
おかでん家のクリスマス。
新婚、ということをことさら強調するつもりは全くないのだけど、「夫婦」で過ごす初めてのクリスマスということになる。
ひねくれものの僕はクリスマスという「商業イベント」に加担する気は全くなく、むしろそういう世間に背中を向けてきた。いや、背中を向けるというよりも、興味がなかったというのが正解だ。「反発する」ってことは、「めっちゃ意識している」と同義語だからだ。
何か祝い事をやろうという気はもともとなかったけど、四季折々の行事というのは極力夫婦生活に取り入れたいと思っている。二人の「ToDoリスト」には、毎月の旬の食べ物と歳時記が列記されており、それらを「こなす」ことをやっている。お祭りに行くのも、野菜や果物、魚介といった季節ごとに変化する食べ物を積極的に食べるのも、日常生活にイベント性を持ち込みたいからだ。
クリスマスも、そう。せっかくだから、何かやる。かといって、「賢者の贈り物」みたいなプレゼント交換は考えていないし、取って付けたような洋食レストランに行くこともしない。敢えてそういうのとは違うことを、やるつもりだ。
写真は、冷蔵庫に張り付けてあるホワイトボード。お互いの連絡用に使っているものだ。この日ばかりはクリスマス仕様。
「なんで二人とも裸なんですか。写真を撮って親に見せたかったのに、これじゃあ見せられないですよ」
と妻から言われた代物。いや、べつに裸の絵を描きたかったんじゃないんだ、こうでもしないと、男女の描き分けができなかったからだ。ロングヘアの女性ならまだしも、妻はショートヘアなので、下手くそが絵を描くと「男が二人並んでいる」絵になってしまう。なので、おっぱいを描いちゃえ!というわけだ。小学生的かもしれん。

挙式をした神社でいただいた、夫婦箸をセットする。
相変わらず「夫婦箸」という概念はあるんだな。男女平等が叫ばれて久しいので、こういうのは多様性やら公平性の観点からもう消滅したのだと思っていた。絵本「ちびくろサンボ」が消滅したかのように。
それはともかく、箸置きは友人から結婚祝いでいただいたもの。これ、かなり雰囲気が良い。錫製のもので、水引をモチーフにしている。錫製品は以前からほしいと思っていたのだけど、箸置きで実現するとは思わなかった。ありがとう友人。

なお、これとは別の方から、結婚祝いで夫婦箸をもらっていた。あらら、神社でお箸を頂いたばかりなのに。
神社からいただいた塗り箸は滑るうえに丸いために転がる、机から落ちるで使いづらいという問題があった。結局我々はこちらのお箸を使うことになり、神社のお箸は「予備(何の?)」ということにした。
最初、妻は「箸はもう使わないだろうから、初詣のときに古札お焚き上げのところに納めてはどう?」と言っていたが、僕が断固阻止した。さすがに神社からいただいて一か月足らずで、もう処分するのはあんまりだろう、と。
妻は極力ものを持たない主義の人なので、いらないと見るやどんどん廃棄対象になる。

クリスマス=洋食、という雰囲気をあえて壊したい。家で自炊をするならなおさらだ。
かといって、おでんを食べるとかお好み焼きをホットプレートで焼く、というのもいまいちしっくりこない。いかんな、なんやかんや言っても、僕は「マスコミが植え付けた、クリスマスっぽいもの」に思考が固められてしまっている。
結果、これならどうだ、ということで繰り出したのが「燻製」だった。
中華鍋で作る、燻製。
手間をかけて作りました感が出るのでイベントっぽいし、何よりも僕がこれまで中華鍋燻製を作ったことがない。これならやりがいがある。
中華鍋にアルミホイルを敷き、そこにスモークチップをパラパラと。そして網を置いて食材を並べる。あとはフタをして下から火をつけるだけ。20-30分で燻製の出来上がりだ。ちょろいもんだ。
・・・と思っていたけど、これが曲者だった。
全然、スモークチップに引火しない。
なにしろ、キッチンのガスコンロは「天ぷら火災防止用の温度センサー」が付いていて、そのせいで火力が維持できないからだ。中華鍋が熱くなると即座にそれを検知し、「あっ、火力を勝手に落としておきましたっス」と対応しやがる。これには困った。
昔住んでいた家のコンロは、そういう余計なお世話センサーを無効化する「ブーストモード」を備えていた。でも今の家のコンロにはそういうのがないっぽい。
トロ火になってしまった火力でなんとかしようとしたが、どうにもならなかった。これでは全然燻製にならない。
結局、ホットプレートに舞台を変えて燻製を続行。
しかしこれもダメだった。230度ごときの温度では、スモークチップがもくもくと煙を上げることはなかったからだ。
なんでやねん、とぼやきつつ、チャッカマンでスモークチップに直接火をつけまくる。放火だ、放火。
そんなわけで、とても浅い燻製度合いで、料理ができた。

2019年クリスマスのメインディッシュ、「自家製燻製盛り合わせ」。
サクラのスモークをほんのりとまとわせました。
ゆで玉子、ししゃも、手羽中、ちくわの4品。
食材はどれもチープだけど、石板に盛り付けたらなんとなくこ洒落た雰囲気になったと思う。たぶん。そのかわり、ひたすら茶色い。もう少し赤色や緑色をお皿に盛り込めばよかったか。せめてパセリくらいでも。

こうなったら暗くしてごまかすしかない。
部屋の明かりを消し、キャンドルだけで会食だ。これなら全部がどす黒く見える。
いや、「どす黒い」っていう表現はやめろ。
じゃあ、闇鍋的な?
やめろやめろ、風情も何もない。

燻製をオカズにしてご飯とお味噌汁、というのは冴えないので、一応ドリンクも用意しましたよ。
ワインクーラーなんて家にないし、今後買う予定もない。なので、ステンレスのボウルに氷水を張ったものを用意。
以前、洗面器で同じことをやったら、ワインボトルが水没してがっかりしたことがある。あまり器は大きくないほうがいい。
偉そうな面構えをしているほうがノンアルコールのぶどうジュース(カルディで購入)で、縮こまっているほうがスパークリングワインだ。

燻製の味は、まあまあ。
噛んで、飲み込む頃にようやく「ああ、燻香がしてきた」という程度のものだったけど、悪くなかったと思う。燻製って、調子に乗ってガンガン煙でいぶすと味が悪くなる。苦くなったり酸味が出たり。「ちょっと物足りない」くらいがちょうどよい、と思う。たぶん。
で、食後はクリスマスケーキ。
妻が「ここのケーキが食べたい!」と言って、自ら今日ウッキウキでお店に取りに行ったケーキだけど、開けてみたらこんな状態に。
聞くと、持ち帰っている最中に落っことしてしまったのだという。小学生みたいな話だ。
原型がどんな形をしていたのか、僕は知らない。なので、きっと最初っからこういう形をしたケーキなのだと思う。ドンマイ。
・・・って、「元からこんな形をしたケーキ」なんて言うと、そのケーキを用意してくれたお店に怒られるぞ、おい。店名はあえてここでは書かないけれど。僕らが個人的にとてもお世話になっているお店だ。

テーブルをダイニングからリビングに移し、ケーキのお時間。
飲み物を注いでいるのは、これも結婚祝いでいただいた「倉敷ガラス」。
倉敷ガラスは、吹きガラスでこれを作れるのは親子の2名しかいない貴重品だ。吹きガラスならではのデザインで、僕は子供のころ「ぼってりしていてカッコ悪い」と思っていたものだ。形はいびつだし、ガラスは分厚いし、気泡が混じっているし。一言でいえばどんくさい。
しかし、ここ数年、僕は急速にこのどんくささを「味わい」と思えるような感受性になってきた。機会があれば購入したい、と思っていたのだけど、お値段は結構高い。値札を見て躊躇していたのだけど、まさか結婚祝いでいただけるとは思わなかった。これは飛び跳ねるほど嬉しかった。
で、この倉敷ガラスのグラスだけど、見ていて不安になるような傾き方をしている。歪んでいて、「おい大丈夫か?」というレベルだ。でもそれが楽しさを生んでいて、見ていても手に取っても、じんわりと心が温まる品だ。キャンドルの光を受けると、ますます歪みが目立って見えて、思わずにやりとしてしまう。
いびつなグラスと、変な形のクリスマスケーキ。そしてクリスマスと無関係な燻製。
きっちりしていないほうが、むしろ美や幸福を高く感じられるのかもしれない。そう感じた2019年年末だった。
(2019.12.25)
コメント
コメント一覧 (3件)
描き分けですが、メガネがあれば判別できるのでは?
うちは二人ともメガネなのでその手が使えませんが、私が髪が長いのでそこで~
あと、細面なんだけど、似顔絵の時には自分はのちょっと丸くしたり。
簡略化した絵の時は丸い方が可愛く描けます。
ネーマさん>
なるほどねえ、似顔絵を描くときはデフォルメするというのは聞きますが、丸顔にするというのは面白い着眼点です。
というか、首から上だけ見ても、ちゃんと髪が立っていたりして、
私にはどっちがどっちかわかりましたよ。
奥様の顔は見たことないので引き算してこっちだな、と。
裸が描きたかったのか、さいばら風だなー、と思って読み進めると
え? 判別の為に全裸? 大胆だなー
さすが外で全裸写真を撮っていた人はイラストまでっ
と妙な感心をしたりして。