新宿歌舞伎町のKIBORI UMIで和食ビュッフェを堪能する(2,800円)

先日、歌舞伎町にある北海道レストラン「KIBORI」を訪問した記事を書いた。2フロアにまたがるレストランで、6階には「UMI」という和食・海のものをメインにしたお店、7階には「DAICHI」と銘打ったジンギスカンがメインのお店という構成になっている。

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KIBORIでジンギスカン食べ放題を一人で満喫したのだが、もう一方のお店である「UMI」もとても気になった。

パートナーのいしは海産物が大好物なので、彼女と連れ立ってぜひ行こう、と夫婦で話をしていたのだが、彼女はいっこうにスケジュールの空きができない。なにしろ、「UMI」で海鮮バイキングをやっているのは平日昼のみで、土日祝日はやっていない。そして彼女は平日に休むことが難しいお仕事だった。

「急に仕事がぽっかり空いて、『今日は働かなくていいよ』と上司から言われたときなら、行けるかも」

なんていしは言う。そんなシチュエーション、一体年に何回あるというんだ。彼女を待っているといつまで経ってもタイミングが訪れないので、僕一人で行ってきた。

ビュッフェということもあって、お値段はそれなりに高い。なので、僕一人で行くというのは相当気が引けるのだが・・・。あと、美味しいとか楽しいとかすごい、といった感覚を一人だけで溜め込むのは、あんまり嬉しくないと思っている。できるだけ、共感・記憶の共存ができるよう家族やパートナーと一緒にお出かけしたい。

そんわけで後ろめたさを感じながらの、訪問だ。

「UMI」は朝9時から営業を始めている。このため、遅い朝食として、または早い昼食としてこのお店を利用することができる。ホテル併設のレストランではないので、宿泊客優先といった制約がなくて気軽だ。

「どこか、朝からガツンと食べられるお店はないかなー」と思ってあれこれ調べることがあるのだが、大抵がホテルの朝食ビュッフェとなる。その場合、外からの客を受け入れているのかどうなのか、調べるのがちょっと面倒だ。webで調べてもわかりにくいか、または表記がないからだ。その点このお店は気持ちよく朝からガツンとイケる。

とはいっても、僕だって平日は仕事がある身だ。朝9時から何食わぬ顔をしてバクバクとあれこれ食べられるご身分ではない。昼飯時に、お店を訪問することができた。

朝9時のオープン前には、1階のエレベーターの前で開店待ちの行列ができることもあると聞いた。でも、昼時はそこまで混んでいないようだった。

料理は、おぼんがわりの木箱にお皿を載せ、料理を取っていく。松花堂弁当みたいで、これだけで写真写りが良くなる。

このお店で感心させられるのが、お刺身も食べ放題のメニューとしてちゃんと用意されているということだ。豪華。

ガッチリと海のものを食べたい人は、刺身をたくさん取るのだろう。僕みたいに、ついついザンギとかじゃがバターを取る、ということはしてはいけない。

刺身が食べ放題のレストランというのはあるにはあるが、刺身の色がどす黒くなっていることがよくある。鮮度が悪くなっているからだ。一方このお店の場合、見ての通り美しい。素敵。

ただ、お値段は2,800円。おいそれと払える値段ではない。ごめん、家族のみんな。一人で贅沢をしてしまった。

僕がこのお店の存在を知ったのはわずか数ヶ月前だが、そのときに聞いた値段と全然違う。確かそのときは1,800円だった。そもそもこのお店がオープンした当時は、1,200円だったというのだから値段が相当バグっている。

2,800円となった今は、クオリティと値段が釣り合ったとも言える。でも、1,800円を期待してこのお店を訪れた人は、2,800円と聞いて「えーーーーー」と途方に暮れ立ち尽くすことになるだろう。

そういうこともあってか、入店直後に店員さんに「2,800円であること、前払い制であること」の説明があり、了解を求められる。「聞いていた金額と違う」と後になって揉めないようにするためだろう。

この1年、どんどん物価が上がっていく。電気ガスガソリンも上がるし、スーパーの店頭で売られているものも上がるし、飲食店のメニューも値段が上がっている。なのでわずか数ヶ月前の情報であっても、信用していられないというのが2023年時点の実情だ。

2020年~2022年は、世界がコロナに翻弄され、飲食店の営業時間や定休日、メニューといった口コミ情報がまったくあてにならなくなった。古い情報は役に立たないのでむしろ害、というレベルにまで陥った。それに近いことがこのお店にも言える。

だって、開店からわずか1年足らずで、1,200円→2,,800円だぞ。すごい。

このお店では、セルフで料理を取っていくだけでなく、オーダービュッフェもやっている。料理がずらりと並んでいる半円形のカウンターの内側に焼き場があって、そこに職人さんがどっしりと身構えている。オーダーが入れば、肉なり魚なりを焼いてくれる仕組みだ。

魚はほっけ、にしん、鯛、鮭、ぶり、かんぱち、サバ。
肉は室蘭やきとり、炭火やきとり、ラム漬け焼き。

もちろん別料金ではなく、そのままの料金でオーダーできる。

焼いてもらった肉と魚。

室蘭やきとりというのは人生で初めて食べる。「やきとり」とはいうものの、豚肉を使った料理なのだそうだ。東松山やきとりが豚のカシラ肉を使うという特徴があるけれど、室蘭やきとりの場合は豚ロースを使うことが多いそうだ。

肉も魚も美味しい。

大満足してお店を後にした。

お腹がパンパンになるまで、過食嘔吐をしたくなるまで食べていない自分にちょっと不甲斐なさを感じる。昔ならもっとイケたはずだ。今でも物理的にはもっとイケるのだけど、そこまでして満腹になろうとは思わなくなってしまった。

食に対する貪欲さが低下した、というのもあるけれど、やっぱり「食べたら食べた分だけ太ってしまう」ということを冷静に受け止めるようになってきたからだ。「食べたら太る」というのは昔も今も変わらない、普遍的な真実だ。しかし、昔だったらもっと太りにくかった。でも今なら、本当に素直に食べた分だけ体重計の数字が上がる。そういう光景が頭をよぎると、どうしても「あともう少し、お肉を追加しようかな」という気が起こりにくいのだった。

なので、スタンプラリー感覚であれこれ料理を一通りちょっとずつ食べ、「なるほど」と一人納得し、それで終わりになる。なにが「なるほど」なんだか、我ながらよくわかっていないけど、「だいたいこのお店の料理は全部食べた」という達成感が一番のご馳走になっている。

こうなると、食事って自分にとって何なのか、わけがわからなくなってきた。

(2023.08.03)

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