手打ちそば 竹泉

2000年02月03日
【店舗数:020】【そば食:032】
東京都港区西新橋

そば豆腐、辛味大根おろしそば(田舎)

竹泉外観

この道に入るきっかけとなった、バイブル本「ソバ屋で憩う―悦楽の名店ガイド101 (新潮文庫)」。

ソバ屋で憩う―悦楽の名店ガイド101 (新潮文庫)
杉浦 日向子
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この本は重宝しているものの、アイウエオ順なり地域順なりの店舗indexがついていないのでガイド本としては使いづらい。これでは、ふと時間に余裕ができたとき、立ち寄る店を検索する事ができない。

そこで、Microsoft Exelで掲載店舗の名前、住所、営業時間、休みの日・・・といった知り得た情報を全部一覧表にした。特に、そば屋は「週末はあいてません」とか「昼下がりは中休みで営業せず」といったイレギュラーな営業形態なので、こういう表があると重宝するものだ。

この表が早速効果を出したのが、今回お邪魔した竹泉。たまたま午前中、新橋に仕事で訪れていて、次の仕事先までちょっと時間があったので表をぱらぱら。おお、近くにそば屋発見。ならば突撃、なのだ。

この竹泉、平日しか営業していない。こういう店こそ、仕事の合間を縫わないと一生お邪魔できっこない。よかった、一覧表を作っておいて。

店は、新橋駅から霞ヶ関ビルに通じる外堀通りに面している。都会の喧噪も、階段を降りて地下一階の店舗に入ればすっと落ち着く。一気にそば屋らしくなる。適度な狭さが隠れ家的で、ちょっと気持ちがいい。街全体を覆うがさがさした感じがしないのが、いかにもそば屋っぽくてうれしくなってくる。

さあ、雰囲気がデキ上がってるんだから、そばも期待していいでしょう、そば食べなくちゃダメでしょう。早速、そば豆腐と辛味大根そばを注文した。両方とも、「そば屋で憩う」上で褒められていた料理だ。安直にそれを選択してしまうのは如何なものかとも思ったが、まあまずは手始めだ。名物を食べずしてこの店を評価できないだろう。・・・ということにしておこう。

辛味大根

しかし、そば豆腐なるものは見たことも聞いたこともない。ごま豆腐の同類であろうことは容易に推測がつくものの、かといってそばのあの淡泊な味では大豆に負けてしまいそうだ。ひょっとして、「そば+豆腐」というイヤーンな組み合わせだったりするんじゃなかろうかと意味もなくドキドキしてしまった。

期待値Maxな僕の目の前に出てきたのは・・・あれ、どこですか、えっ、これッスか、そば豆腐っつーのは。思わず手をかざして見てしまったくらい小さい豆腐がその正体だった。上の写真だと、お盆の左上の小皿に鎮座している物体がそれだ。サイズでいったら、消しゴムのデカいヤツ相当。小学校の時、消しゴム落としゲームを楽しんでいる時にこんなん出されたら、「おいそのサイズは反則だぞ」と周りからひんしゅくを買ってしまう、そんなサイズ。でも、豆腐の世界においてはまだまだ小物なサイズだ。「500円で豆腐を食べる」という事自体が清水の舞台から飛び降りたつもりだっただけに、このこじんまりウサギ小屋的体積を目の当たりにすると、結構意気消沈してしまった。

でも、じゃあごま豆腐をもりもりと一丁食べる事があるか?当然無いぞコノヤロー。あんなものはちみっと食べるのがちょうど良い量だ。ということは、そば豆腐だってこのサイズで大きからず小さからず、なんだろう。きっとそうだ、そういうことにしておこう。

食べるまでにさんざんココロの葛藤をやった後、スポーツの後の爽やかさがごとく気分で一口。あっ、何だコレは。じわあぁぁぁんとそばの濃厚な味が口に膨らむ。そばエキス圧縮豆腐、とでも形容すべきか。「こ、これは・・・」思わず箸を持つ手を止めて、まじまじと豆腐の断面をのぞき込んでしまったくらい、濃ゆい味。これぞ、そば、って感じだ。

「・・・おしゃけぇぇぇぇ。おしゃけ飲みたい・・・」

しかし、ここで飲んだら鬼畜だ。社会人失格だ。午後も仕事があるんで、泣く泣く我慢せざるを得ない。得ない、が、が、が・・・。メニューを見ると、八海山、十四代、磯自慢、浦霞と銘酒がずらり。お酒に意識が行ってしまうと、我慢できなくなってしまうので諸悪の根元?そば豆腐を一気につるりと食べてしまった。幸か不幸かサイズが小さいので、その気になれば一口だ。

でも、敵はしたたかだ。注文した辛味大根そばは、いろいろと辛汁に添えるオプションが付随していたのだ。ご本尊のそばが我がテーブルに遷都される前に、既にテーブルの上は「酒のつまみになるもの」ばかり。辛味大根、揚げ玉、しらす、のり、ねぎ。なんだ、この量は。これだけあればやっぱりそばはいらねえ、酒もってこい!酒!どうりで、普通のもりそば600円の倍の値段(1200円)もするわけだ。辛味大根だけで600円もするはずはないのになあ、とは思っていたんだけど。

おろし田舎そば

危うく社会人として外道の道へ堕落しかかったところで、間一髪そばが到着。二段重ねでせいろがやってきた。

田舎そばは、なるほどそば豆腐がおいしいだけあって味わいのあるおいしいそばだった。しっかりと麺の味がして、いかにもそばを只今食事中!という感じだ。

でも、ねえ。こんなにてんこ盛りにされた辛味大根、どうやって消費すればいいの?馬鹿正直にどっぷりと辛汁に投入したら、当然だけどつゆがぴりぴりと辛くなってしまう。「さすが、辛味大根!」なんて感心している場合じゃない、これじゃせっかくのそばの味がわかりゃしない。大根下ろしの辛さしか舌には残らないのだ。ダメだぁ、こりゃあ!

しかも、その他のしらすやのり、揚げ玉も全て量が多すぎ。貧乏根性を出して、あるだけ辛汁に投入してしまうともう何がなんだかわからない創作料理になってしまった。しかも、揚げ玉は汁を吸ってしまうものだからそば徳利から追加、追加・・・きりがない。頼む!それぞれの量を減らして、その代わりもう少し値下げしてくれぇ!

結局、そばそのものはおいしかったと思うんだけど、あまりに量の多いオプション類に足元をすくわれてしまい、食後の満足感はイマイチだったという事態に陥ってしまった。不覚なり。これを、修行が足りないおかでんの愚かさとみなすか、それともアホみたいにバランス考えないでいろいろ添付させている店が愚かなのか?考えてしまった。

味、値段共に悪くなかったので、今度は夜に訪れてじっくりとお酒を飲んでみたいものだ。この店を評価するかしないかは、その結果をもって見極めたい。