築地 さらしなの里(01)

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2000年01月26日
【店舗数:017】【そば食:023】
東京都中央区築地

刺身湯葉、粗挽きそばがき、手打ちそば、燗酒(鶴の友)

夜に行ったお店なので、写真はなし。何度写真を撮ってもうまい具合撮影できなかった。
築地においしいそば屋がある、といううわさは前から耳にはしていた。会社から近い事もあり、暇を見つけてぜひ行ってみたいモノだと常々思っていたのだが、なかなか行く機会に恵まれない。そりゃそうだ、「暇」ってのは見つけるものじゃなくて、作るものだからだ。気が付いたら時間ばっかり過ぎていた。

こりゃいかん、身近なそば屋でさえ腰が重いようだと、今後の展開が思いやられるぞと一発奮起。地下鉄有楽町線新富町駅をどかどかと駆け上がり、「さあここまでテンションあげたんじゃ、全方向からかかってこいや」と気合い入れてお店に突撃。

いや、でも・・・テンション上げきる前に、お店についちゃったんですけどー。新富町の駅をでて徒歩1分。恐ろしく近い。近すぎて、気合いが空振りしてしまった。こちらの思惑としては、「遠くだからなかなか行きづらくってね」と過去ぐずぐずしていた言い訳にしようと思ったのだけど、そちらも空振り。ぐはっ。

店の入り口には玉砂利が敷かれ、ガラス張りの入り口から奥はいきなり厨房になっているようだ。どうやら、客席は入り口入ってすぐ横にある階段から地下に降りたところにあるらしい。その高貴そうな風貌に、そば屋経験値が浅い僕は極端までにビビってしまった。築地といえば、周りに料亭が建ち並ぶ場所。ひょっとして、場違いなところに来てしまったんじゃ・・・と不安に駆られてしまったのだ。結局、意志の弱い僕は何事もなかったかのようにその場を素通りし、しばらく界隈を物色した上で再度お店に戻ってくる始末。弱虫だ。

リターンマッチになっても、まだ入るのを躊躇していた。でも、店頭にお品書きがあって、そばが2000円も3000円もしない事が確認できたので、ようやくのれんをくぐる気になった。でもなあ、いくら高級そば屋だとしても、しょせんそばなんだし、ざる一枚手繰って帰ればお金なんてたかがしれてるんだけどね。外食慣れしていない「経験の薄さ」がモロにでてしまった。うむ、まだ青二才じゃな。

清潔な階段を下りて、地下に降りるとそこは・・・うん、普通のおそば屋さん発見。当たり前だ。さっきまで何を緊張してたんだか。薄着でせくしぃなおねーちゃんが「あらお久しぶりねん」と言ってきたり、横で政治家センセイたちが密談やっていたり、なんて事はあるわけがない。

店内は「混んでるナー」の一歩手前くらいの混雑具合で、ちょうどいいにぎわい方だ。どうやら、居酒屋代わりに使っているサラリーマンが多数いるようで、結構長っ尻だ。僕が入店してから退店するまでの1時間弱で支払を済ませたお客さんは3組しかいなかった。でも、ここはそば屋。べろんべろんに酔って大声を出しているパワフル野郎はいなくて、とても気持ちの良い空間だ。

さて、何を食べようかと思案したが、とりあえず刺身湯葉と粗挽きそばがきをチョイス。刺身湯葉は、不肖おかでん、いまだ一度も食べたことのない食物だ。注文するとき、ついつい力んで「さ、刺身、湯葉ッ!」と叫んでしまった。変なところで言葉を区切ってしまったので、危なくお刺身と湯葉が出てくるところだった

さて出てきた刺身湯葉は、シソの葉っぱの上にこんもりとゆばが盛られている代物。しょうゆをちょっとつけて頂くが、大豆の滋味が口に広がってとても幸せ。ちみっとした量でも優雅に自己主張ができる風味、いいよなあ。お酒がすすむ。また、ここで登場した「鶴之友純米」なるお酒が美味で、ああ食も進む。困ったもんだ。

普段の僕は、ビール飲んで唐揚げやらなんやら食べて、というこってりとしたお酒ライフを満喫している。しかし、こんなにおいしいつまみが出てくれば、いくら地味でもいくらあっさりさっぱりしていても許す!って気分になってしまう。

「いやまいったまいった、こりゃうまくて困った」と一人うひゃひゃとほくそ笑みながら獲物の刺身湯葉をすくい取ってはなめる、と繰り返しているうちにおばちゃんがもう一つのオーダー、そばがきを持ってきた。ん・・・なんじゃ、こりゃ!節分豆まきで、芸能人が豆をまくために手にする升のような、ばかでかい升が登場したのだ。でけぇ!サイズでいうと、片辺15センチくらいはあろうか。鬼太郎のおやじが風呂につかるとおぼれてしまいそうなくらい、でかくて深い。そんな器の中には湯が張られ、びっくりドンキー300gバーグくらいのそばがきがどかん。厚さもボリューム満点で、3センチくらいはあっただろうか。しばらく、「これは何事だ」とあぜんとしてしまった。なるほど、こういうそばがきもあるのだな。店それぞれにそばがきが異なるのにはびっくりだ。

「粗挽き」と名乗るだけあって、断面をみると黒い粒子がいろいろまじっている。そんな装いなので、てっきり剛気でぼそぼそしているのかと思いきや、そばがきは箸でさっくりと切れた。ほこほこしていて、おいしい。うむ。

さて、そばがきをさっくり切ったまではよいが、これをどういう味付けで食べればよいのやら。お盆の上には猪口が二つついていて、一つはごまだれがちみっと。もう一つはからっぽ。てっきりそばつゆが別に用意されていて、持ってくるのだとばかり思っていたら違った。店員が忘れたのだろうか?それにしても、このカラの猪口は一体何?

でも、たれもつゆも不要。そばがきの淡泊ながらまったりとした味わいを楽しむのであれば、何もいらないからだ。ああ、うめぇ。そばの香りはしなかったが、うまい。

そばをお願いしたら、先にそば湯が来た。不思議だ。こんな体験は初めてだが、まあよしとしよう。

手打ちそばを食べたが、麺がしっかりとした形。堅めにゆでたのかと思ったが、そうではなくて麺の腰が強いようだ。しゃきっとした感じが気持ちいい。夏なんかにこれをわっとすすると痛快だろう。ただし、それほど麺は長くない。ずるずるずるっとはいきづらいかな。

何の気なしにお品書きを読んでいると、最後のページに、「当店で修行して独立した人がやってるお店」一覧があった。よく見ると、「練馬さらしな乃里」ってお店がある。おお、前野町6丁目。僕の住んでいるところからすぐ近くではないか。地図で見てみると、道路一本まっすぐ進めば到着しそうな気配。これはいい情報をキャッチだ、ぜひ今度いかなければ。

すっかり満足し、にこにこしながらレジに向かうと、そこには僕のバイブル「そば屋で憩う」が山積みになっていた。定価の1割引で売っている。なるほど、本に紹介されたそば屋には、出版社が「どうです、レジに置いてみませんか?」なんて持ちかけているのだろう。

お会計をしながら、おばちゃんに「そば屋で憩う」について話を持ちかけたら「そうなんですよ、先日も杉浦日向子さんがいらっしゃって、夕方4時から9時過ぎまで入れ替わり立ち替わり40名くらいいらっしゃったんですよぉ」ってうれしそうに語ってくれた。その笑顔がとっても自然で、ああすてきだなあ、よっぽどそば屋稼業がすきなんだろうなあ、とこっちもほほえんでしまった。

お店を出てしばらくしても、なんかうれしくって、なんか楽しくって、ついついにこにこしてしまった。初めていったお店だというのに、こんなに気持ちよい時間を過ごせたって事は今後も期待してよさそうだ。またこよう。幸い、会社から近いのでいつでも行けるし・・・。

ちなみに、このお店ではお酒2合しか飲まなかったのに相当酔ってしまった。不思議だ。ちとろれつが怪しくなりかかるくらいだから、本当に酔ったのだろう。いい雰囲気といいつまみだと酔いやすいのかな?



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