総本家小松庵 池袋メトロポリタン店(01)

2000年01月25日
【店舗数:016】【そば食:022】
東京都豊島区西池袋

そばみそ、厚焼玉子、地鶏山椒焼、せいろ、生ビール、燗酒(月不見)

小松庵外観

この日は無性に酒が飲みたく、飯を食べたい気分だった。育ち盛りのお子さま状態だった。最近、そば屋であったり自宅でお酒を飲むときは、でろでろに酔うまでお酒を飲まない。だから、たまには酔っぱらってみたかったのかもしれない。お酒を飲む=居酒屋でぐいぐいと、というのが常である僕にとっては、そば屋通いが始まってからというものの「いい感じに酔っぱらうまでは飲まない」というスタイルに疲れていたのだろう。

しかし、職場の人々は忙しくて誰も相手してもらえず。夕方5時半頃から色目を使って同僚達にモーションをかけたのだが、どうもその誘惑は理解してもらえなかったようだ。「ふんだふんだ、一人で家に帰るわい」と拗ねながら仕方なく一人で帰宅。・・・のはずだったが、なぜか池袋駅で神の啓示を受けてしまい、突発的にそば屋に行くことにした。今回は、デパート内にある食堂街のおそば屋さんだ。初体験ゾーンだ。

19時過ぎということでデパート食堂はごったがえしているかと思われたが、すんなり入店できた。
今回お邪魔した「メトロポリタンプラザ」という場所がほんの少しだけ辺鄙なところであること(といっても池袋東武百貨店と繋がっている)が原因なのか?

そば屋というのが昼飯のイメージが強いから夜は繁盛しないのか?

デパートそば屋なので居酒屋代わりにお酒を飲んでとぐろをまくお客さんが少ないのか?

店内は、さっぱりとして気持ちの良い内装だった。しかし、どうもおかしい。くつろげるか、といえばそうでもないのだ。やかましくないし、ばたばたしていないし、店員はきびきびしているので問題ないんだけど、やはりしょせんはデパートの食堂。「ああー、くつろぐなあ」という気分ではない。店外の通路側壁が全面ガラスになっているのも、くつろげない原因かもしれない。なにか、不思議な感じがする。

突き出しはひじきの煮物だった。そば屋の突き出しとしては珍しい気もする。それに併せて出てきた生ビールは、400円する割にはちょっと大きめのグラス程度のサイズで出てきた。ありゃ、高い。・・・そうか、ここはデパートの中だっけ。あらためて「デパート物価」を認識させられた。

そば味噌が出てきた。普通のそば味噌は、小皿にちみっと盛られていたり(神田まつや等)、小さなしゃもじに薄く敷いて炙ったり(鞍馬等)というパターンなんだけど・・・なんじゃあ、こりゃあ。そばがワイヤー状にねじって輪にして揚げた、クリスマスブーケ状のものがお皿に立体感をもって鎮座しているのだ。このワイヤー、あまりにごついので一瞬伊勢エビかと思ったくらいだ。で、このどこが「そば味噌」なんだろう。

ふと、高校の修学旅行を思い出した。島原や熊本のお土産屋に、やたらと「かにみそ」が売られていた事を。かにみそ、といえば言うまでもなく一匹から取れる量が少ない珍味。それなのに、英和辞書ほどのサイズの箱に入って500円なのだから怪しいとしか言いようがない。しかし、その当時「かにみそは珍味でおいしい」という知識しかなかったわれわれは、「これはお得としかいいようがない」と判断し、このかにみそを買ってしまったのであった。結果は・・・「味噌」に「かに」があえてあるという代物。おみそ汁にどうぞ、ってか。いやあ、いい勉強になりました。安いものはそれなりの理由がある、ってことが。

さて話は戻ってそば味噌の話。これもひょっとして、「そば」と「味噌」が独立しているんじゃないかというのがぴーんときたんだけど・・・おー、あったあった。ワイヤー状そばの下に隠れるように、キュウリのスティック、そしてその脇に味噌。こ、これでは「もろきゅう+揚げそば」ではないか。こちらの思惑通りの「ちょっとずれた商品」が出てきて、うれしくなってしまった。でも、これで280円は安い。ワイヤーをばりばりと折って、ビールのつまみとした。ただし、味噌自体は甘ったるくて、いまいちだった。きゅうりにたっぷりつけて食べる分にはおいしかったが、単独でお酒のつまみにするにはちょっと。
お酒は聞き慣れない「月不見」。癖が強くないお酒で、そばと一緒に食べるには非常に気持ちよい。香りも強くなく、かといって水のような感じでもなく、おいしかった。1合で600円。ビールと比べるとコストパフォーマンスが良い。ついつい2杯飲む。まあ、夜だから良しとしよう。昼間だったら明らかに飲みすぎだな。

山椒地鶏焼は大正解。ガッツポーズをしたくなってしまったほどだ。単に地鶏もも肉のグリルなんだけど、表面に粉山椒が振りかけてあって、さらにその上に粒の山椒がぱらぱらとかかっている。そのスパイシーさがたまらない。肉のジューシーさと相まって、美味きわまりない。ああ、至福。しかし、こうなるとビールぐいぐい飲んでおねーさんレモンサワー追加ね、と居酒屋っぽくなってしまいそうで怖い。自制、自制。

厚焼き卵はたっぷりと時間をかけて登場。でかいのが3きれ。ほんのりと漂う甘さは卵そのものの味で、砂糖やだしで味を加工しまくっている感じがしないのが好感。一人で食べるにはちょっと多いので、二人で食べるのが吉か。3人だと、一人一切れでちょっと寂しい。ただ、でかさに比例してお値段が750円ってのはまあ妥当ではあるがつらいところだ。

隣では、母娘がお酒を飲まないでそば味噌→野菜天ぷら→そば、という流れで料理を食べていた。お茶だけで料理を食べているその姿は、なんか奇妙だった。せっかくなので、この母娘に「酒飲みのそば屋ってのはかくあるべき」っていうのを見せつけてやろうと思った。最後に豪快にそばをすすって「どうだ、これがそば屋の醍醐味(だいごみ)だぁぁ!」ってやろうと画策していたんだけど、そばがくる前に彼女たちは退席。あああっ。

最後はせいろ。氷水で締めたので歯ごたえが良い。平均点は稼いでいるな、っていう感じではある。

お会計。税抜き3980円。ひえー、高い。やはり町中のそば屋と比べると数百円から千円近くは高くついてしまうな。まあ、夕飯代わりに食べたからというのもあるのだろうが・・・。うーん。こんな事をやってると、お金が続かないぞ。

気軽に入れるお店なので、ちょっとそばを食べたいときに立ち寄るのはいいね。しかし、腰を落ち着けて1時間近く飲み食いしてしまうと、相当高くつくので要注意だ。

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