小諸そば 司二丁目店

2000年03月13日
【店舗数:037】【そば食:069】
東京都千代田区神保町

かき揚げそば(冷)大盛り

小諸そば。

各地の蕎麦産地の名前が冠せられている蕎麦はたくさんある。「出石そば」「信州そば」「山形そば」「出雲そば」などなど。

そんな中、「小諸そば」とはこれいかに・・・。関東近郊に住んでいない人は、きっとそう思うだろう。 また、長野県小諸市に住んでいる人からすれば、「何だ?勝手にウチの名前使うなよな」と思うだろう。

実はこの店、東京を中心にチェーン展開をしている、立ち食いそば屋の名称なのであった。「挽きたて・うち立て・ゆでたて」を売りとし、他のファストフード系そば屋と一線を画しているという。それまでは、立ち食いそば屋といえば「安かろう、早かろう、まずかろう」というあまり歓迎できない方向にベクトルが向いていたのだが、この「小諸そば」の出現によってがらっとパラダイムシフトが起きたというのだから痛快だ。このお店の影響で、生麺からゆでる店が増えたというのだから、そば好きとしては感謝しなくちゃいけないお店なんだろう。

しかし、いまだ僕はこのお店で食べたことがない。これは、イカンと思う。

って事で、会社からの帰宅途中に、小諸そばをチャレンジしてみることした。 「がんぎ」で立ち食い蕎麦の認識が変わった事だし。

ちょっとだけ期待に胸をふくらませ、店に入る。とりあえず期待を込めて、かき揚げそばを「大盛り」にしてみたりなんかする。

で、食券をカウンタに差し出したのだが、その視線の先には・・・

ああっ。

ゆでた麺が流しに山積み。あ、あれは何ですか。あれは何かの幻ですか。

ゴホゴホ、見なかったことにしよう。

さて、食券を店員さんに渡した後、店をぐるりと見渡してみた。年齢層は幅広い。若い人もいるし、年寄りもいる。若い女性もいた。なるほど。

・・・と、視線を元に戻すと、店員が麺をじゃぶじゃぶと流水ですすいでいた。あれっ?ちょっと目を離した隙に新しく麺をゆでたのだろうか。すごいや。

ン なわけ、あるかぁ!どう見たって、山積みになったゆで置き麺を洗っているだけじゃないか。どうやら、時間が経って麺同士がくっついていたりパサついているやつをほぐすために洗っているらしい。

ゆでたてを提供するんじゃなかったん?

ちょっとこればっかりは「見なかったことに」するのはしんどい。

まあいいや、旨ければいいのよ、旨ければ。製造過程であーだこーだ言うのは通ぶった人間がやればいいことで。

といいつつ、既に猛烈に「やられた」感と「これが旨いわけがない」感に満たされているワケであり、すなわち気分としては負け犬なワケであり。

で、出てきたざるは、あまりにしょぼい丸いざる。もう少し見栄えに気を遣おうと思わなかったん?とざるに問いかけてしまうくらい、しょぼい。しかも、店員の扱いが雑だったために、せいろの外枠から まきすの部分が半分飛び出しかかっている。あーあ、もういくら立ち食い蕎麦だからって、こんな器に盛られてちゃ、おいしく食べられるわけがない。ますますがっかり感25%UP(蕎麦喰い人種比)。

おっと、しかも追い打ちだぞ。盛られたそばの横にどさっと大根おろしが添えられたぞ。量が多いのはうれしいけど、そばの横にニコヤカに構えているその様は、どうも見慣れない。お前はそばの横にいちゃ、いかんだろう。小皿か何かにちみっと盛られていなくちゃあ、いかんのではないか。これでますますがっかり感が(以下略)。

そばをすすってみた。さっき水で洗ったばかりのものなので当然みずみずしいんだけど、やっぱりゆでていて時間が経っているだけある。麺同士がくっついたまま。こら、そこのお前、あんまりイチャイチャしちゃいかん。

麺をほぐしつつ食べるのだが、麺が妙に長く、食べるのに苦労した。

麺は腰が強い。ああ、立ち食い蕎麦ってのはかくあるべしだな、と妙に納得した。少々ゆで置きしても、へたらない蕎麦。やっぱり、ずるずるに延びた麺は遠慮させて頂きたいもんな。恐らく、コシが強い麺を敢えて作っているんだと思う。

ただし、だからうまいかといえばそれは別問題で。そばの味:せず。香り:なし。麺を食べているだけ、という感じ。以上。結局、一口麺を食べただけで「ああこんなものなのね」と分かってしまったので、めんつゆの味すら確認しないで、ネギと大根おろしをどぼどぼつゆに投入。まあ、今回はしゃーない。

かき揚げも、揚げたてとはほど遠いものだった。おかしい、以前本で「小諸そばは揚げたてのかき揚げを出すように努力している」って書いてあったのに。冷めたかき揚げをガリガリとかじりながら、そばを一気にすすってフィニッシュ。ごちそうさまでした。

今回、小諸そばは不運だったと思う。「小諸そばは旨い」という先入観をあまりに持ちすぎてしまった。だから、普通だったら「まあ、立ち食い蕎麦 にしちゃあ悪くないよね」で済むところを、「えええ?だってあの小諸そば、なんでしょ?何で?何で?」ってなってしまった。

恐らく、次回小諸そばに行く事があれば、今回の経験を踏まえて割り切れるので、それほど悪い印象は無いのではないか。

小諸そば、ごめんよぉ。

次回は、まっさらな気分で食べに行くからなぁ。

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください