そば処 いずみ

2000年02月11日
【店舗数:027】【そば食:048】
山梨県北巨摩郡大泉村

戸隠そば

いずみ外観

アワレみ隊のツアーは、企画立案するおかでんの根が貧乏性だからなのか常に慌ただしい。分刻みでいろいろなイベントを詰め込んでしまう。

しかし、今回の小淵沢ツアーは、珍しく「一カ所定住型」「翁に行くのとそば打ちをする事以外は特に決めていない」というアバウトなツアーだった。

蕎麦打ちを終え、その蕎麦の美味さをお互い興奮しながら報告しつつも「あそこはああするべきだった」「机があったらもう少し切りやすかったんだけど・・・」と反省することしきり。そんな中、「次どうするゥ?」って話題になったら「もう一度蕎麦打ちのやり直しをしないと気が済まない!」という血気に充ちた回答をしなければ漢に非ず。そうとなれば話は早い、観光協会でもらった小淵沢周辺ガイドに書かれていた「そば打ち体験館」に突撃と相成った。

しかし!漢達の熱い熱気(←アホな日本語と分かって敢えて使ってます)を避けるがごとく、応対したおねーさんが「そば打ち体験は予約制なんですよー。当日朝にでも電話で予約してね」とつれない対応。ならば今予約させてくれよと思ったが、いやいや修行の道というのは師匠が黒といったら白いものも黒と言わねばならぬと気を改め、出直すことにした。

「いや、きっと俺らの技術はまだ未熟だと看破して、一晩寝て出直してこいというお告げかもしれん。有りがたや」
「スパディオで身につけた事を夜の間に反復練習してこいという事に違いない。さすが師匠」
「三顧の礼ですな、門前払いをくらってもここは耐えて耐えて」

やっぱり美味い蕎麦をこの2日間で立て続けに食べているので、人間ができているようだ。非常ににこやかだ。

ニコヤカついでに、そば打ち体験館横にあった「いずみ」という蕎麦屋をお試しすることにした。そば打ち体験館は、この「いずみ」の併設施設という位置づけらしい。

中はラーメン屋か中華料理屋か、という作りになっていた。カウンター越しに厨房が丸見えになっている。蕎麦屋というのは暗黙の了解としてか、厨房は暖簾の向こう側にあるのが多い。この店のように料理人の作業が丸見えになっているのは初めてだ。今ナニをやっているのかが一目瞭然で、好感が持てる。

なぜこういう店のスタイルは少ないのだろう。暖簾の奥でナニゴトかやっているのだろうか。

妄想1:だしの素を使ってつゆをこしらえている。
妄想2:シマダヤの流水麺を水でもどしている。
妄想3:酒のつまみ料理を、電子レンジでチンしている。

うわああ、そんな店はいやだああああ。

恐らく、蕎麦屋の粋として料理人が汗流しながら料理を作っている様をお見せするのはよろしくないというスタンスなのだろう。ぜひそういうことにしておきたい。ええ。

ちなみにこの日は、朝食食べて、ほうとう屋でほうとうを食べてビール飲んで、そば打ちをやってできた蕎麦を食べて、ということで既に4食目に突入している。発起人おかでんはともかく、引きずり回されている同行の隊員はつくづく食い地獄だったと思う。

でもここで手綱をゆるめるわけにはいかん。そばを頼む前に、熱燗と鳥皮煮を注文してみた。江戸前の蕎麦屋と違い、さすがに酒のつまみとなるメニューは多くなかったがそれでも「鳥皮煮」なんて用意するあたりがにくいじゃあないか。その意気、買った!というわけだ。

鳥皮煮

とかエラそうな事言ってるけど、すんません、実物が出てくるまで「」というものを見たことも食べたこともございませんでした。まあ、その名の通りの食べ物であって、何の変哲もない料理ではあったよ。鳥の皮を醤油で甘辛く煮付けたものだ。

「えへへ、では僕だけお酒を失礼しまーす」なんて言いながらお酒をぐいっと飲みつつ、鳥皮。またお酒を飲んで、そして鳥皮。おっとこれだとすぐにお酒が無くなる、飲むのは少し控えめにして、鳥皮、鳥皮、お酒。

・・・あああ、もう許してください。鳥皮故に油っぽいったらありゃしない。徐々に忍び寄る脂。一人で食べるにはうんざりしてしまう。さっぱりさせるために上にかかっている青ネギと一緒に食べるんだけど、とてもじゃないがネギの量と鳥皮の量が釣り合うわけがない。嗚呼、もっと葱を!と天に向かって悶絶せざるをえなかった。

もりそば

みんな等しくおなかがいっぱいであり、いくら「鳥皮おいしいよ」と勧めてもみんな「いや俺はいい」と遠慮する始末。意外な伏兵をもてあましているうちに、ご本尊であるもりそば登場。のっぺりと赤紫色の麺は、典型的なマズいそばだったのでひやりとしたが流石は蕎麦の産地。美味!あっぱれ!という程ではなかったが、悪くないそばにまとまっていた。うむ、やっぱり太さが均一で細いそばというのはつるつるっと喉を通りすぎるねえ。これぞ、蕎麦だ。さっき僕らが作って食べた奴、おいしゅうございました。でも、ありゃ一体なんていう名前の食い物だい?って感じだ。

天もりそば

もりそばに150円プラスすれば天もりそばになるという。これは一体どういう事か。普通、蕎麦屋における天ぷらというのは非常に高額であり、天もりなんてしようものならプラス500円、600円は覚悟しなくちゃいけない。うどん屋でチクワ天をトッピングするのとワケが違うのである。しかし、この店は150円。これは一体ナニゴトか。

出てきた天もりそばを見て一同「ああー」と感心、納得。海老1本とミニかき揚げが1個。なるほど、そういうことか。馬鹿みたいに何品も皿に天ぷらをもりつける必要なんてさらさらないわけで、この程度のシンプルな天もりというのは案外ニーズがあるんじゃなかろうか。

しかし、見栄えはあんまり良くないってのは事実であり、海老1匹がえらく律儀にキオツケをしているのがわびしくもあり愉快でもあった。

そばがき

同行していたちぇるのぶは、さすがに食い歩きに疲れてしまい、蕎麦を食べる事は断念。代わりにそばがきを注文していた。出てきたそばがきは一般的なマウスより一回り大きい程度のサイズ。これで450円は安い。普通、そばがきといえば800円以上して当然、2000円頂戴しまーすというお店だってあるくらいの「高級品」だ。450円で食べる事ができる、というのはナニはともあれうれしいことだと思う。そばがき初心者にお勧め。

後になって知ったのだが、このお店は実は村営であったらしい。村が蕎麦屋を運営するなんて、非常に痛快。ということは、店員は「村役場の人」という事になるわけで、店は「村役場の敷地の一部」なわけだ。そんなところで蕎麦をたぐり、酒を飲む。うーん、オツだねえ。・・・しかし、アホな顔をしてそばを手繰っていた時はそんな事に気づいていないわけで、オツでもなんでもなかったのだが。