さらし奈乃里(07)

2000年04月15日
【店舗数:—】【そば食:086】
東京都板橋区前野町

精進天ぷら、板わさ、鴨南蛮、ビール、お酒

この日も、当然のようにさらし奈乃里に向かう。ルーチンワーク化している。会社員が、昼飯時になったら社内の社員食堂にご飯を食べに行くのと一緒だ。

だから、何か面白い事を書け、といわれても困る。おかでんの日常は、そんなに奇抜なものじゃあない。全ての人類と平等に、平凡な時間が流れている。蕎麦屋には、心地よい時間と胃袋を期待して行っているのにすぎず、毎回毎回そうそう他人様が読んで愉快なネタが転がっているなんて事はない。

ネタを作るために、「鼻から蕎麦をすすってみたら、香りがもっと引き立つのではないか」と実験してみる・・・なんて事をやり始めたら、もうおかでんアンタ人生終わってるよ、と言わざるをえない。

あ、でも実際どうなんだろう。鼻で蕎麦か。瑞々しい香りが鼻腔を直接刺激して・・・

ごくり。

こら、やめとけ。人として、やめとけそれだけは。今一瞬、本気でやろうかしらん、と考えただろう。

さてこの日訪問してみたら、今まで置いてあったはずの「銀河高原ビール」がメニューからはずされていた。レギュラーメニューではなく壁に貼りだしてあったものだったので、もともと期間限定だったのかもしれない。ちょっと残念。サッポロビールを頂く事にする。

今回はノートパソコンを持参していて、NetNewsを読みながらちびりちびりと酒を飲んだ。蕎麦屋でパソコンというのが粋かどうか議論が分かれるところだろうが、こういうくつろぎ方ができるのも蕎麦屋ならではだろう。夜、居酒屋に行って同じ事ができるか?といえば、おそらくそれは無理。

今回はもりそばではなく、鴨南蛮を頂くことにした。つゆに暴力的なまでに鴨のうまみが滲み出ていて、うまいうまい。こってりと包み込む、幸せな味だ。ため息が出そうになる。いや、出た。どうしてこの肉からここまで強烈に味が出るのか、不思議でならない。きっと、鴨が生息している水田や池の水は、鴨のだしで相当オイシイに違いない。今度ぜひ飲んでみることにしよう。・・・やめとけ、腹をこわすぞ。

海が昆布だしや魚介のダシ味で満たされないのと一緒で、鴨が泳いでいたってダシなぞ出るもんか。やはり、加熱調理しなけりゃ。

ん・・・じゃあ、待てよ。人間様がお風呂に入っているのって、あれ、見方を変えれば「ゆでている」んだよな。ひょっとして、一週間近くお湯を交換しないで循環させているスーパー銭湯だったら、人間のいいダシがでているかもしれない。水炊きにでもお使いください、みたいな。

でも、人間からいいダシがでるとは思えないけどな。「世のしがらみ」とか「嫉妬」とか、おなかを壊しそうなエキスばっかり凝縮されていそう。

おっと話がずれた、鴨南蛮だ。鴨肉は、ロースとあわせてつくねが一個、ごろんと入っていた。この肉団子がうまさをより引き立てているフィクサーのような気がする。カップヌードルだって、中に入っている肉団子がうまさの秘訣だと日清の人が言っていた。ロース肉の歯ごたえと、つくね肉のほろほろとした食感の両方を楽しむ。ちょっと焦がし気味に焼き色をつけているのが、香ばしくて良い。このあたり、築地さらしなの里と同じ作りだ。蕎麦そのものはちょっと毛色が違うだけに、こんなところで 師弟関係が垣間見えるのは面白い。

気がついたら、つゆを全部飲み干してしまった。こんなことは珍しい。

それにしても、こういう濃い味わいのつゆの中にそばが入っていたら、そばの風味 ってどう楽しめばいいのだろう。かつおだしの香り、鴨の脂のうま味でそばの風味はもう二の次、三の次になってしまっている。食感だけの食べ物というか。こうなると、「そばではないが、そばとほとんど同じ食感の麺」であっても全然問題ない。もりやざるで楽しむ蕎麦と、暖かいつゆに浸けられた蕎麦というのは楽しみ方のベクトルが違うのだろうか、といろいろ考えさせられた。

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