甲子(01)

2000年01月09日
【店舗数:005】【そば食:007】
東京都練馬区栄町

浜納豆、玉子焼き、もり(せいろ1枚追加)、熱燗

甲子外観

西武池袋線江古田駅の近くに、蔵づくりのそば屋があるという。僕の実家には蔵があるので、蔵そのものは特に珍しくはない。しかし、その蔵の中でそばを食べるなんて事はやったこともないし想像したこともない。まあ当たり前だが。ならば、これはぜひ試してみなければなるまい。

写真で見ると派手な店構えだ。駅前商店街の中にどかんといきなりこの蔵があるのだから、「一体何事だ」という風貌。しかし、そば屋独特の静かに引き締まった空気があたりを包んでいるため、最初は気づかずに素通りしてしまった。周りのコマーシャリズムに汚染された空間に目を奪われていたからだろう。地図を確認して、ようやく発見。

お茶と落雁

中は、10人程度座れる長机が3卓並んでいるだけというシンプルな構成だ。適当なところに腰を落ち着けると、人のよさそうなおばちゃんがもんぺ姿に白足袋でぺたしぺたしと音を立てながらやってきて、お茶と落雁を出してくれた。食事の前に落雁をどうぞ、なんて初めてだ。京都を意識しているのだろうか?こんな些細な接客でも、お客としてはものすごく和んでしまう。もうこの時点で僕は「このお店、大当たりだ」と確信した。

浜納豆となます

お酒は澤ノ井。お燗にしてもらってちびりちびりと頂く。突き出しはなますで、お酒を飲むにはちょうど良い。おつまみとして頼んだのは、「浜納豆」。これは何でも大豆を発酵させたものらしく、小皿にほんの10粒程度しか乗っかっていない(値段は260円なので、決して高いワケではない)。しかし、この浜納豆が予想以上においしいのだ。一粒で300mならぬ、一粒でお酒二杯ってな感じなのだ。おい大豆、いつの間におまえはそんなに濃厚な味になったのだ、とお酒でいい気分になりながら問いかけてしまったほどだ。

もり

そばは、きしめんのように平べったい形をしているのが特徴。ふつうのもりそばで二段重ねで、写真に写っているのはせいろ1枚追加した状態。これで900円だ。

お酒のお銚子、徳利共に備前焼なのだが、めんつゆを入れる容器まで備前焼だった。このざらざらとした触感を愛でながら、そばを食べる。コシが強く、非常においしい。せいろの赤い塗りがちょっと安っぽいな、なんて思ってしまってごめんなさい僕が悪かったです、ってくらいおいしかった。そばの香りはほとんどせず、地味ながらおいしいといった部類かな。

最後、そば湯を頂いたけど、湯桶に入っているそば湯を全部飲み干してしまう(500mlはあっただろうか)ほどこれまたおいしかった。いやあ、くつろいだ。本当にくつろいだ。今回は初回ということで、店の雰囲気を楽しむっていうまでには至らず食べ物ばかりに目がいっていた。でも、次回来るときは総合的に楽しみたいものだ。そんな気にさせる、秀逸なお店だった。