「いきなり!ステーキ」がどうも怪しい雲行きだ。
ここ最近のすったもんだは枚挙に暇がなく、業績というのは好循環が止まると逆回転を始めるのだな、というのがよくわかる。
どういうすったもんだがあったかはネットなどで調べれば結構でてくる。企業の陰口になってしまいそうなのでここではあまり書かないけど、まあ、ネタの宝庫だ。
社長直筆の長文メッセージが店頭に貼り出され、それが狂気じみているとか、ステーキ専売店のはずだったのに社長の一存で生牡蠣を売り出して失敗してみたり。TV東京の経済番組「カンブリア宮殿」に社長が出演した際は、すかいらーく創業者で外食産業の大御所である横川竟氏にダメ出しをくらったとか。
「なんだお前、いろいろと詳しいな」と思われるだろうが、それだけ「いきなり!ステーキ」を愛してきたが故だ。このお店は、謎の中毒性がある。ラーメン二郎に似た感覚だ。「よし、今日はいきなり!ステーキでガツンと肉を食うか」と心の中で決めると、他の選択肢がなくなる。仮にお目当てのお店が閉まっていたなら、遠くの別のお店までわざわざ行こうという気になったくらいだ。

僕がこのお店と初めて遭遇したのは2014年。わざわざ記事にしているくらいだから、よっぽど気に入ったわけだし、それ以降足繁く通ったものだ。奇しくも、僕がラーメン二郎から足が遠のいた時期と重なるかもしれない。ラーメン二郎と入れ替わりに、僕を夢中にさせたのがこのお店だ。
しかし、今は殆ど訪れていない。年に1回、多くて2回といったところだ。ゴールドカードの資格を持っているので、毎度お店に行く都度、ソフトドリンクが無料で提供されるという特権を持っているにもかかわらず、だ。
味やサービスには不満はない。しかし、値段が高くなってしまい、「いきなり!」という店名のように衝動的にお店に入れなくなってしまった。
このお店は、オープン当初は椅子なしのカウンター席のみで高回転率・高密度の客で利益を上げるビジネスモデルだった。今はどのお店もどの席も椅子があるけれど、お店の雰囲気と値段が釣り合わなくなってしまっている。だって、うっかりするとランチでも2,000円になる。
これは僕も悪い。
昔は、このお店の標準的なサイズ「300グラム」で十分満足だった。しかし、値上がりするなどでお店から足が遠ざかると、「たまにお店にいくなら、ガツンと食べたいよな。300グラム?いや、せっかくだから1ポンド(450g)がいいよな」と考えるようになってしまった。
そりゃあ、450グラムも肉を食べりゃ、値段が高くなるに決まってる。このお店でなくても、どこで食べたって高い。ランチでそんな量食べるほうがおかしい。
でも、昔の余韻と、今の渇望感とが入り混じり、つい肉を多く頼んでしまう。
「もうこのお店は高いから行かないよ」
と思うけれど、それでもたまに訪れる際はわざわざ1ポンドを食べてしまう。矛盾した行動に心の中の愛憎が感じ取れる。

先日、「お誕生月のお祝い」ということで500円引きのクーポンが贈られてきた。そしてたまたま仕事先のすぐ脇に「いきなり!」のお店があったので、ランチをここで食べた。
ワイルドステーキ450グラム。昔はランチ時はセットが無料だったけど、今はディナー同様別売り。
僕が初訪問した2014年のときはワイルドステーキ300gで1,050円だった。それが2022年2月時点では1,804円。1.8倍になってしまった。それにスモールサラダ・ライスセットが330円。
さらに僕が頼んだワイルドステーキ450gは2,420円。満足感は昔も今も相変わらずだけど、値段はものすごく上がってしまった。
燃料高からくる輸送コストの上昇、人件費の上昇、飼料の高騰、店舗用不動産価格の上昇などさまざまな外的要因の結果がいまの値段だ。だからお店の努力不足だ、と断定はできない。しかし、現実問題としてこの値段では気前よく払えない、食べられない。一人暮らしの気ままな生活ならまだしも、今は妻子ある身だし。
このお店のステーキに限らず、全体的に食料品、外食が高くなってきている。僕自身の考え方をバージョンアップし、「ステーキ肉をバクバク食べて、ご飯は無しでもいい。それで満腹になれるだけの量の肉を食べればオッケー」なんていう考えはもう捨てないといけないのだろう。
冗談抜きで、「白米をしっかり食べて、おかずは美味しいものを少量」くらいのつもりで食生活を組み立てたほうがよいだろう、と考えるようになってきている。まあ、これはこれで糖分の摂りすぎで寿命を縮むけれど。
(2022.02.02)
コメント
コメント一覧 (4件)
おかでんどの
いきなりステーキの迷走ぶりハンパないっすよね?
もはや、安くて美味しいステーキをでは無くなって、自分もすっかり足が遠のいています。
ステーキの値段が爆上げ(自分はライス無しで肉をガツンと食べる派だけに残念な感じに)、
昨年あたりからコンボとか言ってハンバーグなどのセット推しですっかり興醒め。
プラチナメンバーになってアルコール含むドリンク無料サービスを堪能していたのに、肝心のステーキが値上げ&クオリティ低下で、遂にステージキープの年1回来店も諦めてしまいました。現在は平民ステータスです。
そも代わりと言ってはなんですが、我が家のトレンドは、マルエツというスーパーで米国産アンガスビーフステーキ肉が400グラム1500円で時々出ているので、これを購入し、ガスコンロの下にある魚焼きで主に使用するところでジュウ!といい感じに網焼きで食べています。フライパンに比べて余分な油は落ちるし美味ですぞ!
ああ、みんなこんな感じなんですよね。熱心に「自分はいかにいきなり!を愛していたか」と語る人と先日Zoomで会話しました。で、その後に「しかし今は・・・」と嘆息するところまで、軍曹殿と同じ展開です。
文中、「堪能していた」という表現を使っていらっしゃいますね。ここまでの表現を無自覚に使ってしまうほど、愛されているお店だったのですが。
店舗のコストカットのためにメニューを絞るならまだしも、メニューを次々に出すというのはまさに迷走。吉野家がいっとき狂牛病騒ぎの後に迷走したのを思い出しました。
ステーキを気軽にガツンと食べたいんだ、というニーズは多くの人が感じているところでしょうから、どうにかああいうお店が根付いて欲しいです。
私も以前はちょこっと通いゴールドカード持ちでした。
あの制度は一度なってしまったら、ずっとソフトドリンク無料なので店側には厳しいサービスだったな、と思うので、回数でのランク継続制度になったのは仕方ないと思います。
ですが、値上がりは厳しいですねーー
最初は「肉はガツンと最低300食べないと」というランチタイムメニューで、フードコートなど一部の店舗だけで200グラムがあったのですが、今はお値段的に少ないものを作らないと人が入らないのでしょうね。
私も量的に300が無理ではなかったものの、もうお値段的に無理です。
ネーマさん>
あの会員ランク制度は、リピーターを作る点では素晴らしかったです。
でも、客にとって素晴らしいということはお店にとってキツい。
「いきなり!」に限った話ではなく、どのお店もスタンプカードだとかお得な会員証をやめてくれないかな、と最近は思ってます。
管理が面倒。面倒なのでどうでもいいや、と持ち歩くのを諦める。でも、レジで支払いの際になんだか損した気分になる。ハッピーじゃないですよ。