ふじおか(04)

2003年06月28日
【店舗数:—】【そば食:255】
長野県上水内郡信濃町

せいろそば、そばがき、ビール、ひ願

ふじおか

アワレみ隊で天幕合宿を開催する予定だった。しかし、無念にも雨が天から降り注ぎ、梅雨時のアウトドアイベントの企画がいかに無謀かということを思い知らされた。

その代替案として、「まったりと温泉にでもつかろうや」という事になり、小谷温泉に宿泊する事になった。メンバーの集合場所は、JR長野駅。朝、各方面から集まったメンバーは、アワレみカーに同乗し一路・・・

小谷温泉に向かうはずが、北方面に向かっていた。なぜか、目指すは「ふじおか」。

最初に訪れたときは、「こんなに東京から遠いところはそう簡単にはこれないぞ」と思っていたのだが、気がついたら3年たらずの間にもう4回目の訪問となる。ふじおかに深く激しく衝撃を受けた第一回目の興奮は現在では落ち着き、目の色を変えて「ふじおかで蕎麦を食べたいッス!」と言う程ではなくなってきている。もちろん、蕎麦そのものはおいしいのだが、おいしい故に「この店は突然変異でおいしいのか?それとも、この周辺の蕎麦屋が全般的においしいのか?」という方が気になる。だから、ふじおかは「言うまでもなく旨い店」ということでとりあえず放置しておいて、それ以外のお店に行ってみたいというのがおかでんの現在の気持ちだ。

何で「別格」という名のもとでこの店が敬遠されそうになっているのか、自分自身でも正直よくわからない。旨いなら何度でも食べに行けばいいじゃないか、と我ながら思う。推測するに、この店が持つ堅苦しさがちょっと面倒くさく感じるようになってきたのかもしれない。

・・・とかいいながらも、誰かが「おいしい蕎麦を食べに連れて行って欲しい」と言ってくりゃ、ふじおかに連れて行くんだろうし、「ひっさびさに蕎麦を食べに行こうか」となればふじおかに行く事になるんだろうけど。

ま、そういうココロの葛藤がありつつも、気がついたら雨の黒姫高原に到着。

開店を店頭で待つ

午前9時45分、ふじおか入口。

「おい、今日営業やってるのか?」
「ここまで来て、営業していなかったら泣けるな」
「大丈夫だ、この時間だったらいくらでもリカバリーできる」
「ご主人の子供の運動会とかだったらどうしよう?」
「この雨で運動会は無いだろ、さすがに?」

店内には、明かりがついていた。あ、今日は営業されるようだ。

11時半の営業開始まで、入口で待つことにする。当然、他にお客さんは居ない。

「しっかし、律儀だよな俺たち。営業開始1時間45分前に行列なんて初めての体験だぜ」

前回、この地を訪れたのは高妻山登山の時だが、開店1時間半前に行列ができていなかった事に油断して、ちょっと別のところに出かけたがためにみすみす行列を許してしまい、入店断念を余儀なくされた経緯がある。今回は、そのような悲劇を起こさぬよう、ばかばかしいと思いつつも早めに入口で待機することにした。同行しているしぶちょお、ばばろあにも「いいか、ここで『客がいない』と思って油断するとぉ、足元を救われるんだぞぉ」と諭しておいた。

マンガを読んだりしながらひたすら待つ

午前10時を回ったところで、ご主人が暖簾を持って店内から出てきた。既に入口脇のベンチでお行儀良く座っているわれわれの姿を見て、「あれ?」と思ったようだ。

「開店は11時半からになりますが、よろしいですか?」と聞いてきたが、われわれは百も承知。「もちろんです」と深くうなずき、徹底的に待つぞぉという意思表示を示した。

「どうぞ中にお入りください」と言われたので、玄関に上がらせてもらう。さあ、ここからまだ1時間半の待ちだ。こんな雑木林の中の田舎蕎麦屋でここまで待つとは、我ながら感心する。

お互いが持ってきていた雑誌や本を見せ合いながら、時間をつぶした。・・・ううむ、長い。

しかし、不思議な事に誰一人としてお客さんがやってこない。一体どうしたというのだろう。いくら蕎麦のシーズンではないとはいえ、いくら雨が降っているとはいえ、週末のふじおかだ。行列ができて当然のはず。まさか、われわれが訪れていない間に、すこぶる評判を落としてしまったような事があったのだろうか?

「ひょっとすると、われわれで貸しきりかもしれないぞ」
「ふじおかを貸し切りかー。それはそれですごくぜいたくだなー、いいなー」

と冗談で話していた開店30分前。しかし、開店10分前になっても相変わらず誰もやってこない時点で、「何か異変が起きたのではないか」と本当に心配になってきた。おい、食中毒で営業停止になったとかそういう事はないだろうな!?

貸し切りに対する期待と、あまりに客足が鈍い事に対する不安がごちゃまぜになって、ソワソワしているうちに開店5分前。中年夫婦がやってきた。安どとともに、ちょっとがっかり。

ふじおかお品書き2003

11時半、お店の扉が解放され、開店となった。お客は、われわれ3名と先ほどの中年夫婦2名。おっと、さらに追加で3名やってきたぞ。

結局「わざわざ並ばなくても良かった」というわけだが、それはあくまでも結果論。うーん、並ばなくても食べられる店になったのか、それとも今日がたまたまだったのか。過去4回、もっとも客足が少ない店内となった。

さて、このお店はメニューを見ながらあれこれ悩まなくて良いから楽だ。もちろん、せいろそばとそばがき。そばぜんざいはそばがきを食べるから不要。あと、ビールをお酒を頂きましょうかね。ええと。

・・・あれっ。せいろそば、2000円だったっけ?ああ!値上がりしてるぞ。

この際、「また」値上がりしてるぞ、という言い方が正しい。2000年秋、初めてこの店を訪れた時はせいろそばが1,500円だった。その次に訪問したときは、1,800円になっていた。そして今回、2,000円。そば業界のギネスブックを狙う気か、ふじおか。

「チキンレースみたいだな、どこまで値上げしてもお客がついてくるか、っていう」
「旨いから許すけどなあ、これ以上高くなるとちょっと・・・だな」

この店の場合、非常においしい「季節の野菜料理」と「お漬け物」がセットになった値段なので、金額の妥当性を判断しにくい。だから、何となく「高いなあ」と思いつつも、「まあ、コース料理だと考えればこんな値段も許せるかな?」という気になる。

「店主の子供が大きくなってきたから、養育費確保のために値上げだったりして」

なんて冗談も仲間内で出てきたが、あながち冗談では済まない話だったりするかもしれない。何しろ、立地条件や店のキャパを考えると、1日で得られる収入は自ずと限界があるわけで・・・

ああ、やめだやめ!食べる前から、店の売上げがどーのこーの、ってやってると蕎麦がまずくなる。

季節の野菜盛り合わせ

季節の野菜盛り合わせ到着。

毎回思う事がある。一人分を一皿ずつ盛ってくれればいいんだけどなあと。これくらいの量をシェアするというのは案外面倒くさい。あと、周辺のお客さんに出された盛り合わせと量を比較してしまう。ああ、小市民。

しかし、小市民っぷりを遺憾なく発揮させてもらうと、一人で訪れたお客さんの盛り合わせの方が、一人頭での量が多いような気が・・・(ぼそっ)

にこにこ顔で野菜を食べる

相変わらずおいしゅうございます。どんなに蕎麦がおいしくても、それだけのために2,000円払う気はさらさらない。しかし、こうやって美味なる料理が脇をがっちりと固めているので、にこにこしながら少々高いお金を払ってもいいやという気になる。

もちろん、こういうお料理を頂く際は、傍らにお酒が欲しいところ。運転手にとっては生き地獄だ。

われわれが野菜をほおばっている頃、お客さんが数名、お店にやってきた。

「あ、惜しいなもう11時45分だ、店の人から『次回にしてください』って丁重にお断りされるぞ」

と様子を窺っていたら、店の奥さんが「どうぞ」だって。あれれ?

「おい、一体何事だ?このお店、途中入店は認めない方針だったはずだぞ?」
「まだ季節の野菜盛り合わせ程度だったら、われわれの食べるペースに追いつくことができると判断したんじゃないかなあ」
「いや、以前はまだ一品も料理が出ていないうちに入店を認められなかったお客さんいたぞ?今日はあまりに客足が少ないから、特例措置なのか?」

ちょっとびっくりなんである。

そばがき

そばがき到着。

あいかわらずもちもちプリンとしており、見て楽しい、箸でさっくり割ってみて楽しい、そして食べておいしい。

これはビールじゃないな。お酒に切り替える。

そば

そして、お待たせしました、そば。

さすがに夏ということもあり、このお店で秋に出されるようなあおあおとした麺ではなかったが、それでも蕎麦の味と香りは十分に堪能できるものだった。

しかし、おかでんが食べたのはちょっと水切りが悪かったようだ。以前、しぶちょおが食べに来たときも水切りが悪かったという話だったので、ここでは時々水切りに難があるのかもしれない。

ただ、ここの蕎麦は10割蕎麦であり、あまりにも水切りをきっちりしすぎると麺がごわごわしてしまい、麺同士がくっついてしまうおそれがある。だから、若干水切りを甘めにしている可能性がある。微妙なバランス感覚だ。

蕎麦おかわり

せっかくなので、お蕎麦をおかわりした。

今度は水切り、ばっちり。蕎麦の風味が水でぼやける事もなく、おいしく頂戴することができた。

漬け物

ここで漬け物登場。この期に及んで、これだけどっちゃりと漬け物が出てくる必然性に毎回首を捻ってしまうのだが、相変わらずどれもおいしいから文句は言いっこなしだ。今回も豆が絶品の堅さで、豆だけ食べ続けてもいいくらいだった。

調子に乗って、これを肴にもう一杯お酒を飲もうと奥さんに注文していたのだが、忙しさのせいで忘れられてしまっていた。ここで「注文したお酒は?」と確認してもよかったのだが、「いやこれも『ここでお酒はやめとけ』という神の啓示に違ぇねぇだ」と判断。アルコール摂取は打ち止めにした。

そば湯

ポタージュ状のそば湯も健在。

ただでさえ、野菜各種をたくさん食べていておなかがふくらんでいるのに、このそば湯を1杯、2杯と頂くともう完全におなかいっぱい。これ以上は無理ですー。

・・・あれれ。またお客さんがやってきたぞ。既に食べ終わって帰ってしまったお客さんがいた席にどっかと腰を下ろしている。おお、えらく大胆だな。さすがにこれはルール違反だろう?

と思ったら、奥さん、今来たお客に注文を確認してるじゃないかーっ。なんだそりゃーっ。次の回まで外で待ってくれ、じゃないのかーっ。

今までのお客の流れを見ていると、どうやらこのお店は店舗運営ルールを変更したらしい。今までは11時30分と13時の完全2回転制で運営されていたわけだが、現在は「空席があればいつお客さんが来ても良い」という、まあごく普通の飲食店スタイルになったというわけか。

なるほど!道理で開店直前に行列が無かったわけだ。1日2回転しかしないお店だったら、なんとしても開店時間に行列を作っていないといけないわけだが、「いつでも入店できます」だったら、そんな心配はいらない。

あー、午前10時に、店主が「開店時間は11時30分ですけど?」と言っていたのはそういう意味だったのか。

なんだ、それだったらこのお店を堅苦しく考えず、ふらっと立ち寄ってふらっと蕎麦が食べられるじゃないか。この記事の冒頭に書いてあるような敬遠する必然性なんて、どこにもない。まあ、気軽に食べられるようになったということは嬉しいことだ。

お茶

最後、蕎麦の実が浮かんでいるお茶を頂いて、店を 後にした。

「びっくりしたなあ、あの運営方針の変更は」
「やっぱり、子供の養育費・・・?」
「こらこら」

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