The 備前―土と炎から生まれる造形美―@東京国立近代美術館工芸館

規模の小さな展示ながらも、備前焼の魅力をじっくり楽しめた展覧会。

釉薬を使わないで焼いた備前焼は独特の風合いがあり、炎と灰が産み出す偶然性に美を見いだす、日本人ならではの美的感覚がとても面白い。

僕自身、岡山にゆかりのある人間として、備前のことをもっと知りたいと思っていたところなのでちょうど良かった。何しろ、焼き物をただ単にたくさん見ても、その良さというのがわからない。解説付きで実物を見られることの素晴らしさよ。

古いものになると桃山時代の備前焼が展示されていたのだが、もうね、「弥生式土器と何が違うんだ?」というくらい、素朴。日本の陶芸というのは1,000年近く進化がなかったのか?というくらい。

もちろん、中国から輸入されていた精巧な陶器や、日本各地で勃興していた様々な陶器の存在ありきで、備前は備前なりの発展を遂げたわけだ。それを「弥生式土器と差がない」なんて言うのはお門違いも甚だしい。むしろ、「素朴を愛でる」という日本人の心情が、この時代からも息づいていたということを知れて、楽しい。

江戸時代以降の作品になると、ちょっと小綺麗にまとまりすぎて面白みが・・・と思って作品を眺めていたら、急に荒々しい作品も出てきたりして、自分の浅はかな分析を思い知る。

しかし、「茶入」だけは荒々しい作品がなく、コンパクトかつきれいなシルエットに仕上がっている。実用性を考えると、ぐにゃっと歪んだ形にするわけにはいかなかったのだろう。

備前特有の景色、「緋襷(ひだすき)」という言葉を覚えられたのもよかった。あ、あと、「黄胡麻」も覚えたぞ。そういう知識を踏まえて作品を見ると、俄然面白い。

「頭でっかちの美術鑑賞から脱却せよ」。僕が美術鑑賞を始めた数年前、いつもそう思っていた。美術に詳しいことで相手より上に立とう、偉そうにしようという人へのアンチテーゼだ。しかし、いざ美術をたくさん見ていると、「知識」があるとより面白くなるのも事実なんだよなぁ。

(2019.02.27)

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