一ヶ月ほど前に、「持っていたAnkerのモバイルバッテリーがリコールになって、返品交換という段取りになった」という話を書いた。

このバッテリーをAnkerに送ったのは、7月下旬のことだ。
ちょうどその直前の7月20日、運行中のJR山手線の車内でモバイルバッテリーが発火してけが人が出た、という事故があったばかりだ。メディアでは「モバイルバッテリーがいかに危険を伴うものか」という実験映像をたくさん報じていた。暑くなった車の中に放置しておくと火を吹く、とか高いところから落下させると火花が出た、とか。
そんな時期にレターパックでモバイルバッテリーを送るとなると、日本郵政は受託を拒否するのではないか?と心配だった。さすがにレターパックを送ってきたのは製造元であるAnkerだから、リコール製品のモバイルバッテリーをレターパックで送って良い、という確認は日本郵政との間で取れているはずだ。だから僕があれこれ気をもむ必要はないのだが、窓口でゴタゴタするのはいやだ。
だから、宛先などを記載するところの「品名」欄に「モバイルバッテリー(耐火シートで梱包済)」と明記し、さらに自分が住んでいるエリアの中核となる郵便局の窓口で受付をしてもらった。地元の小さな特定郵便局だと、窓口職員が判断つかないかもしれない、と危惧したからだ。
でも、そのあたりはまったくの杞憂だった。「ああ、いいですよー」とすぐに窓口の人は受け取ってくれた。
「えっ、いいんですか?モバイルバッテリーですよ?」とわざわざ僕が聞いてしまったくらいだが、窓口職員さんが言うには「航空便じゃなくて、送り先が埼玉県なので陸送ですから」とのこと。はあ、そういうものなのか。

で、新しく届いたのがこれ。
Power bank(20000mAh,87W,Built-In USB-Cケーブル)。
スペックは事前にわかっていたのだけれど、実物を手にして「おう」と思わず声が出た。
それだけ、デカい。そして重たい。
以前使っていた「Anker Power Bank (20000mAh, 22.5W, Built-In USB-C ケーブル)」と容量は同じ。
なので、「まあ、だいたい同じサイズだろう」と甘く見積もっていた。なんなら、最新モデルだし、若干軽量コンパクトになっているのでは?という淡い期待があったくらいだ。
しかし、まったく違った姿になって返ってきて、困惑だ。
重さは345gから430gに増加。おい、25%増しじゃないか。随分太ったな。
そしてサイズは、長さ113mm x 幅72mm x 厚み30mm だったのが 長さ158mm x 幅74mm x 厚み26mm(おおよその数値)になってしまった。
以前のものは厚みがあるもののコンパクトにまとまっているな、という縦横サイズだったのだけど、今度のやつは明らかに長い。4センチ以上も縦長になってしまった。
22.5W出力だったものが新バッテリーは87W出力となっている。これにより、ノートPCさえもUSB PDで充電できる力を持つことになった。なにせ1ポートあたり最大65Wの電流を流せるからだ。
これはすごいことだが、でもそんなハイパワーは今のところ、いらない。ノートPCの充電をモバイルバッテリーに依存するというシチュエーションがまず無いからだ。
昔は、ノートPCのバッテリーはすぐにヘタり、購入から1年もすると随分とバッテリーの持ちが悪くなったものだ。東京から広島に向かう新幹線で、ノートPCのバッテリー切れを心配するのが当たり前だったくらいだ。たとえカタログスペック上では「7時間バッテリーが持続します!」などと謳っていても、だ。
その時代なら、モバイルバッテリーでPCが給電できるというのはありがたかった。
でも、今のPCはバッテリーの性能が高いし、OSも節電に積極的で、バックグラウンドであまり使っていないアプリケーションの消費電力を節約することが当たり前になった。お陰で、PCのバッテリーで苦労する機会が減った。
そもそも、PCを広げて使うような場所では、電源コンセントが用意されていることが増えた。だから、モバイルバッテリーはもっぱらスマートフォンや、その周辺系ガジェットの充電に使われる。それならば、30Wくらいの出力で十分だ。その分、コンパクトにまとめてほしい。
もちろん、今どきならば超高速充電を売りにしている強烈な個性を持つスマホは存在する。SamsungのGalaxyが45Wで充電できる、ということでビビるが、世の中には上には上がいて、Xiaomiなら100W、Motoloraは125W、そしてRealmeならなんと240W充電というスペックを持っている。爆発するんじゃないか、とヒヤヒヤするレベルだ。
ただ、この100Wだの240W、というのは専用充電器を使った独自規格・仕様に基づいた充電で実現する。汎用的なモバイルバッテリーでUSB PD規格による充電だと、もっとワット数は低くなる。
USB PD規格3.1だと240Wまで給電可能なので、今後発売されるスマートフォンが高いワット数に対応する可能性はある。しかし、こうも発火事故が頻発している昨今の事情を考えると、スマホにしろモバイルバッテリーにしろ、そうやすやすとワット数を上げるわけにはいかないんじゃないか?と思うのだが、どうなんだろう。
発火とワット数に何ら関連がないなら、将来に備えて今回の87Wモバイルバッテリーは良かった、ということになるんだが・・・。でも、デカくて重いなぁ。
10,000mAhのバッテリーなら、「慣れれば持ち歩くのも苦じゃなくなる」程度のサイズと重さだ。でも、20,000mAhはどんな製品であれ、重たい。それにこの製品はデカさが加わるので、まいった。
外出時、「念の為に予備のバッテリーとしてカバンの中に入れておこう」という気にはなかなかなれない。そう躊躇してしまう製品だ。
僕の場合、縦走登山で数日間山の中にいることがある。このため、充実したバッテリー容量というのはとても安心感がある。だから持って行かざるをえないのだけど、それにしても重たい。
UL(ウルトラライト)な装備で山に登る人が昨今は増えているが、僕はオールドタイプの人間なので荷物はゴテゴテと多くて重たい。少々荷物が増えてもしょうがない、と諦めているのだが、そんな僕でさえためらうのがこのバッテリー。なにせ、これとは別に10,000mAhバッテリーを持参し、トータルで30,000mAhを確保したうえで入山するのだから。荷物が重たくなるわけだ。
そんなに山にバッテリーを持参する必要はないだろ?と思うだろうが、先日、幌尻岳で川の増水のため下山が予定日から1日遅れたことがあった。そのとき、合計30,000mAhバッテリーはとても安心感があり、助けられた。バッテリー切れを起こしていたら、下界の家族と連絡がつかなかったし、レンタカーの延長や飛行機便のキャンセルといった手続きができなかった。
そういう体験があるからこそ、重たくても山にはバッテリーを持参する。特に今、YAMAPなど登山用のGPS地図をトレイル中に常時参照しているので、登山において充電はとても大事な要素になっている。
ちなみに、20,000mAhと謳っているが、定格容量は12,000mAh。額面の6割が手取り、といったスペックになっている。なので、見た目ほど潤沢に充電をしまくれるわけではない。
このバッテリーには、巾着袋が付属で付いているといったサービスは特にない。自前でなにか入れ物を見繕う必要がある。裸で持ち歩くのは、ちょっと不穏だし。
リコール対象となったバッテリーに使っていたケースは、専用品だけあって新バッテリーにはまったくサイズがあわなかった。かといって、また新たに専用のケースを買うのはもったいない。
しょうがないので、暫定的に山用のスタッフバッグ「パーゴワークス W-FACE スタッフバッグ1」に収納した。
容量1リットルの巾着袋だが、「W-FACE」という名前がついているように、二気室になっている。片方はナイロンの袋である程度の防水性があり、もう片方がメッシュで通気性がある。それぞれの部屋の容量は可変で、メッシュ袋をメインとして使ってもいいし、ナイロン袋ばっかり使ってもいい。もちろん、50:50で使うこともできる。
これが便利で、片方に食べる前の行動食を入れておいて、もう片方に食べ終わってゴミになった行動食の袋を入れる、といった使い方や、片方に着替え、もう片方にタオルを入れて風呂に行くといったこともできる。
モバイルバッテリーの専用袋にするには高価でもったいないので、ほかにも細々したものを入れがてら、この袋にモバイルバッテリーを入れようと思う。
(2025.08.05)

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