半年ちょっと前の2024年12月に、わが家の備蓄事情について記事を書いた。

一週間、自宅避難できるように水や食料、なんならビタミンやミネラルも備えておけよ!という内容に家族一同、戦慄した。無理じゃん、と思ったからだ。
それでも水タンクにせっせと水を溜めて、数日起きに風呂の水として使ったり、涙ぐましい努力をしている。たぶん、実際に大災害に見舞われるより先に、僕の腰が災害を起こすと思う。20キロの水タンクを持ち運ぶのは本当に体に悪い。
あと、当時から想定していた通り、食料のローリングストックがめちゃくちゃになってしまった。もはや、今現在なにがどれだけあるのか、数がわからなくなってしまった。備蓄用の長期保存可能な食料ではない、レトルトやプロテインバーなどを大量に買った結果、「早く食べないと賞味期限が来る!」と慌てる結果となった。そのため、ちょこちょこ消費することになり、在庫管理がまったく行われていない有り様だ。
どうしようかなあ、備蓄食料用に衣装ケースやユニットシェルフのようなものを買って、そこに整然と並べて在庫が一目瞭然になるようにしようか?などと今考えているところだ。
しかし、整然と並べるには広い場所が必要だ。そしてそのためには、ウォークインクローゼットの奥深くの死角などになる。それはそれで整理ができるかもしれないが、今度は「気軽に消費しながらローリングストック」が不可能となる。一長一短だ。
これ、わが家が3人家族だからまだこの程度だけど、4人家族になったら一体どうなるんだ?水だけで、家の床が抜けるんじゃないかという心配がある。できるだけ分散して物を置かないと。
さあ2025年の夏。すでに6月の時点で「えっ、マジですか」というレベルで猛暑となり、東京でも35度近くになる日が連日続くようになった。そこで僕が気になったのが、「この季節に災害が起きて、自宅避難って可能なのか?」ということだ。
今僕は、一日の大半をクーラーの効いた自宅でテレワークをして過ごしている。快適なのだが、それはクーラーがあってこそのことだ。
じゃあ、災害で停電したらどうなる?
もちろん、エアコンは使えない。地獄じゃん、それ。災害そのものも地獄だけど、災害後に都市インフラが復旧するまでの間がもっと地獄の予感がする。
温暖化のせいなのかなんなのか、最近は5月頃から10月までクーラーを使うようになった。わが家は特に日当たりや建物の構造上の問題で、何もしないとやたらと室温が上がる傾向にある。クーラーがないと生活が不可能だ。
年に半年、クーラーによる涼が必要となるわが家。そんな家で、「災害時は自宅避難」だなんて呑気な話すぎる。水や食料をしこたま備蓄していたって、暑さに耐えられずに家から逃げ出す羽目になりそうだ。
じゃあどうする?自宅避難は無理です、とギブアップして、地域の避難所に行くか?
もちろんそれでも良いのだけど、できるだけ自助努力はするべきだろう。過密都市東京で、避難所に期待するのは無理がある。暑ささえなんとかなれば、自宅避難の方が確実に快適だ。
ガソリン発電機を完備し、クーラーを動かす・・・なんてのは夢物語だ。そもそも、マンションの管理規約上、ガソリンで駆動するものを専有部で勝手に使ってよいのかどうか疑問だ。じゃあ、クーラーは大げさだとしても、扇風機はどうだろうか?
現実的な解として、扇風機またはそれに類するものをわが家に導入することにした。そして、それを動かすためのポータブル電源も。

ポータブル電源なんて、文明の利器をバリバリに使うオートキャンプ好きで、マイカーを持っている人でもなければ宝の持ち腐れだ。少なくともわが家においては、完全に「防災グッズ」でしかない。一般的な利用シーンが思いつかない。
そんなものに高額なお金を払い、貴重なわが家の床面積を取られるのは悔しい。
僕はガジェット好きだが、なにかモノを買うことで生活の質が向上することを実感したり、ワクワク感があったり、見返りがないものに出費はしたくない。
今回のポータブル電源が、まさにそうだ。全然ワクワクしない。
モバイルバッテリーなら、「薄型・小型なのでこのポーチに入れて気軽に持ち歩ける!」などとワクワクする要素を見出すことができる。でも、段ボールサイズで相当重たいポータブル電源だと、単なる電源インフラに過ぎない。僕ら家族の生活の潤いをもたらす利用シーンがまったく思いつかなかった。
「えー、買いたくないなぁ、やめたいなぁ」
とさんざんぼやきながらも、夏場の涼確保は大事、ということは間違いない。夫婦で相談し、諦めて買うことにした。
問題を先送りにしたい気持ちがいっぱいだったが、先送りにしたって災害がなくなるわけでも、日本が寒冷化するわけでもない。必要だと思ったら買うしかない。やだなぁ。
防災について、夏場の災害時にどうやって暑さをしのぐのか?という事に関する情報が世間で全然少ないと思う。想像力が欠如しているのか、うちわと濡れタオルと気合で頑張れ、と思っているのか。謎だ。
ポータブル電源だって、メーカーをはじめ紹介する記事だとご機嫌なアウトドアの話ばっかりだ。災害時にも強い味方になる、という主旨のことは書いてあるが、せいぜい照明とかスマホ充電とか、そんなことばっかりだ。違う違う、暑さ対策をどうするんや?という話が足りない。
マジで、夏に災害が起きるのだけはやめてくれ。
しぶしぶ買ったのが、これ。AnkerのSolix C1000。
またAnkerか?お前んちはAnker製品だらけだな!と言われそうだが、実際そのとおりだ。極力メーカーを偏らせている。
特にこういうバッテリーについては、廃棄がとてもむつかしい。日本でしっかりとしたシェアを持ち、ちゃんとした販路やアフターサービスを持っているメーカーでないと、怖くて買えない。
聞いたこともない謎メーカーの謎バッテリーだと、不要になったときの回収方法が確立されているかどうかが不安だ。しかも最近はモバイルバッテリーが発火する事故が相次いでいるので、なおさら不安だ。
バッテリーについては、有名メーカー以外のものを買うという選択肢はなかった。そうなると、オレンジ色の筐体でおなじみのJackley(ジャックリー)かAnkerか、となる。他にもあるだろうが、まあ、この2つから選んでおけば問題はなさそうだ。
バッテリーの容量をどうするか問題、はライフラインである以上とても大事だ。
容量がデカいにこしたことはないが、容量をデカくすればするだけ、お値段がギョッとするレベルで高くなっていくし、サイズも重さもとんでもないことになる。現実的な落とし所、を考えなければならない。
ちなみに今回買ったC1000は1,056Whで、12.9kgだ。バッテリーの両側に取っ手がついているので、そこを両手で持ってようやく持ち運べる。片手で運ぶのは事実上無理だ。
もっとコンパクトなサイズで、スタイリッシュなサイズの商品はもちろんある。たとえばAnkerならSolix C300とか。288Wh。
実売価格30,000円を切り、ストラップ付きで肩からぶら下げることができる。これならキャンプに持っていくことも現実味を帯びてくる。
しかし、これじゃダメなんだ。夏の防災、という観点じゃ、全然足りないんだ、これじゃ。
たとえば、Amazonで「扇風機」を検索して適当に見つかった、安い機種。
この消費電力は48Wとなっている。つまり1時間で48Wh。
たとえば先程のC300はバッテリー容量が288Whなので、この扇風機を6時間しか動かすことができない計算になる。
えっ!?たった6時間?
扇風機って、クーラーと比べてはるかに消費電力が少なく、エコな家電製品という印象が強かった。実際そうなのだろうが、ポータブル電源で駆動させるにはかなり電気を食う存在だということが判明。
もちろん、「48W」というのは突入電流も考慮してのものであり、常時48Wを消費し続けるわけではないと思う。それでも、やっぱりポータブル電源をコンパクトにするのは防災の観点では危険だと思った。
できることといえば、ポータブル電源の容量が大きいものを買うこと、そして消費電力が低いDCモーター駆動の扇風機を買うことだ。そして、ポータブル電源に充電できるように、ソーラーパネルを買うことだ。
今回買ったC1000は、100Wソーラーパネルとセットのものにした。AnkerはAmazonのセールにあわせて頻繁に値下げをするし、それ以外でも数万円引きのクーポンがあったりと、二重価格に近い販売のしかたをしている。なので、メーカー希望小売価格より安く買うことはできる。それでも僕が買ったときは90,900円。10万円以上するなら、「夏に災害が起きたら、溶けること上等!」と開き直って買わなかったと思う。
ソーラーパネルで充電ができるなら無敵ではないか?と思うかもしれない。でもそんなに簡単に充電できるわけがない。
今回の製品はまだ未使用なのだが、一般的に充電用ソーラーパネルというのは晴天で、太陽光がちょうど垂直に当たるようにパネルの向きを調整して、それでようやく充電ができるかな?というレベルだ。
曇り空だったり、太陽と向きがちょっとずれていたりすると、ぜんぜん充電がはかどらない。
濡れた靴をベランダで乾かすわけじゃないんだから、日当たりが良いところに置いておけばオッケーとはいかない。
たぶんわが家だと、まともに充電できるのは一日数時間あるかどうか、だろう。そもそも災害時は粉塵がすごいことになっていそうで、果たして太陽光をうまくキャッチできるのかどうかもわからない。
それでもソーラーパネルを買ったのは、「これがあればワンチャン充電できるかもしれない」という気休めのためだ。

Solix C1000は、電源コンセントが6口、USB Type-Aが2口、TypeCが2口、車のシガーソケットが1口あって合計11口のアウトプットができる。
ずいぶん気前が良い。
バカ正直にこれだけのコンセントをバンバン使うと、いくら1,048Whの容量とはいえ、あっという間に消耗してしまう。言っちゃなんだが、扇風機ごときでグイグイ電気を使ってしまうんだぞ?信じられるか?
ちなみに、10,000mAhのモバイルバッテリーをWhに置き換えると、だいたい37Whになる(リチウムイオン電池の場合、3.7Vのため)。そう考えると、1,048Whもあれば、スマホ充電なら残容量を気にせずバンバンできる。
しかし、扇風機のように実際にモノが動く系のものとなると、どうしても消費電力を食うのだった。

ポータブル電源のお供として買ったのが、これ。
扇風機ではなくサーキュレーターにしたのは、小型なので邪魔にならないことと、消費電力が少なかったからだ。
この商品の場合、17W。DCモーター使用ということもあって、他の製品よりも省エネだった。ただし、さすがに値段はちょっと高い。
このサーキュレーター1つで、家族の自宅避難をまかない切るのはむつかしい。しかし、きりがないのでこの1個でなんとか乗り切るしかないだろう。
なにせ、17Wで省エネといっても、1日8時間使うと136Wh、それが一週間続くと952Wh。ほぼC1000のバッテリー容量を使い切ってしまうことになる。「1日8時間だけ扇風機」というのは多分現実的ではない。それで夜眠れるのか?昼間は酷暑だけど耐えられるのか?などと考えると、むしろC1000クラスの容量でさえ、足りないことになる。
ここ最近の夏は暑くなりすぎだ。夜になっても、涼しくならない。昔と比べて、災害対策がすっかり難しくなってしまった。

C1000の右側面に、かなり大きなソケットが備わっていた。
この製品には紙のマニュアルが付いていないので、「なんだこれは?」と思ったが、別売りの外部バッテリーとの連結ケーブル用コネクタだった。
C1000を運用してみて、「もっと容量が欲しいなー」と思ったらこれを買い足せばいい。
・・・そんなことは多分、ない。災害でもない限り、C1000を使わないからだ。そして災害時に「もっと容量が欲しいな」と思うなら、それはもう当初見積もりが甘かったとしかいいようがない。

本体左側側面には、このポータブル電源を充電するためのコネクタ、ソーラーパネルとの接続用コネクタがある。
真ん中の丸いボタンはなんだかわからないが、ブレーカーかなにかなのかもしれない。

ケーブル類。やたらと多い。
下2本は、C1000を充電するためのコンセント。通常の電源からのものと、シガーソケットからのもの2種類。
上の3本は、ソーラーパネルとC1000を連結するためのもの。なんで3本もいるんだ?と不思議になる。シンプルに1本で繋げられるようにできなかったのだろうか?メーカーとして言い分があるだろうが、1本にまとまっているほうがいいに決まっているので、ここはなんとかしてほしかった。

電源を入れてみると、箱から取り出した時点でバッテリー残量が89%だった。
このC1000は、フル充電に要する時間が58分を謳っている。モバイルバッテリーの容量と充電速度を考えると、異次元の速さだ。
充電中の速度が液晶画面に表示されるのだが、それをみると「670W」と表示されていた。なるほど、電子レンジの消費電力並に電気を吸い上げているんだな。
つまり、600Wの電子レンジを1時間ちかくブン回すのと同等のことをやって、この巨大な黒い箱を満充電にするというわけだ。電気を食うなあ。
充電中の音も、部屋が静かな時はギョッとするレベルだ。うるさくはないのだけど、充電でバッテリーが熱を帯びるため、ファンで冷却する必要がある。そのファンの音が急にするので、夜中にびっくりすることになる。電源に繋いだまま、この製品を寝室に置いておこうとは思わないほうがいい。時折フォーンと小さな音が鳴り始めるから。
これで夏の災害にも対処可能、と安心できないのが歯がゆいところだ。心配しだすと、きりがない。
もっと省電力で体を冷やす方法を今後も考えていきたい。
ちなみにペルチェ素子を使って冷却できないか?と思ったが、消費電力が扇風機どころじゃなく多い上に作りがデリケートなので諦めた。
空調服なら、家族一人につき一着必要になるけれど効率が良い気がする・・・けど、どうなんだろう。うーん。
(2025.07.22)

コメント
コメント一覧 (4件)
おかでん殿
自分もこのクソ暑い時期での災害時における電源確保はこの数年宿題として悩んでいます。
自宅が全壊もしくは火災に遭わない限りは避難所へは行かず自宅自助生活とすることは妻と決めており、水(自営業を営む妻の店用のウォーターサーバー用途のストックはかなり有る)・災害時用トイレ・何やかんやで10日分程度の保存食料のストック(時々入手するMREもあるよ)含む諸々と自宅要塞化オペレーション発動した際の、装備の準備(家族を護る事と私有地内と限定しているので、まあまあのモノを含む)とシミュレーションとチェックし続けてはアップデートを行ってはいるものの、非常用電源のスペックが決められない問題の最中、この記事は参考になりました!
退役軍曹殿>
非常用電源がないと、この猛暑の中だと自宅避難は1日とて持続できないでしょうね。
災害が起きるのは天災なので仕方がないとして、せめて夏場だけはやめてほしい・・・。すぐに物が腐るし。
理想を言えば、停電で冷蔵庫が停まって中のものが腐るのを延命させるため、小型のアウトドア用電気式冷凍庫ないし冷蔵庫があると良いんですがね。一日数時間だけでも作動させて、冷凍庫のものが腐る前に食べきる。
台所の大きな冷蔵庫を駆動させるのではなく、必要最低限のものだけ対策できる予感。
でもそんなものまで用意をしていると、きりがないのでやらないですけれど。
マイカーを持っていて、オートキャンプもよくやります!という家庭ならば、災害対策用品とキャンプ用品をシームレスに活用できるので羨ましいです。
わが家はいったんこれにて備蓄等はストップ。
なお、冷蔵庫系について調べてみたら、容量がデカい方が省エネ性能が高かったりするので、本当にポータブル冷蔵庫・冷凍庫の方が効率がよいのかどうかは不明。
あと、「もう我慢ならん!ポータブル電源でエアコンを動かす!」と決めた場合、じゃあリビングにある大きなエアコンを動かすのか、寝室にある小さなエアコンを動かすのかも、消費電力や効率が異なるので悩ましい。
考え出すときりがない世界ですわ。
いずれにせよ、電気の復旧というのはものすごく大事。
もし地元で災害があったら、避難所運営のボランティアに参加するのもいいけれど、早く電気が復帰できるようなお手伝い要員として協力したいと思う。
とはいっても、電気工事は国家資格が必要だし、家庭内配線ならともかく「電線」レベルのものを扱うのはプロ以外無理。せめて電気工事のための交通整理とか、がれきの撤去とか、そういうところでお手伝いができればと。
でも、猛暑だったらそれも大変だ。
いや、そもそも被災中に本業の仕事はどうするんだ?子どもの対応があるから仕事はやってられないのだけれど、それで済むのか??
我が家も水のストックをもう少し増やす程度で備蓄は一旦打ち止めです。スペースの問題が...
あと、被災したら仕事は難しいというか実際出来ないだろうと想像はつきますね。