イエ・カラセット

角ハイボールガーデン

六本木ヒルズをさまよっていると、テラスでイベントをやっていた。

角ハイボールを手ににっこりと微笑む井川遥のポスターがたくさんぶら下がっている。

なんだ、ここでもハイボールガーデンをやっているのか。

東京タワーの下でやっているイメージがあったが、六本木ヒルズの裏側でもやっていたとは。

もちろん僕はお酒を飲まないので、無縁の話だ。

スツールに腰掛け、昼間からハイボールを飲んでいる諸氏を生暖かく眺める。

地下鉄駅から六本木ヒルズを目指すしてもここは通らない。なので、気づかれにくい隠れ家だ。そのせいで、ゆったりとした雰囲気で、めいめいがお酒を楽しんでいた。

いくら炭酸水で割っているとはいえ、原液は40度の度数があるお酒だぞ?よくやるな、と思う。

もちろん、酔っぱらいはいない。サントリーだってバカじゃない、客層が悪くなりそうな場所にはアンテナショップは出さないのだろう。六本木なら、昼からテラス席でお酒を飲んでいても何らやましくなく、むしろ高貴なイメージさえ漂う。

ハイ・カラセット500円

見ると、角ハイボールと唐揚げをセットにした「ハイ&カラセット」なるものをメインに売っているようだ。CMでも頻繁にこの組み合わせをアピールしてたな。サントリーは、ウイスキーの消費を増やすためにお酒そのものの旨さを知ってもらうだけだけでなく、「ほら、この料理にだってウイスキーが合うんですよ!」という組み合わせを提案している。

つい10年、20年前は「ウイスキーなんて年寄りの飲み物だ」と思われていた時代があった。度がキツくてカジュアルに飲めないし、若者が好む料理にイマイチなじまない。そりゃそうだ、居酒屋にいけば甘ったるくてカラフルな「サワー」がブームだった時代だ。

そんなわけでサントリーは「和食にも合うウイスキー」として「白角」を投入したりして、随分苦労していたものだ。それが今や、「ハイボール」で一気に形勢逆転だもんな。世の中のはやりというのは全くわからない。ハイボールなんて、昔っからある飲み方なのに。

僕自身が居酒屋に行くことはほとんどないのだけど、職場の懇親会で世のおっさん達の飲みっぷりを見る機械がある。すると、「最初の一杯はビール。二杯目からは最後までハイボール」という人が結構多いことに気づく。むしろ今や、焼酎が飲まれなくなっている気がする。飲み放題にワインがあっても誰一人頼もうとしないし、お酒って流行り廃りがあるものだな、と思う。

話を戻して、ハイ・カラだ。

もちろん僕はお酒を飲まないので関係ないのだが、揚げたての唐揚げを出します、と書いてあるのには惹かれた。揚げたて!それはぜひ、単品でもいいから食べさせてもらいたいものだ。揚げ物は揚げたてに限る。これは万有引力の法則の次に大事な、物理法則だ。

メニューを見ると、単品で唐揚げがあった。しめた!

しかし、さすがに「角ハイボールガーデン」で唐揚げ単品を注文する、というのはみっともない気がする。お前めちゃくちゃ唐揚げ好きだろ、デブ!って後ろ指をさされそうだ。残念ながらああそうだとも、と胸を張って開き直るほどの勇気はない。

このイベント、プレミアムモルツさえ置いていない。お酒はハイボールしかないぞ!という潔さだ。しかしさすがにソフトドリンクは置いてあった。パパがハイボールを飲んでいる間、チビたちが場繋ぎをするためだろうか。

で、置いてあったのが、伊右衛門、なっちゃんオレンジ、南アルプスの天然水。

んー。

なんかもう少し他の、ないのかね。だって、メニューにはこう書いてあるんですよ。

揚げものと角ハイボールが合う3つの理由

○揚げものの油を炭酸が流す!

ペプシくらい置いてくれても、と思うが、あくまでもこの屋台はハイボールをPRする場。ソフトドリンクを飲むヤツはおまけにすぎない。というわけで、僕は伊右衛門を注文。

イエ・カラセット

伊右衛門と唐揚げで、イエ・カラセット。

単品の組み合わせなので、「ハイ・カラセット」よりも100円高い600円になっちまった。お酒よりも高くついてしまうとは。

周りが角瓶を模したグラスで飲んでいるというのに、一人チューチューと赤いストローで緑茶を飲んでいるのはシュールだ。でもまあいい、揚げたての唐揚げさえ食べられれば。

食べた。うまい。でも、これだと本当に「唐揚げが食べたいだけのデブ」の域を超えていない。うーん、満足感は低いな。

今更お酒を飲もうとは思わない。でも、こういうときに不自由さを感じてしまう。

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