
入場30分待ち。
東京国立博物館の平成館で開催される特別展は、「さすが国が威信をかけて手がけると半端ないなぁ」と思わせる内容であることが多く、その分待ち行列が長くなる。
普段信仰心なんてこれっぽっちも持っていない人であっても、博物館での展示となれば見に行く。

今回もまさにそうで、よくぞまあここまで国宝やら重要文化財を結集できたな、と驚くしかない展示内容。
展示物が国宝であっても全然驚かないレベルだし、重要文化財、という記載があったら「なんだ重文か」と思ってしまうくらいだ。
驚きだったのが、弘法大師直筆の書が残っていたということだ。もちろん国宝なのだが、レジェンドの書が本当にあるとは知らなかった。しかも、高野山ではなく仁和寺に。

さまざまな展示物があり、かなり楽しめる。仏像の骨格や顔つきを見比べるだけでも楽しいものだ。やはり、西洋の「神話を描いたブロンズ像です」なんてものを見るより、遙かにしっくりくるし、奥深さを感じる。

なにしろ、「○○天」と名が付くような仏様(?)なら表情がしっかりしているけど、如来ともなれば悟りの境地なので皆微妙な表情をされていらっしゃる。見方によっては悲しんでいるようにも見えるし、微笑んでいるようにも見えるし、自分の心の合わせ鏡のようだ。

こういう「無我」を芸術として作品にしていた昔の人たちには恐れ入る。 会場内で唯一写真撮影が許されていたのが、一般非公開の観音堂にある仏像をまるごと33体、実際と同じ配置にして展示しているスペース。仏像一体でもかなりの迫力があるというのに、33体も並ぶとその圧力は相当なものだ。
ただし、老いも若きも写真撮影に夢中で、写真を撮りおわったら満足してしまっていたのが気になった。
通りすがりの若い女性が、「誰も手を合わせてお祈りしないのね。驚いた」と呆れていた。なるほどそうだ、と僕も改心し、南無大師遍上金剛、とお祈りした。
それにしてもお年寄りの多いことよ。最近は若い女性でも仏像好きが増えたと聞くけど、やっぱり仏教というのは冥途が近い世代の人達の方がより深刻で、興味を持たれているようだった。
ただ残念ながら阿弥陀如来の展示は無かったように記憶しているので(ひょっとするとあったかもしれないけど)、冥途に導いてくれる肝心の仏様には願掛けは出来なかったと思う。
(2018.03.06)
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