
陶芸家、村田森の個展。
ギャラリー内には、陶器がずらりと並ぶ。
来客はばんばんそれらの作品を触れているのでびびったが、全部売り物になっていた。器をひっくり返すと、ちゃんと値札が付いている。
畳の間にどっかと腰を下ろし、目の前に並べられたお猪口を眺める。
どれも個性があって、楽しげだ。
お酒を全く飲まなくなった今、こういう猪口を実際に使って楽しむという事はできなくなった。それ以外に用途ってあるだろうか?としばらく考えたが、ちょっと思いつかなかった。せいぜい、モンダミンを口に含む際に使うくらいか。
ギャラリー入口でクローク役をやっていた女性スタッフの方と会話。
こういうギャラリーはどうやってビジネスを成立させているのか?とぶしつけだけど一番気になる質問をしてみた。すると、このギャラリーのオーナーの知人芸術家に場を提供していて、賃料は取っていないのだという。作品が売れた際のマージンが収入源ということらしい。
でも不思議だ、このギャラリーで先日公開されていた「アンセルム・ライラ個展『INTO THE VOID』」なんてのは、スペース全体が一つの作品だ。パーツを個々で見たら、がらくたばかりだ。あんなもの、売り物じゃないだろうに。
すると、スタッフさんはゆっくりと微笑みながら、「いや、あれも売り物だったんですよ。実際購入された方がいらっしゃいます」と答えたのでびっくり。まじですか。 「購入された方が指定した場所で、実際に作家さんが作品を再構築する、そういう権利です」 とのこと。ギャラリーとは違う空間になるだろうから、当然アンセルム・ライラ自らが出向いてその場であの作品を作り直す事になる。そういう「イージーオーダーアート」のサンプルが展示されていた、というわけなのか。なるほどなぁ。 ところでそんな金を払うなんて、一体どんな金持ちなんだ?
(2013.11.02)
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