ぶっかけ十割そば

2000年12月31日
【店舗数:081】【そば食:158】
岡山県倉敷市阿知

御膳ざる

ぶっかけ十割そば外観

ぶっかけうどん。倉敷の隠れた名物といえる。おかでん自身、倉敷に馴染みすぎてしまっているために倉敷の観光ガイドを見たことがないのだが、恐らくほとんどのガイドブックにも載っているのではないか。倉敷界隈の銘菓といえば「きびだんご」「むらすずめ」があるが、腹を満たす名物といえば「ぶっかけうどん」だ。「ままかり」で酒を飲むのも捨てがたい魅力だが。

ぶっかけうどんとは、早い話ぶっかけそばのうどん版だ。腰の強い讃岐系のうどんに、冷たいだしがかけられて具が載っている。これをぐりぐりかき混ぜて渾然一体とさせてから食べる。特に珍しい料理というわけではない。

そのぶっかけうどんを提供している「ふるいち」が、いつの間にか倉敷駅前に「ぶっかけ十割そば」というお店を開いていた。うどんの次はそば、というわけか。しかも、生粉打ちの蕎麦を提供しようというのだからなかなか本格的だ。以前からちょっと気になっていたお店だったので、この際食べてみることにした。・・・本日、5軒目なんですけど・・・いや、でも!「気になっていた蕎麦屋」を訪れておかないと、20世紀の年越しができんぞ。心おきなく、食べないと。

ぶっかけ十割そばメニュー

メニューを眺める。こうやって1枚の紙に写真入りで紹介されていて、パウチされているのを見ると「お品書き」ではなく「メニュー」と呼びたくなる。

ほー、このお店は3種類の麺を用意しているのか。「御膳そば」「更科そば」「南部そば」という。うどん屋の片手間に蕎麦屋もはじめした、とは思えないやる気だ。普通、蕎麦の種類は1種類に留めるものだ。

「御膳」というのは蕎麦粉全体のうち3%しかとれない貴重なものである、なんて講釈がメニュー中心部に書いてある。徳川家康に献上したから「御膳」なのだと。

「南部」は、岩手県でとれる蕎麦粉を使用したものらしい。このお店の場合、「御膳」と「更科」は冷たい蕎麦用、「南部」は温かい蕎麦用と完全に用途が分けられていた。

さすがはふるいちが営業するだけあって、メニューにも「ぶっかけ」という字が躍る。「温ぶっかけ550円」・・・それって、単なるかけそばじゃないのか?

ちなみにこの温ぶっかけ、メニューの写真を見ると生玉子、刻み海苔、天かすが載せられていた。これで550円というと、立ち食い蕎麦屋の価格帯からすると相当高い。しかしここは十割そばのお店。高くても美味いものを出すよ、ということなんだろう。

ざる(御膳)

20世紀最後の日に倉敷の蕎麦屋食べ歩き。5軒目、オーラスに選んだ蕎麦一枚は、ぶっかけ十割そばの「ざる(御膳)800円」だった。

立ち食いで800円?高ぇ!と思ったが、「3%しかとれない貴重な」という言葉にやられた。20世紀ラストでケチくさいことをやってたら、21世紀になってもずっと貧乏性のままで暮らしてしまいそうだ。最後の最後で奮発しちゃった。

で、出てきたのはこちら。ボリュームは結構ある。薬味は、青ネギと、袋に入ったわさびと、なぜかもみじおろし。

更科そばの味の善し悪しはよくわからないので、コメントパス。途中で味の変化をつけようと思ってもみじおろしをつゆに投入したら、えらく辛くて味が一気に唐辛子に占領されてしまったのも、コメントパスの理由のひとつ。

悪くない、と思ったのだが、いかんせん800円でざるを食べる人がどれだけ居るかなあ、というのが感想だった。立ち食いであることからして、800円に見合った「食事とその周辺環境」を提供しているとは思えなかったし。ま、800円というのは御膳ざるの値段で、更科ざるは550円。こちらになれば、ぐっと価格が抑えられるので問題はない・・・ことはないよな、まだ550円でも高い。

おかでんとしてはこういうお店がひょこっと存在するのは大歓迎なのだが、多分一般人には受け入れられないと思った。十割そばと高級な蕎麦粉を使ったからといって、それを有り難がる人の数ってそんなに多くないと思われる。しかも、一般ウケがあまりよくない更科そばがメインだ。さらに追い打ちをかけると、立ち食い蕎麦屋だ。駅前とはいえ、けっこう厳しいお店だろう。そもそも、岡山の人はあまり蕎麦を食べないし。

・・・と思っていたら、1年後くらいにはお店が閉店となっていた。一時休業かな、と思ったら2005年になってもいまだ営業再開されておらず。現在この地は空き家になっている。やはり、難しかったか。残念。

蕎麦喰い人種、これにて2000年度の活動を終了。結局、1年間で81店舗158食でフィニッシュとなった。1年間お疲れさまでした。来年はうどん食い人種に変貌・・・するわけないよな。まだまだ蕎麦の世界は奥が深い。もう少し蕎麦喰い人種であり続けることになるだろう。