茜屋 本店

2001年02月10日
【店舗数:082】【そば食:161】
長野県上田市国分

国分寺そば

信州新蕎麦食べ歩きも今回で第三回目となる。
第一回目で安曇野・戸隠を攻め、第二回目は善光寺・黒姫・長野東北部一帯を攻めてきた。食べるたびに、ヨロコビとオドロキがある食べ歩きの旅だった。

しかし、これだけでは蕎麦に対する欲望が収まらなかった。第二回目訪問時に、長野市の本屋で手に入れた「ながのグルメ図鑑 超人気味本」を帰京後読んでいたら、ムラムラとまた蕎麦が食べたくなってしまったのだ。

この「長野味本」の特徴は、地域別でお店が紹介されているのではなく、食べ物のジャンルごとにお店が紹介されている事だ。即ち、「そば」のコーナーだと、長野各地の蕎麦屋がずらーっと写真入りで紹介されているわけだ。美味そうな蕎麦の写真の羅列だけでもおなかの虫が鳴く。そんなこんなで、何度も読み返しているうちに、段々お店の紹介記事が「スタンプラリーの台帳」に見えてきてしまった。「うーん、長野東部のお店にはまだ全然訪れて無いなあ」という事が気になってくる。

思い立った日が吉日。「おいまた蕎麦喰いに行くぞ」とアワレみ隊メンバーを招集し、しぶちょお、ばばろあの計3名で第三弾の蕎麦食べ歩き企画を決行、と相成った。

そんなわけで、今回の蕎麦食べ歩きのエリアは、1日目:上田、2日目:小諸、3日目:軽井沢という事が決定された。食って食って、食いまくるぞ。

ちなみに、前回・第二回目の企画名が「蕎麦・戦士」だったわけで、当然今回第三回目の企画名称は「めぐりあい・蕎麦」と命名された。ガンダム好きにしか分からないネタだ。

朝8時、JR上田駅に3名が集結。ばばろあは神戸から、しぶちょおは名古屋から夜を徹して車でやってきた。おかでんは、始発の新幹線で上田へ。駅前で落ち合った時には、すでにばばろあとしぶちょおは香ばしく発酵していた。なかなかの強行軍だ。

振り返ると、たった4カ月で、3回も長野県に蕎麦を食べに来ている事になる。思わず全員で苦笑いだ。今回の企画でも、3日間で10軒以上は回るはずだ。どうやら、東京の蕎麦屋よりも長野の蕎麦屋の方が詳しくなってしまいそうな予感がする。

それはそれ、長野は蕎麦の本場。食べても食べても、美味そうな蕎麦屋が出現する。まだまだ取り組み妙味のある県だ。さすがはしなやかな県だ。

茜屋

長野東部ラウンドの一軒目は、「茜屋」というお店にした。上田にいるおかでんの親戚から、このお店の名前を教えてもらった。地元でもそこそこ評価されているお店らしい。

店の前には、極太な字で「手打ちそば」と書かれていた。何とも気合いがみなぎっている。

「繊細な蕎麦もいいけど、豪快な蕎麦もいいよな。この字のように、さ」

などと口にするが、はっきりいってそんなことはどうでもいい。朝早くから行動していたので、おなかが減っていた。早く何か食べさせてくれ。

いや、「何か食べさせろ」じゃこの企画の意味がないな。「早く蕎麦を食べさせてくれ」でお願いします。

本日は4軒、上田の蕎麦を食べる予定になっている。そして夕方には別所温泉にキープした宿に帰還しなければならないので、案外時間の余裕はない。

開店直後に、茜屋に入店する。

茜屋お品書き

お品書きを眺める。

メニューの大ジャンルとして、「つめたいそば」「あたたかいそば」「その他」と表題がつけられていたが、外は雪がもっちりと積もっている雪国。「つめたいそば」という言葉を読むと、思わず身震いしてしまった。条件反射だ。

でも、一発目から温かい蕎麦を食べるのも面白くないので、ここは「国分寺そば」なるものを注文してみることにした。茜屋の名物らしく、たらの芽天ぷら付きのもりそばだ。930円。

しぶちょおは、「くるみそば」を注文していた。この地方独特の蕎麦らしいのだが、一体どんなモノがでてくるのか、さっぱり見当がつかない。くるみを練り込んだ、変わり蕎麦なのだろうか?

「それにしても、わかりやすいメニューだよな。つめたい、あたたかい、その他、の3つしかない」
「うん」
「蕎麦屋によっては、いろいろなメニューを追加していて、ゴテゴテしてわかりにくいものもあるんだけどな。つめたい、あたたかい、その他。・・・その他?」
「どうした?」
「やっぱね、僕としてはネ、つめたいそばとあたたかいそばもいいんだけどサ、その他っていう言葉が気になるわけだよ」
「は?」
「ほら、つめたい蕎麦ってのはもり蕎麦!ってすぐに想像できるじゃん。あたたかい蕎麦だって、かけ蕎麦!って分かる。でも、その他・・・って何だ?」
「いや、そこに書いてある通りだろ?」
「いやー、わからんよ、僕には『その他』っていう言葉から一体何が出てくるのか想像できんよ。やっぱりこれはまずお試ししてみないことには。あ、すいませーん、ええと、この『その他』の欄に書かれているですネ、び、ビールを一つお願いします」
「結局そういうことかい!えらく遠回りしたなオイ」
「今日、行きの新幹線ではビール飲んでないんだよ」
「知るかそんな事」

しばらく待つと、陶器のタンブラーとビールがやってきた。おっと、突き出し付きだ。

「やっぱりね、僕ぁうれしいワケだよ。こうしてアワレみ隊のメンバーとだ、長野の地でまた再会できたことをォ。だから、乾杯したいワケだよ」

朝からビール

「苦しい自己弁護はいいからさっさと飲んでしまえ」
「ちぇーっ、そんなに連れなくするんなら、この後お酒も頼んじゃうぞ」
「どうぞご自由に」
「あ、やっぱやめとく。一軒目で酔っぱらってしまうと、あとのお店に行けなくなってしまう」

ぐびり。

うう、空腹にビールは効くゥ。やっぱね、暑いときに冷たいビールもいいもんですが、寒いときに暖房が効いている部屋で冷たいビールっつーのもたまらんものがあるですよ、はい。

国分そば

さて、たったビールいっぱいで有頂天になっているおかでんだったが、そうこうしているうちに蕎麦が届けられた。手前の蕎麦が、国分そばで、後ろがくるみそばだ。

「くるみ?」
「この練り味噌みたいなものがくるみらしい。つゆに溶かして食べるんだと」

想像しているものと、違った。少し食べさせてもらったが、おいしかった。ごまだれに似た印象があってコクがある。くるみといえば、油っぽくて甘い印象があったが、意外とさっぱりだ。

さこちらが注文していた国分寺そばは、たらの芽天ぷらがついている。「春間近のこの今、なぜにたらの芽なんて食べる?」と笑われたが、「馬鹿を言え、春を待ちわびる気持ちがあるからこそ、一足早くたらの芽天ぷらを食べておるのだよ」と強気で開き直ってやった。でも、確かに、この時期にたらの芽を食べるこたぁないよな。ほぼ1年前の保存モノじゃん。

「春を待ちわびる気持ちがあるから、一足早くたらの芽を食う」という論理を主張するなら、8月くらいに「新蕎麦を待ちわびているから、一足早く蕎麦を食う」という事をしなくちゃいかん。いかに自分が馬鹿な事を言ってるかって事だ。

【後注】最近は2月でもたらの芽は食べることができます。早生栽培ができる山菜らしい。当時は無知でした。

ま、それはともかく。揚げたての天ぷらは大変おいしゅうございました。今までの空腹が満たされていく瞬間。危なく、この天ぷらでお酒を・・・なんて悪い気がおきるところだった。

肝心の蕎麦もおいしく頂きました。

「やっぱ長野はいいよなー、蕎麦屋に不自由しないもんなー」

と言いながら、店を後にした。その直後、

「じゃ、蕎麦屋、二軒目行こうか」

と一言。

やっぱ変な集団だ、コイツら。

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