北千住の洋食店で特大ロースカツ丼を食べる

北千住の洋食店で、僕は「特大ロースカツ丼」というメニューを注文した。

未だに僕は、料理店のメニュー名で「特大」という表示があると、フラフラと気の迷いが生じてその料理を選んでしまう。「大盛り無料」の表示に対しては、最近は恥ずかしさを覚えるようになってあまり頼まなくなったのだけど。

このお店のカツ丼はソースがしっかりとかかったものだった。日本でもっともオーソドックスな、卵とじのカツ丼ではない。

大きな丼にご飯が盛られ、そのご飯が見えなくなるまでキャベツの千切りがたっぷり敷き詰められ、そしてその上に特大ロースカツが乗っている。

特大ロースカツは見た目も迫力満点で、食べる前がもっとも気分が高ぶった。肉厚のカツはいつも僕を楽しませてくれる。

食べ始めると、料理を見たときの気持ちの高ぶりは収まってくる。というのも、ソースカツ丼はとにかく味が濃厚だからだ。

最初の数口は興奮冷めやらぬ美味しさに包まれていたけれど、次第にその濃さに飽きがやってきた。

しかし、たくさんのキャベツとご飯がその飽きを緩和してくれる。カツを食べ、キャベツを食べ、ご飯を食べる順番を絶妙にコントロールしながら、この料理を食べていく。バランス感覚がとにかく重要だ。

食後、この料理に満足してお店を後にしたが、お店を出たあとになって「店名がフライパンというのに、フライパンを使った料理を食べなかった自分」に気がついた。

(2023.05.26)

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