神田 まつや(05)

2000年07月07日
【店舗数:—】【そば食:108】
東京都千代田区神田須田町

板わさび、にしん棒煮、ごまそば大盛り、ビール

七夕の日です。織姫と彦星が一年に一度、再開する日です。
にもかかわらず、神田まつやでビールを飲んでいるのはなぜだ。既に5回目の訪問だぞ。

まあ、5回目なのはいい。一人っきりなのはなぜだ。

いや、なぜだっていわれても。一年に一度の出合いの女性が傍らに居た方がいいかい?

うーん、それもちょっと違うんである。デートするのに神田まつや、というのはいくらなんでも渋すぎる。蕎麦喰い人種おかでんとはいえ、それはちょっと躊躇する。そういう渋いお店を喜べる女性というのはすてきだが、やっぱりこのお店は、一人で物思いに浸りながら、そして回りのお客さんの様子を楽しみながら、手酌をするのが似合う。

どうでもいいが、並木藪蕎麦でデートはしたこと、あるな。おい、あのお店も渋いぞ。

ま、そんなのはどうでもいい。

「今日のテーマは『渋さを追求』だ」

と、勝手にテーマを設定して料理を注文。渋くなくてはいけない。焼き鳥のように、華やかなものは禁じ手だ。手を挙げて店員さんを呼び止め、心なしか低めの声で注文したのは、「板わさび」と「にしん棒煮」だった。ううむ、渋いぜ。多分。

渋いのは結構なのだが、「板わさび」って一体なんだろう。なんだか分からないまま、注文してしまったが、これって渋くないよな。どんくさいよな。

恐らく、わさびを板状にスライスしたものだろう。輪切りにしたわさびを醤油漬けにしたものは食べたことがあるので、似たようなものじゃないかな。わさびを縦にスライスすれば、ちょうど人参の短冊切りのような形になるだろう。これが、「板わさび」。どうだい?

ごとり。

妄想たくましくしていたときに、店員さんが持ってきた「板わさび」とは・・・白く、もっちりとしたボディをしていた。あれ?

こ れ は カ マ ボ コ で は あ り ま せ ぬ か ?

ようやく分かった。「板わさ」のことを、きっちりと「板わさび」と呼んでいたのだ、ということを。

未体験の味が到来、という楽しみを抱きつつ待ちかまえていただけに、かまぼこ君の登場でがぜん気合いが殺がれてしまった。そうか、見慣れている君だったのか、と。

ビール、しまったなあ、これだったらお酒だったなあと思いながら、グラスを舐める。今日はあまりお酒は飲みたい気分じゃない。ビールだけでやめておこうと思っていたので、なにやらあてが外れたという感じ。そうか、板わさび、か。

こうなると、がぜん注目なのは、もう一つ頼んでいた「にしん棒煮」。ま、まさか、スナック菓子の定番「うまい棒」みたいな、謎の食材「にしん棒」が煮込まれて出てきたらどうしよう。

考え過ぎだった。これはさすがに、ほろほろになるまで煮込まれた身欠きにしんさんが出てきた。ありがとう、もしここで違うモノが出てきていたら、ボクは人間不信ならぬ蕎麦屋不信になるところだったよ。

喜びつつ、ごまそばを頂く。前回訪問時にはじめて頂いたそばだ。神田まつやにおいて、もりそば系の蕎麦を頂く人のうち、半分近くがこのごまそばをオーダーしている。「邪道じゃん!」と端から見て思っていたのだが、いざ食べてみたらこれが滅法おいしかった。食べる前は、サラダにかける胡麻ドレッシングのようなこってり、まったりしたドロドロつゆを想定していたのだが、実際は爽やかにごまの香りが口腔内に駆け抜けつつも、鰹の香りもしつつ。ハイブリッドカーのような感じだ。確かに、こりゃお客さんの多くが注文するわけだ。そば湯で割っても、最後までおいしく頂ける。素晴らしい。

ということで、今回はごまそば、大盛りを頂きました。年に一度の七夕の日。たまには大盛り食べてもいいんじゃないの。

たまには?

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