編集後記2021年07月期

森林限界突破の恍惚【日光白根山】

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全22話。一泊二日の行程の割には短い連載となった。

このメンツでの旅行なら、もっと和気あいあいと冗談を言い合って山を登っていたはずだ。でも、2年以上前の出来事ともなると、会話のディティールを覚えていない。無理やり会話形式を仕立てても、嘘っぽい記述になるような気がする。

こういうところでも、老いというのを感じる。昔はもっと記憶力がしっかりしていたし、友達との会話、旅先の目の前のことに一つ一つワクワクしていたものだ。でも今や、そういうワクワクはあまり記憶に残っていない。「事実」が写真として残っているので、その解説が中心になってしまった。これは自分自身悔しいと感じている。

じゃあ、一週間前程度の旅行ならもっと活き活きとした会話劇の文章になるのか?というと、そうでもない気がする。結局、文章が硬直化してしまって、昔のような砕けた文体が書けなくなってしまったのだろう。

この20年の間で、目の前のものに無邪気に喜んだり怒ったりしなくなった。それよりも、もっと「なぜこうなったのだろう?」という背景を疑い深く思索するようになった。これまでの人生経験で培った情報と知識が、むしろ文章をつまらなくしているというのは皮肉なものだ。

もっと僕が専門知、または専門知に横串を刺す思考を目指していればよかったのだけど、今となってはもう遅い。

そもそも、このサイトを始めたきっかけの一つが、「自分が見聞きしたものをダイレクトに自分以外の人に広く知ってもらいたい」という、情報の伝達と拡散だった。旧来型の旅行ガイド本では書ききれていない「体験・体感」はニーズがあると思ったからだ。その考えは、SNSが世に出るまでは正しかったし、ブログという概念が登場する前からこのサイトを営んでいる僕としては目のつけどころはよかったと思う。ただし、そこから発展していかなかった、というか発展のしようがなかったんだな。

別に物書きとして名を成そうと思ったことはないので、特に過去や今を悔やむことはない。本業はふつうのサラリーマンだから。でも、ふと旅行記を書いている最中に「ああ、もっと楽しい文章が書けたらいいのにな」と感じた時、自分のこれまでの人生を振り返ることになる。

国土地理院地図を使っていることについて及びサイトの継続性について

今回から、国土地理院の1/25,000の地図を登山中の現在地表示として使い始めた。

若干見づらいとは思うけれど、権利問題や今後を考えると国土地理院ならある程度大丈夫かな、と思ったからだ。

Googleマップで地図を表示することはこれまでも散々やってきているけれど、Googleマップには登山道の記載がない。登山道が記載された山用の地図は、ヤマケイオンライン、YAMAP、ヤマレコなど各種ある。本当なら、標準コースタイムが記載されたこれらの地図を活用したいのだけれど、自分のサイトに転載するのが著作権としてOKなのかどうなのかがわからない。いや、調べれば多分どこかに書いてあるはずで、面倒だから調べていないだけだけど。

そして、これら民間企業のサービスは、失礼ながら今後いつまでサービスを続けてくれるのかが不安だ。以前、このサイトは地図表示にMAPIONを使っていたけれど、途中で地図を表示する方法が変更になってしまい、これまでの全部の地図をGoogleMapに置き換える羽目になったことがある。あれはキツかった。

なので、国土地理院の地図ならばまだ大丈夫かな?とあまり根拠のない理由に基づいて、今回採用をした。1/25,000地図なら、高低差は等高線でしっかり表示されるし、登山道もわかる。

写真を外部サイトに置いたこと→無理でした

webの世界は日進月歩だ。どんどん最新の技術が導入され、改善されていく。

ただ、その時流に乗っかっていれば自分のサイトもうまくいくかといえばそうではない。たとえば、Googleはこれまで以上に「ユーザー体験の最大化」を要求していて、検索エンジンで上位に表示させたかったら、webサイトの表示をより高速化し、画面の動きがスムーズであり、信頼のおける機関からの認証を受け、EUのプライバシーポリシーに準拠して・・・と多岐に渡る。

アワレみ隊OnTheWebなんて、検索エンジン上位に出たところで殆どメリットがない。むしろ、揚げ足をとられるきっかけになるだけだ。しかし誰も見てくれないサイトで文章を書き続けるのはしんどいし、「もっとこうすれば評価が上がりますよ!?」とGoogleからあれこれ指摘されると、「じゃあ改善しようか」という気にもなる。

で、この改善活動なんだけど、単にスピードアップする仕組みを導入すればスピードアップするわけではない(謎の日本語)。スピードアップする仕組みをサイトに組み込むことで、むしろその仕組みを動かすために動作が遅くなることもある。そして、サイト内のあちこちの設定に悪さをすることがある。

こう見えてもこのサイト、かなりあれこれ機能が組み込まれていて、ちょっと設定が狂っただけでいろんな問題が噴出する構造になっている。機能のバージョンアップを何気なく行っただけで、画面が表示されなくなったということもある。「バージョンアップ=善」ではない。

で、サイト表示のスピードアップというのは僕の長年の課題認識なんだけど、今回いよいよクラウドサービスに依存してみることにした。

このサイトは他のサイトよりも相当に写真が多い。サーバを借りている会社から是正勧告を受けるくらいに写真が多く、ページを表示するために随分と時間を割かれてしまっている。この写真を、まるっとawaremi-tai.comではなく外部サーバに置いて、そこにある写真を参照すればスピードアップできるよね!ということでやってみた。

Cloudinary、というサービスだ。結構大手のwebサイト、特にニュースメディアなど写真を多く使うところでもこのサービスが使われているらしい。

当初、無料で利用できる範囲内でサービスを使うつもりだった。フリープランだと写真を30万ファイル置ける見込みだからだ。他にも転送量は1か月20GBまで、とかいろいろ条件があるけれど、なんとかいけるっしょ。

・・・と思ったら、わずか数日でこのフリープランを突破してしまった。サービス会社から「有料プランに切り替えないと、アカウントを凍結しますよ」という通知が来る有様。乗りかかった船だし、仕方なく1か月間有料プランにしてみた。月額、99ドル。1万円オーバーだ。うお、これは厳しい。

それでも、今awaremi-tai.comに置いてある膨大な写真がCloudinaryにコピーされると一段落し、またフリープランに戻せると思っていた。思っていたけど・・・

99ドルの有料プランも、半月足らずで容量・転送量の上限に達してしまった。かといってこれ以上追加料金は払いたくないので、一旦Cloudinaryに置いてある写真を参照しないようにし、残り半月をしのいでみた。30日前の転送量はリセットされてゼロに戻るので、サービス利用開始直後の突発的な利用状況さえ30日の時効を迎えれば、また無料プランに戻せる・・・と思ったからだ。

でも、結果的にだめだった。結局Cloudinaryは1か月ちょっとの利用で、契約を解除しアカウントを削除する羽目になった。99ドルが完全に無駄になった形。なんやねんこのサイト。日々どれだけ写真のやりとりが行われているんだ!?

もういいです、表示速度が遅くなってもawaremi-tai.com内に写真を置いて管理することにする。

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それなりの量の文章を書いている途中で削除した。書いては消して、を繰り返した。

家の話は書きづらい。「こういう装備さえ我が家には備わっていない」と自虐的に書いた場合、その備品がもともと備わっていない家に住んでいる人が「バカにしてるのか?」と憤慨するかもしれないからだ。ローシルエットトイレとか、ディスポーザーとか。

当初、「最近の都心は3LDKでもとても狭い床面積が増えて、不動産価格の上昇のしわ寄せがこういうところにも出てきている」ということをより具体的な数値を含めて書いていたのだけど、これもそういう家に住んでいて納得ずくの人からすると余計なお世話だし。

家の話をあれこれ書いて写真を載せると、我が家が特定されてしまい将来的に何かが起きないとも限らない。それがどのような事態になのか、防止はできるのか、恐るるに足りないのかはわからない。わからないからこそ、家の写真を載せるのに躊躇してしまう。

僕は以前、2ちゃんねるに襲撃をほのめかす書き込みが投稿されたことがある。誰がいつ襲撃してくるかわからない状態の中でいつでも逃げ出せるように身構え続けた結果、数ヶ月で激ヤセした。

この「相手はこっちのことをいくらでも調べられる。でもこっちは相手のことを何一つ知らない」という情報の非対称性はとても恐ろしいものだ。そして相手はその非対称性を知っているからこそ、軽率にこちらを遠隔攻撃してくる。

批評家として世の中を語る覚悟も知識もない僕としては、「個人の体験を、個人の感想として書く」のが精一杯だ。他人と比較なんてしていたら、まずい。今は誰も批判してこないかもしれないけれど、5年後/10年後はどうだろうか。わからない。

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記事にしにくい遠足を記事にした。

自分が主催したり、能動的に動ける旅行の場合は「なぜそう思ったのか」「悩んだ。決めた。実行した。面白かった」という物語が作れる。しかし、他の人の企画に乗っかった場合、そういう気持ちのPDCAサイクルが回らない。

マメヒコの遠足というのは、過去何度か記事にしてきたけれど、今回で最後にする。このあと、愛媛県忽那諸島編や岡山県倉敷市編があるのだけれど。袂を分かった、というわけではなく、単に文章が書きづらいからだ。

まったく赤の他人が集まった「ツアー旅行」ならば、その旅行企画に乗っかることに対してのコメントができる。しかしマメヒコ遠足はその場その場のフィーリングで行き先が決まり、後続車両は「えっ、これからどこに行くの?あれ?」とびっくりすることになる。

この北海道遠足の連載初期は、「翻弄される自分」という立ち位置で文章を書いていた。しかし、あんまりこのやり方をやっていると、単に他人に振り回されて自分の思うようにいかないことの愚痴、みたいな文章になってしまう。そういう意図がまったくなくても、「翻弄する人・される人」の構図はとても文章が書きやすいからだ。

それは事実と異なるし、遠足に参加している人たちはみんな友達で仲間だ。あんまり誤解を招くような表現はしたくない。

それでもこの月形に行った旅行記を敢えて文章にしたのは、のちに僕のパートナーとなる「いし」と出会った回だからだ。この出会いのシーンはちゃんと記事にしておきたい、と思ってそれだけのために連載記事にした。

(2021.08.01)

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