東京駅八重洲地下街のカレーショップ「アルプス」で900グラムのカレーを食べる

東京駅の東側、八重洲の地下には広大な地下街が広がっている。

碁盤目状に道が並び、その割には東京駅との接続がちょっとわかりにくく、初めて訪れた人はちょっと道に迷うかもしれない。

この八重洲地下街から東京駅を目指す場合、何パターンもルートはあるものの、主要幹線道と言える便利な道は限られている。その道の一つの傍らにあるのが、カレー専門店「アルプス」だ。

狭い店内、店の外にある自動券売機、そしてカレーを食べる男性客。このお店は駅構内にある立ち食い蕎麦のお店と同じジャンルに位置するお店であり、「手早く、安く空腹を満たして次の行動に移りたい」と考える主に男性を相手とした商売を行っている。

僕はこの手のお店の料理に大して興味はないのだが、お店の横を通る度に「えっ!?東京駅でこの値段??? タイムサービス350円」と書かれたコロッケカレーのポスターがいつも気になっていた。

単なる具なしカレーで350円だったとしても、おかしくない。しかし、コロッケがトッピングされて350円となるとちょっと驚きだ。ポスターに書かれている「えっ!?」という驚きの文言は、たしかに嘘偽りない。

しかし、このポスターももはや見慣れた光景になっており、僕にとってはスルーする対象だった。

ところが、そのタイムサービス350円コロッケカレーのポスターの隣に、「満腹スペシャル7カレー 950円というポスターを発見し、急に興味が湧いた。

総重量900グラムのカレーで、トッピングは全部で7種類。

ハンバーグ、鶏唐揚げ2個、豚カツ、ほうれん草、コーン、キャベツ、赤ウィンナー2本

が乗っているという。ほう、それは面白い。

ちょうど今、家に帰ってご飯を食べようと思っていたところだった。ノンアルコールビールでも飲みながらテレビでワールドビジネスサテライトを見て、適当に冷凍担々麺でもレンチンする予定だった。そんな怠惰な食事よりも、よっぽどこの900グラムのカレーのほうが刺激的な気がする。

で、頼んだのがこれ。厨房の店員さんから、「ちょっと重いですよ、これ」と言われながらカレー皿が乗ったお盆を渡された。それくらい、異次元の重さとボリュームだ。

幸い、お皿が大きいので、運ぶ際のバランスが悪いと料理が崩壊するといった危険性はない。とはいえ、その大きな皿さえもミッチミチに具だくさんにしてしまうのが、この料理のすごいところだ。

赤いウィンナーなんて食べるのは何年ぶりだろう?と思いながら、何のタンパク質だかわからない赤ウィンナーを食べる。ハンバーグは分厚く、大きい。千切りキャベツのボリュームは見事。

900グラムのカレーというのは、齢49歳の僕であっても大したことはないボリュームだった。それもこれも、豊富な具の種類で味覚の変化を楽しませてくれたからだ。お店のサービス精神には感謝だ。僕は単に900グラムのカレーライスが食べたいんじゃないんだ。全部で900グラムになってしまうくらいの、いろいろな料理を食べたかったんだ。

ただし、カレーライスとしてはちょっと微妙な出来だと僕は思った。味が悪いということではなく、お皿も具もご飯もスケールが大きいため、食べにくかったからだ。

僕が手に持つスプーンで、ご飯とカレールーをちょうどいいバランスですくいたい。そのために、お皿の右奥にあるライスをスプーンでかき集めながら、左手前にあるカレールーに引き寄せることになる。この距離が、案外気になった。普通盛りのカレーライスと比べ、ストロークが数センチ伸びる程度の話だ。でも、その僅かな差にもかかわらず、ご飯とカレールーの距離がとても遠く感じられた。いろいろな具が途中、スプーンの行く手を遮るからなおさらそう感じられた。

たくさんの具が盛られているカレーライスというのは良し悪しだな、と思った。

(2023.07.26)

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