かぎもとや 軽井沢店

2001年02月12日
【店舗数:090】【そば食:169】
長野県北佐久郡軽井沢町

もり

かぎもとや軽井沢店

軽井沢界隈でもっとも有名なお蕎麦屋さんはどこ、となれば恐らく「かぎもとや」なのだろう。佐藤栄作元首相が愛しただのなんだの、いろいろ歴史があるお店のようだ。

もっとも、最近はdancyuなどのちょっとハイソなグルメ本だと「軽井沢は『東間』が良い」なんて書かれているが、東間は完全予約制のお店で一日12組のみ、と敷居が高い。庶民的蕎麦屋としてはかぎもとやに軍配が上がっていると考えて良い・・・のかな?あんまり詳しくないのに断定しちゃうと、馬鹿丸出しになっちゃうのでちょっと語尾は濁しておくけど。

かぎもとやの人気は、美味いかまずいかはこれから食べて判定するとして、立地条件に良さにも起因する。本店は中軽井沢駅の真っ正面だ。徒歩1分。そして、これから訪れる軽井沢店も、軽井沢駅から徒歩1分。ロータリーすぐ脇だ。もう一店舗、郊外にあるのだが、こちらは国道18号軽井沢バイパス沿い。電車の人も、車の人も共に都合の良い場所にお店があるわけだ。見事な配置と言える。

その知名度からして、古風な外観をしていると勝手に思いこんでいた。しかし、弦庵から徒歩でいける距離を車で移動中、かぎもとやがあるべき住所に「普通の町中の蕎麦屋」らしきものがあったので動揺してしまった。「あれ・・・だよな?」疑問形で問いかけるまでもない。大きく、「かぎもとや」と書かれた看板がある。

ビルのテナントとして入っている関係で、外装はビルの仕様に従っている。不そろいの石を積み上げたかのような、タイル地。

「これだったら、オオカミに息を吹きかけられても吹っ飛ぶことはないな」
「三匹の子豚か、それ?」
「蕎麦屋だから、子豚じゃなくて小鴨だろうな、きっと」

ガラス窓が見える。蕎麦屋だと、よく入り口脇のこういうところに麺打ち場があるものだけど・・・あれ、単なる店内か。本店で打った蕎麦をこちらに運び込んでいるのかもしれない。

しばらく外観を眺めていたのだが、ひっきりなしに人が出入りしている。お昼時ということもあって、結構な繁盛っぷりだ。冬の軽井沢は、オフシーズンということで人の数が少ない。なのに、この人達は一体どこから湧いてきたのだろう?

それだけ、集客力があるお店ということか。うかうかしていると、行列ができかねん。さっさとわれわれも入店しよう。

犯罪者と接見しているかのようだ

店内はほぼ満席状態であり、われわれ3名がそろって座ることができる場所は無かった。店員さんが「こちらの席でよろしければ・・・」と案内してくれたところが、この写真のところ。

こちらに2名、向こうに1名。その間に、格子が上から覆い被さっている。

「な、何だここは?」

お互いの顔を、格子越しに見やって、思わず苦笑いをしてしまった。どうみても、これは犯罪者と面会をする場所だ。

恐らく、一人でやってきたお客さんは優先的にこの席に通されるのだろう。で、真向かいに見知らぬ人がいるっていうのも何だか居心地悪いでしょ、だったら間に仕切を作りましたよー、という発想だな、さては。

いや、わかるんですけどね。その心遣い、よーくわかるんですけどね。

なんか、面白いんですよこの絵づらが。

恐らく、「壁」にしてしまうと、圧迫感があるからよろしくない、だから格子、っていう事なんだろうけど・・・繰り返しになるけど、こりゃ「人を殺めてしまい現在服役中の息子に、涙ながらに差し入れを持ってきた親の図」みたいな。

とりあえず、気になったら即実行しておかないとね。おっと、お茶うけとして野沢菜の小鉢を店員さんが持ってきたぞ。

「どうだ、調子の方は。風邪引いたりしてないか?」
「おかげ様で、何とかやってこれてます」
「そうか。体だけは用心しろよ。ほら、これは差し入れだ」

野沢菜の小鉢を、格子の下からすすすっと押し入れる。

「すいません、いつも気を遣って頂いて」
「俺にできることはこれくらいしかないからな・・・ま、つまらんもんだが、受け取ってくれ」

蕎麦屋で何をやっとるんじゃ、僕ら。

ふぅ、小芝居終了。ちょっと満足感あり。

もり

さて、満足したあとは蕎麦でおなかを潤そう。注文したのは、もり。

やや幅広の麺だが、気になるのは薬味の方だ。ねぎ、大根おろし、わさびが用意されているのだが、わさびが何だかヘンだ。葱と大根おろしの「上」にかかっているという時点で、「この薬味をごちゃ混ぜにして使え、って事か?」とこちらを混乱させるが、それよりもなによりも、わさびがムース状だ。何だ、これ。

泡立て器でホイップしたのか?という感じ。何だか気味が悪い。どうやったらこういうわさびができあがるのか、製法が非常に気になる。粉わさびを水で溶いて、一生懸命練るとこうなるのか?

何かこういう製法をすれば、わさびはおいしくなるのかと思って期待してみたのだが、特に大したことはなかったな。このお店訪問以降も、おかでんは蕎麦屋を何十軒も行脚してきたが、これと同じわさびには一度も出会っていない。あれは一体なんだったのだろう。

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