関越自動車道 高坂SA 下り線

2000年01月29日
【店舗数:018】【そば食:027】
埼玉県東松山市大字田木

かき揚げそば

天ぷらそば

「そばでも食っとくか」

このコトバは、以前の僕にとっては敗北に等しいものだった。高速道路のSAは、ファストフード類のパラダイス。アメリカンドッグ、フライドポテト、ラーメン、カレー、牛丼・・・。どれを食べても「ああ満足だなあ」という勝利の雄叫びをあげるにはやや物足りない料理たちではある。だけど、気がついたら視線が釘付けになってしまう、そんな魅力に満ちているのはなぜだろう。食べるつもりなんてさらさらないくせに、ついつい保温器の中に入っているフライドポテトの揚がり具合を物色したりして。その視線に答えるように、これらスナックは「おいでおいで」と人間の五感に媚びを売りまくる。相思相愛の関係がここで成立してしまうんである。

そんなこんなで、僕は「SAにおけるそば・うどん」という存在を完全に無視していた。理由は簡単だ、香り色あい共に迫力満点の揚げ物、空腹を満たすんであればカレーや丼ものといったご飯類、落ち着いて食事をしたければ併設レストラン。一体どんなシチュエーションで、どんな顔つきをしてそばをすすればよいのやら。想像がつかなかった。

駅の立ち食いそばだったら、「電車出発までの5分で急いで食べろ!」という瞬間そばチャージという大義名分がある。だけど、SAって時間の制約がそれほど無いし、そもそもSAでそばを頼んだら、出てくるまでに数分かかってしまう。・・・ますます、謎だ。誰がどんなシチュエーションでSAなんかでそばを食べているんだ、コラ。

ってな事を考えていたけど、気がついたら高坂SAのスナックコーナーで天ぷらそばを注文する自分がいた。なーんだ、結局そばが好きだからSAでそばを食べてるだけじゃないか。ただ、それだけの話だったという事だ。

この日、僕は越後湯沢のスキー場に行くために徹夜で高速道路を北上していた。朝3時過ぎ、高坂で休憩をとったときに「何か食っとくか」「じゃあそばでも食っとくか」となった次第。即答した時点で「あれれっ」と自分の発言に仰け反ってしまったが、この変わり様こそが「そば食い人種」に突然変異した証拠。人の嗜好ってそんなもんだ。

そばは冷凍麺を使っている関係でか、思ったよりもおいしかった。ふにゃふにゃした麺で食べているうちにちょっとわびしくなる、そんなそばを想像していたのでちょっと驚愕。うれしい裏切りだった。

あ、ちなみにここでいう「思ったよりも」「おいしかった」というのは、立ち食いそばのジャンルにおいて、であって決してそば屋全般と比較して、ではないわけだが。

うどんは加ト吉のうどんをはじめとし、冷凍ものが美味である事は周知の事実。でも、今回初めてそばも冷凍の方がおいしいという事を思い知らされた。そもそもこの手の麺でそばの味わいだとか香りってのは到底期待できないワケで、ならばせめて麺のコシがしっかりしていてくれれば、救われる。どうせ、かけそばにしてしまえば麺の味わいは薄れてしまうわけで、コシさえ強ければ「うまいそば」っぽくなるってぇもんだ。

しかし、冷凍そばってスーパーではあんまり見かけないよなあ。うどんと比べてニーズがないんだろうな、きっと。

確かに、うどんはそのままかけうどん、天ぷらうどんにして食べるも良し、鍋料理の最後の「シメ」としてどぶんざばんとつゆに投入するも良し。家庭料理での出番は比較的多い。

その点そばというのは、一途な麺。かけそば、ざるそば、とてもじゃないけど鍋のシメには使えない。であるが故に、台所の冷蔵庫に常備されるというシチュエーションはあまり考えられない。ましてや、冷凍そばなんて、うっかりして数カ月冷凍庫で凍り漬けの憂き目に合いかねない。やはり、そばは「食べたいときに、スーパーで買う」というのが家庭における平均的な姿なんだろう。

でもね、皆さん。そばを買うんだったら冷凍ものに限りますぜ。おうちで食べる用のそばなんて、しょせんおいしくない麺なんだからせめて麺のコシくらいはしっかりしたものを選びましょうよ。

冷凍麺はうまい。それが今回の大いなる収穫だった。しかし、700円は高いよなあ。駅の立ち食い天ぷらそばが400円くらいで食べられる現状を考えると、うーむと腕組みしてしまう。

駅の立ち食い天ぷらそば(400円)+SAに資材を運搬する輸送費等(100円)+冷凍麺をゆでるのに時間がかかる手間賃(100円)+競合他店が無い事による、価格の釣り上げ(100円)=SAの天ぷらそば(700円)

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