タダほど高いものはない筈なのに不気味に快適、「Rakuten Mini」を手に入れた

新型コロナウイルス対策のため、この2ヶ月くらいはメチャ家にいる。家にいると全般的に意欲が低下し、食への興味すら薄れてくるのが怖い。最近は、家になぜか大量にある「かっぱえびせん」でお昼ごはんを済ませていたりする。

緊急事態宣言が出た頃は、「地元のお店を食べて応援しよう!」と意気込んで、今日はあっちのお店、明日はこっちのお店・・・と自転車で走り回ってお弁当を仕入れていたものだけど。だんだん一人勝手に意気消沈気味になってきた。

登山だとかキャンプとか、うまいものを食べに行く!という週末計画を立てられず、週に1回とか2回程度の出社だと、メリハリがつかなくなってくる。

かっぱえびせんとか歌舞伎揚げを食べていりゃ食費は安く済む。でも、一方で家からぜんぜん出ないので体重は増える。なんて世の中は理不尽なんだ。安いスナック菓子を食べて太るなんて、割りに合わない。高級なものを食べたら太る、安いものを食べたら痩せるということにはならないのが今更ながら悔しい。

そんなまったりした日々で少しだけスイッチを切り替えたくて、「家でできる刺激的なもの」に興味が湧いている。具体的に言うと、「モノ」だ。もっというと、「うーん、どうしよう」と考えさせられたり、あれこれいじくり回す種類のモノが欲しい。

その一例が、前回記事に書いた「マッサージガン」だった。

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あとは、ぜんぜんマッサージガンとは文脈が違うけど、気になっていたのが「楽天モバイル」だった。

これまで、au網を使ったMVNOとして携帯電話通話サービスを提供していた楽天モバイルだったが、2020年4月からMNOとして独立。NTTドコモ、au、ソフトバンクに続く4番目のフルサービスキャリアとしてサービスを開始した。もっとも、いきなり全国に楽天モバイルの基地局を作るのは無理なので、全国の大半はauの基地局を間借りしている。サービス開始当初は、大都市圏の限られたエリアでのみ、楽天モバイル独自の回線網で通信ができる。

通信というのは、「障害が起きてサービス停まっちゃった。ゴメンゴメン」では済まされない、今日における基幹インフラだ。社会経済は通信回線で成り立っているといっても過言ではない。電気ガス水道通信。それくらい大事なものだ。どんなときでもサービスを維持させるためには、相当な技術と経験、人員が必要となる。

失礼ながら、まだ楽天モバイルにそのへん全幅の信頼を寄せることは難しい。お手並み拝見、という立ち位置で接するのがちょうど良いと僕は思っている。通信が切れたとか料金が2重請求された、とかのトラブルは当然あるよね、それくらいは人柱として覚悟の上だよね、という人向けのサービス。

なので当然僕は楽天モバイルは「生暖かく様子を伺う対象」ではあったけど、「回線契約をする対象」としてはまったく捉えていなかった。今使っているIIJmioに十分満足していたし。

しかし、だ。

さすが楽天もそういう立ち位置であるということの自覚があるらしい。「いやよいやよも好きのうち」と言うではないか、嫌いそうなヤツこそ、こっちを振り向くはずだ!とばかりにすげえサービスを用意してきた。

「楽天UN-LIMIT」。

回線契約の名称だ。

UN-LIMITという名前の通り、月額通信量が無制限となっている。ええ!?マジで?と二度見してしまうサービスだ。「※楽天回線エリアに限る」というただし書きがあって、ああやっぱり条件付きか、ということに気づくのだけれど。

2020年春の段階では、「楽天回線エリア」内にいられる人というのはとても限られている。でも、楽天回線エリア外で、au回線を間借りしている状態であっても、月に5GBまで使えるというからなかなかな太っ腹だ。

「5GB超過したら、それ以降は最大1Gbps」というのも地味に凄い。「最大」なのであって、実行速度がどうなるのかは要検証だけど。

あと、「Rakuten Link」というアプリを使って通話をすると、国内通話が無料となる。「10分無料」とか「同じ楽天モバイル同士なら無料」なのではない。固定電話相手であっても無料。マジか。

これはステマではないし、アフィリエイトにも関わっていないので、詳しく知りたかったら以下のURLをクリックしてみて欲しい。

https://network.mobile.rakuten.co.jp/fee/un-limit/

そんなに虫のいい話があるわけがない。「楽天モバイル圏内が狭すぎて、実際は殆ど使えないぞ!」とか、「Rakuten Linkって、見掛け倒しのハッタリじゃないか!通話できねぇ!」という地雷がたくさん転がっているはずだ。きっとそうだ・・・と思ってあれこれ調べてみたが、あれれ?何もそのへん、地雷がなかった。へええ。楽天、思い切ったことやったなあ。

でもこれだけだったら、「そうですか後発はさすがですね」で済んでいたのだけど、ニ度見ならぬ三度見、四度見をしてしまうようなキャンペーンを始めたのでもう無視ができなくなった。

それが、楽天UN-LIMITが1年無料、というものだ。本来2,980円/月の回線契約なのだけど、それを無料にするのだという。正確に言うと、回線契約の事務手数料として3,300円がかかるのだけど、なんやかやで楽天ポイントが6,300ポイントもらえるので、帳消しどころか回線契約をすれば儲かってしまうことになる。楽天ポイントなんていらねぇ!という人でなければ、これはすごいことだ。

いやいや、それでも携帯電話の契約なんてのは「しまった、騙された!」という罠がたくさん仕込まれているものだ。解約したくてもできない、とか、怪しい有料オプションをたくさん付けられた、とか。なので、どうしても今使っている回線がイヤになったということでもない限り、乗り換えなんてしたくないものだ。

疑わしいことこの上ないので、4月頃は先人たちの様子を伺っていた。「こんな筈じゃなかったのに」という怨嗟の声が聞こえてくるのではないか、と思ったからだ。しかし、一部の不満はあるにせよ、広告で謳われていることは事実であるということはわかった。そして、「1年縛り」のようなルールもなく、イヤになったらいつでも解約できるという事もわかった。

えっ、キツい拘束をかけるかわりに格安プランを提供するっていう話じゃないのか。拘束はユルユルなのに、格安・・・じゃなかった、1年間は無料なんだから、もうむちゃくちゃだ。ありえねぇ。

「楽天モバイルは100万回線契約を早期に獲得して、AppleとiPhoneの取り扱い契約を手に入れたい。そのためには手段を選ばないのだ」という噂がネット上では囁かれているが、それが本当か嘘か僕にはわからない。でも、楽天の財力を使って無理やり回線契約数を増やしにかかっているのは間違いない。その本気度に、僕は震えた。

僕が持っているスマホがDSDS(SIMスロットが2つ備わっていて、SIMを随時切り替えながら運用できる端末)ならば、SIMだけ契約すればいい。楽天モバイルのおいしいとこどりを、無料でできる。1年間だけど。

でも、あいにく僕のスマホはDSDSではなかった。じゃあだめじゃん、新たに楽天モバイル用に新しい端末なんて買いたくないよ。

・・・と思ったら。楽天モバイル、またやりやがった。楽天オリジナルの端末、「Rakuten Mini」定価17,000円が16,999円引きで1円。1円で端末を売るキャンペーンをやってるぞ、おい。

どうせ型遅れの、情弱を釣るためだけのボロい端末なのだろうと思った。でも調べてみるとこれが面白い。端末は非常に小さく、オモチャみたいなサイズでメイン端末として使うには厳しい。しかしFelicaを搭載しているので、モバイルSuicaなどの電子マネーが使える。そして、完全にモバイルWi-Fiルータだと割り切ってテザリングで運用すればいい。テザリングに制限はかかっていない。

つまり、1円の端末を買って、1年間無料で(楽天モバイル圏内なら)通信無制限を満喫できる、ということだ。

いや、別に今、ギガが足りなくて困っているなんてことはない。外出先でYouTubeをしこたま見るとか、膨大な音楽データをダウンロードするといった習慣がないからだ。不詳46歳のおっさん、帯域を食うデータを屋外で扱うということに非常に慎重で、そういうライフスタイルは無意識のうちに避けてきた。

だけど、いざ目の前に「通信無制限ですよ」という端末をぶら下げられたら、何か自分の生活が変わるかも知れない。面白そうなので、「虎穴にいらずんば孤児を得ず」と言いつつ契約しちゃった。

楽天モバイルは、申込み画面からして不安を感じさせる作りだ。大丈夫か、おい、と思ってしまう。うっかり間違えると予定と違うものが届いてしまいそうな、そんな危うさがある。気をつけて回線契約を申し込む。

待つこと1ヶ月近くだろうか、7月頭にRakuten Miniが宅配で届けられた。特に窓口にいって手続きなどはない。また、Rakuten Miniは「eSIM」と呼ばれる仕組みで、SIMカードが存在しない。自宅などのWi-Fi環境で開通手続きをスマホ画面を見ながら行えば、回線がつながる。

これが「1円」の端末、Rakuten Mini。

噂に違わぬ小ささだ。3.6インチしか画面のサイズがない。

解像度は720×1,280のHDなので、そこまで情報量が少ないわけではないけれど、とにかく画面が小さいので文字も小さくなる。老眼の人はアウトだ。年寄り殺しの端末。

厚さは普通。これが4万円とか5万円とか言われたらほしくないけれど、1円なら大満足だ。軽いし、おサイフケータイがついてるし。僕が今使っているスマホ、おサイフケータイがないんだよな。メインのスマホとこのRakuten Miniで使い分けができそうだ。

鏡面仕上げで、とても滑りやすい。しかも小さくて軽い。うっかりトイレに水没させたり、紛失したりしそうだ。いや、もうこのサイズならば「うっかり」レベルじゃなく確実に起きそうだ。

僕が、敢えて目立つ赤色を選択したのは、「紛失しないように」ということでだ。楽天のイメージカラーである赤を敢えて選んだわけではない。

ようこそ、と小さな画面から呼びかけられた。お、おう。どういたしまして。

セットアップをこの後進めたけれど、とにかく画面が小さく、文字入力がしづらい。これでチャットをやろうなんて、僕ならば考えない。なにせ、スマホよりもすぐにPCを使おうとする世代の人間なので。

40代のひと:PCネイティブ
30代のひと:PCとスマホの過渡期
20代のひと:スマホネイティブ。PCでやりゃ早いことでも、なんでもスマホでやる

という世代間ギャップがあるわけだけど、僕は40代。このスマホはなかなかにチャレンジングだ。

セットアップ方法とか、機能とかはその他のサイトに任せる。たっくさん、Rakuten Miniと楽天UN-LIMITを使った検証記事がネットに転がっているから。

で、僕だけど、幸いにして自宅が楽天モバイルのバリバリ圏内だった。そして、職場も圏内。なんだ、日常生活では不自由しないぞ。しかも、結構なスピードが出ている。

でもまだ楽天モバイルの電波は弱いようで、職場のエレベーターに乗っている間は、電波は掴んでいるものの通信が鈍くなった。場所によってかなりムラがある印象だ。

なので、「おっ、楽天モバイル圏内だ。よし、動画とか見放題!」と油断していたら、移動している間に楽天モバイル圏外になっている可能性がある。まあ、どっちにせよ1年間は無料なのだから、問題ないけれど。

紛失しないように、100円ショップでストラップを買って装着した。Rakuten Miniは右下にストラップの紐を通すための穴が開いているので、そこに紐を通す。引っ張ったらびよーんと伸びるタイプのストラップにしてある。そして、別売りでカラビナも買ってきてドッキング。「普段はポケットにRakuten Miniを入れ、ベルト通しにカラビナを引っ掛けておく」という仕組みができた。これで、たぶん紛失しなくて済むはずだ。

バッテリ容量が1,250mAhしかないので、「おおっ!?」と目をみはるほどのバッテリ消費の早さだ。外出しているときはポケットに入れっぱなしにして、常時テザリングにしておきたい。でも、使い方次第だけど数時間でそろそろバッテリの残容量が怪しくなってくる。本体は軽量コンパクトだけれど、モバイルバッテリも一緒に持ち歩く必要がある。

これから1年間、こいつと付き合ってみることにする。1年後、「有料期間になるので、じゃあね、さようなら」と当初予定通りすっぱり縁を切れるのか?それとも、使い勝手がよくて、つい契約延長してしまうのか。または、途中でスマホ2台持ちが面倒になって契約解除してしまうのか。

どちらにせよ、ちょっとしたワクワクを自分は手に入れた感がある。ちょこちょこ、こいつを持ち歩いてみようと思う。

【注意事項】
この端末、USB Type-Cで充電する仕様になっているのだけれど、若干クセがあるようだ。充電ケーブルによっては充電ができなかったりするし、刺し方によって充電できたりできなかったりする。外出先で、手元にある2種類のUSBケーブル両方とも充電ができなかったので、不良品なのかと思った。充電には注意が必要。

【注意事項その2】
報道のとおり、このRakuten Miniはユーザーにも電波利用の許認可を審査する総務省にも内緒で、勝手に利用可能な周波数帯を変更していたという問題が発覚している。通信キャリアとしてあるまじき失態だし、「手違い」ではない悪意ある改変行為と思わざるをえない事態だ。現時点における楽天モバイルというのは「そういう会社」なのだというのが現実で、全幅の信頼を置くことはできない。

僕にとってBand1が使えない、というのはドコモ回線ユーザーとして不利益なのだけど、どうせサブ回線だし、1年で解約するつもりだし、どうでもいいやと割り切った。

(2020.07.06)

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 結局、この楽天モバイル回線は予告通りきっちり1年で解約した。

    通信が無制限!というのは本当に快適で、外出先で動画コンテンツを見ることに何の躊躇もいらない生活はよかった。

    たった1円(実質)で端末をもらい、1年間無料で通信ができた恩は感じているが、契約を延長させる気にはなれなかった。通信品質が僕にとっては満足ができなかったからだ。
    地方都市の新幹線駅から徒歩10分、15分程度の住宅街でさえ、通信が切れるという状況(2021年4月時点)だったからだ。あと、ahamoの出現により全体的に携帯の通信料金が下がった、ということもある。

    こういう時代の流行り物に飛びついて、あれこれ試行錯誤して、しかるべき時がきたらさっと飛び降りるというのは調査・事務手続きやセットアップにかかる時間がそれなりに必要だ。それを人件費換算するとあまり効率がよくないかもしれないが、楽しんでやれている限りは人件費ゼロという考えでいいと思う。

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