こして、このままふきんごとオーブンで焼いてやらぁ!と思ったが、さすがにそれはやめておいた。オーブンの中でふきんが燃えて火事になったらたまらない。
そーっと、そーっとふきんを剥いだらこんな有様。あーあーあー。なんてこったい。発酵してふっくらした感じは皆無だし、ベーグルらしい穴もほとんど潰れてしまった。
汚物にしか見えない・・・と思ったが、やめろ!絶対にそれを口にするな!そうとしか見えなくなってしまう。
気を取り直して、生地を再度成形。こちらは小さいベーグルのほう。
大きいベーグルも復活。
復活、といっても生地がボッコボコだ。
再度寝かせて発酵させるべきなのかもしれないけど・・・まあ今回はいいか。発酵終了とみなし(根拠なし)、次の工程に行こう。
えっ、ベーグルって茹でるんスか?へー。
熱湯で片面30秒ずつ、茹でる。
なんで茹でるのかよくわからないけど、これがベーグル独特のモチモチ感のゆえんなのだろう。そうでないと、このまま焼き上げたら単なるドーナツ型のパンだ。
「茹でたら、この生地のぼこぼこがきれいさっぱりツルンとならないかな?」
と淡い期待を抱いたのだけど、無理だった。やっぱりそうか。
茹で上がったベーグルご一行様。
「えーと、何だろうこれは。見たことがあるような気がするけど、思いつかない」
少なくとも、パンの類ではない。天ぷら?いや、それも違う。
「ああ!シュシュだ!」
食べ物の形容ができないところが寂しい。焼き上げると色がつくので、もう少し見栄えがよくなるかもしれない。それに期待したい。
最後の工程。オーブンで焼いてみた。
ダメだろうなあ、と思っていたのだが、意外や意外。あれえ?案外まともなものができたぞ。小型ベーグルについてはそばボウロみたいな形になってしまったけど、大本命の大型ベーグルはなんだかそれっぽい。
もう少し焼き色をつけてもよいのかもしれないけど、欲張った結果バサバサになっても困る。この程度の焼きで良しとしよう。
ベーグルサンドにするので、包丁で真っ二つに切る。
ベーグル断面。
ほー、ちゃんと焼けているしちゃんと食べられそうだ。ダマになっていることもなく、おいしそうだ。成分に関しては、強力粉に塩砂糖程度なので味に間違いはないはずだ。
よっしゃ、後は中に挟む具だ。
いったん意気消沈していたけど、やる気復活。
レタスをしこたま盛り付ける。
そしてハンバーグを焼く。おりゃー。
小ぶりとはいえ、フライパンいっぱいに肉を敷き詰めて焼くぜー。400グラムくらいだったかな?
ハンバーグを焼く間、つけあわせのフライドポテトも揚げる。ヘルシーにはさせないぜ、という決意表明だ。
揚げ油はごま油でGO!とも思ったけど、さすがにそれはくどすぎるだろうからやめた。というか、ごま油なんて使ったらかなりお値段がかさむ。
ハンバーグが焼きあがったので、ベーグルにドッキング。コアファイター!
トマトも盛り付けることにしたけど、1切れでは到底物足りなかった。4枚を乗っけて、ようやく見栄えがよくなった。さすがジャンボベーグルサンド。カロリー不足のあなたへ、ぜひ。
Aパーツもドッキングさせ、ベーグルサンド完成。うん、途中どうなることかと思ったけど、無事できたぜー。
「大きなハンバーガーには、よく串が刺さっていますから、アワレみ隊の串を作りましょう」
と言ってカツが作ってくれた、アワレみ隊フラッグ。竹串に、家のプリンタで印刷したアワレみ隊ロゴを三角形に切ったものを接着。器用なものだと感心。鳥さんたちも感心。
というわけで、アワレみフラッグを突き刺して無事完成。
自画自賛するに余りあるステキなベーグルサンドが完成した。こりゃいいぞ。
「これなら売れる!」
とはしゃぐ。いくらで売れるか、というのはちょっと置いといて。
フライドポテトは、揚げる際に衣に片栗粉を混ぜてある。そのせいで、かなりカリッと仕上がっていい感じ。
ベーグルアップ。
ピクルスがないので、かわりに唐辛子の酢漬けをサンドしようかと思ったけどやめておいた。折角作ったものを激辛にして食べづらくしてどうする。
大きさ比較のため、自分と一緒に写ってみる。
笑っちゃうくらいデカい、ということはないけれど、ベーグルとしては十分にデカいということがよくわかると思う。そして燦然と輝くアワレみフラッグ。
断面図。
見よこの肉肉しさ。ベーグルよりもえらそうにしてるぞオイ。
フライパンに残った肉汁にウスターソースとケチャップを混ぜて、ソースを作ったのだけど全く不要だった。スパイスをあれこれ入れて、これ自体にかなり味がついているからだ。
ベーグルは「もちもち」感という点では市販品より劣ったけど、焼きたて故にかなり美味しいものが出来上がった。自画自賛しがいのあるベーグルだ。しかも肉はガッチリ食べ応えがあるし、レタスはしゃきしゃきだ。ポテトも美味し。
手間がちょっとだけかかるので面倒だけど、手間をかけただけのウマさだったと思う。1/2食べればかなり満腹。満足しまくりの自炊だった。
アワレみフラッグはこのまま捨てるのは惜しいので、また別の料理を作った際にでも突き刺そうと思う。とりあえず一升チャーハンでも作った暁には、てっぺんに突き刺してみよう。
(2016.09.22)
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