INTERPRETATIONS, TOKYO‐17世紀絵画が誘う現代の表現@原美術館

相変わらず、難解な作品が多い。

蜷川実花など、今まさに活躍中の有名どころの作品も並ぶが、わざと難解にしたのか?と思えるくらいだ。

同時開催で、「「ソフィ カル ─ 限局性激痛」原美術館コレクションより」も展示されていた。これは2日前に会期が終わった展示のはずだけど、好評だったからか、延長されていた。

僕は以前同じ原美術館で、「限局性激痛」を見たことがある。あまりにインパクトが強い作品で、たぶん印象に残っているアート作品ランキングで1位だと思う。それとまた再会できたのは、よかった。

フランス人のソフィ・カルが体験した失恋話を、ずらっと日記形式で連ねている作品群。「5日前、私は失恋した。」から作品はスタートし、「6日前」「7日前」と、毎日手記が書かれている。毎日、同じ失恋話を繰り返し繰り返し書いている。

最初の頃は、嘆きと悲しみが強く、詳細な失恋のディティールが描かれている。しかし、時間の経過とともに枝葉末節が省略され、時には投げやりになり、時には気持ちを持ち直し、そして悲しみがぶり返し、と心の揺らぎがよくわかる内容になっている。

そういう葛藤を繰り返していくうちに、失恋の痛手が癒えていく(そして、一部の記憶は美化されたり忘却されたりするのだろう)様は、僕にとっては何かサスペンスを見るような、ぞっとした心境になったものだ。

今回の展示は、その完全版で、前回僕が見たものよりも展示作品数が多かった。しかし、むしろ情報量が多くなったために、作家自らの鋭さの表現が薄らいでしまっった気がして、惜しい。

(2019.03.30)

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