安曇野泉郷蕎麦打ち体験

2000年11月04日
【店舗数:---】【そば食:135】
長野県南安曇郡穂高町

お手製もりそば

戸隠界隈で4枚の蕎麦をやっつけたわれわれは、白馬で温泉につかった後、宿泊地である安曇野泉郷に戻ってきた。ここは、別荘を比較的安く借りることができる施設だ。別荘が団地のように敷地内にたくさんあるのだが、その全ては個々にオーナーさんが居る。しかし、オーナーさんといってもせいぜいマイ別荘に滞在するのは年に数十日程度であり、それ以外は空き家状態なわけで、非常に効率が悪い。ということで、空き家になっている間は貸別荘として一般開放しますよ、そこで入った宿泊費の一部はオーナーさんに還元しますよ、というシステムをもっているのが泉郷だ。なるほど、良くできている。

ただ、泉郷としては別荘を管理し、一般客に貸し出して、というビジネスだけでは集客にならないと考えているのだろう、大型の入浴施設を用意したり、自炊用のスーパーマーケットを作ったりして利便性の向上を図っている。そんな智恵の中に、「蕎麦打ち体験」の教室があった。

昼間にさんざん蕎麦を食べてきたというのに、これ以上蕎麦を食べるのは狂気の沙汰だ。しかし、たまたま宿泊した場所でこんな企画があるとなっては、見逃すわけにはいかない。逃がすモノか、と毅然たる態度で予約。

蕎麦打ち体験

アワレみ隊としては、2000年2月に小淵沢で蕎麦打ち体験を2回やっている。そこで蕎麦打ちの面白さを知ったわけだが、今回は「さらに腕を磨こう」という野心もある。ちなみに、参加者6名のうち小淵沢での蕎麦打ち体験者が3名、蕎麦打ち体験が無い人が3名と勢力はきっ抗していた。今回は、「既体験者」と「未体験者」に3人ずつわかれて、それぞれで蕎麦打ちを競う事にした。

蕎麦打ち中

経験者組はてきぱきと打っていく。半分忘れかかっていたが、大体の流れは覚えているので動きがスムーズだ。

蕎麦打ち中

転じて、未経験者組の方はなにやら大騒ぎしている。粉をさわっただけで「おお」「わあ」と言って、一挙一動に対して新たなる発見と喜びを見いだしているようだった。「俺らも若い頃はああだったよな」と、経験者組は遠目で眺めて微笑む。「若い頃」も何も、たった9カ月前なのだが。

そうこうしているうちに、未経験者組の方から「あっ、よせ」「きゃああ」という声が聞こえてきた。大丈夫か、あいつら。どうやら、伸ばしの工程で何か障害が発生したらしい。見なかった事にする。

できあがりを待つ人たち

さっさとうち上がった経験者組は、しばしの休憩。あくびをしながら、未経験者組が追いつくのを待つ。

経験者の蕎麦

経験者組の蕎麦。結構太い。

上段に、えらく端正な蕎麦があるが、これは先生が切ったものだ。

お手本を見せてくれる立場の先生だったが、さっさと片づけたかったのか、全体の半分近くまで生地を切ってしまった。少しでも自分たちの手で工程をこなしかったわれわれから「余計な事すんな」光線をびしびし発せられているのに全然気づかず、えらく切り進んでしまった。ちっ。

未経験者組奮闘中

さてこちらは未経験者組。交代で麺を切っていたが、最後の担当となったひびが麺を切る段になって経験者組も首を突っ込んであれこれ指示を出し始めた。

「ほら、そこを真っ直ぐ」「あっ、もっと力を入れて」

やいのやいのと指示が飛ぶので、当の本人は困惑しっぱなしだった模様。

未経験者組の麺

こちら、未経験者組の麺。

先生が打った麺の量が多いとはいえ、慣れないが故に慎重に麺を切ったために細くて太さが比較的そろっているできだった。これだったら、経験者組の麺よりも上できだ。

麺ゆで上がり

ゆでてみた。もちろん、チームごとに別々に取り扱った。味比べだ。

食べ比べ

みんなで食べ比べ。

面白いことに、それぞれの麺には違いが出ていた。太さから来る食感、みたいなものではなく、根本的な食感の違いだ。

経験者組の麺は、香りが高い。しっかりと蕎麦の香りが口の中で広がる。

転じて、未経験者の麺は、香りがあまり強くない。しかし、麺のコシがしっかりしていて、食べていておいしい。

同じ蕎麦粉、同じレシピで作ったのに結構雰囲気が変わったできだった。これは不思議だ。考えるに、さっさと作った経験者組は、捏ねまわしたりしなかったので香りが飛ばなかったのではないか。逆に、未経験者組は、コネコネしまくっていたので生地のコシがでた変わりに、香りが手の熱で飛んでしまった、と言えるのかも知れない。むう、蕎麦はデリケートだ、ということがあらためて分かった。

今日一日、蕎麦を食べまくったとはいえ、自分で打った蕎麦は格別だ。別腹で胃袋に入るね・・・といいつつ食べた。

だが、脳は「いや、やっぱりお手製蕎麦はいいね」と喜んでいたのだが、胃袋が「また蕎麦かい。もういい加減にしてくれよ」とぼやいていたのは事実だ。

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