築地 さらしなの里(02)

2000年02月01日
【店舗数:—】【そば食:030】
東京都中央区築地

そばがき、玉子焼き、変わりそば(金柑)、熱燗(鶴の友)

昼間、「そじ坊」でそばを食べたばかりだというのに、夜もまたそば屋に行く。一日に複数回行く事こそがそば食い人種の使命であり遺伝子に流れるスピリットである。・・・とはいっても、実際のところ、そば屋に行くには「えいやっ」と勢いをつけないとなかなか重い腰が上がらない。そうでないと、ついつい近場の行き慣れた中華料理屋や牛丼屋で食事をしてしまう。だからこそ、テンションが高い時には一度にどかどかっと店舗数を稼いで、日頃の努力不足を何とか補おうとするわけだ。

こういう風に、「店舗数を稼いで」なんて表現をいけしゃあしゃあと言うあたり、本当のそばファンからすると腹立たしい事なんだろう。ごめんなさい。怒られる前に謝っておきます(←小心者)。

でも、そばの魅力に取り憑かれてくると、とにかく経験値を稼ぎたい。もっともっとそばを食べて、もっともっとそばの良さを知りたい。だからこそ、お邪魔する店舗数を増やしたいだけであって、ただ単に「行ったお店の数の多さで自慢」なんて事をやるつもりはさらさらないですってば。

とまあ、頼まれもしない言い訳はともかくとして、行った先が築地さらしなの里。「えいやっ」という勢いづけは問題なかったんだけど、さすがに行ったことのないお店を開拓するまでのキアイは出なかったのだった。でも、前回初訪問した時の「なんでこんなに落ち着くんだ」(オートレースのCMにおける藤岡弘に対抗してみました)というオドロキすら感じたリラクゼーション空間を、もう一度確認しなければならないだろう。ちょうど良い機会だ、化けの皮をはいぢゃる。

店ののれんをくぐる。おばちゃんの明るい「いらっしゃいませー」の声。うわっと、この段階でもうココロがとろけてしまった。不覚!早くも敵の術中にはまってしまったではないかっ!ああ、でも、くつろぐなあ。化けの皮なんてどうでもいいや。

店内は今回も程良い混雑。夜ということもあって、店内は居酒屋的空気が漂っているものの、ちょっとだけきりっと引き締まった感じがする。これが夜のそば屋、なんだろう。そういえば、みんなお酒を飲んでいる割には、酔っぱらって大声出しているお父さんが一人もいない。こういう空間、とても気持ちが良いなあ。

そばがき

さて、今回もそばがきを注文してみることにした。前回が「粗挽き」だったので、今度はノーマルバージョンだ。木工制作をする時に、まず最初は粗めの紙やすりをかけた後に細かい目の紙やすりをかけるようなものだ・・・という例えはおかしいですか。ていうかむちゃ苦茶ですか。

粗挽き、というコトバには香り立つそば!ワイルド!ワォ!っていう印象がある。確かにその通りだった。では、今回のノーマルそばがきはどうか。多分色白の頼りなさそうなうらなりクンが出てくるに違いない、と思っていたら。ごめんなさい!偏見でした、こっちのほうもしっかりとそばの味と香りが自己主張する、もう360度全方位どこから見ても恥ずかしくないそばがきでございました。まあ、そりゃそうだよなあ、明らかに粗挽きよりも味が劣っているんだったら、最初からメニューにするわけがないか。

前回の「粗挽き」の時は、謎の空っぽそば猪口があって、食べながら「??」という文字が頭をぐるんぐるん回っていた。しかし今回は、ちゃんとそばつゆの入った徳利というニューフェイスが登場。おい、お前は一体何物だ。前回はついてこなかったじゃないか。

どうやら、ごまだれとそばつゆの二色の味でお楽しみください、というのが事の真相らしい。ということは、前回は店の人がうっかりそばつゆを忘れていたということだったのか!うーん、カラの猪口を前に「さてどういう食べ方をするのだろうこの料理は」と苦悶した自分がバカバカしい。無知とは恐ろしいものだ。

そばがきはなにやら弥生式土器のような文様が刻まれている。前回もその文様には気づいていたんだけど、何をかたどっているかは分からなかった。今回、じっくりと睨み付けてやったらその文様が木の葉をかたどっている事にようやく気がついた。何の意味があるんだろうか。きっと、何か由来があるに違いないが、無知なるおかでんにしてみれば、呪術か何かみたいな印象を受けて、ちょっと怖い。

変わりそば:金柑

もりそばを食べるという選択肢は大変結構なんだけど、せっかくだから今回は「変わりそば」なるものにチャレンジしてみた。本日の変わりそばは金柑、らしい。なるほどそりゃ替わっている。でも、そばに練り込む必然性を全く感じないぞ、とか一歩間違えるとゲテモノ食いじゃあございませんか、なんて感想は間違っても口走ってはいけないのだろう。まあ、とりあえず食べてみてからのご判断、って事で。

ずずずっ。うみゅ、なんじゃこりゃ。口に含んだ時には、そばつゆのかつおがぷわーんと鼻といわず口といわず充満する。それから0.5秒くらいたってから、今度は金柑の甘酸っぱさが「のいたのいた!邪魔だ!」と突撃してくるのだ。こりゃ何だ、誰が僕の口の中で運動会を始めろと言ったんだ、ってな感じがする。奇妙、というコトバしか表現のしようがない。

うーん、うまいかまずいかという二極論で言えば、あんまりうまいとは思わなかったなあ。風変わりであること、季節を感じさせること、を考えれば風流なんだろうけど。まだまだ変わりそばを「あらすてき」と楽しめないあたり、修行が足りんのだろうか?

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